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VRじゃなきゃ絶対味わえない面白さ! PSVR注目3タイトル
「Rez: Infinite」、「RIGS: Machine Combat League」、「DriveClub」
(2016/3/16 20:20)
現地時間3月15日、サンフランシスコで開催中のGDC 2016に合わせ、ついにPlayStation VRの発売時期および価格が発表された。年内に50の対応タイトルを用意するという力の入れようを見せるSCEは、この発表が行なわれた会場で全18タイトルのVRゲームをプレイアブル展示。本稿ではその中でも特に高いプレイバリュー、VRならではの面白さを感じられた3つのタイトルについてプレイレポートをお届けする。
「Rez: Infinite」
SCEを含むVR業界関係者が度々口にするフレーズ「VRは全く新しいメディア」。従来の媒体、特にテレビやディスプレイモニターといったフラットスクリーンデバイスとは全く違う、次元の異なるユーザー体験を可能にするからこそ、こういった呼ばれ方をしている。
物理的現実とは異なる、もうひとつの現実の中にユーザーを存在させる……それによる臨場感、存在感、実在感をフルに活かしたコンテンツがあってこそ、VRの凄さを実感できるというものだ。「平らな画面でも同じような感動が得られる」のではいけない。その感覚を実現する手段がVRしかない、というコンテンツこそ、PSVRの真骨頂だ。
PSVRローンチタイトルとしてEnhance Gamesが開発する「Rez: Infinite」は、そういったVRならではの面白さを非常に生々しい形で感じさせてくれる作品だ。
「Rez」は御存知の通り、PS2時代の2001年に発売され、シューティングと音楽ゲームの要素を巧妙に掛けあわせてトランス感あふれるゲームプレイを実現した往年の作品だ。だが、いまそのVR版である「Rez: Infinite」をプレイすると、本作の真骨頂はVRでしか実現できなかったのだ、という強い実感がある。
本作では幾何学模様で表現されたファンタジックな空間をフライバイしながら、ヘッドトラッキングもしくはDUALSHOCK 4のスティック操作によって迫り来るターゲットをロックオンし、ミサイルを発射して撃破していくというゲーム性になっている。そのひとつひとつのアクションが低音・高音のサウンドエフェクトを生み出し、BGMのテンポに融合してノリノリのオーディオ空間を演出していく。
基本的なゲームプレイ設計は15年前の元祖「Rez」と全く同じだ。異なるのは、幾何学模様で描かれ、フライバイしていく空間が、平らなスクリーン上ではなく、リアルスケールで完全にユーザーを取り囲んでいることだ。
BGMに合わせ、プレーヤーはその空間を飛び続ける。一般的にVRゲームでやってはいけないとされる、加速・減速あるいは横方向への強制移動、果てはロール方向の回転など、その空間での動きは果てしなくエスカレートしていく。
これがプレーヤーの感覚に、縦・横・回転方向様々の強烈なベクション(視覚誘導性自己移動感覚)を与える。しかもプレーヤーは、ターゲットを捕捉してロックオンするために頭を様々な方向に激しく動かしているので、平衡感覚は常に揺さぶられっぱなしだ。
あまりの気持ち悪さに嘔吐するか? いや、これが驚くことに、不思議に心地よい浮遊感をプレーヤーに与えてくれるのだ。水平感覚が曖昧になり、体がフワフワと浮くような感じである。多くの不出来なVRゲームで感じる、車酔いのような気持ち悪い感覚ではない。筆者の経験としては、これはVRでフライトシミュレーターをプレイし、縦横無尽に空を駆け巡った後の感覚に近い。
軽妙なBGMと、ゲームプレイサウンドが生み出すリズムに、このフワフワ感が合わさり、なんとも言えぬトランス感に全身が包まれていく。ここまでの感覚を、VR以外のメディアで表現できるだろうか? こればかりはやってみなくては決してわからない。
「Rez: Infinite」は、間違いなくVRでしか得られない感覚をプレーヤーに与えうる作品になっている。15年前、野心的なコンセプトで登場した「Rez」。PSVRの登場によって、その真骨頂がようやく表現できるようになったのだ。
