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ゲーミングPCレビュー「NEXTGEAR i830BA9-GW」

高速起動・読み込みのGAME Watch特別快速モデル

5月27日 発売予定

価格:129,990円(モニターは別売)

 少し前、筆者がGAME Watch編集部を訪れた際、編集長から「ゲーミングPCの企画アイデアが欲しい」と問われた。筆者は自身のこだわりと願望を込めて、「高速起動のゲーミングPCが欲しい。Fast BootとSSD Raid 0で、OSやゲームの起動が最高に速い奴を!」と答えた。

 PCゲームを遊ぶ際には、まずPCの電源を入れる。OSが立ち上がり、各種常駐ソフトが起動し終わり、HDDのカリカリという音が消えて安定するまで、下手をすると分単位の時間がかかる。さらにゲームソフトを起動すると、重いゲームではまた結構待たされることになる。

 「ゲームを遊びたいだけなのに、なぜこんなに待たされるのか!」。短気な筆者はこの待ち時間を短縮すべく、長年ハード・ソフトの両面で様々な改善を図ってきた。その甲斐あって今はとても快適なのだが、たまに出先で他人のPCを触ると、あまりの遅さに驚く。今ならさほどお金をかけず、快適な速さを実現できるのに――。

 ――と提案したら、本当にそんなPCが完成してしまった。マウスコンピューターのゲーミングPCブランド「G-Tune」の「NEXTGEAR i830」シリーズのカスタムモデル、「NEXTGEAR i830BA9-GW」だ。価格は129,990円で、BTOにも対応する。どんなPCに仕上がったのか、実物を見ながらご紹介したい。

【スペック】
CPUCore i7-3820
マザーボードインテル X79 Expressチップセット
メインメモリ8GB(PC3-12800 4GB×2)
ビデオカードNVIDIA GeForce GTX 650 1GB
SSDIntel 520シリーズ 120GB×2(Raid 0)
光学ドライブDVD±R 2層書き込み対応 22倍速DVDスーパーマルチ
電源ATX 700W
ケースNEXTGEARシリーズ オリジナル
OSWindows 8 64bit OEM
付属品G-Tune Accurate Keyboard、光学式マウス

※ モニターは別売り

Fast Bootとは?

UEFIの設定項目にFast Bootがある

 PC本体の話をする前に、今回の肝であるFast BootとSSD Raid 0の説明をしておきたい。まずFast Bootは読んで字のごとく、PCを高速に起動させるための仕組みだ。PCの起動時には、接続されたハードウェアの認識や、OSのデータ読み込みなど、様々なことが行なわれている。そこを最適化、あるいは一部を省略することで、より高速な起動を実現する。

 ただしFast Bootを利用するには、いくつかの条件がある。

1. マザーボードがUEFIに準拠していること

 UEFIとは、Unified Extensible Firmware Interfaceの略で、ハードウェアとOSの橋渡し役のような存在。従来はBIOSがその役目を果たしていたが、もはや古くなって現在のPCに合わなくなってきたため、現代的で多機能なUEFIへの置き換えが進んでいる。UEFIによる恩恵はいくつかあり、その中の1つがFast Bootだ。

2. ビデオカードがUEFIに準拠していること

 ゲーミングPCではビデオカードを別途搭載するのが基本だが、このビデオカードもUEFI準拠である必要がある。より具体的には、ビデオカードのBIOSがGOP(Graphic Output Protocol)をサポートしていることが条件となる。

3. OSがWindows 8 64bitであること

 厳密には、Windows 8 64bitをUEFI環境でインストールする必要がある。Windows 7でも僅かに高速化はされるようだが、Windows 8環境と比べると起動時間の差は大きく、高速起動を期待するならWindows 8 64bitは必須と言っていい。

 以上の3つを満たした環境で、Fast Bootを利用できる。もちろん本製品は、これらの条件を満たしたものだ。

SSD Raid 0とは?

