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ゲーミングPCへの特化戦略を打ち出したPCショップ「フェイス」
ゲーマー視点で尖ったハイエンド商品展開を目指す
(2013/2/12 12:00)
ユニットコムグループのPCショップ「フェイス」は、ここのところユニークなゲーミングPCを立て続けに発売している。SLI採用のノートPCやキューブケースの小型PCなど、ゲーミングPCのカテゴリではあまり見かけないもの出てきている。
これにはフェイス自身の方針転換があり、確かにゲーミングPCに力を入れ始めているという。これについて詳しい話を、ユニットコムでフェイスブランド全般を担当している宮森秀樹氏に伺った。
海外の最新作にも対応するハイエンド商品を展開
――長年にわたり自作PCパーツやショップブランドPCを販売されているフェイスですが、最近になって方針転換があったそうですね。
宮森氏: ユニットコムには現在、パソコン工房、グッドウィル、TWOTOP、FreeT、フェイスという5つのブランドがあります。その中で同じことをやっていては、同じショップが5つ並ぶようなものになってしまいます。ユニットコムとして、各ブランドに特色を持たせて強くしていこうという方針が立ち、その中でフェイスはゲームに特化した形での展開に注力していこうと考えています。
――これまでフェイスで売られていたPCは、ユニットコム系列で概ね同じものという感じでした。今後は独自の商品を取り扱っていくということですか?
宮森氏: そうです。ゲームユーザーをターゲットにして展開していきます。ホームページでも、廉価なモデルや売れ筋のモデルを押し出すよりも、ゲームをイメージさせる形でのブランド展開をしていきたいと思っています。
――フェイスに行けばゲーミングPCが買えるぞ、というイメージにしたいわけですね。
宮森氏: はい。今までもゲーミングモデルは販売していましたが、ハイエンドに注力できていないところがありました。ビデオカードをSLIで2枚、3枚と実装するようなものを強く出していきたいところです。特に尖ったものを出したいので、SLIとRAIDの構成など、他がやっていない、1番上のものを作っていくつもりです。
――ブランドの差別化の中で、フェイスがゲーミングPCに注目する理由は何でしょうか?
宮森氏: 5つのブランドで比べると、昔からニッチな方面に強かったのです。その辺りからハイエンドだとか、新製品をいち早くBTOに取り入れてカスタマイズできるとかいうことをやっていこうということです。それに加えて、ゲーミングの尖ったモデルの展開ですね。
――ホームページを見ると、現在はローエンドからハイエンドまで幅広くあります。それも今後、ユニットコムの中でブランドごとに分かれていくわけですか?
宮森氏: 今はあまり変わりませんが、来季に向けて徐々に変えていくという方針です。
――フェイスとしては、ゲーミングPCのブランドを浸透させていくために、どういった施策を取っていくのでしょうか?
宮森氏: まずはゲームタイトルの推奨モデルをどんどん出していきます。他社で多いところでは100タイトルの対応モデルを出しているので、そこまではいかないにせよ、大抵のタイトルには対応している形で展開したいと考えています。
――特にFPSに注力したい、といったジャンルの傾向はありますか?
宮森氏: 扱うPCがハイエンド志向になるので、FPS系には力を入れていきたいですね。海外のゲームタイトルは、あまり競合他社も手をつけていませんから、その辺りには注目していきます。
――いわゆる洋ゲーで推奨PCを出したいということですね。
宮森氏: 昨年発売されると言っていて出なかったゲームタイトルがいくつかあるので、そことはがっちり組んでやっていきたいところです。
――単純にハイエンドのゲーミングPCというよりは、ゲーム個別の推奨を取っていくという方がいい、という感じですか。
宮森氏: そうですね。ただ推奨PCにはメーカーさんの協力も必要で、いくらでも作れるというわけではありません。そこで、我々の方でゲームの動作をチェックしてお知らせするようなものも、上位モデルで作っていきたいと思っています。通常のゲームメーカーさんの推奨PCと、自社で検証したハイスペックなもので、それぞれどれくらい快適になるのかといった情報も入れていきたいと思っています。
――推奨PCは買う方としては安心できるというのがあります。それでもゲームが動かないなどのサポートは発生すると思いますが、その辺りはどうされますか?
宮森氏: 不具合が見つかった際には、ゲームメーカーさんと情報をやり取りして、そのフィードバックをいただきつつサポートしていくという形です。推奨PCに向けて特別なサポートを用意するわけではありませんが、これまでもオンラインゲームのアップデートによって生じた不具合や相性問題などに対応してきた実績があるので、その点は大丈夫です。
「ゲーミングパック」などで周辺機器も強力に推進
――ゲーミングPCは本体性能のほかに、デバイスも重要になります。その辺りはどうアプローチされますか?
宮森氏: 現在は「ゲーミングパック」という形で、ロジクール製のゲーミングデバイスをまとめたパック商品を用意しています。ゲーミングPCのオプションとして、キーボードとマウス、ヘッドセット、スピーカー、ゲームパッドをまとめて、少しお安く提供しています。今後は他のゲーミングデバイスメーカーとも協業して展開していきたいと思っています。
――ゲーミングPCがあり、それに特定メーカーの周辺機器のセットを個別に用意して売るというわけですね。
宮森氏: ゲームタイトルによって、ユーザーがどういう機器を使えば快適にプレイできるか、といった情報も取っていき、推奨PCのページの中でオススメしていくという形もやりたいですね。
――最近はゲームの方で推奨デバイスを出していることがありますから、それに合わせたものも展開できるといいですね。他には何か施策はありますか?
