スクエニ、「サガ20周年キャンペーンプレミアムファンイベント」開催

歴代の開発スタッフが20年にもおよぶシリーズの歴史を振り返る


11月1日 開催

会場:新宿アイランドホール



 株式会社スクウェア・エニックスは、11月1日、「サガ20周年キャンペーンプレミアムファンイベント」を新宿アイランドホールにて開催した。

 「サガ20周年キャンペーンプレミアムファンイベント」は、1989年12月15日に発売されたゲームボーイ版「魔界塔士 サ・ガ」から始まる「サガ」シリーズが、今年で20周年を迎えたことを記念して展開されているキャンペーンの一環として開催されたイベント。今年発売された「サガ」関連商品を購入し、応募した人の中から抽選で選ばれた200名を招待して行なわれた。

 イベント当日の会場では、開発資料や小林智美氏のイラストパネル、「サガ」シリーズタイトルの展示のほか、サガ20周年関連商品の販売が行なわれていた。


 そしてイベントのメインであるトークショウでは、「サガ」シリーズの開発に携わってきた総勢9名のスタッフが登場し、20年間にもおよぶ「サガ」シリーズの歴史を振り返った。トークは、「サガ黎明期トーク」、「サガ成長期トーク」、「サガ円熟期トーク」、「サガ現在トーク」と時系列順に4部構成で進行した。

オープニングトークに登場した時田氏と三浦氏

 イベントのオープニングでは、GB「魔界塔士 サ・ガ」のグラフィックスを担当した時田貴司氏と、ニンテンドーDS「サガ2秘宝伝説 GODDESS OF DESTINY」のプロデューサーの三浦宏之氏が登場。時田氏は、「もうあれから20年経つのかよという感じですが、さっき音楽を聴いていて、非常に懐かしいなと思いました。でも体の方は年を取っていて、昨日のお酒がついさっき抜けたような感じですので、生暖かい目で見守っていただければ」と挨拶。三浦氏は「サ・ガ2 秘宝伝説」のリメイクの経緯について振られて、「ワンダースワンカラー版を作っているときから話はあって、いつか作りたいと思っていたのですが、今回ちょうど機会があったので作ることになりました」と語った。


■ サガ黎明期トーク

河津秋敏氏と田中弘道氏

 サガ黎明期トークでは、時田氏に加え、「サガ」シリーズ総合プロデューサーの河津秋敏氏と、「サ・ガ2 秘宝伝説」企画部担当でDS「サガ2秘宝伝説 GODDESS OF DESTINY」でも監修を担当した田中弘道氏が登場。

 「サガ」シリーズ誕生のきっかけについて、河津氏は「任天堂の社長から、『新ハードを出すから、お前たち何か作れ』と言われて立ち上げたのが『サガ』シリーズです」という。また、開発は音楽の植松さんを含めて9人で行ない、スクウェア初のミリオンタイトルとなったことや、乗り物をいろいろ出したいと思い、竹馬で沼の上を歩くといったアイディアも考えていたなど、当時の状況を語った。時田氏も、「GB版では白黒4階調しかないので、グラフィックス担当としては色に迷うことはなかった。カラーも考えていなかったのでパッケージも白黒なんですよ(笑)」とグラフィックスならではの話題を披露した。

 そして田中氏が「当時はハードの制約が多くて、いろいろと作って、あとは削るのが主流で、そのためにいろいろな工夫をしました」と話し、「キャラクターの会話も削りに削っていて、『なにかようか』としか言わないお店や、『しね』としか言わないボス、最後には何も言わないキャラクターまでありました(笑)」と当時の開発の裏話を懐かしそうに振り返っていた。ほかにも、アセンブラや16進数、フロッピーディスク、AppleTalkなど、時代を感じさせるトークが展開された。

■ サガ成長期トーク

小林智美氏と渋谷員子氏

 次のトークでは田中氏に替わって、「サガ」シリーズのイラストを担当しているイラストレーターの小林智美氏と、グラフィックデザイナーの渋谷員子氏が登場。ここからは主に「ロマンシング サ・ガ」以降の話題でトークが展開した。

 まず河津氏は「スーパーファミコンで新しく作るに当たって、キャラクターのイラストを誰にお願いするか探していたときに、小林さんを紹介されて、非常に耽美な絵で気に入り、小林さんのおうちにお願いしに行った」と小林氏にイラストを依頼した経緯を語った。

 小林氏は「ゲームのお仕事は初めてで、どういった作業をすればいいかわからなかった。(イラストの)数もすごく多くて、結構大変でした。イラストの依頼では世界設定のほかに、各キャラクターごとに2~3行ぐらいの説明が付いている程度で、中には名前しかないものもあり、どうしようかと思いました(笑)」と当時の状況を語ると、河津氏は「もともとイラストレーターさんに好きに描いてもらって、それからやるっていう流れだったんです。当時はイラストレーターさんに好きに描いてもらったほうがいいだろうという考えでした」と当時の開発方針を語った。

 さらに小林氏は印象に残っているキャラクターとして「ロマンシング サ・ガ」の「ジャミル」を挙げ、「ゲームができあがるまでは知らなかったのですが、(ジャミルは)女装するじゃないですか。私はちょっと男らしいジャミルを描いてしまったら、『もうちょっと軽い感じでお願いします』と言われて、よくわからないまま直したら通ってしまいました。そうしたら当時知り合った友達が、ジャミルにすごくハマってくれて『ああ、よかった』と(笑)」と舞台裏を語った。

