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日本AMDとスクエニ、「REBORN of Athlon & Sempron」開催

「ドラゴンクエストX」齊藤プロデューサーがゲスト出演

4月20日開催

会場:UDX GALLERY Type S

日本AMDの森本竜英氏

日本AMDは4月20日、秋葉原 UDX GALLERYにて、スクウェア・エニックスとの共同企画イベント「REBORN of Athlon & Sempron」を開催した。

 「REBORN of Athlon & Sempron」は、AMDの新型APU「Kabini(カビーニ)」とPCメーカーによる搭載モデルの発売を記念したもの。日本AMDの森本竜英氏は、冒頭の挨拶に続けて4月9日に発売されたばかりの「Kabini」を紹介。

 森本氏は、「Kabini」がカテゴライズされるSoC(System on a Chip)市場について「非常にローコストで場所を選ばないものが求められている。特に、ラテンアメリカ、東南アジア、EMEA(ヨーロッパ、中東、アフリカ)で重要なポジションを占め、今も成長中」と説明。一方、従来型SoCの問題点として「主だった製品がプロセッサをマザーボードに直付けしたBGAでアップグレード不可。年々重くなるWebブラウズなどコンピューティングパワーの不足。インストールOSなど限定された機能」を挙げる。

 これらに対するAMDの回答が、新プラットフォーム「AM1」と、往年のPCユーザーにはなじみ深い「Athlon」、「Sempron」の名を冠したプロセッサの復活。森本氏は「SoCに新たな選択肢を加えようというのが我々の試み。AMDが強かった時代を象徴する“代名詞”ブランド。これをリローンチする形で進めてきた」と説明する。

 ノートPCで好評を博した「Kabini」を、アップグレードが可能になるようソケット化。プロセッサーコアは、PlayStation 4やXbox ONEに採用された「Jagua」を最大4コア搭載。メモリはDDR3-1600(最大16GB)をサポート。グラフィックコアは最新アーキテクチャGCN(Graphics Core Next)に対応。拡張ポートはSATA 6GBps×2、USB3.0×2/USB 2.0×8、Display Port、HDMI、DVI、VGAをサポート。TDP(Thermal Design Power:熱設計電力)は25W。バリュー向けながら高いパフォーマンスを実現する「Kabini」。森本氏は、ライバル製品と比較したベンチマークを紹介。アプリケーションやゲームなど、いずれも圧倒的な優位性を示して見せた。

 製品ラインナップは「Athron(5350、5150)」、「Sempron(3850、2650)」の4種類。プロセッサコア数は「Sempron 2650(2コア)」をのぞきすべて4コア。最上位の「Athlon 5350」と2011年に発売されたAPU「E350(プロセッサコア:bobcat)」では、シングルコアで約2倍、マルチコアで約4倍のパフォーマンスアップを実現しているという。

森本氏が「Kabini」の特徴とライバル製品に対する優位性をプレゼン。「Athlon」と「Sempron」両ブランドの復活に、約10年前の熱き日々を想い起こすPCユーザーも多いことあろう

パートナー4社がAM1対応製品をプレゼン

 日本AMDの森本氏に続いては、日本ギガバイトマスターシード(ASRock)ASUSMSIが、それぞれAM1対応製品のプレゼンテーションを行った。

マスターシード(ASRock)

AM1B-M
AM1B-ITX
AM1H-ITX
・AM1B-MDH(近日発売予定)

ASUS

AM1M-A
AM1I-A

【担当広報氏による自作機およびベンチマーク】
前日23時まで、アクリル板(368円)、ネジ(30円)×4本、「本当はアクリルを使いたかったが加工する時間がなくて」100円ショップの透明下敷きで自作したという超コストパフォーマンス機。プレゼンに使用されたベンチは本機を使用。ビデオカードは「作成時、自宅にこれしかなかったから」とのこと

