Electronic Entertainment Expo 2009現地レポート

Ubisoftブースレポート:待望の新作「Assassins Creed 2」と「Avatar」
日本デベロッパー・ゲームアーツの「TMNT:Smash-up」もピックアップ


6月2~4日開催(現地時間)

会場:Los Angeles Convention Center


 Los Angeles Convention Center South Hallにて大型ブースを展開したUbisoftは、3つのBCD(Behind Closed Door)枠と10の試遊台を展開していた。

 BCD枠では、最も注目を浴びていた「Assassins Creed 2」、「James Cameron's Avatar:The Game」、「Tom Clancy's Splinter Cell Conviction」がそれぞれのスペースを使っており、デモプレイの披露と詳しいゲームの説明が行なわれた。試遊台では各タイトルの試遊台が2~4台ずつ設置され、大勢のユーザーが楽しんでいた。

 本稿では、Ubisoftのキラータイトル「Assassins Creed 2」、「James Cameron's Avatar:The Game」と日本のデベロッパー・ゲームアーツが開発した「Teenage Mutant Ninja Turtles:Smash-Up」を中心にUbisoftのライナップを紹介したい。

■ 15世紀のイタリアを舞台にしたスタイリッシュな暗殺アクション!! 「Assassins Creed 2」

「Assassins Creed 2」のE3バージョンのメイン画面
主人公の「Ezio Auditore」

 「Assassins Creed 2」は、UbisoftブースのBCD枠として出品された。BCD枠の中では、「SCEA 2009 E3 Press Event」で実施されたデモプレイと同じものが実施され、より詳しい説明を聞きながらプレイを見ることができた。

 「Assassins Creed 2」は、1453年のイタリアを舞台とする。トレーラームービーの舞台はヴェニスだったが、デモプレイではフィレンチェが舞台となってる。本編ではローマなども登場するという。

 主人公の名前は「Ezio Auditore」。20代の男性で、イタリアに位置するアサシンギルドの一員である。見た目は前作の主人公「Altair」と似ているように見えるが、服装の紋様などはルネッサンス時代のイタリアっぽさが感じられる。

 デモプレイは、フィレンチェからスタートした。街の広場では仮面舞踏会が開かれて、大勢のNPCたちが踊り、花火がパチパチと見える。ルネッサンス時代のフェスティバルという感じだ。Ezioは近くのベンチで身を隠していたが、警備兵にアサシンだと気づかれ、その警備兵を素早く殺して、自分が座ってたベンチに死体を座らせた。ベンチの両端に座っているNPCは、前作同様にアサシンギルドに協力する者たちだ。死体が他の警備兵に気づかれないようにしてくれる。

 Ezioは、街の人々からスリをしてお金を集めることができる。前作は投げ用のナイフを盗んだが、本作ではお金を盗めるようになった。貯めたお金は、投げ用のナイフやその他の道具をアサシンギルドから購入するときに使用する。また、お金をNPCに渡すことで、通常は入れないところを通過できるようになるという。

 街の塔の上にはグライダーが用意されている。グライダーは本作のキャラクターとして登場するレオナルド・ダヴィンチが作ったという。本作に登場するダヴィンチはEzioと同じく20代で、映画「007」のQのようにEzioに道具を提供してくれるサポートキャラクターとして登場する。Ezioはグライダーにぶら下がって、敵を足で蹴ることも可能だ。

 武器の変化にも注目したい。前作では暗殺用の剣が1つだったが、本作のEzioは2つ持って、同時に2人を暗殺することができる。また、戦闘の場面では素手で敵と戦うことになる。ただし、その戦闘で敵の武器を奪ってそのまま使うことが可能だ。戦闘ではブロックや、回避、カウンター攻撃、瞬時に倒すことができるコンボ・キルなど、前作同様の要素も確認できた。

 なお、前作をプレイしていない読者にはネタバレになるかもしれないが、ここで1つ伝えておきたいことがある。既に前作をプレイされた読者はご存知だろうが、本作には現代の舞台も存在する。「Animus」という装置で、現代の主人公Demond MilesのDNAを使い、過去の世界を仮想世界として蘇えらせたのが、「Assassins Creed」シリーズの設定だ。今回のデモプレイでも最後の教人を暗殺した後、前作同様にキャラクター周りにノイズが入る画面が出てくる。

