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韓国SCEK、G-STARプレスカンファレンスでPSVRをアピール

VRを含む多数の韓国産タイトルが発表! 吉田修平氏「お手軽な価格でお届けできる」

11月4日開催

 ソニー・コンピュータエンタテインメントジャパンアジアの韓国法人Sony Computer Entertainment Korea(SCEK)は11月4日、韓国ソウルにおいて、G-STARプレスカンファレンスを開催した。

 いよいよ来週12日より釜山にて開催される韓国最大規模のゲームショウG-STAR 2015。SCEKをはじめとしたSCEのアジア法人は、会期初日や前日にプレスカンファレンスを開催するのが通例となっているが、今回SCEKは、韓国発上陸となるPlayStation VRをはじめとした多彩なラインナップを韓国メディアを通じてゲームファンにアピールするために、ゲームショウ開催1週間前に実施した。PSVRや「MGSV」、「ストリートファイターV」といったキラーコンテンツの存在をしっかりアピールし、G-STARのSCEKブースにより多くの人を集めたい考えだ。さっそく発表会の模様をお伝えしたい。

【PlayStation VRがついに韓国に上陸!】
アジア発表会には欠かせないダンスパフォーマンスでPSVRの韓国上陸を歓迎

PlayStation VRをテコにPS4の普及拡大を目指すSCEK

挨拶を行なうSCEJAデピュティプレジデントの織田博之氏
PS4は韓国市場でも好調なことを示すスライド。SCEが地域単体のデータを見せるのは珍しい

 最初に挨拶を行なったSCEJAデピュティプレジデント織田博之氏は、12月でPS4の韓国ローンチから2年を迎えることを報告。この2年間で、PS4は非常に速いスピードで全世界で普及しており、9月末の時点で全世界で2,930万台、アジアでも10月1日より新価格での販売を始めたことにより、韓国でも売上が伸びていることを明らかにした。SCEではアジア部門単体のデータは出さないことをポリシーにしているだけに、珍しいアピールの仕方と言える。それだけアジアが好調に推移していると見ていいだろう。

 また、タイトルについては、「Kingdom UnderFire II」(BLUESIDE)や「3 on 3」(Joycity)など、これまでに発表された韓国産タイトルをはじめ、東京ゲームショウで実施したアジア向け発表会の内容をおさらいしながら、数多くのタイトルでハングルローカライズが行なわれ、それらがまもなくお届けできることをアピールした。

 織田氏の後は、SCEワールドワイドスタジオプレジデント吉田修平氏にバトンタッチし、多くの韓国メディアにとって初の遭遇となるPSVRについて、詳しく解説を行なった。

SCEWWプレジデント吉田修平氏
スペックのアピールは欠かさない吉田氏
充実した開発環境をアピール
G-STARでは5タイトルを出展
「THE PLAYROOM VR」テクニカルディレクターの横川裕氏
PS3のプリインタイトル「THE PLAYROOM」から解説
日本未公開の「GHOST HOUSE」を披露

 吉田氏は、VRデバイスとしてのPSVRのアピールポイントとして「VRスクリーンにOLEDを採用し、1,920×1,080ピクセルのすべてにRGBのサブピクセルを用意した、高精細なスクリーンを採用しているということがひとつ。それを120Hzで動かしている。これは今までにない新しい技術。PS4のゲームは30Hzもしくは60Hzで動かしているが、実はPS4は120Hzまで出力ができるパワフルなシステムで、PSVR発表まで120Hzで動作することを隠していた。120Hzで動かすと非常にスムースで、OLEDによる美しい映像が味わえます」と熱っぽく語り、韓国で先行しているOculus RiftやGear VRに勝るとも劣らないVRデバイスであることをアピールした。

 そして、PS4をベースとするVRデバイスのメリットとして、買ってPS4に繋げばすぐVRが体験できる手軽さ、約3000万台という膨大な普及台数に裏打ちされた大量生産により価格の安さ、そして、これまでのPS4開発資産がすべて活かせる開発のしやすさなどを挙げた。

