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短編映画「ピクミン ショートムービー」、宮本茂氏によるトークショーを開催

ニンテンドー3DS用に近日配信! ピクミンをクローズアップした「親子で楽しめる作品」

10月25日 開催

 10月23日から31日まで開催されている映画祭「第27回東京国際映画祭」において、短編映画「ピクミン ショートムービー」の公開を記念するトークイベントが10月25日に行なわれた。

 「ピクミン ショートムービー」は、「ピクミン」シリーズをテーマとした短編映像。今回上映されたのは「真夜中のジュース」、「ビンの中のお宝」、「たいへんな一日」の合計3本で、不思議な生物「ピクミン」が大きくクローズアップされ、ゲームとはまた違った「ピクミン」の生活が見られる。映像は現在のところ公開されていないが、近日ニンテンドー3DS向けに配信される予定。

【ピクミン ショートムービー】
ピクミンが活躍する「ピクミン ショートムービー」は今後ニンテンドー3DS用に配信予定。「ピクミン」ファンは乞うご期待!

宮本流絵コンテは「うごメモ」で! 「ピクミン3」と同時に制作

任天堂ゲームプロデューサーの宮本茂氏
宮本氏のTシャツはもちろんピクミン!
ドワンゴ代表取締役会長の川上量生氏

 トークイベントに登場したのは、映像を手がけた任天堂ゲームプロデューサーの宮本茂氏と、ドワンゴ代表取締役会長の川上量生氏。

 宮本氏によれば、任天堂のゲームキャラクターを映像化するという話はこれまで何度も話があったというが、「インタラクティブなゲームと、映像で観客を説得する作品とは全く違うもの」という理由と、映像作品化にあたって「キャラクターに関して色々な説明や設定が加わると、後々のゲーム制作に制限がかかってしまうのが嫌」という理由から、そもそも映像化には興味がなかったのだという。

 しかし「ピクミン」に関してはゲーム内でも小さいキャラクターとして扱われていて、本当は色々な仕草をしているのに、画面を拡大しないと見てもらえないという不満があった。そこでもっとキャラクターに注目してもらうために、アニメーションを作ったほうがいいと思ったという。

 「ピクミン」のアニメーションは、「4コマ漫画のようなショートコント」をたくさん作るのが向いていると考え、さらにニンテンドー3DS用に3Dアニメーションとして制作することを決めた。映像のほとんどはCGアニメの制作会社によって作られているが、宮本氏はアニメーションの基となる絵コンテを作るため、ニンテンドー3DSの機能「うごメモ」を使用して制作会社に提案していったとした。

 映像は「ピクミン3」と同時に制作されていったそうで、E3 2012の「Nintendo All-Access Presentation @ E3 2012」で上映されたオープニングムービー(楽屋で待機、登壇するまでの宮本氏の周りをピクミンが遊び回るというもの)でのアニメーションもプロジェクトの成果の1つだという。

 他にもアニメーション制作の刺激によって「自分の周りにピクミンがいっぱいいる」状態を作り出したくなったとし、実写映像に動くピクミンを貼り付けて遊ぶ「動画シール」や、ピクミンと遊べるニンテンドープリペイドカードのおまけ「いっしょにフォト」が作られた。

実写映画「スーパーマリオ 魔界帝国の女神」は、「面白かった」

映像作品の次回作も決して後ろ向きではないとのこと。「『うごメモ』で絵コンテを募集しようかな」(宮本氏)

 映像のテーマは、「親子で見られて楽しく、親も思わず入り込むもの」。当初の予定では3分の映像を10本作ることを想定していたそうだが、1本目を3分で作った後、場面的に寂しかったところを補強したり1ネタ入れたりなどを繰り返す内、2本目が8分、3本目が13分と長くなっていった。

 特に3本目は「ゲームでできないことをしたい」という思いが入っており、最大500匹のピクミンを映像内で登場させたり、泥まみれのピクミン、群れているピクミンなどを表現するため、絵コンテを伸ばしていって「気付いたら10分を超えていた」とした。ちなみにピクミンのモデリングのベースはゲームのものを使っているが、「最新のゲームの10倍」の精緻なグラフィックスが必要ということで、ほとんどが映像用に作られたものだそうだ。

 映像は国際的に配信することを想定し、言葉をなくしたほか、「あわよくば日本文化を世界に送り出す」狙いで“ラムネの瓶”や漢字を映像内に入れている。また制作のポイントは「ギャグをどれだけ大胆にするか」だそうで、「ゲームでは無茶なことをすると遊ぶ側が付いて来れないが、映像作品の場合はかなり大胆にしないと驚きがない」とした。

 映像作品繋がりということで、川上氏から実写映画「スーパーマリオ 魔界帝国の女神」についてどう思っているかを聞かれると、「ああして扱ってもらって面白かったな」と宮本氏は回答した。実際のところ、脚本を見た当初は「子供の頃に見たディズニー映画のような心温まるもの」だったが、脚本を重ねる内に全く違う映画になってしまったのだという。ただし「実写にするとこういう解釈もあるというのが面白かった」とし、ゲームではない作品だからこそ「違う解釈で作られるのは面白いと思う」と感想を述べた。

 「ピクミン ショートムービー」の配信時期についてはまだ明かせないそうだが、3本のショートムービーのほか、TOHOシネマズの映画上映で流れるロゴムービーなど様々なコンテンツがセットになって配信される予定だという。またあわせて、「ピクミン3」の体験版も準備しているそうで、宮本氏は「映像を入り口に『ピクミン』を遊んだり、『ピクミン』を遊んでいる人に見たりしてほしい」と語った。

(安田俊亮)