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スクエニ、「FFXIV: 新生エオルゼア」β版先行体験レポート

β版で実装される新エリアやPS3版、ゲームパッドモードなどを一足先に体験!

2月8日 収録

会場:スクウェア・エニックス本社

「新生FFXIV」のプロデューサー兼ディレクターの吉田直樹氏

 株式会社スクウェア・エニックスのプレイステーション3/Windows用MMORPG「ファイナルファンタジーXIV: 新生エオルゼア(以下、「新生FFXIV」)のβテストのスタートが間近に迫っている。βテストは4つのフェーズに分けて行なわれ、PCのプレーヤーが参加できるフェーズ1が、いよいよ2月25日からスタートする。

 βテストに先立ち、「新生FFXIV」のプロデューサー兼ディレクターの吉田直樹氏は、2月10日から東京、ロサンゼルス、サンフランシスコ、ロンドンと世界を巡って、現地のメディアに「新生FFXIV」のプロモーションを行なった。GAME Watch編集部でも、グローバルメディアメディアツアーに先駆けて海外で公開予定のスライドや映像を見ながら、吉田氏にインタビューすることができた。

 ファンをやきもきさせているベンチマークソフトの情報を始め、PS3用のゲームパッドUIやβテストから導入される新しいシステムなど様々な新情報を入手できた。さらにフェーズ3から実装される新生「FFXIV」のウルダハとリムサ・ロミンサエリアも体験することができたので併せてレポートしたい。

 なお、同日に実施した吉田氏へのインタビューは別稿にまとめてある。こちらも見逃せない新情報満載なのでお見逃しなく!

「スクエニはギブアップしない」というメッセージを全世界に宣言

メディアツアーと共に新しく公開されたトレーラー。フルアクティブタイムイベント(F.A.T.E.)や、フリーカンパニーのレイドの雰囲気が伝わる作りになっている

 東京、ロサンゼルス、サンフランシスコ、ロンドンを巡る今回のメディアツアーは、主に海外のメディアに向けて、改めて「新生FFXIV」を紹介するというものだ。日本のファンは、プロデューサーレターLIVEや、様々なインタビュー、カンファレンスなどリローンチの情報を入手する機会が多く、「新生FFXIV」は、単なる拡張ディスクのような存在では無く、サーバーはもちろんゲームシステムや描画エンジンまですべてをゼロベースで見直す作り直しなのだという事実はすでに日本では既成事実になっている。しかし日本語圏以外ではまだまだ浸透しきっていない。

 「FFXIV」はすでに2年もサービスを続けており、いまさら作り直すと言われてもピンとこないのか、拡張パックだという声もいまだにあるという。そこでβテストを控えた今、北米欧州でも改めて「新生FFXIV」を紹介することで、上記のような声を払しょくし、リローンチという前代未聞の挑戦を知ってもらおうというわけだ。

 そのため今回のメディアツアーで発表される内容は、日本のファンならすでに既知の情報も多い。「FF」シリーズが誕生から25年の歴史を持ち、累計出荷本数が1億本を超えるスクウェア・エニックスの看板タイトルであることを改めて振り返り、「スクウェア・エニックスはこれからも日本だけでなく、世界のファンと一緒にFFに取り組んでいきたい」というメッセージを改めて宣言する場となっている。

 MMORPG史上初のリローンチに、海外からは「史上初というだけではなく、こんなことをするやつは2度といないとまで言われているみたいです」と吉田氏。専用のサーバーシステムと描画エンジンを用意し、バトルシステムはコードを1から作り直している。ユーザーインターフェイスは、多くのMMORPGが採用しているマウス&キーボード操作のグローバルスタンダードUIと、日本のユーザーが使い慣れているコンソールに特化したゲームパッドUIの2つがある。「こんなクレイジーなことをやるのもFFだし、スクエニはギブアップしないというのを改めて全世界のメディアの方に伝えようと思っています」(吉田氏)。

【「FINAL FANTASY XIV:新生エオルゼア」ベンチマークトレーラー(ワールド編)】

新しい建造物や自然の風景が、より説得力のある世界を構築していく

PC版のウォークスルーSS。ウルダハとリムサ・ロミンサにはβフェーズ3から行けるようになる

 リローンチ前後の違いが一目でわかる、メディア向けに撮影されたという新旧「FFXIV」比較動画では、どこが変ったのかをグラフィカルに見ることができ興味深かった。同じ時間同じ場所で比べると「新生FFXIV」はより色味がはっきりして、エッジが強調されている。「FFXIV」は空気感がありこれはこれで美しくはあるのだが色調や地形など、全体的に単調さが目立ち、そのメリハリのなさが地味な印象に繋がっている。

