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ゲーミングデバイス新ブランド「EDGE」レビュー
マウス、キーボードなど、HORIが放つ日本製・独自開発PCゲーミングデバイス
(2015/11/14 00:00)
- 11月6日 発売
- 価格:
- EDGE 101(マウス)8,618円(税込)
- EDGE 201(キーボード)23,544円(税込)
- EDGE 301(ゲーミングパッド)3,758円(税込)
- EDGE 401(ソフトタイプマウスパッド)1,922円(税込)
- EDGE 402(ハードタイプマウスパッド)2,354円(税込)
家庭用ゲーム機向けの周辺機器を製造・販売するホリ(HORI)が新たに手掛けるPC向けゲーミングデバイスのブランド「EDGE」。11月6日より、最初の製品としてマウス、キーボード、ゲームパッド、マウスパッド2種の計5製品が発売された。
製品の特長やスペックについては、発表時の記事をご覧いただきたい。そちらを踏まえて、本稿では実際の使用感や、前回お伝えできなかったソフトウェア機能についてお伝えしたい。なお使用した製品は発売前にHORIから提供されたもので、ソフトウェアはβ版となっていた。製品版とは仕様および挙動が異なる可能性があるので、予めご了承いただきたい。
オプティカルゲーミングマウス「EDGE 101」
PCゲーミングデバイスとして外せないマウスとキーボード。そのうちのマウスが「EDGE 101」となる。オプティカル(光学)マウスと言っても、センサー部の光は見えない。マウスの底面が赤く輝く昔のオプティカルマウスとは違うので、その点は安心して欲しい。
左右対称の形状で、本体サイズは68×125×40mmで、ゲーミングマウスとしては標準的なサイズ。前方が広がった形状になっているためか、サイズ表記以上に大きく感じられた。本体重量は130g(ケーブルを除く)で、底面に25gの錘が装着されている。筆者は軽めのマウスが好みなのですぐ外そうと思ったのだが、実際に使ってみると底面ぎりぎりに重心があるため安定しており、取り外さずに使った方が快適に感じられた。
左右のボタンは独自開発のマイクロスイッチを採用。オンストローク0.18mmとうたっているだけあって、クリックによるボタンの動き(へこみ)はほんの僅か。しかしクリック感はしっかりあり、触れただけでクリックしてしまうほど軽いわけではない。高速入力を意識した設計なのがよくわかる。
センターホイールも同様のマイクロスイッチを採用しているが、こちらはややスイッチが軽すぎるように感じた。ホイールの回転は適度な抵抗感とクリック感があって使いやすいのだが、早く回そうとして少し力が入るとホイールを押してしまい、誤操作が出やすい。使用しながらの慣れもあるとは思うが、ホイールとホイールボタンを両方使うゲームをプレイしている方は、購入前に店頭で試してみることをお勧めする。どちらかだけを使うゲームなら、指も疲れずとても快適だ。
サイドボタンは左右に3つずつある。筆者は右利きなので右手でマウスを使っているが、サイドボタンの1つずつが大きめなせいか、右側面にあるボタンを誤入力しやすい。これはソフトウェアで無効化できるので実害はなくなるが、ゲームで激しい操作をしている時に誤入力して意外なクリック感があるのが少々気持ち悪い。ただこれは慣れと持ち方にもよると思うし、左利きの人にとっては左右対称のメリットの方が勝ることは間違いない。
マウスソール(接地面)は、こちらもオリジナルの金属製。ステンレスにテフロン潤滑メッキを施したものとされており、表面の手触りは滑らかでツルツルとしている。筆者の手持ちのシリコン製マウスソールを使ったマウスをいくつか出して比べてみると、明らかにそれらに勝る滑りやすさがある。耐久性も高いということなので、マウスソールとしては極めて優秀な素材だ。
マウス本体から出るケーブルの向きが、僅かながら斜め上になっているのも意外と便利。マウスを動かしたときにケーブルがどこかに当たって操作の邪魔になることが少なくなり、快適性が増している。
ハードウェアとしては、耐久性と高速性、快適性にこだわった、日本メーカーらしいマウスと言える。標準的なサイズで左右対称の形状は保守的にも見えるが、「EDGE」ブランドを世界展開するための第1弾製品として、まずはベーシックな形状を選んだということだろう。
