SCEJ、PS3「KILLZONE3」先行体験レポート
海上採掘施設襲撃ミッションに挑戦! 3D立体視プレイも体験


6月3日開催

会場:秋葉原UDXシアター


 株式会社ソニー・コンピュータエンタテインメントは6月3日、東京・秋葉原UDXシアターにて、PS3向けFPS「KILLZONE3」のメディア向け試遊会を開催した。このイベントでは「KILLZONE3」の開発元であるオランダのGuerrilla Games代表のHermen Hulst氏が登壇し、プレゼンテーションを行なった。

 「KILLZONE3」は現在のところ発売日、価格は未定だが、日米同時発売の予定だ。前作は北米版発売から1カ月後に日本語版が発売されたが、日本で好評だったことから、今回日本を含めた世界同時発売が決定し、アジアでのアピール地域として日本が選ばれたという。

 「KILLZONE3」は、前作のエンディング直後から始まるストーリーとなる。様々な新要素が盛り込まれゲームのスケールも大きく拡大するが、最も大きな特徴は「3D立体視」への対応だろう。これまで以上の臨場感を目指し開発が進められている。今回はプレゼンテーションで語られた「KILLZONE3」の内容と共に、試遊台でのプレイ、さらに3D立体視も体験することができた。開発中のため画面はお見せできないが、明らかになった部分をレポートしたい。




■ 前作完成直後からの挑戦、3D立体視、スケール、過酷な戦場、よりパワーアップした「KILLZONE3」

「KILLZONE3」の開発元Guerrilla Games代表のHermen Hulst氏。フォトセッションでノリノリのポーズを取るなど気さくな方で、プレゼンテーションでも、「ゲームエンジンのパワーアップ」のアピール時には、車体より大きなエンジンを積んだ車をわざわざ合成写真で作ったスライドを用意したり、ユニークだった。今回のスライドは、開発中の素材があるため非公開だったのが残念だ

 今回のプレス向け発表会ではGuerrilla Games代表のHermen Hulst氏自らゲームの特徴を紹介した。「『KILLZONE3』は、前作『KILLZONE2』完成直後から、開発がスタートしています。前作の評判がとても良く、この勢いに乗ろうとスタートしたのです。前作のクオリティーの高さは自負していますが、『KILLZONE3』ではさらなる高みを目指していきます。『アンチャーテッド黄金刀と消えた船団』や『GOD of WAR3』といったタイトルの開発チームからも影響を受け、おたがいが切磋琢磨できる環境は幸運だと思っています」とHulst氏は語った。

 「KILLZONE3」では敵となる“ヘルガスト兵”はより強力でずるがしこくなり、ジェットパックという新兵器で空から襲いかかってきたり、大量破壊兵器を使うなど前作にはなかった戦い方でプレーヤーに牙を剥く。前作から引き続き戦場となるのは惑星「ヘルガーン」だ。「KILLZONE3」は前作のラスト、ヘルガストを率いていた“ヴィサリ”を、主人公であるセブが倒した直後から始まる。ヴィサリが最後に放った核爆弾により主人公側のISA侵攻軍は壊滅的な打撃を受けてしまった。指導者を失ったはずのヘルガストは戦いを辞めず、ISAの生き残りを攻撃してくるのだった。

 今作では惑星の様々な場所が明らかになる。放射能に汚染された首都ピュロスでの戦い、熱帯雨林のジャングルのような場所では敵を避けながら進む戦いとなり、氷塊の浮かぶ海の上に作られた油田施設、さらには宇宙空間までと、前作以上の広がりを見せる多彩な戦場での戦いが展開する。支配者を失ない、ヘルガスト軍で表面化していく2人の権力者の対立、秩序を失った兵士達の暴走、明らかになるヘルガストの新兵器……味方の少ない絶望的な戦いを強いられるセブと相棒のリコ、そしてISAの生き残り達がどう戦っていくか注目したいところだ。

 スケールは前作から大きくアップするとHulst氏は語る。「KILLZONE3」では、「KILLZONE2」のゲームエンジンに大幅な改良を加えたものを採用している。最適化された4つのストリーミングシステムによりステージ、テクスチャー、音楽などを快適に展開するなど、PS3の能力をフルに活かすという。例えば、今回、体験プレイで用意された“ステージ4”は「KILLZONE2」の1つのステージと比べ、10倍以上の広さを持っている。より広大なフィールドを再現することで、映画を超える壮大な見せ場や、大爆発のシーンを盛り込んだという。

