ナナオ、ゲーミングモニタ「FX2301TV」を6月24日に発売
倍速モード、地デジチューナー搭載のフルHD液晶、バーチャル5.1chサラウンドにも標準対応

6月24日発表発売予定

価格:99,800円

 

発表された「FORIS FX2301TV」(画像はレッドカラーモデル)

 EIZOブランドの液晶モニタ製品を展開する株式会社ナナオは6月10日、ゲーミングモニタ「FORIS FX2301TV」を発表した。本製品はエンターテイメント向けに特化された「FORIS FX」シリーズの最新モデルで、特にゲーム用途に対する機能を強化した点が特徴となっている。価格はオープンで、EIZO直販サイト上での予価は99,800円。発売日は6月24日を予定している。

 本製品「FX2301TV」の画面サイズは23インチ、フルHD解像度、応答速度3msのTNパネルを搭載。倍速駆動エンジンを実装しており、1080p/60フレームの映像をなめらかに倍速表示できる。また、ディスプレイ下部に口径5cmのフルレンジスピーカー(出力各2W)を搭載し、ヘッドホン向けバーチャル5.1chサラウンド機能を内蔵するなど、サウンド面の表現力も強化されている。

 このほか地デジチューナーを内蔵、多彩な入力端子を装備するなどエンターテイメントモニタとして非常に贅沢な機能を実現。その上でゲーム用途に特化した各種の映像モードを備え、ゲーミングモニターとしても要注目の製品に仕上がっている。本稿では6月9日に行なわれた製品説明会の模様から、「FORIS FX2301TV」の特徴を詳しくご紹介しよう。

通常販売モデルはレッドとブラックの2種類を用意
製品外観


■ 多彩な倍速表示モードや映像調整機能。
 ゲーム用途に最適なマルチメディアモニター

基本仕様
本製品のスルーモードは、倍速駆動によりさらに遅延が低減されている
背面入力端子

 ナナオでは、本製品「FX2301TV」の製品企画意図として、「臨場感」、「マルチプラットフォーム」、「自分専用」という3つのキーワードを掲げている。本製品ではその意図を反映し、ゲーミングモニタ、マルチメディアモニタ、そしてテレビモニタとして考えられる限りあらゆる機能が搭載されていることが特徴だ。

 基本スペックとしては、23インチTNパネル(ノングレアタイプ)、解像度1,920×1,080ドット、視野角160度、輝度300cd/m2、コントラスト比1000:1(コントラスト拡張時2000:1)、パネル応答速度3msとなっている。スタンドはチルト機構のみで、上20度、下5度までの調整が可能。VESAフリーマウントに対応する。このインチ数としては比較的大型な筐体になっており、本体重量は9.1kgとずっしりと重い。

 ゲーミング向けとしての最大の注目点は、スルーモード時で最小遅延0.5フレームという高い応答性だ。これは、モニター内を通常の倍速にあたる120Hzで駆動させることにより、60Hzソースの映像を可能な限り早いタイミングで表示することで実現している。PSPやWiiといったSDソースのゲーム機で、映像を全画面領域に拡大する場合でもスルーモードが有効だ。

 また本製品では、スルーモードの他にも様々な倍速表示モードを利用できる。「標準」および「強調」モードでは、各コマ間の補完フレームを生成して動画をよりなめらかに、ブレを軽減して表示する。「5-5/4-4」モードでは、映画などの24Hzソースを再生する際、モニター側で表示タイミングを調整することにより正確な24p映像の見え方を再現できる。この他、フィルム映像やCG、アニメなどの映像を自動判別して最適な補間処理を行なうモードを搭載する。

 このように様々な映像ソースに最適な表示モードを実現した上で、本製品では多彩な入力端子を搭載している。その内訳は、DVI-D端子、D-Sub端子、HDMI2系統、D5対応D端子2系統、コンポジット、地デジチューナー端子。複数のPC、ゲーム機、AV機器を同時に接続することが可能となっている。

 また、ネイティブ解像度が低いゲーム機向けに、特別な画面サイズ設定を搭載している点も特徴的だ。PSPの映像を画面一杯に引き伸ばす「ポータブルモード」に加えて、ドット絵のエッジを聴かせたまま拡大する「リアルイメージ機能」が利用できる。これにより古いゲーム機の映像を好みのスケーリング表現で楽しむことが可能だ。