 一方、渋谷氏はドット絵について、「『ロマサガ』の世界観と、智美さんの色を意識してドット絵に落としました」と話すと、「ちゃんと私の色が出ていて嬉しかった」と小林氏も答えていた。「色でうまく表現することで、ドット絵だけど智美さんの絵に見えるっていう。『ロマサガ1』は描いていてすごく楽しかったですし、自分でもよくできたと思います(笑)」と嬉しそうに語った。

トーク中はバックのスクリーンに「サガ」シリーズのイラストを順番に表示各トークの区切りではクイズを出題。この写真はキャラクター名を当てるシルエットクイズこちらはドット絵でキャラクター名を当てるクイズ。当てた人には開発スタッフのサイン色紙が贈られた

■ サガ円熟期トーク

河津秋敏氏と髙井浩氏

 このトークでは、小林氏と渋谷氏に替わって登場したのは、デザイナーの髙井浩氏。その髙井氏は「最初は投げやりなゲームだなと。いい意味で(笑)」と「サガ」シリーズの第一印象を語った。

 時田氏から「『ロマサガ』がSFC、PS版で3D、そしてPS2版の『ミンストレル』ではフル3D」と進化したわけですが」と振られると「ハードが替わるたびに思っていたんですけど、メモリーが増えるだけでいいんですよ。色数がちょっとだけ増えて。いつも余計なことするでしょう(笑)。でもやらないわけにはいかないので、『サガ フロンティア』のときはプリレンダリングしたものを2Dで動かして、『ミンストレルソング』になるとフル3Dという形にはなっています」と時代の流れとともにグラフィックスが変化していることを紹介した。

 そして、当初はモンスターのグラフィックスを描いていたのが、徐々にエフェクトへと仕事がシフトしていった髙井氏は、もっとも気に入っている自信作として「ローリングクレイドル」を挙げた。また、「僕のグラフィックスの信条は『楽しておいしい思いをする』ですから、(画面外で描く必要のない)“どつきまわす”は最高の表現ですね(笑)」と語った。

 ほかにも、「ガーゴイルのつもりで描いたグラフィックスが、いつの間にかイフリートになっていた」(髙井氏)、「昔は手が空いた人がアルバイトを管理して、全員でデバッグしていた」(河津氏)、「昔はデバッグと大喧嘩したこともあります」(時田氏)など、当時の開発環境を懐かしそうに振り返っていた。

■ サガ現在トーク

左から河津氏、田中弘道氏、三浦宏之氏、小林元氏
途中から伊藤賢治氏(右端)もトークに参加

 休憩を挟み、ここからは河津氏に加え、田中弘道氏、三浦宏之氏、小林元氏が登場。

 DS「サガ2 秘宝伝説 GODDESS OF DESTINY」において小林元氏をデザイナーとして起用した経緯について、三浦氏は「ちょうど企画を考えていたときに、小林さんから『何か絵を描きたいんですけど』と相談され、『じゃあ、一緒にやってみましょうか』と決まりました」と話し、「最初は『サガ2』のリメイクに関われて嬉しい反面、冷静になるとだんだん不安になってきたので、それを振り切るかの如く無我夢中で描かせていただきました」とそのときの心境を語った。

 そこで田中氏から「女の子キャラがみんなおなか出してて(笑)」と振ると、三浦氏が「僕の責任です。オリジナルのデザインでも露出が高かったんですよ。それを踏襲したいと思い、『もうちょっと(服を)開けていこうか』と。そのうちに自分自身もエスカレートしまして、いつの間にかビキニだけみたいな感じになってしまい、河津さんや田中さんに見せたときに『ちょっとこれは全部同じに見えるよね』と言われました(笑)」と顛末を語った。

 DS版へのリメイクについては、「オリジナルの良さは絶対残すという条件の上で、リメイクでいかに変えるか。プレイする方がそこに触れようと思ってくれるような作りというのに気を使ったつもりです。システム的にはバトルとシナリオがリンクしていくっていう“シナリオシンクロシステム”が1番大きな変更点かなと思っております」とアピールした。

 ここでさらにゲストとして、コンポーザーの伊藤賢治氏も登場。「1番最初に関わったのは『サ・ガ2』なんですよ。僕は1990年3月に入社して、4月に植松さんに手伝ってと言われて……まだ試用期間ですよ、僕(笑)」と当時の状況を話し、ほかにも入社までの顛末や入社後のエピソードなどを語った。

 トークの最後には「サガ」シリーズのこれからについて、「まだ何もないんですが、何か言えることができればいいなと思って日々がんばっています。まずこれまでに『サガ』シリーズもいろいろ出ていますし、ダウンロードでも過去作品がプレイできますので、これからもシリーズのファンでいてくれればなと思います」(三浦氏)、「GB版の他の作品もリメイクできればなという話もしていますし、『ロマサガ2』のリメイクのリクエストも多いですので、なんとかやれればなと思っています」と他にもリメイクを検討していることを明らかにした。

■ 伊藤賢治氏によるミニライブ

 トークの後には伊藤氏によるミニライブが行なわれた。1曲目は伊藤氏のソロピアノによる「サガシリーズテーマメドレー」。2曲目からは保科由貴さんによるバイオリンと太田光宏さんによるギターを加え、「ロマサガ2メドレー」、「たったひとつの願い ~永久なる想い」、そして「熱情の律動(more tango)」を披露。最後はアンコールで、再び伊藤氏のピアノソロによる「オープニングタイトル」でミニライブは終了した。この中には、伊藤氏自身、演奏するのは初めてで、ここでしか聴けない曲なども披露していたので、来場者にとっては嬉しいサプライズとなったのではないだろうか。

ピアノを演奏する伊藤賢治氏バイオリンの保科由貴さんギターの太田光宏さん

(2009年 11月 2日)

[Reported by 滝沢修]