MSI

AM1I
・MSI M12T
MSI 2014 GXシリーズ

AMDコーパス氏が「GAMING EVOLVED」概要を説明

リッチー・コーパス氏

 パートナー各社に続いては、AMDでソフトウェアアライアンス統括責任者を務めるリッチー・コーパス氏が「AMD GAMING EVOLVED」概要をプレゼン。

 コーパス氏によれば、PCゲーマーに対するAMDのコミットは「改革」、「標準規格」、「開発」の“3本柱”で成り立っているといい「最終的にはゲーマーに大きな価値をもたらしたい。これらの取り組みを介して、AMDの技術をよりよく使ってもらいたい。ゲーム業界の繁栄に貢献すべく、プラットフォームを問わず、技術などのサポートを積極的におこなっていきたい」とコメント。

 同社が掲げる「UNIFIED GAMING STRATEGY(統合されたゲーム戦略)」は、4本柱(CLIENT、CLOUD、CONSOLE、CONTENT)こと4つの事業戦略で成り立っていると表現。エンジニアリングだけでなく、マーケティングなどさまざまなレベルで協力。これにGPUを直接的に扱える最新API「Mantle」が加わることで、AMDの最新技術をより包括的に活用できるという。

 マーケティング活動のサポート例で紹介されたのが、バンドルプログラム「GAMING EVOLVED」。本プログラムは、購入製品により「GOLD(Radeon R9 295X2 / 290シリーズ / 280 Series)」、「Silver(Radeon R9 270シリーズ & R7 260 シリーズ)」、「Bronze(Radeon R7 250X / 250 / 240)」の3階層にわかれ、それぞれクーポンが付随される。もし獲得したクーポンで欲しいコンテンツがないときは、有効期間中であれば後日追加されるものにとっておいてもよく、最新情報は随時追加していくとしている。

コーパス氏とDQXプロデューサー齊藤氏によるトークセッション ~AMD製品に「ドラゴンクエストX」がバンドル!?

齊藤陽介氏

 イベントの最後は、コーパス氏と「ドラゴンクエストX」プロデューサーの齊藤陽介氏によるトークセッション。「『ドラゴンクエストX』を遊んだことがない人はいますか?」と来場者に問いかけた齊藤氏。イベントの内容的に「大半がユーザーじゃないのかな」と思った筆者だが、意外なことに結構な来場者が挙手。これを見て一瞬うれしそうな顔をした齊藤氏だが、この理由は後に判明することになる。

 「ドラゴンクエストX」の魅力についてきかれた齊藤氏は「ナンバリングタイトルとして初のMMORPG。アストルティアという世界で、日本の皆さんが一緒に遊べるところが1番の魅力」と説明。苦労した点については「『ドラゴンクエスト』はこういうものだよね、っていうところで、コマンドのわかりやすさ、画面のシンプルさ。そのかわり、ちゃんと情報が伝わるような作り。堀井(雄二氏)さんともお話するんですけど、どうしても機能を優先しがち。『ドラゴンクエスト』のUIは、なるべく使いやすいよりも“わかりやすい”ようにしたい。MMORPGは遊べる要素が急激に増えていくので、それを既存の『ドラゴンクエスト』UIにおさめるのに1番苦労する」という。

 サービスが日本のみとなっているため、まだ本格的にプレイしたことがないというコーパス氏。同僚がプレイしている様子を肩越しに眺めていたとき「印象的だったのは音楽。素晴らしい。これほどに感動的に音楽を活用しているゲームは、そうそうないのではないか」とコメント。

 PCで「ドラゴンクエストX」をプレイするメリットについてきかれたコーパス氏は「柔軟性が大きな要素。いつどういうとき、どんな場でゲームを楽しむのか。自由に選べる柔軟性は大きいのではないでしょうか」とコメント。齊藤氏は「2台使っている。『WORLD OF WARCRAFT』向けに購入した比較的ハイスペックなデスクトップと持ち運び用のノートPCの両方。ノートPCは出張先で遊ぶのにありがたい」とコメント。

