ニュース

「FFXIV」、神戸にて「第28回 FFXIV プロデューサーレターLIVE」を開催

ダブルクロスホットバーの正体がついに判明

ダブルクロスホットバーの正体がついに判明

ゲストの、リードUIアーティスト、皆川裕史氏

 今回のゲストは“ひろしHQ”という二つ名で知られている、リードUIアーティストの皆川裕史氏。「伝説のオウガバトル」や「タクティクスオウガ」ではアートディレクション、「ベイグラントストーリー」では美術総監督、「タクティクスオウガ 運命の輪」、「ファイナルファンタジーXII」ではディレクターを務めている。「FFXIV」では、UIアーティストとして、開発初期にはUIの設計に携わり、「新生エオルゼア」や「蒼天のイシュガルド」のロゴや、各パッチのロゴの制作も行なっている。

 吉田Pに言いたいことは何かと聞かれ、「体を大事にしてください」と優しい言葉を返した。「新生FFXIV」のチームが集まったとき、自分の机を吉田氏のブースの横に引っ張ってきて、「吉田さんの隣がいいから」とそこに自分でブースを作ってしまったという心温まるエピソードも吉田氏から披露された。

 「参考にした他のMMOは?」という質問には、ちょうど「新生FFXIV」と同時期にサービスを開始していた「RIFT」や「Guild Wars2」をかなり参考にしたと回答。最近のゲームでは「ディビジョン」のスタイリッシュで新しいデザインワークをリスペクトしているそうだ。

 「FFXIV」だからこそのこだわりや、苦労した点を聞かれると、まずはPCとしてスタンダードなMMORPGを作ることが重要。そのうえで家庭用のコントローラーでも遊べるようにすることが苦労点。さらに「FF」シリーズが好きで、MMOは初めてという人にもわかりやすいゲームにすることに苦心したという。

 だが最近ではアップデートで内容が増えたせいで、コンフィグ画面など非常にわかりづらい感じになっていることが気になっているという。3.2から、初心者に向けたサポート機能などが強化されているが、3.3では、一番強い装備を自動的に選んでくれる「FF」シリーズではおなじみの「さいきょう」コマンドが追加される。シリーズでは定番の機能なので、あえてひらがなにこだわったのだそうだ。

 吉田氏によると、最近では「FFXIV」のように装備が細かく分かれているゲームがあまりないので、装備がたくさんあってよくわからないという人のために導入する。ただ、あくまでも単純な強さで選んでいるため、ステータスにこだわる人が最強だと思う装備とは少し定義が違うかもしうれない、と言い添えた。開発側でも、最強という断定をさけた「おすすめ」という言葉も検討されたそうだが、最終的に押してみたくなるワードとして「さいきょう」が選ばれた。

【さいきょう装備】
装備設定画面の左上にあるマークを押すと、その時持っている中で一番強い装備が自動的に全身にセットされる

 トークの中では、松野泰己氏からツイッター経由で届いたという質問も読み上げられた。内容は、去年吉田氏と飲んだ時に「ターゲットのHP現在値をチャット欄に送る、ターゲットHPを実装してください」、「OK、皆川に言っておきます」というやり取りがあったが、いつ実装されるのか? という質問。吉田氏は「今伝えました」といい、皆川氏を苦笑させていた。吉田氏は松野氏から、「皆川はアーティストなのにいつまでUIを作らせるんだ」とよく叱られると語ったが、皆川氏は「自分がプレイするのに、自分の好きに作れるのがいい」と答えていた。

 VRゲームの開発に取り組んでみたいと思ったことはあるかという質問には、実は皆川氏は昔から飛び出すゲームが好きで、セガが開発した3Dグラスをかけて遊ぶ「マスターシステム」で遊んだことや、没入感を求めて「パンツァードラグーン」を遊ぶためのヘッドマウントディスプレイを買ったりしたという過去を明かした。だが「FFXIV」に単に対応させることには難色を示し、やるとすれば限定した場所でVRのためだけに作ったコンテンツならやってみたいと語った。

 スキルの増加に合わせて実装が予定されている「ダブルクロスホットバー」は動画で紹介された。これは、コントローラーの左右のトリガーを素早く2回押しすることで、今あるホットバーの上にもう8つ分のクロスホットバーを表示させるというもの。ただ、社内のQAチームでも評価は半々で、混乱するという声もあり、現在も調整中だ。

 ダブルクリックの場所には、リキャストが長いスキルなど、あまり普段使わないようなものや、マーカーなどを入れる場所になるのではないかと語っていた。実装は3.4になる予定だ。

【ダブルクロスホットバー】
入りきらないスキルを収納するために考えられているクロスホットバーの拡張版。左右を切り替えつつさらに奥行きを意識するような操作はなかなか難しそうだ

 アドオンの進捗状況への問いも寄せられた。当初は、PC版だけに便利なアドオンが入っても、それがスタンダードになるようなら公式側でCSのクライアントにも適用させるという方針だったそうだが、CS機にアドオンを入れるだけのマージンがないことが分かった。

 そのため、現在はペンディングになっている。UIの見た目を変えるスキンなどは、検討されているようだ。予定から消しているわけではないが、しばらくはコンフィグの機能拡張の方向で対応していく方針だ。それ以外の質疑応答は以下の通り。

――同じキャラでPvPとPvE用でスキルを変えたホットバーを登録できないですか?