宮森氏: きちんとベンチマークを出していきたいですね。ゲーム好きな方は、ベンチマークでおよそどれくらいのマシンパワーなのかがわかるので、我々の方で調べた情報を出していきます。あとはサウンドにもこだわっていきます。5.1chに対応したゲームなのに2スピーカーで遊んでいる方は多いので、5.1ch環境なら臨場感あるサウンドで遊べますよ、といったところもお伝えしていきたいと思います。そのためのオススメのサウンドカードなども用意し、簡単なレビュー記事を商品に盛り込んでいきたいです。
――フェイスさんに行くと、ゲーミングPCだけでなく、PCゲームに必要なものは何でも揃う、という感じにしたいわけですね。
宮森氏: はい。そういった周辺機器や入力デバイスも合わせて買っていただけるようなサイト作りをしていきます。
――実店舗の方もそういうイメージにしていくのですか?
宮森氏: はい、徐々には切り替えていきます。大幅に変えるのは5~6月ごろを考えています。
――秋葉原の店舗はいま閉店中ですが、再開後にはそういった色にしていくと。
宮森氏: 現在は一時的に閉店していますが、時期を見て再オープンする予定です。現在はフェイスの店舗は大阪にしかない状態ですが、ユニットコムのお店は全国に100店舗あります。フェイスのWEBで買ったものは、ユニットコム系列の店舗でもサポートを受けられます、というのがグループの強みとしてあります。秋葉原では現状、TWOTOPとFreeTですね。
――SLIなどよりハイスペックなものも用意するということですが、他に競合他社との違いを見せるのはどの辺りになるでしょうか?
宮森氏: 海外メーカーのBTOを見ると、カスタマイズの種類もすごく多いですし、あとは光っているというイメージがありますよね。ALIENWAREには対抗していきたいです。
――性能が高いというだけではなく、デコレーション的な方向も強化していくわけですか。
宮森氏: デスクトップPCでは、そういったデコレーションもオプションに入れていきます。カスタマイズできるところはどうしても限られてくるので、一般的なところ以外ではマザーボードやファンを変えるような形です。マザーボードも現在は選択肢が少なくて、ASUSのミドルからハイエンドくらいしか選べない状態ですが、今後はGIGABYTEやASRockも選べるようにしたいです。市場ニーズに応えた形でのBTO展開でオプションに入れていきたいです。
――そこまで選べると、BTOというより、自分でパーツを選んで作ってもらうサービスに近いですね。
宮森氏: 昔は自作のイメージとして、安く上がるというのがありました。しかし今は自作しなくても、安く仕上がります。パーツショップを展開する我々としては自作を盛り上げたいですから、自作したことがない方でも、自作のような形のPCを作れる、というようなものにはしていきたいです。
――長年の自作PCファンには、ブランドの好みは必ずありますから、そういうニーズに答えるサービスになりそうですね。
宮森氏: ユニットコムグループには100店舗のパーツショップがありますから、どのパーツが売れているかはすぐに把握できます。そこをカスタマイズに取り込んでBTO展開できれば、ユーザー受けもよくなるのではないかと考えています。
モンスターノートPCなどオススメの商品をチェック
いったんインタビューは小休止し、現在フェイスが展開している商品の中から、宮森氏がイチオシのゲーミングPC「Progress UXG PG-CLP57G68SLI-SX」を見せていただいた。17.3インチ液晶を搭載した大型のノートPCで、中身も見た目も圧倒的な商品となっている。
スペックは、GPUにGeForce GTX 680MをSLIで2基搭載、CPUはデスクトップ向けCore i7-3820を搭載という、デスクトップ顔負けのもの。他にもメインメモリ16GB、BD-Rドライブ、500GB HDDなどを採用。重量は約5.5kgとヘビー級だが、むしろよくこの程度で収めたと思えるような性能だ。価格は299,970円。
しかし今回見せていただいた構成は、2つあるモデルのうちの下位の方。上位モデルになると、CPUはCore i7-3930Kに変更され、SSDとしてIntel 335シリーズの240GBが追加される。価格は399,970円となるが、2月14日までの期間限定で割引販売もされている。
この上、さらにBTOにも対応。上記のとおり2.5インチベイは2つある……かと思いきや、実はもう1つ空いていて、合計3つの2.5インチドライブを内蔵できる。SSDを2基にしてRAID 0構成にもできる。他にもメインメモリを32GBにするなど、さらなるスペックアップにも対応している。
元々はゲーミングPCとして販売したものだったが、現在では3DCGを扱う方面の業務用PCとしても人気だそうだ。
――他にオススメしたい商品はありますか?
宮森氏: デスクトップPCでは、Cooler Master製ケースを使っているところに注目していただきたいです。代理店がお隣なので、新製品をいち早く取り入れた商品をご用意しています。
――発売中のハイエンドPCでは、Cooler Master製ケースのほかにも、Seasonic製の電源を標準で積んでいるのが珍しいですね。これを入れるだけで1万円以上は高くなりそうですが。
宮森氏: 最近は電源も安くなりましたが、SeaSonic製品は逆に1番高い部類ですね。そういったパーツにもこだわって、昔から自作している方がわかるような構成にしていきたいと思っています。
――キューブケースのゲーミングPCもあるんですね。
宮森氏: これもCooler Master製のケースです。Mini-ITXケースには珍しく、GeForce GTX 680まで入ります。電源も600WのATX電源を使っています。小さくてもハイエンドというのが日本特有のニーズですね。
――新製品を出していくペースはどれくらいですか?
宮森氏: 旧正月の時期など新製品が減るタイミングもあるので一律ではありませんが、基本的には週1のペースで考えています。
――では最後に、読者の方に向けてのメッセージをお願いします。
宮森氏: 今後はゲームユーザーに特化したモデルを、ユーザー目線で出していきたいと思っています。ぜひ今後に期待していてください。
――ありがとうございました。