 今回の大きなセールスポイントである3D立体視に関しては開発の早い段階から取り組み、リアルな奥行きを表現することにより敵を的確に探し出すことができる。3D立体視はシングルプレイだけでなく、マルチプレイでも採用予定だという。ゲーム部分でも、ジェットパックを使用した空中戦や、前作のファンから要望の高かった乗り物に乗っての戦いなどを実現する。

 操作性も向上を目指し、特に力を入れたのは格闘の要素で、敵との位置関係により相手を手すりの向こうに投げ落としたり、足を蹴って地面に転がしたり、ナイフを突き刺したりと多彩な方法で攻撃する。よりずるがしこく、巧妙に進化した敵AIとの攻防も注目点だ。

 マルチプレイにも前作のユーザーからのフィードバックを活かしている。オンラインのユーザーからの要望はリストで管理しており、新しいゲームモードはもちろん、友達とより楽しくゲームプレイができる要素も検討中だ。「KILLZONE3」では様々な点が大きくパワーアップすることをHulst氏は強調した。




■ 新要素満載のステージ4を体験、まだまだ開発途中だが、3D立体視には大きな可能性が!

6台の試遊台で体験ができた。左右の端が立体視環境だ
今回の新要素ジェットパック。プレーヤーも使用可能
主人公セグを支える頼りになる相棒リコ。今作ではプレーヤーが倒れても彼が無事なら蘇生してもらえる。リコが倒された場合は、もちろん蘇生してあげよう

 体験会では、「KILLZONE3」のステージ4の一部をプレイすることができた。プレーヤーキャラクターであるセブは、相棒リコと共にISA軍兵士を運ぶ小型浮遊揚陸艇「イントルーダー」に乗り、北極にある海底油田採掘施設を襲う。イントルーダーに取り付けられたガトリングガンは強力で、採掘施設には次々と大爆発を起こす。

 イントルーダーは前作はステージの合間に乗るのみで、そこから戦うというシチュエーションはなかった。“イントルーダーに乗って攻撃したい!”というのは前作のプレーヤーの強い要望だったという。この他ステージ4ではヘルガストの新兵器ジェットパックをつけた兵士と戦い、さらにセブ自身がジェットパックをつけて戦う。前作にはなかった雪が降りしきるシーンというのもこのステージ4が選ばれた理由だという。

 前作におけるイントルーダーでしばらく進むセブとリコだが、地対空ミサイルに撃墜され地面に落下してしまう。前作でもイントルーダーから落とされる場面は多く、一種の「お約束」とも言えるシーンだ。敵が待ち受けるど真ん中にリコとセブは取り残され、決死の脱出行へ挑んでいく。ここからが本格的な銃撃戦となる。敵はこちらに気がつかないときには無防備だが、1発でも銃弾を撃ち込めば障害物に隠れ、こちらの隙を狙ってくる。

 今回は体験バージョンと言うこともあって、「KILLZONE2」に比べ敵の耐久力が低く設定されており、バリバリ前進して戦うことができた。「KILLZONE2」のヘルガスト兵はとにかく物陰に隠れ、戦いの引き延ばしを計る戦術が気になったが、今回はその傾向が少なくなっているように感じた。

 「KILLZONE2」では至近距離で目の前に敵がいても、連射するとマシンガンが当たらないというほど銃身がぶれていたが、今作では集弾率は高めに設定されていた。そのため半ば強引に敵陣に突っ込みながら戦うことができた。ただ、こういった戦闘バランスは、今後手を加えられるとのことだ。

 今回プレイして、改めて本作の臨場感は楽しいと感じた。アサルトライフルのずしりとしたと重量感、引き金を引くと、画面とコントローラーが震え、マズルフラッシュが光る。この重い射撃感は本シリーズ独得だ。撃たれたヘルガスト兵の無惨な倒れ方も迫力がある。敵が物陰に隠れたがるという性格を逆手にとって、逆方向から強襲し、不意をついてなぎ倒した時の爽快感など、手強い敵ならではの駆け引きが楽しい。

 今回は積極的に接近戦を挑んでみた。「KILLZONE3」では敵に近付くと画面に「L1」という表示が出て、この時にボタンを押すと接近攻撃が繰り出せる。ナイフを繰り出して敵の目にたたき込んだり、銃床をたたき込み床に引き倒した上で、銃弾をたたき込んだり、手すり近くでは突き落としたりと、エグイが爽快感のある攻撃ができた。格闘攻撃は、今回はまだ調整中で今後は更にバリエーションが増え、状況にマッチした多彩な攻撃ができるという。

