ネクソン、「カウンターストライクオンライン」初のオフライン大会を開催
デスマッチモードや任務&勲章システムなどアップデート計画も発表


12月18日開催

会場:ウェアハウス川崎店


会場となったウェアハウス川崎店

 株式会社ネクソンは12月18日、オンラインFPS「カウンターストライクオンライン(CSO)」で初となる公式オフラインイベント「『CSO』ワンデートーナメント」を開催した。会場となったのは複合アミューズメント施設「ウェアハウス 川崎店」。会場では即席チームによる対抗デスマッチ大会が行なわれたほか、2011年3月までのアップデート計画が発表された。

 今回のオフラインイベントは、ネクソンで本作の運営を担当する今濱隆一郎氏が今夏に弊誌インタビューで答えた通り、より本格的な大会実施のための準備大会という色彩が濃い内容となっていた。それは今回のメイン大会が既製クランではなく即席チーム、ゲームルールはオリジナルの爆破ルールではなくデスマッチモードと、お祭り志向のレギュレーションだったことからも伺えた。このため試合内容そのものに見るべき点は少なかったが、多くの教訓が得られたという点で今後「CSO」がより成長していくきっかけになったかもしれない。




■ 「オリジナル部分にも手を加えていく」。デスマッチモードを始め、包括的な進化を図るアップデート計画

会場の様子
今後のアップデート予定を披露する運営担当の今濱隆一郎氏
「RELOAD」アップデート計画の概要

 はじめにイベントの中盤で行なわれたアップデート内容の発表についてからお伝えしておこう。詳細を発表したのは、今回のイベントでメインパーソナリティを務めた「CSO」運営担当の今濱隆一郎氏。2010年12月22日から2011年3月16日にかけて予定されている、「Project RELOAD」と呼ばれる新規実装計画を詳しく紹介した。

 まず12月22日に実装予定のアップデートでは、「チームデスマッチモードの強化」、「任務&勲章システムの実装」、「ゲーム内部システムの改善」の3要素が実装される。3種類の新武器を導入するほか、システム的には「リベンジ」、「ライバル」という仕組みを実装する。これは、デスマッチモードにて特定の相手に続けて倒されると、その相手が「ライバル」に指定されて見た目でわかるようになるというものだ。そしてその相手を倒すことで「リベンジ」が達成され、派手な演出が表示される。Valve「Team Fortress 2」の同様の仕組みに近い。

 またチームデスマッチモードでは、オリジナルモード由来の武器購入システムが撤廃される。そのかわりプレーヤーは、チームデスマッチ内での出撃時に、あらかじめロビーで設定しておいた最大3種類の「武器プリセット」の中から1種類を選択することができるという仕組みになる。「今後はオリジナルからの要素にも手を加えていきます。自由度は若干減ることになりますが、3種の武器のどれを選ぶかという新しい戦略性が生まれます」と今濱氏。オリジナル要素に手を加える点でこれまでのアップデート内容から一線を画しており、これが今後のアップデートにおける新基準となるようだ。

 12月22日のアップデートにてもうひとつの柱となる「任務&勲章システム」は、ロビー内で各プレーヤーに各種の「任務」が発生し、それを達成することにより各種褒賞が得られるというもの。任務には各ゲームモードやレア度に応じた種類があり、「一般任務」、「スペシャル任務」、「ストーリー任務」といったものがある。褒賞はクレジットや武器、経験値など。また、各アカウントで1回だけ挑戦可能な「名誉任務」というものもあり、達成すると「勲章」、「名誉点」といった、他の手段では得られない褒賞が与えられる。

 これに加えて注目点となるのが、マップ回りのアップデートだ。今回のアップデートでは新規マップ「港(The Port)」が追加となるほか、マップ整理の一環として「アサルト」がチームデスマッチモードから削除される。「アサルト」は旧「Counter-Strike」からの名物マップではあるが、デスマッチ用としてはあまりにもチーム間の優劣が発生しやすいアンバランスな地形であるため、ゲームバランスの改善という判断で削除となる模様だ。

 2011年1月19日には「ヒューマンシナリオ」の新エピソードが実装される。「Blaze」と呼ばれるこのシナリオでは新たに空中型ユニットが登場し、乗り物で移動しながら迫る敵を撃退するといった、よりドラマティックなストーリーが展開されるという。2011年3月16日以降にはアイテムシステムの改変などシステム面のアップデートが行なわれるほか、シナリオモード用の新規マップなどコンテンツの拡充で包括的な更新をかけていく見込みであることが語られた。


