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オンライン海戦ストラテジー「World of Warships」試遊レポート

Wargaming.netらしいこだわりと、とっつきやすさが両立した新たな海戦ゲーム

9月18日~21日 開催(一般公開日 20日~21日)

会場:幕張メッセ1~9ホール

入場料:

前売り 1,000円

当日 1,200円

小学生以下無料

 昨年に引き続き、今年も大きなブースを展開しているウォーゲーミングジャパン。お馴染みの「World of Tanks」をはじめ、Xbox 360版の「World of Tanks Xbox : 360 Edition」や、3ヵ月前にローンチを迎えたばかりの「World of Tanks Blitz」が出展されている。昨年の目玉タイトルは「World of Tanks: Xbox 360 Edition」だったが、今年はオンライン海戦ストラテジー「World of Warships」だ。

 現在は世界で5000人、日本だけでは500人のテスター以外はまだプレイできていない本作が、今年の東京ゲームショウでは遂にプレイアブル出展された。筆者も早速プレイしてきたのでそのインプレッションをお届けする。

「World of Tanks」に採用されているUIとほぼ同じインターフェース。説明を見て少し触れば直感的にプレイできるだろう

 現在のところ実装されているのは日本軍、アメリカ軍の艦船で、試遊時点で選択できたのは「オマハ」、「峰風」、「金剛」、「長門」、「吹雪」の5艦。艦載機の有無や、魚雷などの武装はもちろんのこと、航行速度や装甲の厚さなどのパラメーターが史実のスペックを元に再現されている。

 艦船の選択画面では海に浮かんでいる艦にカメラを近づけたり離れたり、視点をグルグルと回転させたりと、ありとあらゆる方向から艦船を眺められる。ちなみに限界までカメラを近づけて見てみるとわかるが、かなりの細部まで表現されており、甲板上の細かな構造物から、錆びかかっている塗装までリアルに再現されている。これだけでも精巧なプラモデルを眺めているようで楽しい。

 今回のデモプレイは5人で艦隊を組んでプレイするので、揃った全プレーヤーが操作する船を選択し、試合開始ボタンをクリックするとミッションが始まる。

 今回の東京ゲームショウでプレイできるのは、敵艦隊に襲われている「戦艦大和」を護衛するという、コンピューターを相手に戦うPvEミッションだ。

 ミッションがスタートするとミッションの背景を説明するムービーシーンからスタートした。このムービーが偵察機の無線による交信で状況を説明するなど、危機感迫る演出が戦争映画さながらの出来で、ゲーム開始前から気分を盛り上げてくれる。

 ムービーが終わるとゲームスタートだ。操作は直感的でWキーで加速、Sキーで原則、Aキーで取舵(左に曲がる)、Dキーで面舵(右に曲がる)という設定になっている。要するにFPS/TPSによく採用されている操作形態だ。強いて異なる点を挙げるとするならばQキーで取舵を切り続け、Eキーで面舵を切り続けるというキーがある点だろうか。

 操舵には自動操舵という方法もあり、マップ画面を開き移動したいポイントを設定することで自動的に操舵してくれるというシステムもある。いくつか通過ポイントも設定できるので、島に隠れるように大回りしながら敵艦隊の裏に回り込むといった事も可能だ。

 通常時は砲塔を斜め上から見下ろすような視点になっている。マウスのホイールを回転させると照準のズームイン/アウトが調整でき、ズームインの途中でスコープを覗いたような狙いやすい画面になる。艦船同士の戦闘ということでマップのスケールはかなり広いので、遠くの艦を狙う時は思い切りズームを、逆に「こちらに向かってくる魚雷を避けたい」というシーンであればズームアウトして艦船全体を画面に入るようにする必要があるだろう。

 画面に表示されるUIは「World of Tanks」を踏襲している印象だ。左下に艦船の状態や向き、砲塔の向いている方向が表示されており、右下にはマップが表示されている。操作方法も含め、Wargaming.netの各タイトルをプレイしたことがあれば直感的にプレイできる印象だ。ただUIについてはまだテスト段階とのことで、最終的には変更になる可能性もある。

 基本操作を習得したところで早速ゲームプレイに入る。筆者は最初「『World of Tanks』の戦車を艦船に置き換えたゲームで、ゲーム性はあまり変わらないだろう」という先入観を抱いていたのだが、良い意味でその考えを裏切られた。「World of Tanks」の面白いシステムを継承しつつ、“艦船同士の戦い”ならではの要素が加わった新しい感覚のゲームプレイだった。

 例えば「特定の部位が破損する」という要素は「World of Warships」にも継承されている。「World of Tanks」では履帯が破壊されたら動けなくなったり、弾薬庫が爆発するといった要素があったが、本作にもほぼ同様のシステムが導入されていた。また「徹甲弾」と「榴弾」を目的とシチュエーションにあわせて変更する、という要素も継承されている。

 逆に違う面はというと、まずフィールドの違いが挙げられる。艦船は戦車の何十倍も大きいので、必然的に戦場も広くなる。必然的に主砲から発射された弾が着弾するまでの時間は「World of Tanks」に比べると長くなる。つまり相手の動く先を予測して発車する“偏差射撃”が非常に重要になる。主砲より速度が遅い魚雷を使う際などは特にそれが顕著に現われる。更に慣性の法則も働き、自艦が動いていると砲弾の起動も随時変わるので……と高度な射撃技術が要求されるわけだ。

 またフィールドの違いという点では、もう1つ大きな違いが遮蔽物の少なさを感じた。今回プレイできたマップがたまたまだったのかもしれないが、島が点在する程度で殆ど遮蔽物がなかった。またフィールドが海なので斜面も存在しない。「World of Tanks」では斜面を使った稜線射撃や、建物を壁にして攻撃するといった戦い方ができたが、本作にはそのような戦略が使えない。今回は全員が初めてのプレイだったのでうまく連携は取れなかったが、味方の艦船と協力した立ち回りや、偵察機を使って相手の位置を早く視認することが重要になりそうだ。

 という感じで手探りながら敵艦隊を攻撃していると、「戦艦大和」が無事に逃げ切りゲームは終了した。プレイ時間は5分~10分の間程度だろうか。心地良い疲労感と達成感を得られるゲームプレイだった。

 Wargaming.netのタイトルらしいこだわりと、複雑になりすぎないゲームシステムの2点を両立し、艦船同士の戦いというスケールの大きなゲームプレイを楽しめる作品に仕上がっているように感じた。まだテスト中でこれからも調整は加えられていくとのことだが、個人的には充分な完成度に達していると感じられるレベルだった。

 今冬に今より規模の大きなテストを実施し、来年のサービスインを目標に現在開発が進んでいるという。更なる詳細や、デモプレイでは体験できなかった要素などについてもインタビューやこぼれ話で伺うことができたので、別記事でお伝えする予定だ。こちらも楽しみにしておいて欲しい。

【スクリーンショット】

(八橋亜機)