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【ChinaJoy 2014】“ゲーム性の弱い”サイバーエージェントのタイトルがユーザーを魅了する理由
Ameba事業本部ゲーム部門責任者・辻岡氏の語る“ガチャ”に注力した運営
(2014/8/2 09:40)
CGDC(China Game Developers Conference)での、サイバーエージェントグループAmeba事業本部ゲーム部門責任者の辻岡義立氏の講演は興味深いものだった。辻岡氏は、iOS/Android向けアクション「ウチの姫さまがいちばんカワイイ」とiOS/Android向けカードバトルRPG「戦国炎舞 -KIZNA-」という2つのタイトルを例に出し、サイバーエージェントの“成功に導くゲーム運用”のノウハウを語った。
辻岡氏は冒頭で、サイバーエージェントは「進撃のバハムート」や「ガールフレンド(仮)」など、ブラウザカードゲームに注力しており、このために他社に比べダウンロードしたソフトを使う“ネイティブアプリ”で遅れをとってしまったと語った。サイバーエージェントもネイティブアプリ中心になっているが、どちらかと言えば、ゲームの開発力は弱く、それを運営の力でフォローしてきたという。
「戦国炎舞 -KIZNA-」はブラウザとネイティブアプリのハイブリットゲームで、ゲームの設計としては多少古さを感じさせるカードバトルRPGだ。2012年には人気を集めたカードバトルゲームは、現在ほとんどがランキングの順位を落としている。その中で「戦国炎舞 -KIZNA-」は上位ランキングに名を連ねている。好評を得ている理由は運営にある。「強くなりたいという欲求を高め続ける」、「中上位社者のモチベーションを維持させる」この2つが鍵だと辻岡氏は語った。
「戦国炎舞 -KIZNA-」の目玉は仲間と共に20対20のチームを組み、リアルタイムで戦う「合戦」だ。他のタイトルにも入っているものだが、“マッチング精度”、“仲間意識とランキング”に他のタイトル以上の楽しさがあるという。実力がほぼ同じチームへと振り分けるマッチングは過去の戦績まで参照することで、前回落手だったっばあいは苦戦するかもしれないチームに入れるなどこだわっているという。
さらに、チーム内のランキングを表示することで自分がチームのどのくらい場所に位置しているかがわかることで、勝利にどのくらい貢献できているかがわかる。さらに無課金ユーザーに豪華な特典を与えることで強くなりやすくなっており、ゲームを続けたくなるようにしている。
「中上位社者のモチベーションを維持させる」のが、新機能、イベントを月7回という頻度で行なっている。また課金ガチャには演出に様々な変化をつけることで、ガチャをやりたくなる。この頻度は他のタイトル以上のもので、この“真新しさ”が他のタイトルににはない継続する楽しさを生み出している。実際、「戦国炎舞 -KIZNA-」は課金ユーザーの単価が高めで、熱意を持ってプレイしているユーザーが多いとのことだ。
次に辻岡氏は「ウチの姫さまがいちばんカワイイ」の運営での工夫を語った。ゲームとしてはカエルを引っ張って飛ばし、画面内の敵をぶつけて倒すアクションパズルで、ガチャで得られる“姫”をコレクションするのが楽しいタイトルとなっている。このゲームはスタートしてから5カ月ほどはランキング圏外の位置にいたのだが、そこから急上昇し、今でも高い位置をキープしているという。
月の売り上げは右肩上がりだが、実は月ごとの売り上げが上下する波がある。これは人気のある“姫”がガチャに出ると、売り上げが跳ね上がるというのだ。姫の魅力を増す、それこそが現在の好評を得た秘密だという。姫にストーリーを持たせ、ゲーム性と結びつけ、ガチャを中心とした新要素を追加し、カードの枚数を増やした。
「ウチの姫さまがいちばんカワイイ」では「期間限定のガチャ」が2~3日で新しいものが出る。毎回新カードが追加されるのではなく、「巨乳の姫が多いガチャ」、「絶対領域がチャームポイントな姫のガチャ」など、姫のカードの特徴に合わせたガチャを用意するなどの工夫も行なっている。自分が欲しい姫が手に入りやすい環境を作ることで、人気を獲得している。特に月の初めは人気の高い姫を投入することも心がけているという。
「我々サイバーエージェントグループはまだまだゲーム自体の深みがある作品が現状では多いので、ガチャとイベントのスキームを高速回転で回すことで、ユーザーを飽きさせない工夫をしています」と辻岡氏は語った。辻岡氏は最後に、「ウチの姫さまがいちばんカワイイ」は中国の空中網と組んで、サービスを行っていくことを発表した。台湾や韓国、香港などでも展開するという。さらに海外のゲームを日本に紹介する希望も持っていることを中国の受講者にアピールし、講演を終えた。