単体でも高速なSSDを2基搭載

 SSDとは、Solid State Driveの略で、フラッシュメモリを使った記憶装置のこと。SDカードのすごい奴、と思ってもらえばいい。従来はHDDが使われていたが、SSDはそれより高速にデータをやり取りできるのが特徴。ただし価格はHDDより高価だ。ただ高価とは言っても、最近はかなり安くなっており、今回採用された120GBのSSDは、市価で約13,000円。2基積んでもそれほど驚く価格にはならない。

 Raid 0というのは、複数台のHDDやSSDを使ってデータのアクセス速度を向上させる技術だ。Raidは本来、データを複数のドライブに重複して保存することで、故障時にデータを守るものだった。しかしRaid 0では、データを重複することなく分散して保存する。このため1台でも故障すれば全データが失われるデメリットがある代わりに、理論上は2台なら2倍、3台なら3倍のアクセス速度を得られる。

 SSDの故障率については、HDDと比べるとモーターなどの可動部分がないという利点と、フラッシュメモリの書き換え回数限度という欠点がある。しかし後者の欠点については、一般的な用途であれば、10年使っても全く問題にならない程度の余裕がある。それ以外には機械的・電気的な故障はありえるが、それはHDDでも同様だ。信頼できるメーカーのSSDであれば、Raid 0でも故障のリスクは十分に低いと筆者は考えている。

 つまり本製品は、単品でもHDDより高速なSSDを2基使って、Raid 0でさらに倍の高速化を図ったスペシャル仕様、というわけだ。

本体の各パーツをチェック

独特かつ高級感もあるデザイン

 では本体を見ていこう。各パーツについても見ていくが、実際の製品では使用するパーツのメーカーまでは指定されていないので、実際の製品とは異なる場合があるのでご注意いただきたい。

 ケースはG-TuneのNEXTGEARシリーズで使われているミドルタワー型。ブラックの筐体に、兜のような意匠のフロントパネル。パネルを開くと光学ドライブにアクセスできる。また上部の前面にはくぼみがあり、マルチカードリーダーやUSB 3.0ポートなどを備えている。こちらはパネルを開くことなくアクセスできるので便利だ。

ケース上面にマルチカードリーダーやUSB 3.0ポートを搭載
背面上部に12cmファンを搭載。電源は下部に来る設計。水冷用と思われる穴も開いている
左側面は大きなメッシュ穴があり、冷却性を重視している
内部はビデオカードの上下で空気の流れが分かれている印象。前面中央に12cmファンがある

 CPUはCore i7-3820。Sandy Bridge-EのCPUで設計は前世代のものだが、プラットフォームは現在も最上位のLGA2011でパフォーマンスは文句なし。CPUファンはCooler Master製のものを採用していた。マザーボードはインテル X79 Expressチップセット搭載のGIGABYTE製、GA-X79-UP4。

 メインメモリはPC3-12800の4GBが2枚。メーカーは不明だが、チップにはKingstonと書かれていた。X79チップセットはクアッドチャネルメモリ対応なので、BTOでメモリを4枚組のものにすれば、パフォーマンスの向上が期待できる。容量的には8GBあれば十分なのでお好みで。

 SSDはIntel 520シリーズ 120GB×2をRaid 0で搭載。これは機種まで指定されている。CPUメーカーとして知られるインテル製で、SSDでも最高級の信頼性を持っている。

 ビデオカードはNVIDIA GeForce GTX 650 1GB。今回はMSI製のものを採用していた。ミドルクラスの製品だが、その分ファンの騒音も控えめで、オフィスワークなどにも対応できそう。

CPUファンはCooler Master製。マザーボードはクアッドチャネルメモリ対応だが、標準だとメモリは2枚となる
MSI製のGeForce GTX 650搭載ビデオカード。大型のシングルファンを搭載

 電源はATXの700W品。今回は高効率の80PLUS GOLDを取得し、Active PFCも搭載する、FSP製のFSP700-80EGNが使われていた。現状では十分余裕のある製品で、将来的なビデオカードの拡張にも対応できる。