 タイトルについては、「RIGS」、「London Heist」、「THE PLAYROOM VR」の3タイトルを紹介し、吉田氏のお膝元であるSCEWWジャパンスタジオが手がける「THE PLAYROOM VR」については、同作のテクニカルディレクターを務める横川裕氏を登壇させ、デモを実施するという力の入れようだった。

 横川氏の「THE PLAYROOM VR」のデモでは、E3で公開された「Monster Escape」、東京ゲームショウで公開された「Cat N Mouse」に加えて、Paris Games Weekで初披露された「Ghost House」も公開。「Ghost House」は、幽霊屋敷を舞台に、隠れる側と見つけて攻撃する側にわかれてバトルが繰り広げられるホラータッチのゲームだ。

 「THE PLAYROOM VR」は、もともとの題材である「THE PLAYROOM」がPS3のプリインストールタイトルで馴染み深い存在であるだけでなく、PSVRを装着した人と、コントローラーだけの人が同じゲーム共有してプレイするソーシャルスクリーンを体現する存在であり、この点は、遊びの面で明確に、他のVRデバイスと差別化できている要素だけに、フォーカスされる機会が徐々に増えている印象だ。

 G-STARでは、この「THE PLAYROOM VR」をはじめ、「初音ミク VR Tech DEMO」(セガゲームス)、「サマーレッスン」(バンダイナムコゲームス)、「真・三國無双7 VR DEMO」(コーエーテクモゲームス)、「KITCHEN」(カプコン)の5タイトルの出展を予定している。

 発表会では、次に移る前に、織田氏と吉田氏、そしてSCEKプレジデントの川内史郎氏の3人が登壇し、PSVRに関する質疑応答が行なわれた。初の質疑応答の機会ということで、「PSVRで使用できるPSのテクノロジーは?」(ネットワークAPIやPS3のPS Moveも含めすべて利用可能)、「メガネを装着したまま遊べるのか?」(もちろん可能)など基本的な質問が多かったが、韓国メディアの熱意ある質問に対して、吉田氏はひとつひとつ丁寧に回答していたのが印象的だった。

 中でも印象的な回答としては、PSVRの展開戦略について聞かれた質問で、吉田氏は、2014年3月にPSVRを発表した当時と現在では、VRを取り巻く環境が劇的に変化していることや、VRが持つ無限大の可能性を認めつつも、まずはPS4ユーザーをターゲットにした展開からスタートし、徐々にPS4を持っていないユーザーも含めたすべての方に、色んなコンテントぬを楽しんで貰うことを目標にしていると語った。

 また、PSVRの展開ハードをPS4に固定化するリスクについて問われると、「良い質問をありがとう」と笑顔で応じながら、PS3のローンチ時のクオリティと、PS3末期の「The Last of Us」や「Grand Theft Auto V」とのクオリティの違いを引き合いに出しながら、同じPS4でも時間が経つに従って、レーテンシーがより抑えられた、120Hzで動かせるような、よりクオリティの高いVRコンテンツが生まれてくるため、ハードが変わらないことを心配する必要はないのではないかと応じた。

 さらに、PSVRのハードウェア設計について尋ねられると、開発はほぼ終了したことを明かし、より多くの人に快適に使って貰えるように、頭の頂点にヘッドバンドを置いて頭全体でPSVRを支える設計にしたことで、体感重量は軽く感じること、そしてその状態のままヘッドセットを前後に動かせるため、使い勝手が高いことをアピールした。

【PSVRタイトル】
RIGS
THE PLAYROOM VR
Monster Escape
Cat N Mouse
こちらがアジア初公開となる「THE PLAYROOM VR」3つ目のコンテンツ「GHOST HOUSE」。PSVRはハントする側、コントローラーは隠れる側。攻撃時の電撃が派手でユニークだ

韓国産タイトルが続々発表! 日本産ではあの「龍が如く」にハングル版が登場!