【新規マップ・新規武器】
デスマッチモード用の新規マップとして「港(The Port)」が追加。既存マップのうちデスマッチ向きでないものは削除される。また新武器として「M14 EBR」、「AN94」、「M16A4」の3種が追加される


【新マップ「港(The Port)」】
デスマッチ専用。対称性のあるマップで、コンテナの上に登れる場所や壁抜きが狙えるポイントが用意されている


【システム・ゲームルールの更新】
「リベンジ」、「ライバル」システム、アイテム購入システムの改変、「任務」と「褒賞」のシステムなど、多数のシステム面の変更が加わる


【2011年以降のアップデート】
2011年1月には「ヒューマンシナリオ」の新エピソードが実装。3月にもシステム・コンテンツ両面のアップデートが予定されている




■ ワンデートーナメントの内容は課題あり。今後はクラン戦の盛り上がりを期待したい

試合の実況解説を行なったHAC氏と今浜氏
試合中の様子
優勝した「レイ様と下僕たち」チーム

 さて、イベントのメインであるチーム対抗戦には、この日のためだけに組まれた即席の10チームが出場した。1チームは5人。ゲームルールはチームデスマッチで、100ポイントを先取したチームが勝利というもの。試合の実況と解説は、FPSプレーヤー・解説者として活動するHAC氏と、本作運営担当の今濱氏が担当した。

 結果から述べてしまうと、この大会では「レイ様と下僕たち」チームが安定した強さを見せて優勝。オリジナルの「Counter-Strike 1.6」のプレーヤーとして有名なXrayN氏を中心としたチームだ。ただ、その試合内容について紹介できることは少ない。というのも、今回の大会は、通常のクラン戦で行なわれるオリジナルの「爆破ルール」のようなラウンド制ではなく、ひたすら相手を倒し続けるだけのチームデスマッチ。作戦や連携等の見どころはほとんどなく、強いプレーヤーの揃ったチームが順当にスコアを伸ばしてスムーズに勝負が決まる試合が主となった。

 また、会場のメインモニターの解像度が低く、現在のスコアなど重要な情報がまるで見えなかったため試合の流れがほとんどわからず、プレイしている選手だけが楽しいという状態になってしまったのがとても残念だ。実況は行なわれたものの、モニターから得られる情報が限られていたためか、会場のギャラリーから歓声やどよめきが上がることはほとんどなかった。

 もうひとつ残念に思えたのは、会場に集まった人々がほとんど大会への参加者のみで占められていたことだ。開催内容としては、顔にゾンビ風の生傷をあしらってもらえる特殊メイクコーナーや、「ソンビサバイバル」モードでの飛び入り大会など、大会出場者以外の人も楽しめそうな催しが用意されていたものの、事前の告知が不十分であったのか満場とはならず、また、メイン会場とサブ会場の2箇所に会場が分かれてしまったことで来場者が分散し、全体としていまひとつ盛り上がりに欠けてしまった。

 設営上の都合から盛り上がりに欠けてしまったこと、また、試合中に幾度かシステムトラブルが発生しスムーズにイベントが進行しなかったことなど、今回のイベントでは全体的に多くの課題が浮き彫りとなった。とはいえネクソンが開催するFPS系ゲームのオフラインイベントは今回が初であり、「CSO」の運営を担当する今濱氏は今後オンラインの盛り上がりやプレーヤー層の成熟に合わせて、続けてイベントを開催していきたいと語っている。ぜひ、より洗練された形のオフラインイベントを実現することを求めたい。

 そのためにも、運営側の努力で、大会の華となるクラン戦をオンライン上で盛り上げていくことが重要だ。日本では「CS 1.6」のコミュニティ資産が小さいため、クラン戦のムーブメントを新たに構築する必要がある。同時に、ゲームサーバー・クライアント両面のさらなるブラッシュアップを図り、フェアな環境でトラブルなくゲームが楽しめるようにすることも重要になる。

 もちろん「CSO」の発展には別の形もある。人気の「ゾンビモード」や「シナリオモード」など、オリジナルの「CS 1.6」とは異質な部分をより伸ばしていくという方向だ。そうであれば今後のオフラインイベントに向けて、それらのゲームモードでのクラン戦やトーナメント等を可能にするシステム面のアップデートというものも好意的に受け入れられるはず。 いずれにしても今回のイベントを土台に、「CSO」のさらなる飛躍が見られることを期待したい。


特殊メイクを受ける参加者試合中の会場の様子




(2010年 12月 20日)

[Reported by 佐藤カフジ]