皆川氏: そのニーズは社内からも出ているのですが、すべてのジョブが2重にホットバーを保存するのは難しいです。代わりにマクロのコピー機能を使って、ワンボタンで切り替えができるような形を検討し始めています。PvPアクションのポイントの割り振りを頻繁に変えたいというニーズもあるので、それはもう少し早い時期に保存していつでも取り出せるようにしようと思っています。こちらは3.3で入いります。

――種族やジョブが増えてマクロのスペースが100では足りなくなっています。今後増やす予定はありますか。またマクロの行数を15よりも増やす予定はありますか?

皆川氏: 前回調査をしますというコメントをさせていただいています。その後3カ月ほどかけて、現状のマクロを根本的に変える仕様ができました。時間はかかりますが、やらないと今後に対応できないので。今は人数分マクロを作る必要がありましたが、新仕様で、複数のキャラが1つのマクロを共有できるような仕様に変更しようと思っています。その場合に、1マクロあたり15行という制限は、BOT的な使い方ができないようにするための制限なので、すぐには無理ですが、検討します。

――ジョブによってUIのレイアウトを変えたいのですが、何種類か保存することはできませんか?

皆川氏: 今作っています。3.3に入ります。今のところおそらく3セットまで保存できるようになります。アクションメニューの中のジェネラルコマンドで切り替えたり、マクロで切り替えたりといった使い方をしてただけると思います。

――レベル60になってスキルが増えたために、アイコンのセットで苦労しています。これ以上スキルが増えると、現状のクロスホットバーでは苦しくなってきます。現状それに対応していることがありますか?

皆川氏: 今がかなりぎりぎりだと私も思っています。ダブルクロスホットバーもそのためのものですが、先ほど言ったようにあれを切り替えながら使うのはすごく難しいと思っています。次の拡張でどうアクションが増えるのか僕もすごく気になっています。

吉田氏: なんとなくの方針としては、これ以上アクションが増えても単に難しくなるだけで使いこなすのは無理だと思います。確定ではないですが、既存アクションを含めて、アクションを選択するようなところが大きくなっていくのかなと。当然またレベルキャップが開放されたら、当然アクションは増えると思いますが、全部入れるとは限らないです。

皆川氏: ビルドを切り替えると、それにあったセッティングを複数持ちたいとかいろいろ出てくると思うので。どういう仕様になるかで大きく変わる部分なので、この先を見守ってください。

――「クリスタルタワー」など24人レイドでは、表示限界のために自分がかけたDoTが表示されません。フォーカスターゲットに自分のDoTだけを表示させることはできますか?

皆川氏: 検討してみます。今までは常駐表示という主に戦闘中に画面に表示される表示群を非常にタイトに絞っていたのです。というのは、開発の中でどんな仕様がでてくるのかわからないので、マージンを持たせるためです。しかし「新生」がリリースされてかなり時間がたって、だいぶ全体量が見えてきたので、もう少し表示量をふやせるのではないかと思っています。

――同じ装備に複数のジョブで、ジョブごとに違うミラプリを適用できませんか?

皆川氏: できません。つくりかえをするレベルにしないとできないのです。

吉田氏: 一度検討はしたのですが、数万個もあるアイテムを全部拡張することになり、バグって破たんしそうなので、ミラプリとは別管理にしなければできない状況なので、やらないとは言わないですが、まったく新しいやり方を考える必要があります。

――昔、クエストのみはカタカナで名前を表示させることを検討しているという話を聞きましたが、その後進捗はありますか?

皆川氏: 検討した結果、やめました。理由としては、プレーヤーの名前がテキストで表示されるとき、特殊な記号になっているところを置き換えているのです。この記号はチャットだったり、ネームプレートだったりといろいろなところに使われていて、例えばマクロを使うときに名前を使用する部分などとうまくかみ合わなくなり、複雑で分かりづらい仕様になってしまう。そこまでしてやっても、逆にプレーヤーを混乱させる結果になってしまうのではということで、採用しないことになりました。

――以前「タクティクスオウガ」のヴァレリアン装備が実装されましが、「ベイグラントストーリー」の装備が実装される予定はありますか?

