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【E3 2013】「MGSV」小島秀夫監督インタビュー

オープンワールドになった「MGSV」はどこへ向かうのか? “次世代のソーシャル”について言及

6月11日〜13日開催(現地時間)

会場:Los Angeles Convention Center

 「Xbox E3 Media Briefing」で最新トレーラーが公開されたコナミデジタルエンタテインメントの「METAL GEAR SOLID V THE PHANTOM PAIN」。トレーラーではスネークの姿を早送りを交えながら見せることによって、「MGS」がオープンワールドゲームとして帰ってきたことを大きくアピールしていた。

 次世代機用の大型タイトルとして世界から注目されている本作だが、今回コナミデジタルエンタテインメント 執行役員(EVP) 小島プロダクション監督の小島秀夫氏にインタビューを行なうことができた。

 オープンワールドになった「MGSV」はどこへ向かうのか? その先にある狙いまでを聞くことができた。

【"MGSV: The Phantom Pain" E3 2013 Trailer (Extended Director's Cut)】

作戦立ち上げから実行までをプレーヤーに委ねた“潜入のリアルシミュレーター”

コナミデジタルエンタテインメント 執行役員(EVP) 小島プロダクション監督の小島秀夫氏
オープンワールドになった「MGSV」。ストーリーやステルスミッションの進行にどのような影響があるのか、今後も注目していきたい

――今回掲げられたテーマには、「人種」と「復讐」というものがありました。いいイメージを持たない方もいると思いますが、こちらの意図は?

小島秀夫氏: 反戦、反核という動きで25年間やってきましたが、「メタルギアソリッド ピースウォーカー」では、抑止力としての核兵器を取るところで終わっていました。

 ではその先には何があるのかというと、あらゆる紛争の根っこに民族などの問題があり、報復の連鎖によってテロがあって。このテーマを扱っている以上、最終的にやらなくてはならないというところですね。それとハードの表現能力も上がってきたということもあります。

――国内のAAAタイトルを制作するパブリッシャーは減ってきています。それでも取り組む理由は?

小島氏: 好きだからというのが1番ですが(笑)、ゲームはテクノロジーに依存したメディアです。その広がりは縦にも横にもあって、特に技術面の場合は階段を上がるようなものです。一旦止めるといきなり2段ジャンプはできなくなってしまいます。ここでやっておかないと、その先はありえないということですね。

――海外での反響は?

小島氏: 10数年前に出した時は喜ばれたのですが、「メタルギアソリッド3」あたりから様相が変わってきましたね。今は海外のタイトルに販売本数も技術も負けています。ですが、今回の「MGSV」の“V”はVictoryのVです。世界に勝つというのを目指しています。

 と思っていたらUBISOFTさんの「DIVISION」を見て腰を抜かしました(笑)。

――今回オープンワールドにした理由は?

小島氏: 直線的なゲームは体験の範囲が限られていて、ある部分を通ったら爆発して、どういう仕掛けがあってと続いていくものです。これはお化け屋敷と一緒の仕組みなのですが、ゲームの強みというのは、他の人と違う体験ができるということだと考えています。

 本物の潜入というのは、建物と建物の位置関係や構造などを自分で調べて、そこまでの通路もヘリで行くのか、ジープで行くのか、誰とどういう兵器で行くのかというのを自分で決める必要があります。オープンワールドにすることでそういったことが可能になっていて、ゲームのルールを押し付けていません。

 例えば昼間は歩哨がたくさんいても、夜になるとほとんどいなかったりします。ただし周りは真っ暗になるのでライトを付ければ目立って、見つかります。ゲームだからというのではなくて、現実と同じような感覚で潜入するにはどうしたらいいのかを考え出していくような、潜入のリアルシミュレーターというようになっています。

――トレーラーには馬にも乗りながらのステルスもありましたが、他にはどのようなものが?

小島氏: これはまだ明かせません。ただ、トレーラーの中にはトラックに乗るシーンが登場していますが、走っているトラックはどこでも、どのように止めても構いません。トレーラーでは羊の群れが来て止まっていましたが、自分で何かしら邪魔して止めてもいいということです。

 そういう意味では本当の潜入になるので、トラックに乗ってからも決して安全ではないし、シビアで、気が抜けないものになっています。敵がいないところもあるので、そこではタバコを吸ったりできます(笑)。

――リアルタイムで天候も変わりますよね。

小島氏: 潜入に関する影響で言えば、例えば雨が降ると、燃えていたものが消えます。実世界でも普通に起こることが起きるようになります。

――オープンワールドになることで、ストーリーはどのように変化するのでしょう?

