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Game Developers Conference 2012レポート

【GDC 2012】「Microsoft Developer Day」レポート その2
ソーシャルプラットフォーム「Xbox LIVE Web Games」を正式発表! クラウドでさらに広がるXbox LIVEの世界


3月5日〜9日開催(現地時間)

会場:San Francisco Moscone Center


 


 米MicrosoftはGDC2日目の3月6日、毎年恒例となっているチュートリアル「Microsoft Developer Day」を開催した。今年の「Microsoft Developer Day」のメインテーマは、ずばり2012年内に投入が予定されている次期主力OS「Windows 8」。レポートその1では、Windows 8の概要と、Windows 8のエンターテインメント機能の柱となるMetroについて紹介したが、レポートその2では、Windows 8およびWindows Phoneにも全面採用されるオンラインサービスXbox LIVEのクラウド機能を中心に取り上げていきたい。


【「Microsoft Developer Day」キーノート】
「Microsoft Developer Day」のキーノートは、同社のフラッグシップソフトウェアである「Windows 8」と、その中核的なサービスとなる「Metro」に関する紹介に多くの時間が割かれたが、Xbox LIVEについてもいくつか紹介された



■ Xbox LIVEは、Microsoftのオンラインエンターテインメントの包括的なサービスに

Xbox LIVEのクラウドサービスについて説明してくれた MicrosoftのFerdinand Schober氏
コンシューマーゲームもクラウド化の波が押し寄せている
従来のパッケージビジネスではもはやダメだという
Xbox LIVEのクラウドサービスの現状と今後

 Xbox LIVEは、Xbox 360向けのオンラインエンターテインメントサービスだが、Windows 8のリリースを機に、ゲームコンソール(Xbox 360)、PC(Windows 8)、スマートフォン(Windows Phone)にまたがる包括的なオンラインエンターテインメントサービスとなる。

 これによって何が変わるかというと、Xbox LIVEを介して、異なるデバイス間で、同一のゲームや動画、共通のセーブデータ、ポーズ/レジュームポイントを使用できるようになる。たとえば、朝、自宅でタブレットでゲームをプレイし、家を出る直前にポーズをかけておく、電車で移動中にスマートフォンでレジュームしてプレイを再開する。会社のPCではスコアランキングを眺めたり、Xbox LIVEフレンドとチャッティングをしたりする。Microsoftが希求しているのはこうしたクロスデバイスによるシームレスなオンラインサービスだ。

 この実現のために必要不可欠となるのがクラウドサービスだ。ゲームでクラウドというと、一足飛びに、欧米でOnLiveやGaikaiが展開しているストリーミング配信サービスを創造するかもしれないが、Xbox LIVEが実現するクラウドサービスはゲームをストリームするという話ではなく、どちらかというとDropboxやiCloudのようなストレージサービスに近い。

 Xbox 360ユーザーならご存じだと思うが、Xbox LIVEのクラウドサービスはすでに始まっている。セーブデータのオンライン保存サービスがそれだ。しかし、現状ではゲームコンソールのみに限られ、その容量や、ファイルサイズも限定され、コアゲーマーが全力で使用するにははなはだ心許ない。

 今後は、ゲームタイトル毎にCloud Storage(データサーバー)を用意し、パブリッシャーが管理し、ユーザーに向けて様々なデータを提供していく「Global Date」と、ユーザーのセーブデータや統計データ等を置く「User Date」を用意して、クラウド前提のサービスを提供していくことになる。もちろん、マルチプラットフォーム、マルチデバイスで単一のクラウドストレージを利用することになる。

 これによりメーカーは、従来のパッケージビジネスやPDLC(Paid Downloadable Content)ではありえないスピードで様々なデバイスに同時にゲームコンテンツの供給が可能となり、ユーザーのエンゲージメントを維持できる。ユーザーも、どのデバイスでコンテンツを購入したかや、セーブデータの場所を意識せずに、様々なデバイスでゲームプレイに集中することができる。

 ここまで読めばピンと来た人も多いと思われるが、この方法論はいわゆるPC向けのオンラインゲームとほとんど同じである。オンラインゲームもマルチデバイス対応が当然になりつつあるが、コンシューマーゲームはWindows 8を境に、一気に同じ所までゲーム配信システムを進化させようというわけだ。

 Microsoftではクラウドを使ったクロスデバイスサービスを「Xbox LIVE Companion」と呼んでおり、「Kinectimals(邦題:Kinect アニマルズ)」、「Halo Waypoint」、「Fable Coin Golf」の3タイトルを対応させることを表明している。なお、「Fable Coin Golf」は「Fable III」と連動要素を実現していたが、現在Lionhead Studiosが開発している「Fable The Journey」と「Fable Heroes」はエンゲージメントを高めるために相互連動を実現するという。Microsoftではこうした部分もクラウド化のメリットのひとつだという。


【Xbox LIVE Cloud Storage】
クラウド化のメリットは色々考えられるが、たとえばゲームデータの一部やセーブデータを常時クラウド上に置いておけば、アップデートや次回作の際に、セーブデータの引き継ぎや各種イベントがやりやすくなる