 「Assassins Creed 2」の現代舞台では、様々な陰謀が隠された製薬会社「Abstergo」から脱出したDesmondとLucyが現代のアサシンギルドと合流し、「Animus 2.0」を使ってDesmondのDNAに残されてるEzioの記憶を蘇えらせることになる。Ezioの記憶で、他の遺産を探すことが「Assassins Creed 2」の真のストーリーである。

 プラットフォームはPS3、Xbox360、PCで、北米では今年末発売予定。価格は未定。

1191年のAltairと1453年のEzio、そして「Animus」のDNA Timeline。「Assassins Creed 2」は現代舞台の延長線だ
「Assasins Creed 2」のコンセプトイラスト
【スクリーンショット】
アサシンギルドは世の腐敗の排除が目的だ。悪人たちにEzioの影が迫る



■ James Cameron監督が描いた壮絶なSFバトル「James Cameron's Avatar:The Game」

Ubisoftブースに置かれていたロボット。RDA Corporationの乗り物の1つだ
惑星「Pandora」。ジャングルが広がる舞台だ

 「James Cameron's Avatar:The Game」(以下、Avatar)はジェームズ・キャメロン監督が手掛ける新作映画「James Cameron's Avatar」のゲーム版だ。UbisoftのBCD枠でデモプレイが実施された。なお、ビデオやカメラによる撮影は禁止されていた。

 「Avatar」はSFの世界観を持つシューティングだ。カメラがキャラクターの後ろに位置する3人称で、「Gears of War」のようにキャラクターが左に位置する画面である。

 本作では、Pandoraという惑星が舞台となる。プレーヤーは、Pandoraの住民であるNa'viと宇宙で価値のある資源を捜し求めるRDA Corporationの両陣営を選択してプレイできる。Na'viとRDA Corporationはお互い敵対関係で、異なる視点から物語を進めていく。

 RDA Corporationは人間側で、「Halo」のように様々なメカニックの乗り物に乗って操作することも可能だ。小型飛行機や、ロボット、車などが乗り物として登場する。一方、Na'viは惑星の動物たちに乗ることができる。赤と黄色の鮮やかな色を持つ鳥類に乗ってプレイすることが披露された。

 RDA Corporationの場合、Na'vi以外にもPandoraに生息するあらゆる生物たちと敵対する。主に、恐竜をモチーフにしたクリーチャーたちが敵として現われる。ときにはボス級の巨大なクリーチャーが登場し、迫力ある戦闘が始まる。デモプレイではトリケラトプスのようなクリーチャーと戦っていた。プレーヤーはドッジでクリーチャーのダッシュを回避しながら、倒していく。クリーチャーの攻撃パターンを読むことが重要なようだった。

 激しい戦闘と様々なクリーチャーの登場は「Gears of War」と「モンスターハンター」が混ぜられた感じだった。ジェームズ・キャメロン監督が描く壮絶なSFバトルに期待したい。

 プラットフォームはPS3、Xbox 360、PC、Wii、DS、PSPで、北米では2009年末発売予定。価格は未定。

【スクリーンショット】
限られた情報しか公開されてないため、スクリーンショットはこの3つのみ



■ ゲームアーツが開発した「Teenage Mutant Ninja Turtles:Smash-Up」
  プロジェクトディレクター入江和宏氏インタビュー

本作のプロジェクトディレクターを務めた、ゲームアーツ開発本部GS開発部企画課課長の入江和宏氏
北米でのTMNTの人気は高く、大人から子供まで歓声を上げながらプレイしていた。プレイするとグッズがもらえるのだが、入江氏自身「そのTMNTのグッズどこで配っているの?」と聞かれたそうだ

 今回、プレイアブルで出展したWii「Teenage Mutant Ninja Turtles:Smash-Up」は、日本のゲームメーカー、ゲームアーツが開発を担当している。本作は4人の亀のミュータントが、忍術を学んで悪者達と戦う「Teenage Mutant Ninja Turtles(TMNT)」のキャラクターを使ってゲームを作らないか、という提案を受けて1から作る事になったという。

 ゲームアーツが海外からの依頼で海外向けのゲームを作るのは、初めてのチャレンジとなる。今回、会場で本作のプロジェクトディレクターを務めたゲームアーツ開発本部GS開発部企画課課長の入江和宏氏に、本作開発の想いを聞くことができた。「Teenage Mutant Ninja Turtles:Smash-Up」の開発期間は1年半ほど。TMNTは4人兄弟という設定のため、4人のプレーヤーが同時に遊べるゲームと言うことを考え、「格闘アクションゲーム」というジャンルで作ることに決めたという。