続いてソフトウェアも見ていきたい。ボタンは左右とセンターホイール、左右3つずつのサイドボタン、プロファイルボタンとDPIボタンの計11個を搭載。いずれのボタンも自由に機能を変更でき、キーボードの任意のキー、マウスの任意のボタン、感度(DPI)設定、プロファイル切り替え、音楽再生などのメディアプレーヤー機能、Windows機能のショートカット、マクロ機能を割り当てられる。
マクロ機能は、キーボードのキーを押す・離す、および押している時間、何も押していない時間などを、実際に入力して記録できる。記録後に任意のキーを追加挿入したり、各種時間を任意の長さに再指定することも可能。ボタンを1回押した時のマクロ実行回数も、任意の複数回、ボタンを押している間は繰り返し、再度押すまで繰り返しの中から選べる。これだけあれば大抵のキーボードマクロは作成できるだろう。
続いてセンサー調整機能。センサー解像度は最大6400DPIで、50DPI刻みに調整できる。DPIは最大5つ記録でき、切り替えが可能だ。ポーリングレートは125Hz、250Hz、500Hz、1,000Hzから選択できる。ほかに、ポインターの速度と加速、ホイールのスクロール速度、ダブルクリック速度も変更できる。加速はWindows標準だとON/OFFしか選べない(ポインターの精度を高める、という設定)ため、強弱を設定できると普段使いでも便利だ。
さらにリフトオフディスタンスも5段階に調整が可能。最も低く設定すると、ほんの僅かな浮き上がりでマウスカーソルが動かなくなる。はっきりと違いがわかるほど変わるので、各々の好みに近いところまで調整できるだろう。マウスセンサーとマウスパッドとのキャリブレーション機能も搭載している。キャリブレーションは複数のマウスパッドを使い分ける際の利用を想定してか、調整済みのデータを記録できるようになっている。
左右のサイドボタンのうち、高い位置にある2つにはLEDが仕込まれており、光る色をフルカラーで指定できる。ただ光にはややムラがあり、RGB以外の合成色はあまり綺麗に出てくれないのが残念。色だけでなく明るさも変更できる。また光は強弱をつけて明滅するが、その強弱の間隔も設定できる。明滅せず光ったままにすることも可能だ。
本体にはプロファイル(設定)を記憶するメモリを搭載しており、5つのプロファイルを切り替えて使用できる。現在動いているのがどのプロファイルかを確かめるには、ソフトを起動する以外に、異なるLEDの色をそれぞれのプロファイルに割り当てておくという手がある。これならゲーム中に変更するような事態があっても大丈夫だ。
このほかテスト機能として、マウスボタンの連射測定と、反応速度の測定機能も搭載。反応速度はゲーマーなら常に気になる値なので、手軽に測定できるものがあるのはありがたい。
ゲーミングマウス用のソフトウェアとしては、一通りの機能が揃っているという印象だ。インターフェイス的には垢抜けないところもあるが、ハードウェアと同様に質実剛健を目指したというところで納得しておきたい。
メカニカルゲーミングキーボード「EDGE 201」
ゲーミングキーボードの「EDGE 201」は、金属製のボディと浮き上がったようなキーという、他にはない独特な形状が目を引く。他の人とは一味違うデバイスを使いたいというゲーマー心を外見からもくすぐる一品だが、使い勝手の方も独特かつ上々だ。
独自開発のメカニカルキースイッチは、オンストローク1.5mmとこちらも他のキーボードより浅く設定されており、高速入力を意識している。キー荷重は55±20gで、数値的には重めになるのだが、タッチがリニアで底打ちまで強弱の変化がなく、押し始めるとストンと底まで押し込める印象。ストローク自体は標準的な深さがある。値段相応の高級キーボードと言って差し支えない手触りだ。
スイッチを見ると、キーボードに詳しい人なら「青軸かな?」と思うはず。見た目にはCherry製キースイッチと酷似しているが、スイッチ自体はあくまで独自開発であり、キーの感触はCherryの青軸とは全く異なる。あくまで筆者の感覚の話になるが、黒軸に近い手ごたえだがもっと軽く、赤軸ほど軽くはない。底打ちまでのリニアな感触は本機の方がスムーズに感じられる。
キーの周りに枠がないオープンなデザインは、見た目のインパクトに加えて、掃除がしやすいというメリットがある。キートップは簡単に外せるので、キートップを全部外して洗浄し、キーボード本体も隅々まで掃除できる。デメリットとしては、枠がないせいか音が漏れやすいこと。キー自体もカチャカチャという高めの音が出るため、総合的にキーの音が外に響きやすい。