小島氏: 今回はテレビシリーズのように、色々なミッションをこなしていくようになります。中には本筋の物語には関係のないキャラクターに注目した話があったりして。1話、2話と続けていくうちに、最終的に1本の大きなストーリーになります。

――1984年のアフガンという舞台を選んだ理由は?

小島氏: これは「MGS3」の頃から狙っていました。「MGS3」が1964年、「MGS PW」が1974年と10年刻みできているので。それと、1984年は僕ら世代の時代なので。いいところもあれば悪いところもあります。

 また10代の子は生まれていないですよね。そこが新しく見えるかなと。舞台については、アフガンだけではありません。

――WEBラジオ「小島秀夫のヒデラジ」でマルチデバイス展開の話もされていましたが、具体的には何ができますか?

小島氏: 「MGS PW」があったので、アイデアは色々あります。実は、今回の売りはそっちなんですよ。入口はコアですが、その向こう側にマルチデバイス展開や次世代のソーシャル、そういう世界が待っています。

 例えば馬で走った時に、ある地点から他の地点までを「これだけの時間で走りました」、ということをSNSで紹介すると、それを基にレースゲームをしてもいいし、ビデオを録画したり、そういう広がりを持たせていきたいと思います。だからオープンワールドの必要がある、ということです。

 本当にできるかどうかは、できてから言います。それはタブレットなどの性能を見ながらですね。少し風呂敷を広げすぎかなと思いますが。

セイコーの時計「デジボーグ」とコラボ。「MGS」を超える何かが今後登場する?

アナログとデジタルの間のイメージとして、セイコーのデジボーグとコラボ
デジボーグは小島監督も装着していた

――今回はスネークのキャプチャーモデルにキーファー・サザーランドさんを起用して、リアルさの追求に1歩踏み込んだ印象がありますね。

小島氏: フォトリアルを目指していて、「画面を小さくすると写真に見える」というのをコンセプトにしています。石なども3Dキャプチャーで取り込んでいて、取り込むとすぐにエンジン上で出るようになっています。

 当初は取り込んだものをイメージに合ったものに変えていたのですが、そうすると塗ったようになり、何か作ったようなものになってしまう。去年の段階で悩みましたが、それを止めて、素材を活かした作り方にしましょう、となりました。

 その点で言うとキーファーもそのままの素材で行くべきなのですが、スネークは前からいるキャラクターなので、微妙なところなんですよ。

――現在の全体の進捗はいかがでしょう?

小島氏: 風呂敷を広げすぎてわかりません(笑)。発売はこの時期、というのは決まっていますが、今は言えません。なるべく早く出したいとは思っています。

――かなり長く遊べそうですね。

小島氏: ある程度の先へいくと、ずっと遊べます。FPSタイトルなどでは、オンライン対戦は置いておいて、5、6時間で遊んですぐ売ってしまうユーザーがいると思いますが、彼らがどう思うかですね。「MGSV」はオープンワールドなので単純に比べてはいけないのですが。

――オープンワールド形式になって苦労されている点は?

小島氏: すべてが苦労です(笑)。その点、「GTA」やUBISOFTタイトルはすごいですね。キャラクターはAIで動かさなくてはならないですし、乗り物もそれはそれで大変なんですよ。

 「FOXエンジン」は小島プロダクションが作って社内(KONAMI)の他のスタジオに提供するものですが、まず我々が最も制作が厳しいオープンワールド形式をやっています。なので、ほかのチームが直線的なゲームを作ればもっと綺麗に出ますよ。

――プレイステーション 4とXbox Oneの価格が出ましたが、いかがですか?

小島氏: PS4は思ったより安かったなと。

――ところで右腕にされている時計、トレーラーの中にも登場しましたよね?

小島氏: これはデジボーグといって、80年代に結構流行った時計です。「007 オクトパシー」でボンドが付けていたやつです。大学生の時に買って壊れていたのですが、直してもらいました。当時のアナログとデジタルの間のイメージとして、スネークが付けています。

――今後は、「MGS」を超える存在が控えているという話もありますが?

小島氏: あるんじゃないでしょうか。驚くか笑うかはわかりませんが(笑)。今の段階だとギャグになってしまっているので、修正します。

――では最後にユーザーにメッセージをお願いします。

小島氏: 世界の中で孤立しながら戦っているので、応援してね(笑)。

――応援しています! ありがとうございました。

(安田俊亮)