EA、「FIFA INTERACTIVE WORLDCUP 2010 日本大会」を開催
西岡明彦氏のリアル実況による「FIFA 10」地域決勝戦に場内は興奮

3月21日 開催

会場:池袋サンシャイン噴水広場

 

会場の様子

 エレクトロニック・アーツ株式会社は、3月21日、「FIFA INTERACTIVE WORLD CUP 2010 日本大会」の地域決勝大会を、池袋サンシャイン噴水広場にて開催した。「FIFA INTERACTIVE WORLD CUP 2010」はプレイステーション 3版「FIFA 10 ワールドクラスサッカー(FIFA10)」を用いたFIFA(国際サッカー連盟)公式の世界大会で、世界から32人の各国・地域代表プレーヤーが選出され、5月1日にスペイン・バルセロナにてグランド・ファイナル(決勝戦)が開催される。

 今回池袋で行なわれた地域決勝大会では、日本とその付近の地域に在住する「FIFA10」プレーヤーのうち、大阪と東京で事前に行なわれた予選大会を勝ち上がった8名のプレーヤーが参戦。優勝者はバルセロナで開催されるグランド・ファイナルへの出場権を手に入れる。グランド・ファイナルで優勝することができれば賞金2万ドルが授与されるほか、2010年のFIFA年間最優秀選手賞を決めるガラ・セレモニーへ招待されるなど、さすがFIFA公式のゲーム大会といった印象だ。



■ 2名のスキルフルなプレーヤーが存在感を発揮したグループリーグ
 スペシャルゲストに元日本代表の名波浩氏、サッカーコメンテーターの西岡明彦氏が登場!

司会進行を担当したスポーツDJ 山本ゆうじ氏とMCの富田瑠衣氏
決勝リーグでは複数の試合が同時に進行した

 予選を勝ち上がってきた8名のプレーヤーが参加した決勝大会では、まずグループリーグ形式で総当たり戦が行なわれ、2名の決勝進出プレーヤーが選出された。試合ルールは5分ハーフで、チームの選択は自由。試合前に2分間の設定時間が与えられ、選手やフォーメーションの変更なども自由にできる。

 グループリーグで行なわれた試合の全体を見回してみると、使用されるチームはやはり強豪チームが多い。特に多いのはバルセロナ、ついでレアル・マドリー、チェルシー、リバプールといったところで、変り種としては中堅クラブのボルドーあたり。しかし、試合の内容はチーム力というより、やはりプレーヤーの力量差が強く出た格好だ。

 グループリーグはスポーツDJの山本ゆうじ氏の進行のもと進められていった。その中で特に注目を集めたのが、レアル・マドリーを操る「トモブー」選手と、チェルシーを操る「German Cheung」の2名。Aグループに属した「トモブー」選手のフォーメーションは独特で、1トップのすぐ下に3人の俊足プレーヤーを並べる4-2-3-1。実質4トップに近い超攻撃的な布陣で、パス&ゴーを繰り返す波状攻撃でディフェンスの裏を取り、ゴールラッシュ。グループリーグは3戦全勝で、総得点は18点(1試合平均6点)と大爆発だ。

 これに対してBグループに属した「German Cheung」選手はチェルシーを操り、フォーメーションは比較的ノーマルながら2トップのドログバとアネルカをたくみに操作し、効率的に攻撃を組み立てる。特に見事なのがスキルムーブの使い方だ。様々なフェイントを駆使してディフェンスをかわし、決定的なパスコースを作ったり、ドリブルでペナルティエリアに侵入するシーンを何度も見られた。こちらもグループリーグは3戦全勝で、総得点はこちらも見事な10点。

 「トモブー」選手と「German Cheung」選手が同じグループに属さなかったことで、最強プレーヤー同士の決勝戦が実現した。



・スペシャルゲストに名波浩氏と西岡明彦氏が登場!