■ Microsoftのソーシャルゲームプラットフォーム「Xbox LIVE Web Games」

非同期型のゲームの実装について説明するMicrosoft Senior PM Jeff Braunstein氏。カタカナで「パックマン」と描かれたTシャツを着て、コアゲーマーであることをアピール
従来のXbox LIVEは高速なオンライン対戦を実現してきたが、非同期型のゲームサービスではあえてそこは捨てる
3つの機能に絞って提供する

 ここまで紹介してきたのはXbox LIVEのクロスデバイス対応、クラウド対応だが、Xbox LIVEそのものはどう進化するのか。

 その答えは、昨今FacebookやApp Store等で日夜新作が量産されているソーシャルゲームをXbox LIVEへの取り込みだ。具体的な施策は2つ。1つは、ブラウザゲームやモバイルゲームが得意とする非同期型のゲームをXbox LIVEを通じて、つまりXbox 360でもプレイできるようにするための様々なAPIの提供。もう1つは、ブラウザ型のソーシャルゲームを囲い込むためのプラットフォーム「Xbox LIVE Web Games」の提供となる。もちろんこの2つは表裏一体であり、ストレートな言い方をすれば、Facebook対抗、Zynga Platform対抗のプラットフォームサービスと言い切って良い。

 Microsoftが新たに提供するAPIは、Xbox LIVEのクラウドサービスを使ってセッションやプレーヤーを管理できるマルチプレーヤーシステム、ユーザーとユーザーを速やかに適切な形でマッチングするマッチメイキング機能、ユーザーの状況を問わず、ゲームの状況を自分やフレンドに伝えるメッセージング機能の3つとなる。

 ターゲットとなるゲームジャンルは、「Forza Motorsports」シリーズや「Gears of War」シリーズのように低いレーテンシーが求められるものは最初から除外し、カードゲームやボードゲーム、ファーミングゲームといったいわゆるブラウザゲームをメインとする。セッションでは様々なゲームタイプが紹介されたが、ベースはシングルプレイRPGで、ボス戦時などのピンチな局面でフレンドにSOSを出すなど、日本のモバイルソーシャルを彷彿とさせるような表現も出てきて、同社が本気でソーシャルゲームを取りに来ているという感じがひしひしと伝わってきた。

 そして今回の「Microsoft Developer Day」で初お披露目となった新サービス「Xbox LIVE Web Games」。Microsoftが放つクロスデバイス対応のブラウザベースのソーシャルゲームプラットフォームとなる。Xbox LIVEの名前を冠していることからもわかるように、新サービスといっても基本はXbox LIVE内の新しい機能のひとつで、PC版Xbox LIVEのメニューを通じてそこから様々なブラウザゲームを利用できるというもの。HTML5とFlashに対応し、Xbox LIVEのサービスらしく、ファシリティはMicrosoftが丸抱えするという。

 アバターやリーダーボード、フレンドリスト、実績など、Xbox LIVEのサービスはすべてそのまま利用できる。Xbox LIVEの既存サービスと多少毛並みが異なるのは、広告バナーが掲示されるぐらいだろうか。中央のゲームの表示エリアや右袖のリーダーボードなどはFacebook準拠で、まさにXbox LIVE内でソーシャルゲームが楽しめるプラットフォームだ。

 今回ひとつ気になったのは、具体的な自社コンテンツや、参入メーカーの説明がなかったところ。もちろん賛同メーカーを集めるためにGDCで発表したということもあるのだろうが、ファーストパーティータイトルすらないというのではサードパーティーなかなか手が挙げにくいところがあるのではないだろうか。Microsoftは過去にWindows PC用のゲームプラットフォーム「Games for Windows」で苦い経験がある。「Games for Windows」では、Xbox LIVE同等のオンラインサービスGames for Windows - LIVEと、Xbox 360とのクロスプラットフォーム対戦を目玉にして売り込んだが、クロスプラットフォーム対戦を実現したパッケージタイトルは、自社タイトルの「Shadowrun」のみに終わり、そのままフェードアウトした。

 あらゆるIT業界にリーチするジャイアントのソーシャルゲーム市場への具体的なコミットということで、その発表は注目に値するが、コンテンツが伴っていないところが若干気になった。ソーシャルゲームプラットフォームはまさに今年がもっとも熱い年になるのは間違いなく、その中でMicrosoftがどのような存在感を見せてくれるのか楽しみだ。


【Xbox LIVE Web Games】
Microsoftのソーシャルゲームプラットフォーム「Xbox LIVE Web Games」。もちろんフリーミアムのビジネスモデルにも対応

【Xbox LIVE Web Games基本仕様】
最後のセッションでは「Xbox LIVE Web Games」の基本仕様も公開された。細かい仕様まで決まっていて、たとえば実績は1タイトルあたり50ポイント(5〜10項目)

【ゲームサンプル】

(2012年 3月 7日)

[Reported by 中村聖司]