バンダイナムコ、AC「機動戦士ガンダム 戦場の絆」

「2010 オフィシャル全国大会」勝者は九州・沖縄代表「/H」


5月4日 開催

会場:ディファ有明



 株式会社バンダイナムコゲームスは、AC「機動戦士ガンダム 戦場の絆」を使用した全国大会「2010 オフィシャル全国大会」の決勝戦を5月4日、ディファ有明にて開催した。本作のオフィシャル全国大会としては、2007年に神奈川県川崎市のナムコ ワンダーパーク ヒーローズベースにて行なわれて以来、2度目の開催となる(当時のシステムバージョンはREV.1.09)。

 「機動戦士ガンダム 戦場の絆」は4月27日に主にステーションに流れるリプレイ映像などに手が入れられた「REV.2.14」にバージョンアップしたが、基本的には3月9日にバージョンアップした「REV.2.13」にて全国で店舗、エリア予選が行なわれ、エリア代表となった15チームと、前回の全国大会で準優勝となった東海エリア代表の「カムイMK・17小隊」を招待枠として招聘した計16チームにて、決勝大会が執り行なわれた。

 

司会進行は服部整治さんと佐々木梨絵さんによって行なわれ、解説はバンダイナムコゲームスの正路千暁氏と、戸田秀実氏、そしてプロデューサーの高橋雄二氏が担当した

 ゲームの性格上、編成画面までは来場者にも見えないよう配慮され、さらに司会や解説もルート進行や編成にはなるべく言及せず、普段の対戦となるべく同じ環境で戦ってもらえるようにとの意図が伝わる演出がされていた。来場者には、中央スクリーンでショップイベントモードによるリアルタイムのチームプレイ画面、そして左右に配されたスクリーンにはそれぞれのチームのコックピット映像が4分割で表示されており、各チームの動向をいろんな角度から見られるように演出されていた。1戦ごとにリプレイもその場で流され、そこで改めて解説陣からのコメントなどを伺える機会があったのは、練習中のプレーヤーにはありがたい試みだっただろう。

 また、今回の大会のすべての対戦は、こちらからすべてチームリプレイモードによる動画が配信されており、そのアップもかなり早かったようだ。

左右のスクリーンに4分割のコックピット画面、そして中央には俯瞰視点の映像が流れ、戦況をレポートしていた

 今回の全国大会では、エリア大会予選に参加した店舗代表チームのメンバー全員に、ジム(バズーカラック仕様)、ザクII(指揮官機)が正式支給された。さらに、決勝大会に出場したエリア代表のチームメンバー(補欠を含む当日来場したメンバーのみ)に、特別部隊カラーリングモビルスーツが武装、セッティングすべて込みで支給された。地球連邦軍、ジオン公国軍の5つのカテゴリーのモビルスーツ1機種ずつに統一されたカラーリングの機体が配備されただけでなく、現在店舗で開催されているイベント「スプリングバトル2010」にて、大尉以上で30勝以上(CPU戦含む)と貢献ポイント220ポイント以上両方を達成するとイベント期間後に先行支給されるRGM-79FC「ストライカー・カスタム」と、MS-08TX/N「イフリート・ナハト」も、武装、セッティングすべて込みで特別に支給された。

【特別カラーリング機体:地球連邦軍】
ストライカー・カスタムジム・カスタムガンキャノン
ジム・キャノンジム・スナイパーII

【特別カラーリング機体:ジオン公国軍】
イフリート・ナハト高機動型ゲルググゲルググキャノン
ザクキャノンゲルググJ

トーナメント表

 今回の全国大会は、個人的に注目していた激戦を勝ち抜いた東京エリア代表の「オレ達が全一だ!」、北関東エリア代表の「21世紀ドリフ枠」、神奈川エリア代表「チーム港北」、埼玉エリア代表「三十路の生き様」、東海エリア代表「ブルーマイスター」、九州・沖縄エリア代表「/H」などの全国対戦や各地の大会で名を馳せたチームが参戦しており、くじ引きで決められたトーナメント表を見ると、2回戦でこれらのチームが一気にぶつかる展開になっていた。各試合の模様は配信されているリプレイ映像をごらんいただければ一目瞭然なので、ぜひリプレイを見ていただきたい。