ステージに登場した名波浩氏と西岡明彦氏
ゲームについて、1998年のワールドカップについて、フリートークでは様々な話題が飛び出した

 グループリーグで2名の決勝進出者が決定したところで、会場にスペシャルゲストが登場した。ひとりは1998年のFIFAワールドカップフランス大会で日本代表の10番として活躍した名波浩氏。もうひとりはJスポーツのサッカー実況でおなじみのコメンテーターで、「FIFA10」の実況音声も担当した西岡明彦氏だ。ふたりは控え室で「FIFA10」をプレイしてきたということで、話題は早速ゲームの話に。

 山本ゆうじ氏に「実況音声はどういう仕組みになっているでんすか?」と問われた西岡氏は、「音声は相当録ってあります。岡田監督が日本代表監督になる前の3年前からずっとご一緒してますからね!」。また、「基本的なプレー内容については原稿があるんですが、皆さんが飽きてしまわないようにフリートークを結構入れているんです。やればやるほど岡田トークが出てきますよ。収録したトークは相当量ですから、出てこないコメントも結構あるでしょうね!」と、実況音声の収録話を披露した。

 そして話題はリアルの実況、1998年のワールドカップの話に。そこで山本ゆうじ氏に「改めて、フランス大会はどんな大会でしたか?」と話を振られた名波氏。「その前に“ドーハの悲劇”というものがあったので、フランス大会では全員で力を出し切ろうとしていました。それをサポーター、国民全員が応援してくれる空気になったので、よかったと思います」と振り返る。

 また、大会の思い出を聞かれた名波氏は、「選手専用のバスが凄かったですね。日本、フランスと各国に割り当てられていたんですが、席の間が広くてゆったり座れますし、トイレはもちろんついていて、後ろのほうにはミーティングができるテーブルもありましたし、テレビも3つくらい付いてたんじゃないかな」と、サッカー番組などでは聞けない個人的な感想を話し、会場の空気を和ませた。

 そして1998年ワールドカップ時に「日帰り弾丸ツアー」で日本対ジャマイカの試合を観戦しに行ったという、当時まだ一般のサラリーマンだった西岡氏のエピソードが話されると、山本ゆうじ氏は当時コメンテーターとして同行したというセルジオ越後氏に言及。「セルジオさんはしゃべると辛口なんですけど、毎日マイペースなんですよね。ただその時はセルジオさんは相当激怒されてて、『これじゃ勝てない、これじゃ勝てない』と言うものだから、ディレクターがヒヤヒヤしてました」と会場の笑いを誘っていた。

 そして南アフリカ大会を前にする現日本代表について「足りないものは何か?」と問われた名波氏。「本当に勝ちたい気持ちを90分間持つこと。全てをチームに捧げるために全力を出すという気持ちが、まだまだプレーに現われていない局面があるように思えます。僕らは下手なりに一生懸命やったなという自負はあるので、そういうところ、もっと気持ちを出してほしいかなと思います」と、先輩として現日本代表にエールを送った。


グループリーグで圧倒的な強さを見せた「トモブー」選手と「German Cheun」選手。ちなみに「German Cheun」選手は香港からの参加だ



■ 西岡氏と名波氏によるリアル実況解説のもと、決勝戦が展開
 超攻撃的なサッカーを展開する「トモブー」選手が勝利!

実況解説席でゲーム進行を見守る西岡氏と名波氏
ステージ脇で決勝戦を戦う2名の選手。ゴールラッシュとなった
試合後、「いつもどおり攻めることだけを考えた」と振り返る「トモブー」選手

 そしていよいよ決勝戦が開始された。この試合では6分ハーフと、グループリーグよりも長い試合時間がとられ、「トモブー」選手と「German Cheun」選手が対戦。使用チームはそれぞれレアル・マドリーとチェルシーだ。実況解説席には西岡氏と名波氏が座り、本職コメンテーターがリアルのサッカーではなくゲームの実況を行なうという滅多に見られない構図が実現した。

 決勝戦を戦う両選手ともに、グループリーグで見せた戦いぶりを繰り返すという形で試合は進行した。「トモブー」選手はダイレクトパスで中盤にボールを繋ぎ、良い形で前を向くや、攻撃的MFの位置に並べた選手をパス&ゴーで次々にペナルティエリアに向かって走らせる。その上で中央に相手ディフェンスを集め、あらかじめ走らせておいた左サイドのカカーにフライスルーパスを預けて裏を取るというのが基本パターンだ。