「RIGS: Machine Combat League」
Guerrilla Cambridgeが開発するVRFPS「RIGS」については弊誌で度々ご紹介してきているが、今回デモされていたタイトルの中にあっても、ひときわVRならではの面白さを感じさせる1本として強烈な存在感を放っていた。
どのあたりが「VRならでは」なのかというと、PSVRのシステムを用いることで、スポーツ系FPSのプレイメカニクスに全く新しい文法を持ち込むことに成功している点だ。
本作では2つの操作モードがあり、より新しく実装された方では機体の移動(右スティック)・旋回(左スティック)操作と、武器の照準(ヘッドトラッキング)操作が完全に分離されている。つまり、体の向いている方向と、銃を撃つ方向が独立してコントロール可能なのだ。
同様の操作系はPCのミリタリーシム系FPSや、ロボットFPS系のゲームでも伝統的にとられてきたが、移動に用いる入力軸、旋回に用いる入力軸、照準操作に用いる入力軸の3軸を両手で操作しなくてはならなず、有り体にいうと非常に操作性が低いものにしかならかなかった。それが本作では、ヘッドトラッキングというこれ以上なく直感的な操作軸を照準操作に100%活用することで、完全に思い通りの移動・旋回・射撃が可能になっている。
例えば、真っ直ぐ前に進みながら斜め上から飛び込んでくる敵を撃つ。段差をジャンプで飛び越えながら、斜め下にいる敵に射撃を浴びせる……といった動作がなんの違和感も苦労もなくできる。
こうして実現するのが、三次元空間をこれまでにないレベルでフルに活用してのバトルだ。プレイ中の注意は前方に向けるだけでなく、常に左右・後方を確認するため、戦闘機パイロットのように激しく頭を動かしながら機体を制御していくことになる。
これがもうなんとも言えず心地よい。筆者はFPSや乗り物系のゲームに慣れている方だが、これほどの自由度、これほどの気持ちよさはこの「RIGS」でしか感じたことがない。PSVRの登場により、FPSの究極進化系がついに実現する。そんな手応えを感じられる。
「DriveClub VR」
VRとの相性が良い、どころの話ではなく、そもそも平らな画面でプレイするのが間違っていたんじゃないかと思えるくらいにVR向きであるのがドライビングシム系のコンテンツだ。リアルスケールでの車中視点。立体的に捉える事が可能なコース構造。実物大の車を運転しているという、強烈な感覚。
レースシムのファンには金に糸目を付けない人が多く、数十万円をかけて3画面+高性能PCのような贅沢環境を構築している人もいる。しかしもう、PS4とPSVRを購入して、本作「DriveClub VR」をプレイしたほうがいい。どんなに大きな画面よりも、VRのほうが圧倒的にリッチなドライビング体験を得られる。
本作はすでにPS4で展開しているレースゲーム「DriveClub」のVR対応バージョンだ。VR版といってもゲームとして別タイトルになるわけではなく、既存の「DriveClub」がPSVRにも対応するという理解が正しい。オンラインレースでは、PSVR装備のプレーヤーと、従来のフラットスクリーンでプレイする勢が入り混じってバトルが展開することになる。
このようなゲームをVR視点でプレイすることは圧倒的なアドバンテージ。1度体験すれば、以前の環境には戻れなくなる……。このあたりのインプレッションについては過去記事で詳しくご報告しているとおりだ。
PS4という安価なハードウェア上で60fps、120Hzリプロジェクションで滑らかに動作し、最上クラスのグラフィックスで、平らな画面では絶対に得られない臨場感を得られ、しかもオンライン上の無数のライバルと競えるとなれば、レースゲーム・レースシムファンならプレイしない手はない。
「DriveClub」はすでにPS4上で進化を続けてきており、多くの車種、多くのコース、そして成熟したコミュニティを持つレースゲームである。それがPSVRに対応する意味は大きい。レースファンならば間違いなくPSVRと(ハンコンも)セットで「買い」となる、圧倒的キラータイトルだ。