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【E3 2014】「MURDERED 魂の呼ぶ声」英語版の試遊台で先行体験

生と死の間にある世界で、真実を追い求める本格アドベンチャー

6月10日~6月12日開催(現地時間)



会場:Los Angeles Convention Center

 E3のSQUARE ENIXブースでは、北米で6月3日に発売された「MURDERED 魂の呼ぶ声」の試遊台が出展されていた。本作は日本では7月17日に発売となる。試遊台では本作の序盤を体験することができた。英語版であるが、日本版の発売に先がけ、感触をレポートしたい。

 「MURDERED 魂の呼ぶ声」は、ゴーストとなった刑事が自分を殺した犯人を捜すというアドベンチャーである。ゴーストが闊歩する生と死の間にある奇妙な世界の描写や、現実世界に直接アクセスできないもどかしさの中で1つ1つ情報を集めていく捜査、懐かしさも感じられるアドベンチャーゲームのスタイルなど、独特の魅力を持つ作品だ。会場では開発者と話もできたので、開発者オススメの要素も合わせて紹介したい。

1つ1つ情報を集めることで見えてくる大きな謎。ゴーストの描写にも注目

試遊台でゲームをプレイできた
連続殺人犯ベルキラー。ロナンを手にかけた犯人だ
幽霊のロナンは、物に触れない
フィールドを歩き回り情報を集める

 「MURDERED 魂の呼ぶ声」はセイラム市警の刑事・ロナンが高い場所から落下するシーンから始まる。彼は落下の衝撃に自分が身体から離れ、“幽体離脱”をしていることに気づき、必死に身体に戻ろうとするのだが、彼を突き落とした男は、瀕死のロナンの身体に銃弾を撃ち込みとどめを刺す。こうしてゴーストになったロナンは、自分を殺した男を追うことになる。

 ゴーストは他の人には見えないし、物を触ることもできない。その状況の中、ロナンは情報を1つ1つ収集していく。ロナンは生きている人間に憑依することができ、彼らの心の声が聞ける。近づいて憑依することで様々な選択肢が出て、彼らが調べた情報や、想いを集めていき、自分の欲しい情報を収集していくのである。

 最初、ロナンは自分が殺害された現場で聞き取り調査や、現場検証している警官達に憑依して情報を収集していく。ゴーストとなるという感触は新鮮で、自分を全く無視する人々の間を自由に闊歩するのは面白い。ゲーム的には反応する選択肢を探して様々なことを試すという、懐かしい感じのアドベンチャーゲームの手法なのが楽しい。時にはかなり回り道になってしまうが、うまく情報を見つけた時の達成感は大きい。

 また、現実と重なってロナンたちのいる、現世とあの世の狭間、“ダスク”にある物が見えるのが面白い。現代の街の中に、灰色の首釣り台が見えたり、ゴーストとなった人がうずくまっていたりする。時が止まったような部屋の一角があったり、ゴーストから依頼を受けたりもする。ひょっとしたら目に見える現実の世界も、視点を変えるといろいろな物が見えてくるんじゃないかと思わせる要素だ。

 必要な情報を得たロナンは自分が落ちた建物を調査しにいくのだが、ここで「悪霊」に遭遇する。ゴーストをとらえる異形の存在でつかまるとゲームオーバーになる。フィールドにはすでに意識を持たないゴーストの残留思念のようなポイントがあり、ロナンはここに隠れることで悪霊の背後をとることで彼らを攻撃し消滅させることができる。戦闘中心のゲームではないが、ステルスアクションの要素も盛り込まれている。悪霊は逃げてやり過ごすことも可能だ。

 今回体験した部分では、古典的なアドベンチャーゲームを思い出させる“証拠集め”が特に楽しかった。見つからない場合は同じフィールドで探し回ることになるのだが、この試行錯誤とリズムはアリだと思う。そして情報を集めていくことで様々な事実が明らかになり、物語が膨らんでくる。謎を追う課程でさらなる謎が提示され、そして大きな秘密がその姿を見せてくる。推理ものならではの興奮が感じられた。

 「MURDERED 魂の呼ぶ声」はゴーストの描写が面白い。現実の人々に認識されない存在。すでに実在感を失っているものもいれば、遂げられない想いを抱え込んでいるものもいる。“物のゴースト”ともいうべき存在など、謎を提示する要素もたっぷりだ。

 本作はクリエイティブディレクターに「キングダム ハーツ」などを手がけた塩川洋介氏が参加しているなど、日米のクリエイターが参加して制作された。今回話を聞くことができたのも日本人スタッフだったのだが、“ゴースト”という存在に関しては、「足の方が透けている」など、共通する認識が多くて驚いたという。唯一、“物に憑依する”というところは欧米の感覚では共感が得られなかったとのこと。本作のゴーストの描写に関してはいろいろ議論していったという。

 ゲームはメインストーリーだけでなく、サブストーリー要素も多く盛り込まれていて、いろいろな事実が明らかになる。開発者としてはぜひ本作に盛り込まれたストーリーをできるだけ多く楽しんで欲しいとのことだ。また、お気に入りのシーンは冒頭部分で、端的にロナンがどういう過去を持ち、どういう人間だったかをプレーヤーに提示でき、かつ様々な謎も提示できている。かなりうまくいったんじゃないかと自負しているところがあるという。確かに、ぐぐっと引き込まれる演出である。

 「MURDERED 魂の呼ぶ声」の日本語版はロナンを声優の山寺宏一さんが演じている。現実とゴーストの世界が交差する独特の世界をどう表現するか? 音楽やグラフィックスと共に、“声”でも注目である。夏の時期にゴーストをテーマにした作品が出るという季節感も面白い。ぜひ日本語版でより深く本作を楽しみたい。今回、序盤をプレイしたことで、発売が楽しみになった。

(勝田哲也)