 「新生FFXIV」では、地形や植物、空の色などで色味を増しており全体ににぎやかな雰囲気を作っている。また、太陽に向かうとレンズフレアやハレーションで空気感を演出している。ぬらぬらとしたゼリー状の質感に見えるためユーザーの評判があまり良くなかった海も、穏やかに透き通る入り江の海に生まれ変わっている。

 だがもっとも大きな違いは新しく追加された様々な建造物だろう。「旧FFXIV」には当初から細かい設定が用意されていたが、「旧FFXIV」のマップではその設定を活かし切れていなかった。例えば、リムサ・ロミンサの近くにある「モラビー湾」は、以前は何もない草原だったが、「新生FFXIV」ではここに「モラビードック」という造船所が作られている。この造船所ではリムサ・ロミンサ海軍の軍艦が建造されており、中に入ると実際に建造中の巨大な軍艦を見ることができる。周辺にいるNPCからはクエストを受けることができ、何もない断崖沿いの草原だった「旧FFXIV」から風景が激変している。

 リローンチが決まってから追加されていた「バスカロン監視所」にあった酒場も、大きくリニューアルされている。以前は監視所の奥にこぢんまりとあったが、中には入れなかった。「新生FFXIV」では大きな施設になり、中に入るとテーブルで酒を飲んでいる住民や、売り子がいて、ここでもクエストを受けることができる。αテストですでに公開されている「キャンプ・トランキル」周辺も、以前の何もなかった平原から、大きな建物や湿地があるメリハリの利いた場所になった。

 ウルダハを出てすぐの場所にある「キャンプ・ブラックブラッシュ」はウルダハへ水を供給するオアシスに発展した街へと変貌している。これまで影も形もなかったオアシスについては、「実は昔からありました」という、一種開き直りにも聞こえる説明を受けた。設定としては存在していたが、表現しきれていなかったものがようやく視覚化されたといったところだろうか。ウルダハも表通りは一掃華やかになり、裏通りは逆にいかがわしさが増していて大都市らしい光と陰の演出がより際立つようになっている。

【PC版ウォークスルー】
自然はただ美しいだけではなく、冒険して楽しいよう緻密に計画されている
リムサ・ロミンサの海。どろっとしていた質感が一新されて、透き通る南国の海になった
フェーズ3から入るウルダハの町もNPCの配置がかわりより賑やかになっている
雲がかかる微妙なニュアンスの月夜。夜はいっそう美しくなった
リムサ・ロミンサの夕暮れ。遠景のぼかしや空気感にこだわりが見える
森の中には隠れたキャンプや集落が点在している

 「新生FFXIV」では、フィールドで左右どちらを向いても無味乾燥な平原だけということがない。視界の中には常に何か、気になる建物やオブジェクトが見えるような設計になっている。例えば、断崖の向こうに巨大な樹が見える。なんだろうと思って近づいてみると、下にキャンプを見つけるといった具合に、プレーヤーが自分で冒険し、発見できるよう緻密にマップが設計されている。

 こうした建造物やオブジェクトは、「新生FFXIV」に今までは希薄だった視線の低い生活感を生み出している。プレーヤーが長い時間を過ごすゲーム世界には、等身大の生活感が欠かせない。これは必ずしもプレイに影響を及ぼす物ではなく、多分に開発者の自己満足的な側面もがある。だが名作と呼ばれるようなMMORPGには、生活感を生み出す為のちょっとした演出、たとえば酒場の隅にうずくまって酔いつぶれた客や家の裏手で喧嘩をしている夫婦、野原をうろついている小動物などがかならずいる。そして、そのゲーム世界で遊ぶ時間をより豊かにしてくれる。

 「美しく冒険心あふれるマップというのを今回徹底しました」という。その言葉通り、「新生FFIXV」で作られた新しい風景にこもる開発者のこだわりを感じた。またあまり活かされていなかった種族の設定を、新マップには意図的に盛り込んであり、ちょっとしたセリフなどから、それぞれの種族にまつわる物語やエピソードにも触れられるような作りになっているそうだ。世界は生まれ変わったというよりもむしろ、今ようやく誕生したと言えるのかもしれない。