 本作では、ゲームアーツが開発を担当した「大乱闘スマッシュプラザーズ」のエッセンスを取り込み、4人の兄弟それぞれの特性を活かして、楽しく戦えるゲームシステムを目指していった。Wiiの特性を活かし、ポインター機能で忍術の玉を撃ってパワーアップするという機能を盛り込んだ。ステージにギミックを盛り込むなどの工夫もしているが、もっとも重視したのはTNTの世界観。ファンが納得するキャラクター性をきちんと出すため、映画やアニメ、コミックなどの資料をあたりキャラクター性を出していった。

 原作にはない要素ではあるが、TMNTの活躍を伝えるレポーターエイプリルもプレーヤーキャラクターとして選べるというアレンジはあるものの、TMNTの作品の重要な要素である「コミカルだけど、かっこいい戦い」という部分をもっとも力を入れて再現したという。ゲーム的な要素としては、子供が楽しめる間口の広さと、テクニックを活かせる方向性を目指していった。

 会場でプレイしているユーザーを見た入江氏は、ユーザーの反応が楽しかったと語る。今回出展したバージョンではジャングルでの戦いになるが、巨大なワニが食いついてくるといったステージギミックがある。この時の米国のユーザーの反応は大きく、楽しいという。作品に関しては、UBIスタッフを中心に、ゲームアーツが作りそれをスタッフに聞きつつ調整していくという形で開発が進められた。

 UBIスタッフとの話し合いの中で、キーコンフィグや細かい当たり判定などで海外との細かい価値観の違いを感じたと入江氏は語る。その上でのすりあわせはかなり熱を入れて行なった。ゲーム性やキャラクター性以外で「日本スタッフならでは」と言う部分としては、スプリンター先生(TMNTの師匠で武道家に飼われていたネズミのミュータント)の道場を、あえて「アメリカ人が考える日本」をイメージしユニークな日本観を盛り込みつつ制作したという。

 入江氏は、ゲームアーツの作品を待っているユーザーに対して「『Teenage Mutant Ninja Turtles:Smash-Up』は日本での発売は未定ですが、僕たち開発者は作品を作ることで技術を蓄積しています。その経験を活かして、どう表現していくかをチャレンジし続けているつもりです。新しいジャンル、新しいゲームというものを模索しながら日本の皆さんに見ていただきたいと思います」と語った。本作の日本での発売も望みたいが、入江氏をはじめとしたゲームアーツスタッフの今後の作品にも期待したい。

 プラットフォームはWiiで、北米では今秋の発売予定。価格は未定。

マップのトラップに気をつけながら戦いを楽しむゲームだ。最大4人まで同時にプレイ可能



【Tom Clancy's Splinter Cell Conviction】
BCD枠でも「Ubisoft E3 Press Conference」と同じ内容で送られた。プラットフォームはXbox 360、PCで北米では今年末発売予定
【Red Steel 2】
「Wiiモーションプラス」を使用する剣の振る舞いが大人気だった。プラットフォームはWiiで北米では今秋発売予定
【Rabbits Go Home】
スティックで移動しながら、Wiiリモコンを振って敵に「Bwaah!」と攻撃。プラットフォームはWiiで北米では今年末発売予定
【Academy of Champions:Soccer】
5対5のサッカーゲーム。Ubisoftチームでは、AltairやPrinceなど人気フランチャイズのキャラクターたちが登場。ミニゲームではバランスWiiボードを使用し、様々なサッカーテクニックを鍛えることができる。プラットフォームはWiiで北米では今年発売予定
【R.U.S.E】
IntuifaceというタッチDisplayを対応する現代戦のRTS。指4本をタッチして動かすと画面の移動、指2本だと画面の回転、指2本をタッチして左右に広げるとズームアウト、縮めるとズームインなどができる。プラットフォームはPS3、Xbox 360、PCで来年発売予定
【Shaun White Snowboarding:World Stage】
バランスWiiボードを用いるスノボーゲーム。有名スノボー選手Shaun Whiteが贈る第2作だ。プラットフォームはWiiで今年末発売予定
【Might & Maic:Clash of Heroes】【C.O.P. The Recruit】
【Imagine】【Petz】
ニンテンドーDSタイトルも出品されていた。「Might & Magic:Clash of Heroes」はパズルRPGで、「C.O.P. The Recruit」はアクションゲームだ。日本ではあまり実感がないが、欧米では「Imagine」と「Petz」のフランチャイズの人気は凄いようだ。会場では特に女性が多かった


(2009年6月6日)

[Reported by 勝田哲也 / 勝田哲也]