 編成に関しては、近距離戦型(「ジム・カスタム」or「高機動型ゲルググ」)3機+遠距離砲撃(キャノン)型1機がベースで、ジオン公国軍を選択した場合、「ゲルググ(S)」が入ってくるかと予想していたが、地球連邦軍側に「アレックス」を投入しているチームが多数おり、さらに低コスト(「陸戦型ジム」や「ザクI」、「ザクII(S)」)と高コストの格闘型機体2機+近距離戦型といったチーム編成や、「ゲルググ(S)」の代わりに射撃時の硬直の少なさに特徴のある「ケンプファー」(ジャイアント・バズ後期型orショットガンA+頭部バルカン砲)などを取り入れていたチームもあった。近距離戦型には、「ザクII改」や「ザクII寒冷地仕様」を取り入れている編成も活躍していた。

 拠点攻撃機体も、地球連邦軍ではコストは高めなものの、「量産型ガンキャノン」(ファイア・ナッツ)の機動力と拠点攻撃時の隙のなさを買っての運用や、ジオン公国軍では「ザクキャノン」だけでなく、「ザクI後期型」(マゼラトップ砲B)で隙のなさと120という低コストの運用も取り入れられていた。準々決勝までは軍選択、ステージ選択権がくじ引きされるシングルマッチになっていたこともあり、1発勝負の厳しさからか、与ダメージと進行速度のバランスが重要視されており、崩れると再逆転が難しい編成は嫌われたのかもしれない。

 また、戦略的には遠距離砲撃型を敵拠点付近まで通し、敵方にプレッシャーをかける3アンチ(タンク)の運用が多いかと思いきや、お互いにルートがぶつかりあったり、護衛を多めにし、護衛側で拠点撃破に加えてコスト回収を狙うといった展開も見られ、相手軍の動きに合わせた柔軟性の高い試合運びがいくつも見られた。特に「ザクI後期型」が相手編成にあるのを確認すると、これを放置して全機体による護衛から相手のアンチタンク部隊を削っていき、3拠点と引き換えにコストを奪うといった戦術にもすばやく対応していた。

 その中で優勝したのは九州・沖縄エリア代表の「/H」チームだったが、事前に実際に対戦したり集めた情報から相手チームのプレーヤーの能力、戦略を研究し、編成を予想したうえで、そのカウンターとなる編成、戦略をベースに組み立てていたそうだ。「/H」チームは、解説陣もその被弾数の少なさに驚嘆の声を上げていたが、相手の動きに合わせてラインを展開するスピード、そしてダメージソースとなる機体に無理をさせることなく、移動速度と射程距離のバランスに優れるジム・カスタムが拠点攻撃機とうまく連動して、きっちり1機ずつ護衛やアンチを引き剥がしたり、ときにはうまく連携しつつ相手モビルスーツを撃破するという戦略がツボにハマッていたように見えた。事実、「/H」チームは、軍入替え戦・プレーオフ制が採用された準決勝から、全国トップクラスの前衛を集めた「オレ達が全一だ!」チーム以外には黒星をつけられることなく、一気に頂点に登りつめている。2位は埼玉エリア代表「三十路の生き様」、3位には東海エリア代表「ブルーマイスター」が入った。




■ 「/H」チームリーダー、Shin/H氏にミニインタビュー

 

――チームコンセプトはどういったイメージでしたか?

Shin/H 1番安定感のあったのは近距離戦型3機でしたが、相手に合わせて、相手のカウンターとして、なんにでも全員が乗れるように、どんな作戦でもできるようにというのがコンセプトでした。相手の嫌がることは何だろう、ということを僕が考えて、それに対する対抗策をチームに提案して、その作戦を練っていく、という形をとっていました。

 

――その提案なり作戦の提示なりは、いつ行なっていたんですか?

Shin/H 東京入りするまえに、ほとんどのチームに対しての作戦は考えていたんですけれども、「チーム港北」と「オレ達が全一だ!」という強い2チームと店内対戦をさせていただいたんですよ。そのときに僕らが考えていた作戦が通じなかったんですね。そこで改めて、相手の戦い方を研究して、「どういう作戦ならこの人達に勝てるのか」という作戦を練り直したんですよ。店内対戦のときは、たぶん10回やって9回ぐらい負けてるんですよね。そこで相手の得意なところがどこかわかったので、その対策をその日の夜に考えて、次の日にメンバー全員に話して、全員の了解を得て、作戦を実行できて勝てた、ということですね。

 

――序盤にラインがぶつかるような展開も見られましたが、それもあえて?

Shin/H そうです。結局相手次第です。「相手の得意なことは何だろう?」だったら「相手の嫌がることはなんだろう?」ということをなるべく選択するようにという考えでしたね。

 

――チームが地球連邦軍のとき、相手に「ザクI後期型」がいる展開では、わざと拠点方向に抜けさせているように見えたんですが、これも想定内ですか? 拠点を3落としされないように動いたというイメージですか?