【「FINAL FANTASY XIV:新生エオルゼア」フィールドウォークスルーPart 1】

より派手に、よりスピーディになったバトルシステム

バトルシーンのエフェクトは、ブラッシュアップを重ねてほぼ完成形に近づいた
戦闘中にジャンプで大きな落下ダメージを受けるとHPが0になってしまうことも

 バトルの比較では、同じ敵を倒す時間や、バトルのエフェクトを比較することができた。これも一目瞭然で、とっくに戦闘が終了してくつろいでいるキャラクターの横で、「旧FFXIV」ではノーマル攻撃を繰り返してTPをためていた。エフェクトも、以前はともすればキャラクターのボディに隠れて見えづらく感じるほど小さかったものが、大きくなり色も派手になり、ストレスなく連戦することができるようになった。バトルスピードの変化に伴って、取得経験値や敵のHP、経験値テーブルなどもすべて見直されている。

 しかし「『FFXIV』は、いわゆるキャンプをしてEXPを貯めるタイプのゲームでしたので、新生との比較は成り立たないです」と吉田氏が言う通り、クエストをつないで旅をしていく「新生FFXIV」と、レベル上げがゲームコンテンツに組み込まれていた「旧FFXIV」は、全く設計思想の違うMMORPGになっている。「新生FFXIV」では、レベルアップのために不可避となる戦闘はなるべくストレスなしに遊べるよう、快適さやスピードを重視してあるのだ。

 また、β版から敵同士や味方同士の関係性が視覚的にわかるUIが追加された。今回、PC版のβテストクライアントを試遊することができたのだが、αテストでダンジョン攻略をしたプレーヤーは体感しただろうが、「新生FFXIV」では1体の敵に攻撃を仕掛けると、近くにいた別の敵が一緒に襲ってくることがある。ダンジョンではどれか1体に攻撃を仕掛けると、その周辺にいる4〜5体がリンクする。αテストではどの敵がリンクされているのかわからなかったが、それがβテストからは光の筋としてあらかじめ明示されるようになった。

 敵をよく見ると、時折光の筋がシュッと他の敵に向かって流れていく。これがその2体がリンクをしているというサインだ。戦闘を始めると、今度は両方の敵から自分に矢印のついた太い光の帯が飛んでくる。これは自分にヘイトが集まっているというサインになる。このサインは味方からの回復魔法などにも使われ、混戦のなかで誰から回復してもらったかが視覚的にわかるようになっているそうだ。

 光の筋はよく見ていないとわからない程度の控えめな表示だが、それでも必要ないと思えば設定でオフにすることもできる。どちらかというと初心者に向けての配慮で、初心者が知らずにたくさんの敵を引っ掛けてしまい周りに迷惑をかけないようにという心遣いなのだそうだ。

 モンスターには目で索敵するものと、耳でするものがいる。視覚の場合はゆっくりと後ろを通れば気づかれず、聴覚の場合は歩いて通り抜ければ襲われない。どのモンスターがどの程度の索敵範囲を持っていて、どんな方法で索敵しているのかはマスクされているので、そこはプレーヤーが実際に戦ってみて探し出していくしかない。

 また、βテストから落下にダメージが発生するようになる。移動中にはどんなに高い場所から落ちてもHPが0になることはない。だが戦闘中に落下を使って逃げられないように、モンスターのヘイトリストに名前が載っている状態で、HPを超えるダメージを受けるとHPが0になるので要注意だ。

ガレマール帝国、蛮神、第七霊災、すべてのキーワードとなる「光の戦士」

3つの国のグランドカンパニーから1つを選んで所属し、魔導帝国ガレマールの脅威に挑んでいく

「新生FFXIV」のストーリーは「FFXIV」の設定や世界観を引き継ぎながらも、新たな設定と矛盾なく融合する形でまとめられている。すべての軸となる ストーリーは、惑星ハイデリンの意志集合体であるマザークリスタルとプレーヤーの関わりだ。プレーヤーはマザークリスタルに導かれて冒険者となり、世界の謎と脅威に立ち向かっていく。これは「新生FFXIV」以降、すべての物語の底辺に流れる大きなストーリーになる。

 2つ目は、魔導帝国ガレマールの侵略に、リムサ・ロミンサ、ウルダハ、グリダニアの三都市のグランドカンパニーが戦いを挑むというもので、これがエンディングが用意された「新生FFXIV」のメインストーリーとなる。3つ目は、メインストーリー終了後も続いていく蛮神との戦いだ。冒険者は国の利害を超えた自由な存在としてそれぞれの物語に関わっていく。そのキーワードとなるのが「光の戦士たち」という言葉だ。

