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ASUS、オーバークロック対応の水冷ゲーミングノート「GX700VO」発表

開発に2年、水冷ユニットごと持ち運べるスーツケース付きのハイエンドモデル

2月19日発売予定



予想実売価格:549,800円(税別)

 ASUS JAPANは、ゲーミングブランド「R.O.G.(Republic of Gamers)」の新製品として、世界初の水冷ユニットを標準搭載したゲーミングノートPC「ROG GX700VO」を2月19日より発売する。予想実売価格は549,800円(税別)。

【R.O.G.10周年】
R.O.G.は10周年を迎える

【発表された新製品】
GX700VO
G752VY、GL752VW、GL552VW

【ROG GX700VO】
正面から見るとオーソドックスな17.3インチノートPCだが、裏には巨大な冷却ユニットが鎮座している

 「ROG GX700VO」は、ゲーミングデバイス事業を年々強化し、今年でブランド立ち上げから10周年を経過したASUSの集大成となる1台。ゲーミングPCとしてパフォーマンスを極限まで高めるために、ノートPCに着脱式の水冷ユニットを標準搭載したハイエンドモデルとなる。

 水冷ユニットは、デスクトップPC向けの水冷ユニットを手がけるCooler Masterと共同開発。200mlの冷却水を循環させ、ノートPC内部の熱を外部の冷却ユニットへと運び、2つのラジエーターと冷却ファンで急速冷却し、冷えた冷却水を再びノートPC内部に戻す。この冷却ユニットの効果により、CPUやGPUの定格性能を越えるオーバークロック駆動が可能となり、標準駆動と比較してCPUで約31%、GPUで約33%のパフォーマンスアップを実現している。

【世界初の水冷ユニットを標準搭載したゲーミングノートPC】

 気になるPCスペックは、CPUがCore i7-6820HK(標準2.7GHz、ターボブースト時3.6GHz、オーバークロック時4.0GHz)、メモリはDDR4-2133(標準2133MHz、オーバークロック時2800MHz)を32GB、GPUはデスクトップ用のGeForce GTX 980、ストレージはNVM Express接続した256GBのSSD2台をRAID 0構成で搭載。まさにハイエンドデスクトップPCと言っても過言ではない性能を実現している。

 モニターは17.3インチフルHD(1,920×1,080)のIPS液晶を採用し、ディスプレイ同期技術G-Syncに対応し、ティアリングやちらつきのない画面でゲームを楽しめる。サウンド周りも、ESS Technologyのヘッドフォン用DACおよびアンプを搭載し、384kHz/32bitのサウンド再生に対応する。

 キーボードは、30キーの同時認識に対応したゲーミングキーボードを採用。「ROG GX700VO」は、グローバルで統一仕様で販売する戦略を採っているため、英語配列のみとなる。この点のみ、ゲーム以外の用途でも多用する場合注意が必要となる。

 ソフトウェア周りでは、フルHDでのブロードキャストに対応した「XSplit Gamecaster」が付属しており、無期限ライセンスを同梱している。また、快適なPCゲーミングを実現するため、標準のスライドパッドに加えて、オリジナルのゲーミングマウス「ROG Sica」を標準搭載。

 本体重量は3.6kgながら、水冷ユニットは4.8kgもあり、合わせて8kgを超える超弩級モデルとなる。水冷ユニット込みでの消費電力は330Wにも及び、水冷ユニットの仕様は電源接続時に限定されるが、ノートPC本体よりも重い水冷ユニットや巨大な電源アダプタも含めて持ち運べるように、24リットルのゲーミングスーツケースが付いており、製品発送時もスーツケースに入れられた状態で届けられるという。なんとも桁外れのゲーミングノートといえる。

【ゲーミングノートPCとしてのこだわり】

【スーツケース付き!】
持ち運びに使えるゲーミングスーツケースが付いている
キー配列は英語のみ

 オーバークロックは、専用のアプリケーションで標準、最適化、最高、手動の4段階のプリセットを操作する形で行なう。熱暴走を避けるために手動以外は、外気温、室内気温等に合わせてクロックを自動調整する仕組みで、不意のハングアップなどは発生しないようになっている。ただし、プリセットを切り替える場合は再起動が必要で、用途を切り替えて使う場合は、比較的頻繁に再起動することになるようだ。

 水冷ユニットは先述したように着脱式となっており、ノートPCのヒンジ部分にガチャンと接続する。完全に連結するまで内部機構が働かない仕組みになっているため、液漏れの心配はないとしている。水冷ユニット接続時は電源は水冷ユニットから取る仕組みで、その横より縦に長い特異な容姿はまるでかつてのプリンタ付きワープロのようだ。縦に長いため奥行き80cm程度のビジネスデスクでギリギリというところで、ある程度ゆったり置こうと思えば100cm程度の奥行きは欲しいところ。

 この水冷ユニットのメンテナンスサイクルは2年に1回。購入して2年経過後は、各パーツの点検や冷却水の入れ替えのためにメンテナンスのプロセスが発生する。このメンテナンスがどれぐらいの期間掛かるのか、いくら掛かるについては現在調整中ということだった。

【冷却ユニット】
2機のラジエーターが特徴的な冷却ユニット。ラジエーター部の内部にはファンがあり、勢いよく排気される
冷却ユニットの接続部。左右2つの端子が冷却液が循環するパイプで、中央が電源ユニット
ノートPC側の接続部。左右端にある穴に、金属製の端子をはめ込みガチッと固定する仕組みになっている

 コンペティターとしては、同じ台湾のMSIが展開しているGeForce GTX 980をSLI搭載している「GT80」(店頭想定価格559,800円前後)が挙げられる。価格帯も奇しくもほぼ同等で、SLIを取るか、水冷によるクロックアップを取るかの違いとなる。性能的にはSLIの「GT80」が上回りそうだが、「GX700VO」は水冷ユニットが着脱式のため、標準動作にはなるものの、持ち運び可能なゲーミングノートPCとしても使える取り回しの良さが強みと言える。デスクトップ用GeForce GTX 980なら、VRにも完全対応しているのが嬉しいところ。持ち運び可能なハイエンド環境を求めるコアゲーマーには要注目の1台と言えそうだ。

【クロックアップツール】
クロックアップは標準同梱のソフトウェアを介して行なう。設定を変更するとその都度再起動が必要となる

(中村聖司)