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SCEI、プレイステーション 4の冷却設計について公開

豊富な図解と数値で、騒音などについても言及

1月15日〜17日 開催

会場:東京ビッグサイト

PS2から開発に関わりPS3、PS4と開発を担当してきた鳳 康宏氏がプレゼンテーションを行なった
最後には鳳 康宏氏の設計理念も披露。「基本に忠実に」と言うのが重要だという

 ソニー・コンピュータエンタテインメントは1月16日、リード エグジビション ジャパン主催による展示会「第43回 インターネプコン ジャパン -エレクトロニクス 製造・実装技術展-」の「設計・開発 特別セミナー」において、プレイステーション 4の冷却設計についての講演を行なった。

 発表を担当したのは鳳 康宏氏で、プレイステーション 2から開発に関わり、PSX、プレイステーション 3などの開発を手がけ、現在は据え置き機のメカ設計チームを統括している。

 プレゼンテーションは、第1世代のPS2の設計から始まり、PS3、PS4の冷却に関する設計思想、さらには製造風景の写真なども公開された。鳳氏によれば、設計するときに単純な熱効率だけでなく、大量生産性、組立てやすいかどうかといったこと、材料が入手しやすいかも重要な要素のひとつだという。シュリンクするときもヒートパイプの本数を減らしたり、ヒートシンクの成型しやすくするといった工夫も行なわれている。また、クーラーなどで開発された技術などをうまく参考にしながら、空気の動きを作り出していく。

 PS3の初期型において電源を内蔵した理由としては、電源を分離すると電源にファンをつける必要があり、埃のことを考えると「ファンをつける勇気はない(鳳氏談)」と言うことから、電源を内蔵するようにしているという。

 PS4の冷却システムについては、PS3を踏襲しながら機内エアフローを最適化している。フロントとサイドの溝の上下から吸気し、排気はリア側に集中。リアは排気とコネクタ類しか配置されていない。また細かいところでは、ファンを台形にすることでノイズの低減を実現したり、ファンのモーターにはPS3では単相モーターが使われていたが、高価な部材だが三相モーターを使用することで電磁ノイズを低減するなど様々な工夫がされている。

 ファンの制御についてはハードとソフトの両面から管理されており、PS4では新たに排気温度センサーを搭載し、APUの温度と排気の温度の両方の値からより厳しい方の値を採用し、ファン制御を行なう方式を採用している。

 数値的に見ると、PS4の使用空気1リットルあたりの熱輸送量は、PS3の初期型程度と言うことで、APUの性能などから考えると優秀な値となっている。騒音値で言えば、ゲームプレイ時はPS3の初期モデルを下回り、PS3の現在のモデルと同等、メニュー画面で言えばPS3 の現在のモデル以下となっている。

鳳氏の経歴。鳳氏は苦労した点として、超大量生産の実現、維持が最も大変であるとした
PS2の最初期モデル。熱処理能力は約80Wで、当時としてはかなり高い値だったとか
PS2もシュリンクが進み、様々な工夫が行なわれ冷却系も変わっていった
Ver.Kでは電源を外部に出した
PS3の初期モデル。下半分はファンということで、鳳氏によれば「とにかく冷やす」ことが目的だったという
PS3の初期モデルのヒートシンクの構造
ヒートシンクの製造工程
ヒートシンクの製造は大変だったという
PS3でもモデルチェンジを繰り返し冷却系の見直しも行なわれた。ヒートパイプの削減などを経て、最終的には押し出し材になっている
PS3のVer.G。高性能ヒートシンクを使い、少ない空気で冷却することを目的として製作された
PS3 Ver.Gのヒートシンク
PS3の現在のモデルとなるVer.N。低負荷時の流量を向上させ静音化を達成している。高負荷時はファンの高速回転で対応。圧縮流路の設計にあたっては、アンモナイトなど自然のらせん構造を参考に対数らせんの圧縮流路を採用
PS4の基本配置。PS3のVer.Nと基本的には同じ
PS4の基本仕様
PS4の吸気と排気の構造
PS4のエアフロー。PS3のVer.Nのエアフローをベースにしながらも、機内エアフローを最適化している
PS4の冷却の順路
正圧と負圧のエリアをきちんと分離しておかないと、冷却効率が落ちる
PS3の初期型でも、機内圧力隔壁としてスポンジを使い念入りに行なわれていたという
PS3ではバージョンを重ねることで設計を見直し、正圧エリアを隔離することになった
電源ユニットの排気口を露出することで直接外気に排気。仕切り部材などを削減することも同時に達成できた
PS4でも、機内圧力隔壁のシステムを採用
初期型PS3の冷却シーケンス
PS3のVer.G以降の冷却シーケンス。PS4ではこの方法を踏襲している
PS4のヒートパイプは2本
PS4のヒートシンクでは、低速域と高速域でフィンピッチを変え、効率的な冷却を行なっている
ファンの選択基準となる特性マップ
ファンを台形にすることでノイズの低減を実現
部分的にシミュレーションを行ない、インペラ形状をPS4に最適化し流量のアップが図られた
高価な部材だが、今回プレイステーションシリーズで初めて三相モーターが使用された
PS2/PS3のファン制御の基本的な考え方。温度センサーからの数値を元にファンを制御していく
PS4でのファン制御はPID制御。的確にファンの回転数を制御する
PS4では、APUだけでなく排気温度センサーで外装温度も計測
モデル別熱密度。セット体積1リットルあたりの熱処理能力
モデル別換気量。1秒あたりの空気流量
モデル別熱交換率。使用空気1リットルあたりの熱輸送量
モデル別吸排気口面積。吸気口と排気口の合計面積
モデル別空気抵抗。システムインピーダンス特性
モデル別騒音値
ゲームプレイ時の騒音値
モデル別ファン電力比
PS2を“1”とした場合の熱処理能力のコストパフォーマンス

(船津稔)