 対する「German Cheun」氏は、縦の関係でボールを繋ぎ、2トップのドログバとアネルカのスピードとフィジカル、テクニックを生かす形で、より少ない人数でディフェンスの切り崩しを図る。見事なフェイクの動きで1人、2人のマークを外し、ペナルティエリアに飛び込んだFWにラストパス。極めて精度の高いプレーで最終ラインを翻弄した。

 このように試合を展開する2選手のプレーは極めてハイテンポで、実際のサッカーとは比べることもできないほどのスピードで展開。それでも見事な実況を見せたのが西岡氏だ。ゲーム開始直後はスピードに圧倒されていたものの、慣れてくるに従って的確な実況を披露しはじめる。前線でダイレクトでパスがつながるシーンでもしっかりと「ドログバ、アネルカと繋いで左はマルダ。中央はランパード」、「カカー切り返す、中を伺う、ベンゼマが飛び込んでシュート!」と、まるでリアルサッカーの放送のようだ。

 試合は前半数分のうちに「トモブー」選手操るマドリーが先制。「これでチェルシーも出て行かなくてはならなくなりました」と西岡氏がコメントするや、チェルシーはより攻撃的な形に戦術を変更。激しい点の取り合いとなった。「遠目では無理してシュートを打っていきませんね」、「私はあのあたりでもう打っちゃいます」と、西岡氏と名波氏の「FIFA 10」プレー談話も飛び出しつつ、「German Cheun」選手のチェルシーが盛り返して逆転に成功。スコアは3対4となって後半に突入した。

 「こんなファイナルになった痺れますね」と名波氏も言うほどのデッドヒートとなった後半戦は、「トモブー」選手操るマドリーの攻撃力が爆発した。ここにきて西岡氏も「もう試合が凄すぎて、解説を忘れてアーとかウーしか言えなくなっちゃいますね」と興奮気味。そして5対4と逆転に成功したマドリー。「いやー、両方とも凄い。こんなチームだったらチャンピオンズリーグもベスト8に行けましたよね~」という西岡氏に「そうですよね~。よもやの両方とも居ないという」という名波氏の返しには会場大爆笑。

 そして試合はロスタイム、マドリーがダメ押しの8点目を決めたところで試合が終了した。「スコアは8対4、レアル・マドリー優勝!」と西岡氏の声とともに「トモブー」選手の優勝が決定した。共に攻撃的に出た試合だっただけに、大量スコアとなったが、より連携に勝った方が勝利した格好だ。

 決勝戦に出場した2選手には2010 FIFA ワールドカップ 公式試合球「ジャブラニ」のレプリカほか副賞が贈呈された。そして優勝した「トモブー」選手は、5月1日にスペイン・バルセロナで開催されるグランド・ファイナルへの出場することになる。

 ちなみに「トモブー」選手は、3年ほど前、コナミ「ウイニング・イレブン」の全国大会で優勝したという経験の持ち主。「FIFA」に乗り換えて3年間、この日のために練習してきたという。その成果がグランド・ファイナルで対戦する世界のプレーヤー達に通用するかどうかは未知数だが、西岡氏は「岡田監督と同じ、ベスト4以上を目指してがんばってください」とエールを送った。

 Eスポーツにおけるバーチャルとリアルの融合という意味で、本大会は非常に興味深いものだったように思える。特に今年はワールドカップイヤーということで、ますますサッカーゲームと、リアルサッカーに盛り上がりが見られるに違いない。まずは5月1日に開催される「FIFA INTERACTIVE WORLD CUP 2010」の結果を楽しみにしたいところだ。

グループリーグに参加した8名の進出者全員にFIFA公認の日本予選ファイナリスト公認証が授与されたほか、優勝・準優勝の2名にはワールドカップ公式球「ジャブラニ」のレプリカが進呈。サッカーファンならたまらないアイテムだ。バルセロナでのファイナルに参加する「トモブー」選手の健闘を祈りたい



(2010年 3月 23日)

[Reported by 佐藤カフジ ]