皆川氏: 「タクティクスオウガ」はドットのゲームなので、「FFXIV]にもなじむことができたのですが、「ベイグラントストーリー」のキャラはリアルなグラフィックスには合わないのではないかと思います。でも、もしありだというなら、僕が監修しますよ(笑)。

――アーマリーチェストや所持品枠が常にいっぱいです。拡張する予定はありますか?

皆川氏: ようやく実際の実現方法にむけて詳細な検討が始まりました。吉田と相談をしつつ、まずはどのくらいの数を拡張するかを。ゲームのパフォーマンスを落としなくないので。しっかり拡張しようと思っているので、時間が必要ですが増やします。

【ベイグラントストーリーの主人公とライバル】
「タクティクスオウガ」と同じ吉田明彦氏のキャラクターだが、かなり個性的ないでたちをしている

300人の参加者でにぎわう会場。一番人気はイベント用「セフィロト討滅戦」

混み合う会場内の様子

 今回はイベント会場が比較的大きめということもあり、普段よりも100名多い300名が抽選で選ばれ、招待された。会場では、プロデューサー兼ディレクターの吉田直樹氏をはじめ、コミュニティチームの室内俊夫氏、サウンドディレクターの祖堅正慶氏、リードUIアーティストの皆川裕史氏らが来場者を出迎え、サインや記念撮影に応じていた。

 蛮神チャレンジのコーナーでは、イベント用に調整された「セフィロト」に挑戦できた。即席のパーティでも短い時間で倒せるように調整されたもので、PS4版とPC版がそれぞれ1パーティ分ずつ用意されていた。「真セフィロト」をベースに調整されているにも関わらず失敗しているパーティが複数いたが、室内氏によると、極をやりすぎて真のタイミングを忘れてしまったから、という理由が多かったそうだ。ちなみに、最初のパーティに参加した皆川氏は、最初のふっとばしで落ちていた。

 「ザ・フィースト」の対戦コーナーでは、パッチ3.25で実装が予定されている調整がすでに入ったものを遊ぶことができた。ほかにも、ゴールドソーサーのミニゲームに挑戦するコーナーや、開発者へのメッセージボードなどおなじみのアトラクションでにぎわった。

 会場隣には、こちらも恒例となっている物販コーナーと、ジーンズに「FFXIV」のマークをプリントしてもらえる「メテオデニム」のコーナーが作られた。メテオデニムは開場早々に締め切られる盛況ぶり。物販コーナーには、イベント限定商品をはじめとしたオフィシャルグッズが並べられ、参加者が行列を作っていた。

【会場の様子】
参加者が持参した、今日のために作ったというデブチョコボにサイン。制作期間は3カ月で、抽選の当落が出る前から作っていたそうだ
ファンからのプレゼントを被る室内氏。モルボルという愛称にぴったりの精巧なかぶりもの
ファンと一緒に「F」のポーズで記念撮影に応じる吉田氏。2人そろえば「FF」に
ファンからのプレゼント。当日の朝3時まで作っていたというナナモフィギュア
会場の一画にはスポンサーの商品が並べてあった
ずっと放送席のあたりに鎮座していたファットキャットぬいぐるみ
「ザ・フィースト」コーナーではパッチ3.25バージョンがプレイできた
テスト放送。参加権を持たない参加者も、ショップコーナーから見ることができた

記念撮影。どこかに吉田氏がいる

セブンイレブンで飲み物を買うとメイド服がもらえるキャンペーン

 恒例のお知らせコーナーでは、セブンイレブンで指定された飲み物を買うとメイド装備やバトラー装備がもらえるキャンペーンをはじめとした、各種キャンペーンや、次回以降のイベント参加についてたくさんの情報が公開された。

 ネットに事前リークされ話題を呼んだセブンイレブンとのコラボキャンペーンは、指定された飲料を購入した際もらえるレシートに印刷されたシリアルコードを、特設サイトで入力するとポイントが貯まり、そのポイントで様々なインゲームアイテムが手に入るというもの。

 コースは女性専用の「メイドアタイア」が手に入るAコースと、男性専用の「バトラーアタイア」が手に入るBコースがあり、両方をコンプリートすると白いデブチョコボマウントを獲得できる。メイド服が表示された瞬間が、今日一番会場がざわついた瞬間だった。

 また、「超ニコニコ超会議」のアトラクション詳細と、当日販売されるグッズの一覧が発表された。

【セブンイレブンコラボキャンペーン】

【ニコニコ超会議詳細および販売される新グッズ】

【その他のお知らせ】
Amazonで購入

(石井聡)