 「光の戦士」と言えば、初代「FF」の主人公をほうふつとさせるが、今回はMMORPGなので「たち」と複数形になっている。蛮神はこれからも続々と追加される予定で、今回スライドには「くらやみのくも」や「ギルガメッシュ」の姿もあった。クリスタルタワーをはじめ「新生FFXIV」の中にはこれまでのシリーズで戦った敵や訪れた場所が、「新生FFXIV」の世界観に合わせたかたちでモディファイされ、登場する。プレーヤーのマウントとして登場予定の魔導アーマーも既に開発内部ではスタッフが乗り回しているそうだ。

 「イヴァリースとつながっちゃったりというのも、面白いなら否定はしないというスタンスです」という吉田氏。トードで潜る洞窟や、ミッドガル、グラン=パルスだってユーザーからの要望が強ければ、可能性がない訳ではないことになる。ストーリーにはたくさんのNPCが登場し、豊富なカットシーンも用意されている。以前はあまり本筋に絡んでこなかったモードゥナの「銀泪湖上空戦」も、ストーリーに関わる形でゲーム中に登場することになる。

コンソールに特化した使いやすいゲームパッドモード

吉田氏自らPC版のゲームパッドモードをプレイしてみせてくれた

 βテストフェーズ2からPC版に入るゲームパッドモードは、家庭用ゲーム機の操作に慣れた日本人プレーヤーのために導入される新しい操作体系だ。海外ではMMORPGはマウス&キーボードで操作するものという認識で、UIもそこに特化している。中にはゲームパッドに対応しているものもあるが、パソコンのUIを無理やり動かしているものが大半で、ゲームパッド専用UIを持っているタイトルは一部の国産のみだ。

 ゲームパッドUIを入れるのは、単に日本のユーザーへのサービスではない。自分がクリックしたい場所に一瞬でカーソルを移動できるマウスと、バーを横に倒してカーソルを移動させなけばならないゲームパッドでは、操作のスピードに差が出てくる。ギリギリの戦いになればこの差が命運を分ける場合もある。そこでゲームパッドとマウス&キーボードのプレイ環境をなるべくイーブンにするために、専用のUIが作られた。

 「L2」と「R2」のボタンにショートカットをそれぞれ8つ、計16のボタンが瞬間に手の届く場所にセットでき、十字キーの上下左右を組み合わせて素払いターゲットを可能にした。操作に慣れてくると、マウス&キーボード以上のスピードと正確さでキャラクターを動かすことも可能になるという。

 今回、トレーラーとともにゲームパッドモードの解説トレーラーも公開されている。非常にわかりやすく、これを見れば「新生FFXIV」をゲームパッドで遊ぶとどうなるのかが一目瞭然なので、リビングのソファに寝転んでプレイをする予定の人は必見だ。

【FINAL FANTASY XIV 開発コメンタリー“ゲームパッドモード”】

PS3の限界に挑戦した美しいグラフィックスはPC版と遜色なし

PS3版のウルダハ。一見しただけではPC版との見分けがつかないほどだ

 今回PS3版はUIが載っていない状態のゲームプレイ映像をみることができた。PS3版では、遠くにいるキャラクターやオブジェクトのポリゴン数や表示を自動的に調整して描画負荷を軽減するLoDが行なわれているが、ぱっと見にはPC版と遜色ない。PS3の能力をすべて引き出すべく現在も奮闘中だそうで、これまでファミコンやスーパーファミコン、PS、PS2で挑んできた家庭用ゲームの性能の限界に、今度はMMORPGで挑んでいるわけだ。

 余談だが、筆者は初めて「FFVI」を見たとき、あまりのクオリティの高さにスーパーファミコンで動いているのが信じられなかった。あの時に感じた衝撃を今度はPS3で目指しているというところは、いかにも「FF」らしい挑戦だと感じた。

 αテストの段階で、グローバルスタンダードなMMOに操作感では追いついたと感じたが、βテストでは前述したリンクの表示やゲームパッドモードなど、いよいよ国産の「FF」ならではの味付けが盛り込まれていく。後数日ということで、待ちきれずにソワソワしている人も多いだろう。筆者もそのクチだ。まずは近々公開されるベンチマークソフトをあれこれ試しつつβテストを待とう。

 ゲームは開発時間と同じくらい調整に時間をかけなければ面白くはならない。「新生FFXIV」が成功するかどうかは、β以降の調整にかかっているといっても過言ではない。それだけに参加するプレーヤーの責任は重大だ。ゲーム世界を隅々まで楽しみつつ、全員の声で「新生FFXIV」をより良い物にしていきたい。

【PS3版ウォークスルー】
PS3版のウォークスルー。遠景のポリゴンを間引いたり、オブジェクトを調整するLODでクオリティを維持したまま、美しいグラフィックスを維持している

(石井聡)