ボディは薄型だが、重量感はかなりある。手に持った時には、見た目とのギャップに驚いてしまう。裏面の足部分の滑り止めも強力なので、使用中に本体が動いてずれてしまうことはほぼなかった。また形状で特徴的なのは、足を上げてもキーが比較的水平に近い状態にあること。さらに足をたためばより水平に近くなる。手前と奥のキーで高さの違いがない、フラットなキーボードが好みの人には喜ばれるだろう。
続いてソフトウェアも見ていく。こちらも「EDGE 101」と同様にキーのカスタマーズが可能で、別のキーと置き換えや、マルチメディア機能、Windowsショートカット機能、そしてマクロ機能を備えている。マクロの記録方法やカスタム機能も「EDGE 101」と同等だ。キーボードレイアウトは一般的な日本語109キーとなっており、マクロ専用キーは装備していないので、無変換キーやScroll Lockキーなど使用頻度の低いものを選んで使うのがいい。
これに加えて「ゲーミングモード」も搭載。Fn(ファンクション)キーとF10キーを同時押しして変更できるモードで、半角/全角キー、Alt+Tabキー、Alt+F4キー、Windowsキー、Caps Lockキーの5つをワンタッチで無効化できる。これらのキーはプレイ中に誤入力してしまうと、ゲームによってはフルスクリーンゲームが解除されたり、操作を受け付けなくなったりすることがあるため、その問題を回避しようというわけだ。無効にするキーは5つのパターンで任意に選べる。
さらにゲーミングモードには重要な機能がある。本機はNキーロールオーバー、109キー同時押しアンチゴーストをうたっているが、通常モード時には6キーまでしか同時押しできず、一般的なNキーロールオーバーと言われるUSBキーボードと変わらない。しかしゲーミングモード時には、全キー同時押しが可能になる。ソフトにはキーボードのテスト機能も用意されており、押したキーがどれか、同時押ししたキーの数がいくつかを表示できる。購入時にはモードを変えて同時押しの数を確認してみて欲しい。
キーには青色単色のバックライトが搭載されており、スペースキーとファンクションキー(ゲーミングモードなどを設定する際に使う)を除く全てのキーが光る。任意のキーだけを光らせるという設定も可能で、例えばW/A/S/Dだけ光らせることもできる。明るさは10段階に調整可能で、光り方も、常時点灯、明滅、キーを押した後に指定秒数だけ点灯、押したキーから横に発光、押したキーから波紋が広がるように発光、とパターンを選べる。
アルミボディと浮いたようなキーに青色LEDという組み合わせの外見、オリジナルキースイッチとキートップによる優位性と、オリジナリティあふれる製品であることは間違いない。あとは税込23,544円という価格がどこまで受け入れられるかだろう。この原稿も本機を使って執筆しており、その手ごたえとしては値段分の価値も感じるが、キーボードはタッチで好みが大きく分かれるものでもある。可能ならば購入前に店頭で触って確かめていただきたい。
ワイヤードゲーミングパッド「EDGE 301」
続いてはHORIの本領と言うべき製品、ゲームパッド「EDGE 301」だ。Xinput対応のゲームパッドなのでドライバは不要。アナログスティック2本に十字ボタン、A/B/X/YボタンとLB/LT、RB/RT、STARTとBACK、GUIDEボタンというベーシックなデザインに、連射機能等のためのTURBOボタンが用意されている。
PC向けゲームパッドには必ず付きまとうのが品質問題。本機のボタンは250万回の耐久試験をクリアしたとされており、耐久性に自信を見せている。今回のレビューでは250万回のテストまではできないが、ボタンの返りにも違和感はなく、強く握ってもボディのたわみも感じられない。堅実に作られたコントローラーだという手触りだ。
アナログスティックは軽く滑らかな動き。音も小さく、心地よい操作感が得られている。その他のボタンも音が静かで適度なクリック感がある。
面白いのがLTとRTボタン。通常はデジタル入力になっており、クリック感のあるボタンのような感触になっている。しかしコントローラー側でTURBOボタンを押しながら左スティックを上にやるとアナログボタンモードに変更できる。この時はクリック感があるところまでは押し込んでも変化がないが、さらに押し込むとその強さによってアナログの感度を認識する。最初からアナログトリガーではない形で、デジタル・アナログの両方にうまく対応している。
また本体中央にあるDP/LSスイッチを使うと、左アナログスティックと十字ボタン(POV)の操作を入れ替えられる。ゲームによっては、十字ボタンで操作したいのにアナログスティックでしか上下左右の操作ができないものがあるが、本機ならばこの入れ替え機能で難なく対応できる。