 注目のジェットパックはまず敵の新兵器としてプレーヤーの前に現われる。太陽を背に、こちらが視認しにくい方向から空を飛んで襲いかかってくるのがかっこいい。面白いのが、彼らのやられたアクション。一定のダメージを与えると、ジェットパックが暴走し、黒煙を引きながら高く高く飛び上がって爆散するのだ。飛び上がる途中に障害物にぶつかり、ボールのようにあちこちをはね回ってから爆発する場合もある。ところかまわず爆発し、とても危険だ。安全性がいまいち低いこのジェットパックは、ヘルガストという敵を象徴していると感じた。

 このジェットパックは自分でも使えるシーンも用意されている。いざ使ってみると、ジェットパックは自由に空を飛ぶというよりも、大きくジャンプしてから、滑空するユニットであるのがわかる。パックにはマシンガンが備え付けられており、攻撃力も高い。敵が隠れている場所へ飛び上がって一気に攻撃したり、海に浮かぶ氷塊の上に降り立ち、連続ジャンプしたりと、浮遊感のある操作が楽しめた。中でも興奮させられたのが、ヘルガストのジェットパック兵との攻防である。お互いが上下に激しく動くので攻撃を当てるのは難しいのだが「空中戦をしている!」という「KILLZONE2」にはなかった楽しい感触があった。

 通常のモニターでのプレイの後、3D立体視の環境でのプレイに挑戦した。3D立体視の環境は、ソニーの立体視対応のBRAVIA(ブラビア)と付属の専用3Dメガネ。今回使用したBRAVIAはまだ発売前のもののため、型版や発売時期などは公開していないとのことだったが、もちろんBRAVIA以外の3Dテレビでも3D立体視でプレイできる。

 3Dメガネを通して見える「KILLZONE3」は、持っている銃から、フィールドまで確かな奥行きが感じられ、存在感が大きく増している。ぼろぼろの旗など戦場のあちこちにある“布”の存在に改めて気付かされる。ものに隠れると、遮蔽物がきちんと目の前で自分を隠しているのが感じられ、敵の位置がよりはっきりとわかる。自分の身体感覚と画面が同期すると言うほどの強いものではなくても、確かに立体空間をのぞき込んでいる、という感触が体験できた。降りしきる雪の表現もはっきりと立体的に感じられた。

 強く実感できたのは「敵の弾が飛んでくる方向」である。立体視だと、はっきりどちらの方向から敵の弾が飛んでくるかがわかり、反応できるのだ。最初はこちらに近いものが大きくせり出して、圧迫感があったが慣れてくると立体空間で快適に戦うことができた。特に中距離の敵の把握が良好で、敵の位置をきちんと捕らえて銃撃できた。一方で接近戦を挑むと敵が目の前一杯に広がって、大迫力の反面、他の場所が見えなくなるため、目の焦点が合わせにくく感じた。

 立体視は大迫力な反面、いくつかの問題点も気付いた。通常のモニターで表示されている画面に比べ、はっきりと解像度が低い。横の解像度を半分にしているということだ。フレームレートも低く、30フレームだという。通常のモニターでの出力は60フレームを目指しているだけに、比べるとやはり違いがはっきりわかる。しかし、まだまだ「KILLZONE3」は開発中のバージョンであり、今後まだまだ作り込みと調整が行なわれていくという。

 今回の体験プレイでは、最初の感触ではかなりゲームができているのかと思ったが、まだまだこれから盛り込みたい要素、作り込んでいく要素、チャレンジなどが残されていることがわかった。3D立体視に関しては、画面が血に染まっていくダメージ表現や、文字のディスプレイといった表示が、立体視では表現しにくいためカットされていたり、最終的にどのような形に落ち着くかはまだ見えない部分が多い。「KILLZONE3」の完成形は今回のバージョンから大きく変わってくるようだ。今回はまず、各要素の基本的な紹介、というところだろうか。続報を楽しみにしたいところだ。


ステージ4のヘルガスト兵。この地域に併せた装備に注目。「KILLZONE3」ではヘルガスト兵へのこだわりもさらに細かく、多彩なものになりそうだ

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