「Battlefield 3 Close Quarters」プレビュー&インタビュー

3連続DLCの第1弾は近接戦闘にフォーカスした「Close Quarters」


4月19日、20日開催

会場:Millbank London



 2011年、EA DICEの最新ゲームエンジン「Frostbite 2」をひっさげて圧倒的なゲーム表現で昨年を代表するヒット作となった「バトルフィールド 3(Battlefield 3)」。全世界で1,000万本以上のセールスを記録し、日本でもEAジャパン待望のヒット作となった。その勢いはActivisionの「Call of Duty Modern Warfare」シリーズに勝るとも劣らないものがある。

 EAはその“戦果”を最大限まで拡大するために、今年3月のGDCのタイミングで、それぞれ新しいテーマの3本のダウンロードコンテンツを発表した。EAでは「デジタルエクスパンションパック」と呼んでおり、通常のDLCとは異なり、ダウンロード専用の拡張パックという位置づけとなる。「BF3」のDLC第1弾としては「Back to Karkand」がすでにリリースされているが、予約特典として発売に合わせて多くの人が発売と同時に入手することができたため、実質的にはこれらが初の有料DLCとなる。

 タイトルはそれぞれ「Battlefield 3: Close Quarters」、「Battlefield 3: Armored Kill」、「Battlefield 3: End Game」と名付けられ、基本的にはそれぞれ別々のテーマで、「新マップ」、「新モード」、「新武器」の3点セットが提供される。テーマについては「Close Quarters」は歩兵戦、「Armored Kill」は「バトルフィールド」シリーズの持ち味である乗り物を使った大規模戦闘、そして最後の「End Game」はまったくの不明ながら「Battlefield 3」フランチャイズのフィナーレを飾るDLCとなる。リリース時期は、「Close Quarters」が6月、「Armored Kill」が今秋、そして「End Game」が今冬となる。つまり、今年いっぱい「BF3」を楽しめるというわけである。

 「EA EU Showcase」では、「Close Quarters」の試遊と、開発者へのインタビューが可能だったので、その内容をまとめておきたい。まずは、「Battlefield 3」らしさ全開の爆風と破片が吹き荒ぶ躍動感溢れる最新トレーラーからご覧頂きたい。

【「Battlefield 3: Close Quarters」最新トレーラー】




■ 出会い頭の遭遇戦が続発する新マップ&武器DLC 「Battlefield 3: Close Quarters」

「Battlefield 3: Close Quarters」Exective ProducerのPatrick Bach氏
近接戦闘にフォーカスを当てた「Close Quarters」

 「BF3」Exective ProducerのPatrick Bach氏によれば、「BF3」のDLCは「BF」シリーズのファンに対する支援という意味合いが強いという。DLC第1弾「Back to Karkand」は、前作「バトルフィールド2」のユーザーを意識して、「BF2」で採用されていた4種類のマルチプレイマップを配布した。

 そしてDLC第2弾「Close Quarters」では、歩兵戦に特化した戦いが提供される。「BF」シリーズのマルチプレイは戦車や戦闘機を使った大規模バトルに妙味があるが、だからこそあえて歩兵同士の近接戦闘にフォーカスを当てたDLCを提供することで、「BF」ファンに「BF3」の新しい魅力を提案していく。

 「Close Quarters」の構成要素としては、従来の「コンクエスト」を近接戦闘用にリデザインした「Conquest Domination」と呼ばれる新モード、4つの新マップ、10のアサインメント、5つのドッグタグ、10の武器となる。武器は以下の10種類で、これらの武器は獲得後は「BF3」本編でも使用することができるという。


AUG Assault Rifle
SCAR Assault Rifle
ACW-R Carbine
MTAR-21 Carbine
M417 Sniper Rifle
JNG-90 Sniper Rifle
L86LSW Machine Gun
LSAT Machine Gun
M5K Tactical Machine Pistol
SPAS-12 Shotgun

 なお、マップについては、現時点でタイトル発表時に公開された「Ziba Tower」と、今回新たに披露された「Donya Fortress」の2点が明らかになっているが、今回新たに用意されたマップの特徴として「HD Destruction」が挙げられる。

 「HD Destruction」により、「Frostbite 2」の持ち味を活かしたオブジェクトの破壊行為が、より派手に行なえるようになっており、単純に見た目の変化に加え、壁に穴を空けてそこから銃撃するといったゲーム性の変化も期待できる。狙う側としては新たな射撃ポイントとなるし、狙われる側としてはマップ移動時の基本であるクリアリングがより複雑になり、お互いの攻略の楽しさが倍増するというわけだ。


【HD Destruction】
HD Destructionによって破壊される前(左)と破壊されたあと(右)の廊下の様子。がれきが床に散乱し、壁に穴が空いているのがわかる

 「EA EU Showcase」では短い時間ながら実際に「Donya Fortress」を16人でプレイすることができたが、ファーストインプレッションはとにかく“狭い”ということだ。舞台となる建物は上層下層があるが、視界が開ける場所はほとんどなく、出会い頭の遭遇戦が多い。リスポーン後も数秒後には再び敵と遭遇するような状況で、ポイントによってはアサルトライフルよりナイフが効果を発揮することもあった。

 新たなウリとなる「HD Destruction」については、ゲーム序盤と終盤で風景と戦術が異なってくるのがおもしろかった。「Frostbite2」特有の爆発、破片、煙といった表現に加え、ゲーム後半は破壊によってステージの構造が変わり、未知の射撃ポイントから撃たれたりするため、常時軽い混乱状態に身を置かれる。壁を背にしたクリアリングが意味をなさなくなり、安全地帯がどんどんなくなっていく。従来のFPSとは似て非なる新感覚の近接戦闘だった。

 「Close Quarters」の欧米での配信開始時期は6月を予定。「BF3」本編同様に、PS3/Xbox 360/Windows PCの3プラットフォームで展開されるが、PS3版のみ配信が1週間早くなる。価格はPS3/Windows PCが14.99ドル、Xbox 360版が1,200MSP(約1,680円)。日本語版についてはまだ正式なアナウンスはないが、日本でもリリースすること自体は確定しており、日本法人からの正式発表を待ちたいところだ。


【Donya Fortress】
EA EU Showcaseにて発表された新マップ「Donya Fortress」。トレーラーとは若干イメージが異なるが、同じステージとなる。歩兵戦限定ながら破壊の限りが尽くせるマップとなるようだ

【Ziba Tower】
GDCにて発表された新マップ「Ziba Tower」。二階建ての建物が舞台となっており、壁の破壊前と破壊後で大きく戦術が変わってきそうだ

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(2012年 4月 26日)

[Reported by 中村聖司]