 「ドラゴンクエスト」ファンになにか嬉しい情報はないか? ときかれたコーパス氏。やや逡巡した様子を見せつつも、特別なキャンペーンを行なう予定があるとコメント(後ほど補足があり「ドラゴンクエストX」がバンドルされる可能性が示唆された)。詳細は後日となったが、齊藤氏は「『ドラゴンクエストX』を遊ばれていない方には、いい話だなと思いますね」といい「kabiniでより快適に遊べるようになること。また、ハンドヘルドなどより小型のPCなどが出てくると、よりお客様の手に届きやすくなるのではないか」とAMDに対しての期待を述べた。

 トークセッションの最後に、「ドラゴンクエストX」に関するユーザーの質問コーナーが設けられた。ユーザー間の対戦要素についてきかれると「現状、コロシアムと呼ばれる場所がある。そこはまさにPVP。バランスのチューニングが結構大変で、現状はプレオープン運用。もう少しすると、ある程度の要素が見えてくる。恐らく……遠くない未来に正式オープンできるはず。正式オープンは、いい結果に対して報酬を用意することは考えている」と説明。

 「サーバーにひとつなど、あらかじめ数が決まっているアイテムなどはないか? 先に見つけた人が自分のものにでき、冒険を起こすためのアイテム。あるいは『ドラクエ』でいえばルビスの剣が1本しかなくて、これがあれば10人に囲まれても瞬殺できるくらいのレベル」ときかれると「凄く夢がある話だと思う。開発の過程で、そういう話がでなかったわけではない。『世界に勇者がひとりしかおらず、30日間だけ勇者になれるアイテムがあったらいいね』といったアイデアが開発から出たこともある。ただ『ドラゴンクエストX』はサーバー間の自由移動など利便性を考慮して全キャラクターが同じデータベース上で管理されている。つまり、概念的にワールドがない。どこでも好きなところで遊べる。その状態で“ひとつしかないモノ”をやってしまうと、より混沌としてしまう。現状の遊びのなかでは時期尚早というか、先々入らないかもしれない。今のところありませんが、非常に夢がある仕様かな、と思います」と丁寧に説明。

 「12月にドライバを更新したら、ベンチマークのスコアが1.5倍くらいにあがった。何をやったのか? これは次世代機を見据えた何かがあるのか?」ときかれると「本当はテクニカルディレクターの青山を連れてきたい話なんですけど」と前置きしつつ「私から説明できる話としては、今回の話も含めてAMDのエンジニアさんに凄くご協力いただき、AMDのAPUにあわせたチューニングをここ数カ月やってきた。私たちもビックリしたが、1.5倍くらいスピードが出るようになった。ベンチマークの評価をモンスターで出しているが、このままいくと全部“はぐれメタル”になるんじゃないかというくらい性能向上にご協力いただいた」と説明。
 最後の挨拶で齊藤氏は「今日凄く良かったのは、まだ遊んでいないお客様も結構いらっしゃった。ぜひこの機会に遊んでいただきたいな、と思います。(来場者に向かって)あの、面白いですよね、遊んでる方? ね? 面白いですよね? ぜひよろしくおねがいいたします」とコメント。Wii、Wii U、PC、dゲームと対応プラットフォームを広げてきた齊藤氏。今回示唆されたAMD製品バンドルの可能性は、冒頭にもあった「未体験ユーザーとの接点を広げたい」という願いと見事に合致するもの。後日の詳細発表に期待したい。

最後は豪華グッズがもらえるじゃんけん大会。スクウェア・エニックスからは「ドラゴンクエスト10」非売品トートバッグ、AMDからはTシャツ、システム手帳、LEDウォッチ、APU(!)が提供され、大盛り上がりとなった

協賛メーカーによる実機デモ展示



(豊臣和孝)