Shin/H ほぼ想定内ですね。3落としさせないということに関してはちょっと違います。結局、僕達は「オレ達が全一だ!」チームや「チーム港北」よりも前衛力が低い……おそらく7:3や8:2ぐらいで負けていると思ったので、枚数を不利にすると裁けないことは見えていたので、相手タンクについていくことで、枚数を不利にするよりも、なるべくこちらが不利になることを少なくして、相手の嫌がることをやっていこうという考えでした。

 

――相手に合わせるということで、事前に練習していない機体や、練習していない作戦を実行することになったりしましたか?

Shin/H 機体に関しては事前に練習したものしか使っていませんが、作戦に関しては何回かぶっつけ本番で機能しました。相手がどうしてくるか、それに対してどうしていくかはチームで何回も話し合って、全員で何回も確認を取りました。ここは他のチームよりも自分達の優れていたところだと思います。そこだけが優れていたかもしれません。

 

――序盤から情報の収集と作戦展開など忙しいわけですが、指示は主に誰が出していたんですか?

Shin/H 基本は僕ですが、全員で出し合っていました。

 

――だから連携がうまくいったんですかね?

Shin/H そうですね。連携は今回すごくうまくいったと思います。

 

――どんな練習をしてきましたか?

Shin/H 九州では、ほとんど4vs4の練習ができないんですね。正直全国大会で戦えるメンバーを4人そろえるというのが現状難しいんですよ。だから、そこはしょうがないので、全員で何回も意識の共有、作戦の共有をして。個人技に関しては、チーム内でタンクを入れて、近距離戦型同士で戦うこと、格闘型同士でタイマンで戦うことを練習して、個人技だけは……という練習をしていました。4vs4の練習はほとんどしていないです。正直、1人1人のポテンシャルを向上させるぐらいしかできなかったです。悪あがきですよね。

 

――解説の方々も被弾の少なさに驚いていましたが?

Shin/H それはオンラインでの1回1回の対戦の積み重ねですよね。自慢でもなんでもないですが、近距離戦型のSランキング1位なんですが、Sを取るためには勝たなければならない。勝つためにはどうすればいいかというと、自分が護衛に行った場合、落とされないで拠点を落としてもらう、もしくはアンチ(タンク)に行った場合、自分は絶対に落ちないということができなければならない。こういったことを1つ1つ積み重ねていって練習していった成果が今日の優勝につながったと思います。被弾が少ないように見えるのもたぶんそういうことですね。

 

――瞬間的なマンセルもばっちり機能しているように見えました

Shin/H それも作戦通りでした。マンセルだけを見ると、僕らはへたくそなんですよ。相手がこうしてきたらこうしよう、という、あくまでそういうマンセルがうまくいったという感じです。

 

――「戦場の絆」に関して、機体や軍が強いな、とかバランスが……なんてことは感じていますか?

Shin/H そういうことは基本的にないですね。僕の中では、機体よりも人に注目します。近距離戦型機体に乗れること……タイマンを戦えること、射撃戦、格闘戦それぞれができることと、格闘型機体を活かせるマンセルができること、この2つが近距離戦型乗りとしての強さですよね。さらに近距離戦型機体に乗れて、格闘型機体に乗れる人がさらに強い人だと思っているんですよ。連邦がどうだとか、ジオンがどうだとかということはなくて、機体に差はないと思っています。そして人よりも、チームの総合力が重要だと思っているので、今回の大会でそれを証明できてうれしかったです。

 

――ありがとうございました




■ 今年中に大型アップデート実施、そして来年全国大会を予定!

 大会の最後、挨拶に立った高橋プロデューサーからは、「機動戦士ガンダム 戦場の絆」の大型アップデートを今年行なうこと、そして全国大会を来年も行なう予定があることが明らかにされた。今回の大会で悔しい思いをしたチームも、また来年に向けて研鑽を積んでくることだろう。

 大会終了後は、エキシビションとして、大会出場者による特別カラーリング機体のお披露目や、遠距離砲撃型のみの対戦、ファーストガンダムに登場する機体のみでの対戦といった趣向が3戦繰り広げられた後、筐体を開放してフリープレイも行なわれた。

 新機体として先行支給される2機種に注目が集まっていたが、ストライカー・カスタムは機動力がアップする「ナックル・ダガー」を装備。さらにタックルからの追撃が可能な素体コスト280の格闘型機体、かたやイフリート・ナハトは装甲セッティングでは低速移動時、機動セッティングでは完全静止状態にてレーダーに映らないという特殊効果を持つ素体コスト280の格闘型機体となっていた。

(C)創通・サンライズ

(2010年 5月 6日)

[Reported by 三番町第20小隊]