東京ゲームショウ2010レポート

台湾XPECブースレポート
ソーシャルゲーム「虹色どうぶつ園」とブラウザ型MMO「Maze Myth」などの注目作を出展


9月16日~19日 開催(16日、17日はビジネスデイ)

会場:幕張メッセ

入場料:1,000円(一般/前売り)、1,200円(一般/当日)、小学生以下は入場無料


 台湾のXPECは東京ゲームショウに毎年出展しているメーカーである。近年はブラウザ型でありながら本格的なMMORPGとなっている「みんなの冒険大陸カナン」を開発し、その他にも様々なタイトルを作り続けている。台湾メーカーの中でもいち早くコンシューマーゲームの製作を行なうなど、台湾ゲーム業界を牽引するメーカーといえるだろう。

 今回XPECが出展したのはソーシャルゲームの「虹色どうぶつ園」と、ブラウザーゲームでありながら3Dグラフィックスで描かれたフィールドで冒険が楽しめるアクションMMORPG「Maze Myth」である。どちらも、カジュアルで間口が広く、そして本格的なゲーム性兼ね備える作品だ。




■ 動物200種、建物100種類のボリュームタップリなSNS連動経営シム「虹色どうぶつ園」

「虹色どうぶつ園」のコーナーイラストは、そのボリュームをアピール

 「虹色どうぶつ園」は動物園を経営するソーシャルゲームだ。今回のバージョンではFacebookアプリとして出展されていたが、日本のmixiや韓国のCyworld、ドイツのVZといった世界各国のSNSにも対応予定だ。まずは台湾向け中国語クライアントを2010年末にサービス予定。基本プレイ無料、アイテム課金を予定している。

 プレーヤーは一定の敷地を与えられ、動物を購入し、設置していく。動物と檻は1つになっていて、設置するだけで来園者に動物を公開できる。他にも公園施設や売店、トイレやゴミ箱を設置し、より快適な動物園を目指していく。設置画面から抜けると、時間は動きだし、来園者が現われる。彼らは様々な要求をしてくる。これらの要求を満たしつつ、より多くの来園者の獲得を目指していくのだ。

 動物は、オウムやパンダ、タコやタツノオトシゴ、亀、さらには蝶などがいる。毒ガエルや金魚などもいて、さらには架空の動物もいて、サービス開始時に200種類の動物が実装されるという。施設もイベント会場やお化け屋敷など100種類あり、やり込むことで豪華な動物園が作れそうだ。試遊台の動物園は、多彩な施設、動物がいて、オブジェクトの多さ、細かさに驚かされた。

 動物の折をダブルクリックすると中をのぞくことができる。ここでは動物の愛らしい姿を鑑賞できる。鹿がこちらに向かってウィンクしてきたり、独特のセンスが楽しい。つがいの動物を檻に入れ、条件を満たすとハートマークが出て、コウノトリが子供を運んでくる。こうして檻の中の動物を増やすこともできるのだ。

 ソーシャル要素としては、他のプレーヤーの動物園を訪問し、観光客の捨てたゴミを拾うなど“お手伝い”ができる。フレンドの施設レベルが表示されているため、ランキング競争もできる。また、ログインしていればリアルタイムチャットも可能だ。面白いのは「花火」というシステム。フレンドにプレゼントすると、フレンドがログインしたときに花火のアニメーションを見せることができるのだ。

 「虹色どうぶつ園」はまず画面を見て、その圧倒的なボリュームを感じた。施設は1つ1つ凝っており、来園者が行き来するだけでも楽しいし、こんな施設があるのか、こんな動物もいるのかと驚かされる。デザインでは独特の「素朴さ」も感じられて、日本だけでなく、広い市場を視野に入れている感じだ。動物園経営シミュレーションというゲーム性の高さにも注目したい。


左が初期フィールド。プレイすることで中央のようなにぎやかな場所へ成長していく。右は購入できる動物のメニュー
建物を配置していく。中央は2匹の動物が愛をはぐくむ場面。右は友達に贈る花火のメッセージ
スクリーンショット。キャラクターや動物のデザインに独特の味がある
にぎやかなフィールド。友達の動物園もチェックしたくなる
ミニゲームや、友達と開けるロックパーティー。動物のかわいらしい仕草にも注目



■ ブラウザで楽しめる本格アクションMMORPG「Maze Myth」。かわいらしく力の入ったデザインに注目

「Maze Myth」のコーナーはかわいらしいイラストを大きく展示
イメージイラスト。左から2番目の褐色の子が機械師だという

 「Maze Myth」は非常に愛らしいグラフィックスで、日本市場を明確に意識していると感じさせるアクションMMORPGである。Flashベースのブラウザゲームでありながら、フィールド部分に3Dグラフィックスを採用。サービス時期は未定で、基本プレイ無料、アイテム課金を予定している。

 表現としては「ラグナロクオンライン」と同じ手法で、キャラクターを中心に視点をぐるぐると回転させることも可能だ。3Dグラフィックスを使用しているが、FlashベースのためネットブッククラスのPCでも動作する。もちろんクライアントのダウンロードも不要だ。

 本作のプレーヤーキャラクターの職業は「戦士」、「魔法使い」、「司祭」、「機械師」がある。機械師は魔法のかかった特別な道具を使いこなすキャラクターだという。アイテム製作の要素も導入される予定でユニークな職業になりそうだ。

 画面はクォータービューで、現在はWで上、Aで左、Sで下、Dで右というキー操作でキャラクターを動かし、数字キーでスキルを使う。今後はクリックによる移動や、カーソルでの移動も取り入れるという。街の外には敵がいて、プレーヤーを見つけると襲いかかってくる。本作はアクションMMORPGで戦闘は画面の切り替えなどのないリアルタイムバトルだ。敵を指定し、スキルを使って攻撃する。魔法使いなどは常にキャラクターを動かして距離を取らなくてはならない。

 「Maze Myth」の大きな特徴は、やはりキャラクターデザインのかわいらしさだろう。目が大きく画面上のキャラクターは3頭身くらいで、ちょこちょこと動く。今回のバージョンではペットとしてプリンの形をした生き物を連れていて、このプリンが体を揺らして動くのも楽しい。キャラクターデザインと、アニメーションはかなり力が入っていると感じさせられた。

 アバター要素も大きなセールスポイントにしていくようで、ステータス画面ではキャラクターは5頭身表現される。3頭身のキャラクターでは表現しにくい服の細部のデザインなどはこのステータス画面で楽しめるようになるという。建物や背景も細かく作り込まれており、味がある。これまでのXPECの作品の中でも、全体的にあか抜けたデザインかなと感じた。

 ブラウザゲームでありながら3Dグラフィックスでフィールドを作り、アクション性のある戦闘が楽しめる。キャラクターのかわいらしさ、デザインの細かさなど、さまざまなポイントでXPECの“挑戦”を感じた。ブラウザゲームの中でこれだけのクオリティーを持つMMORPGはなかなかないのではないだろうか。完成が楽しみなタイトルだ。


3Dフィールドを2Dのキャラクターが走る。ステータス画面ではキャラクターのイラストも表示される
戦闘はリアルタイム。派手なエフェクトの出るスキルもある。フィールドも細かく、探索が楽しみだ
スクリーンショット。NPCも会話シーンではイラスト付きで表示される

(2010年 9月 19日)

[Reported by 勝田哲也]