 周辺機器では、キーボードのG-Tune Accurate Keyboardもなかなか優秀なもの。PS/2接続を採用することで、FPSなどでよく使うキーを中心に、最大11キーの同時押しに対応する。またゲーム中に不意にWindowsキーを押してゲームが中断してしまうのを防ぐため、Windowsキーを無効化するWindows Lockキーを用意している。

電源は80PLUS GOLD認定を受けたFSP製のFSP700-80EGN
同梱されるキーボードのG-Tune Accurate Keyboard。同時押しに強いPS/2接続を採用

各種ベンチマーク

 続いては各種ベンチマークのスコアを見ていく。3Dグラフィックスのベンチマークは、ミドルクラスのGPUであるGeForce GTX 650に相応の性能となる。ほとんどのゲームは問題ないスコアだが、最近の3Dゲームを最高画質でプレイしようとすると少々荷が重いので、必要に応じてビデオカードを強化するといいだろう。

ファイナルファンタジーXIV: 新生エオルゼア ベンチマーク ワールド編(1,280×720、標準画質) : 10,066
ファイナルファンタジーXIV: 新生エオルゼア ベンチマーク ワールド編(1,280×720、最高画質) : 2,820
FINAL FANTASY XI for Windows オフィシャルベンチマークソフト3(Low) : 11,244
FINAL FANTASY XI for Windows オフィシャルベンチマークソフト3(High) : 10,452
バイオハザード6 ベンチマーク : 3,339(B)
MHFベンチマーク第3弾【大討伐】(1,280×720) : 8,685
ファンタシースターオンライン2 キャラクタークリエイト体験版 ver.2.0(標準設定) : 14,819
3DMark : 88,794(ICE STORM)、11,711(CLOUD GATE)、2,003(FIRE STRIKE)

 それよりも本製品で強調したいのは、SSD Raid 0のストレージの威力だ。こちらもCrystalDiskMarkによるベンチマーク結果で見ていただこう。本製品にはHDDは非搭載なので、一般的なHDDの性能として、筆者が普段使っているPCのHDDのベンチマーク結果も載せておく。HDDは旧型だが、最新型でもこの2倍速いというほどにはならない。

 ざっくり言うと、本製品のSSD Raid 0だと、一般的なHDDの5~10倍速い。先の各種3Dベンチマークソフトの起動も非常に速く、HDDの環境とはまさに異次元。さらに一般的な単体SSD環境と比べても違いが体感できる。

「NEXTGEAR i830BA9-GW」搭載SSD Raid 0
筆者所有の2TB HDD(WD20EARS)

 そして気になるFast Bootの効果は、実際に起動時の様子を撮影した動画をご覧いただきたい。こちらは各種ベンチマーク等を試した後の環境となるが、特にチューニングしたわけではなく、購入したままの状態でこの速さだ。なお今回のレビューに使った本体は、発売前に急遽ご用意いただいたため、これでもまだ設定が詰め切れていない状態だそうだ。

【「NEXTGEAR i830BA9-GW」起動ムービー】

このPCが、イマドキの標準になることを願って

 最近のPCパーツで性能の伸びが最も劇的なのは、間違いなくSSDだ。数年前に登場したSSDは、いわゆるプチフリ問題を抱えていたり、信頼性に難があったりしたが、現在はそういった問題も解決している。

 また最近のPCの話題と言えば、Windows 8は外せない。世間ではタッチパネル対応に注目が集まったが、Windows 7に比べて高速に起動するというのも地味ながら大きなメリットだ。Fast Bootを使えれば、さらにその差が広がる。

 PCのトレンドであるこの2つを1度に体感できるのが、本製品の最大のメリットだ。ゲーミングPCとして提供されるが、CPUも高速なので、マルチに使って幸せな1台になっている。この快速っぷりを、ゲーマーだけでなく幅広い方に体感していただきたい。発案者としては、「イマドキのPCはこんなに速いんだ」ということを知っていただければ、とても嬉しい。

(石田賀津男)