連射機能については、TURBOボタンを押しながら連射したいボタンを押せば、そのボタンを連射ボタンにできる。同じボタンの組み合わせでもう1回押すと連射ホールド(ボタンを離していても連射する)、さらにもう1回押すと連射オフになる。TURBOボタンを押しながらBACKボタンを押すと、全てのボタンの連射機能がオフになる。また連射速度はTURBOボタンを押しながら右スティックを上下に動かすことで、毎秒5回、12回、20回の3段階に切り替えられる。
一見すると無難なだけの製品に見えるが、Xinput対応、十字ボタンとアナログスティックの入れ替え、LT/RTのデジタル・アナログ入力対応、そして高耐久性と、ゲーマーが求める機能をしっかりと詰め込んでいる。現状これさえあれば大丈夫と言える品質と性能を備えつつ、価格も3,758円と現実的なラインに留めているところはさすがだ。
ソフトタイプゲーミングマウスパッド「EDGE 401」
最後はゲーミングマウスパッド2製品。「EDGE 401」はソフトタイプ、「EDGE 402」はハードタイプのマウスパッドとなっている。
「EDGE 401」は、340×280mmの大型マウスパッド。表面はポリエステル素材で、さらさらした布の感触。いわゆる布系マウスパッドなので、丸めて持ち運ぶことも可能だ。厚さは3mmと厚め。表面は硬めで弾力があり、厚みの割にはマウスの沈み込みは少なめ。
滑りは布系マウスパッドとしては標準的で、ストッピングのいいバランス型という印象。しかし「EDGE 101」と組み合わせると、高めのマウスソールとの相性がよく(合わせて開発されているはずなので当然だが)、滑りの良さが出る。
底面の滑り止めは細かな溝を掘った発泡ラバー。机とぴったり密着するタイプではないので、使用中に僅かなずれが出ることがある。ただ大幅に滑るようなことはなく、プレイ後にミリ単位でずれているのに気づいたという程度だ。
外周は青い糸でステッチされている。布系マウスパッドは端から傷みやすいので、きちんとフォローされているのは好感が持てる。耐久性は使い込まないとわからないが、この品質とサイズで1,922円という価格はかなり値打ちがある。布系マウスパッドのユーザーにはぜひ試してもらいたいのと同時に、ゲーミングマウスパッドを使ったことがない人にも気軽に勧めたい一品だ。
ハードタイプゲーミングマウスパッド「EDGE 402」
「EDGE 402」は260×220mmとやや小ぶりになる。こちらはハードタイプだけに完全に滑り性能重視となっており、あらゆるマウスで快適な滑り性能を発揮する。「EDGE 101」との組み合わせだとより高い滑り性能を感じられるが、シリコン製マウスソールよりも接地面がザラザラと音を立てるのが少々気になる。
表面素材はPVC、中間層はABSとなっており、金属は使用していない。そのためハードタイプにありがちな表面の冷たさは控えめで、季節を問わず快適に使えそうだ。表面は表面に細かな凹凸があるが、手触りとしてはザラザラした感じはなく、手を滑らせても摩擦感はほとんどない。
裏面は「EDGE 401」と同様の発泡ラバー。こちらも2,354円という価格は値ごろ感があり、シンプルなハードタイプマウスパッドを求める人にはいい選択肢になるだろう。
ゲーマーの声に耳を傾けた質実剛健な製品群
計5つの製品を見てきたが、実際に使ってみると、どれもこれも質実剛健という言葉ばかりが浮かぶ。頑丈だということもあるが、PCゲーマーの声をよく聞き、細部にわたってこだわりをもって作られた製品だということが、製品の端々から伝わってくる。
デザインはよく言えば素朴、悪く言えば野暮ったい。派手さで目を引くのは「EDGE 201」くらいで、後はオーソドックスかつ地味な印象がある。正直に言わせていただくと、「EDGE」のブランドロゴも素朴かつ地味な印象で、製品にロゴが入っていても格好いいという印象は持てない。だからこそ、余計に製品の質のよさと気の利き方が印象的で、質実剛健という言葉が浮かんでくる。
「EDGE」ブランドは世界展開を掲げているので、今回の製品群が最大公約数を狙った保守的なものになったのは致し方ないところ。後はその地味なこだわりを、どこまでゲーマーに伝えられるかにかかっている。物としては本当にいい出来だし、日本から本格的なPCゲーミングデバイスが登場することには大いに期待している。読者様にもぜひ「EDGE」ブランドを記憶に留めていただき、今回の製品のみならず今後の展開にも期待していただきたい。