 また、ソース毎に最適な映像を楽しむための画質調整機能も充実している。プリセットとしては映像信号毎に複数が用意されており、ゲーム機などのビデオ信号入力時には、コントラストを強調し、輪郭を際立たせる「Power」、色彩の鮮やかさと階調表現を重視する「ゲーム」、ソースに忠実な「スタンダード」、暗部を見やすく柔らかな映像を演出する「シネマ」を選択可能。PC接続時には「テキスト」、「ピクチャー」といった用途別のプリセットが有効になる。また、「カスタム」モードではユーザー自身が設定項目を細かく調整することができる。

 倍速駆動・スルーモードによる0.5フレームという低遅延と、多彩な映像調整機能を持つことで、本製品はPCゲームやゲーム機での利用に最適なモデルとなっている。それでいて24pの映画やその他の映像ソフトを楽しむための機能も充実しており、最新のマルチメディアモニターとして必要と思われるものを全て備えたモデルと言えそうだ。

倍速駆動のイメージコンテンツに合わせたカラーモードが用意されているクラシックゲームの拡大表示にも万全に対応


■ ヘッドフォンを挿すだけでバーチャル5.1chが楽しめるリッチなサウンド機能を搭載
 そのほか視点角度に応じてガンマ調整をかける「リラックスモード」など付加機能が充実

大口径スピーカーを搭載。バーチャル5.1chサラウンド機能を内蔵する
「リラックスモード」では視野角が大きい場合のカウンターガンマを適用する
リモコンが標準で付属

 「FX2301TV」ではサウンドの表現力にも注力されている。モニター前面にヘッドフォン端子、背面に外部スピーカー用のオーディオライン出力を装備しており、本機内蔵のバーチャル5.1chサラウンドエンジンによりHDMIおよコンポジット入力によるオーディオをサラウンド化して出力することが可能だ。これにより、ヘッドフォンを接続するだけで手軽にサラウンドオーディオを楽しむことができる。

 また、このバーチャル5.1chサラウンドには「ゲーム1」、「ゲーム2」、「ムービー」という3つのモードがあり、ゲームや映像コンテンツの種類に応じて切り替えることが可能。「ゲーム1」はFPS系ゲーム向きで、音の定位をわかりやすく表現。「ゲーム2」ではサウンドに残響を加え、RPGやADV系のゲームで臨場感を向上する。「ムービー」では強い残響効果に加えて低音強調を行ない、映画などで迫力ある音響を提供する。

 ちなみにこのバーチャル5.1chサラウンドエンジンに搭載された各モードは、セガが開発に協力しているという。ナナオでは本製品について、個室でヘッドフォンを利用してゲームをプレイする状況を主として想定しており、この点で非常に緻密な調整が行なわれているようである。

 また本製品は表示遅延を最小化する目的もあってTNパネルを採用しているが、その点にも独自の機能で配慮が行なわれている。TNパネルは上下の視野角変動により画面の見え方が大きく変わってしまうという弱点をもつが、本製品では画面を上下様々な角度から見る際に最適な映像を得られる特殊なガンマ設定を搭載しているのだ。

 これによりユーザーがリラックスして椅子に深く腰掛けた姿勢を取る際にもフラットな映像を見ることが可能だ。この機能は「リラックスモード」と名付けられており、画面を見る縦の角度に応じて5段階の設定を用意。最大の設定では画面下部45度からでも見やすい映像を得ることができる。また本製品には専用リモコンが付属するため、このような各種調整はモニターに触れずに実行できる。

 デザインにこだわるユーザーのために、本製品ではサウンドジャケット(スピーカーカバー)を「着せ替え」できるオプションも用意されている。標準では赤と黒の2色が販売されるが、EIZO直販サイト及びEIZOガレリア銀座店から「アクティブブルー」、「ディアブラウン」、「ディライトイエロー」の3色のサウンドジャケットが単体販売される予定だ。また、6月10日から8月1日までの期間に、EIZO直販サイトもしくはEIZOガレリア銀座店から本製品を購入したユーザーに、好みの色のサウンドジャケットを1つ無料提供するキャンペーンも実施するという。

直販モデルのカラーバリエーション
説明会会場では実機に触れることができた。倍速駆動によりゲームが非常になめらかに表示されていたEIZOダイレクトでは、Boseのヘッドフォンが添付されたセット商品も用意。価格は109,800円本製品は「FORIS FX」シリーズの中でも特にゲームに特化したモデルとなっている


(2010年 6月 10日)

[Reported by 佐藤カフジ ]