「日本ゲーム大賞 2012 フューチャー部門」が11タイトル発表

人気タイトルがずらりと並ぶ中「ファンタジーライフ」など新規IPも選出


9月23日 発表



司会はよゐこの有野晋哉さんと前田美咲さん

 社団法人コンピュータエンターテインメント協会(CESA)は、「日本ゲーム大賞 2012 フューチャー部門」の受賞作品を発表した。フューチャー部門は東京ゲームショウ2012の会場で発表されたか出展された未発売タイトルを対象に、22日まで来場者からの投票を受け付け、さらに日本ゲーム大賞選考委員会の審査を経て選出された。

 今年は161タイトルがユーザー投票により選出され、日本ゲーム大賞選考委員会の審査を経て11タイトルが選考された。

 結果は以下に示すとおりだが、ズラリとシリーズタイトルが並ぶ結果となった。そんな中、新規IPとしてバンダイナムコゲームスの「ジョジョの奇妙な冒険 オールスターバトル」、レベルファイブの「ファンタジーライフ」、スクウェア・エニックスの「ブレイブリーデフォルト」の3タイトルが入賞した。特に「ファンタジーライフ」と「ブレイブリーデフォルト」は全く新しい作品となる。こういったタイトルが注目を集め評価されるのはいいことだろう。

 一方で、シリーズ最新作の開発者が揃って口にしたのが、シリーズ作品を背負う「プレッシャー」だ。これは売れるか売れないかといった会社側のプレッシャーももちろんあるのだろうが、プレイしてくれるユーザーの期待……これまでのシリーズ作品のいいところを壊さずに、いかに新機軸の要素を盛り込んでいくかの産みの苦しみを口にする開発者が多かった。それゆえにこういったユーザー評価による受賞を喜ぶ声が多かったのも印象的だった。

 講評を行なった浜村弘一氏は、「投票の中にはスマートフォンなどのコンテンツや、ソーシャルゲームが上位に来ていた。そういった中いろいろな議論があった」と選考の裏側を明かしながら、「選出理由の中に『好きなメーカーだから』や『好きなシリーズ』だからといった理由もある。これらを引いて、単純に遊んで楽しいという理由の得票だけを集計した結果」と今回の受賞タイトルを振り返った。最後に「スマートフォンのタイトルも近い将来、必ず入ってくる」と近い将来の状況を予測しつつ、受賞者への賛辞で締めくくった。


【フューチャー部門受賞作】
「ゴッドイーター2」。バンダイナムコゲームス。PSP/PS Vita。「2010年にPSP用タイトルとして発売された比較的新しいタイトルで、振り返ると3作品という寡作なシリーズとなった。現在、一生懸命開発を進めている。体験版をリリースするなどユーザーと一緒に進化している。そういった意味でもフューチャー部門の受賞は一層嬉しく思っている。これから『ゴッドイーター』らしさとはなにか真剣に考えて、進化していきたい。今回の受賞を励みに作っていきます」「ジョジョの奇妙な冒険 オールスターバトル」。バンダイナムコゲームス。PS3。「原作のファンをはじめ多くの来場者の支持を得ることができた。嬉しさのあまりブースで開発スタッフのみなと一緒にジョジョ立ちを決めた。波紋やスタンドなどすべてにおいて違和感の無いものを考えている。開発は結構前からやっているが、満足行くものができるまで発表しないつもりでいた。今回発表できて嬉しい」
「SOUL SACRIFICE」。ソニー・コンピュータエンタテインメント。PS Vita。「新機軸のダークファンタジーで、斬新なゲームデザインの作品。スタッフの休みを犠牲にした代償としての受賞は良かった」。稲船氏「新しいハードには新しいゲーム。しかし今までのゲームの面白いところをないがしろにするわけではなく、いかに新しいゲームにするのか?冬に配信する体験版では救済のいいところ、生贄の気まずいところをプレイすることで感じてもらえればと思います」「テイルズ オブ エクシリア 2」。バンダイナムコゲームス。PS3。「お客様からの投票と言うことで1番嬉しい。20周年に向かって新たに頑張っていきたい。今回は選択することで失うものが出てくる中での背徳感を描く。戦闘システムが特徴的なので楽しんで欲しい」
「バイオハザード6」。カプコン。PS3/Xbox 360。「3年間すごい数のスタッフと制作を進めてきた。今回の受賞を大阪のスタッフに知らせたい。シリーズ6作目で、新しいユーザーは遊べないのかと思われるかもしれないが、ウェスカーの息子のジェイクがこの作品で初めて登場する。なので、やったことのない人はこのキャラクターを選択してプレイして欲しい」「ファンタジーライフ」。レベルファイブ。3DS。「昔、2Dのオンラインゲームで、1日中木を切っていたり服を作っていたりしたことに感銘を受けた。その楽しさを女性や子供にも手軽に遊んで欲しいと思い企画した。時間は掛かったが、苦労した分こういった賞を受賞できて嬉しい。戦闘しなくてもいいし、魔王を倒すといったプレイも可能。ファンタジーの世界で生活するRPG」
「ブレイブリーデフォルト」。スクウェア・エニックス。3DS。「王道の作品に加えて、戦闘に新しさがある作品。わりと久しぶりの新規タイトルで、スクエニとして4本目の柱とするつもりで開発している。国内のRPGファンのことを考えて作った作品」「METAL GEAR RISING REVENGEANCE」。KONAMI。PS3。「これまでの『METAL GEAR』とは違った方向で、ゲーム性が違うので今作はチャレンジだった。不安の声もあったが、評価してもらって嬉しい」。稲葉氏「今回の体験版で高評価をいただけたと言うことで、1つの形としてみせられた。開発は佳境なので、励みにして頑張りたい」
「モンスターハンター4」。カプコン。3DS。「開発者としてこれまで以上のものを作る。アクションゲーム、コミュニケーションツールとして一から見直した。そうした上で、アクション部分をやっと見てもらうことができた。これまでのプレーヤーの心に響くのか? いままでの作品から何も引かずにプラスしていく。アクションとして面白くなった。実際に賞をもらったことで、皆さんに感じてもらえた証拠でしょうか。励みにして頑張ります」「龍が如く5 夢、叶えし者」。セガ。PS3。「うれしいけど、(正直プレッシャーで胃が痛いので)ホッとしている。ゲームエンジンの組み替えもうまくいき、6作目を作るくらいの気合いで作らなければうまく行かなかった」
「逆転裁判5」。カプコン。3DS。「たくさんの支持をもらって嬉しく思います。5年ぶりの新作でスタッフ一新してプレッシャーもあった。期待してもらって嬉しい。印象を変えずに3D化する。ナンバリングタイトルとしてシリーズの名に恥じない作品として作り上げる」

(2012年 9月 23日)

[Reported by 船津稔]