SCEKプレジデント川内史郎氏

 質疑応答終了の時点で、発表会開始から1時間が経過したが、発表会はこれで終わりでは無かった。質疑応答から引き続き川内氏が登壇し、韓国向けタイトルに関する発表と、G-STARのSCEKブースについての説明が行なわれた。

 今回発表された韓国メーカーのタイトルは、トレーラーのみの公開も含めて10タイトル以上。川内氏によれば、既発表タイトルも含めて25社がPS向けに開発を行なっているという。まずその数に驚かされた。

 というのも、SCEの韓国法人SCEKは、SCEが香港でアジアビジネスを本格的に立ち上げる前から存在する長い歴史と伝統を持つ法人だが、法人立ち上げ直後からPCオンラインゲームの牙城に阻まれ、韓国デベロッパーをPSに振り向かせる試みは一度も成功していないからだ。いわゆる中華圏市場は、中国の正規始動に伴い、活況を呈しつつあるが、韓国市場もまたPS4の成功と共に環境が大きく変わりつつある。

 最初に発表された「Whiteday」(ROI Games)は、コーエーテクモゲームスの「零」のようなおどろおどろしい学園ホラーゲーム、と思いきやそうではなかった。薄気味悪い無人の校舎を舞台に、学生服に身を包んだヒロインの少女が、ハングル語を喋りまくりながら、得体の知れない存在から逃げまくる。途中でようやく気づいたが、このゲーム、「Until Dawn」のようなパニックホラーを描いたPSVRタイトルなのだ。発売時期などは明かされなかったが、韓国から意欲的なPSVRタイトルが出てきたことをまずは歓迎したい。

【「Whiteday」(ROI Games)】

 次に公開された「Operation 7 Revolution」は、韓国PARKESMがPC向けに手がけ、日本でもMGAME JAPANが2015年4月までサービスを提供していたオンラインミリタリーFPS「Operation 7」のPS4版。韓国のみならず、日本やアメリカ、ロシアといった様々な国の特殊部隊が登場し、チームバトルを繰り広げる。

【「Operation 7 Revolution」(PARKESM)】

 3つ目のタイトル「KIDO」(Next Door)は、韓国のゲームファンが好む、横スクロールタイプのオンラインアクションゲーム。カジュアルでポップな女性キャラクターたちが、斧や銃、ハンマーなどを振り回し、群がり来る敵を倒していく。

【「KIDO」(Next Door)】

 川内氏は、これら以外にもタイトルを準備しているとしてトレーラーでまとめて紹介してくれた。本来ならPCやモバイル向けに行きそうなタイトルが多く、韓国でゲーム市場の潮目が大きく変わっていることを印象づけてくれた。このあたり、G-STAR会場でもより深く掘り下げて取材したい。

【そのほかの韓国産PSタイトル】

こちらは東京ゲームショウで発表されたハングル化決定タイトル

 最後に川内氏は、韓国のPSファンが待ち望んでいる日本タイトルのローカライズについて発表を行なった。今回発表されたのはPS Vita向け「ペルソナ4 ダンシング・オールナイト」(アトラス)、「イース セルセタの樹海」(日本ファルコム)、PS4向けとして「KING OF FIGHTERS XIV」。

 そして川内氏が「私が愛する韓国のゲームファンの皆さんを間違いなく驚かせるに違いない。PSファンなら間違いなく驚くであろうタイトルに関してのお知らせです」とたっぷりもったいをつけて発表したのが「龍が如く 極」のハングル版だった。

 川内氏は、ハングル版のトレーラー公開を挟んで「とうとうやりました。何年、名越さんに泣きついてきたことか」と万感を込めた語りで喜びを表した。発売時期や価格については明らかにされなかったが、続報に注目したい。

 SCEKは、G-STARでは最大規模のブースサイズで、9つのゾーンで35タイトルを展開する。そのほとんどが、VRタイトルを除き、その多くがハングル版で出展される点も注目される。G-STARは来週12日より韓国釜山で開催予定。弊誌でも現地取材を行なう予定なので、どうぞ現地レポートにご期待いただきたい。

【新たに発表されたハングル化タイトル】

【G-STARブースプラン】

(中村聖司)