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アドビ、ソーシャルゲームに特化したイベント「ADC MEETUP ROUND4」を開催

“Flashは死なず”。今後はAir&Stage3Dでモバイルゲームへのアプローチを継続


2月28日開催

会場:THE GRAND HALL

入場料:無料



 アドビ システムズ株式会社は2月28日、アドビ製品を利用する開発者向けイベント「ADC MEETUP ROUND4」を東京品川のTHE GRAND HALLにて開催した。入場は無料で、300人限定の事前登録制。本稿では、取り急ぎイベントの概要と、アドビのイントロダクトリーセッションの模様をお届けしたい。個別セッションの模様は後ほどお届けする。

【ADC MEETUP ROUND4】
メインロビーには協賛メーカーのブース出展も行なわれていた。アドビはStage3Dのデモと、「Monocle」のデモを実施。ディー・エヌ・エーは、Flashをスマートフォンのブラウザで動かすソリューション「ExGame」を出展。スポンサーのCygamesは、ソーシャルゲームの人材募集を実施していた。休憩時間中にはユーストリーム★エンジェルスがマイクパフォーマンスを行ない、会場を盛り上げた




■ ここ数年でFlashを取り巻く環境は激変。アドビはこの難局をどう乗り切るか?

日本のソーシャルゲームの市場規模。2013年には3,000億円規模に達すると見込まれている
ソーシャルゲームの定義
アドビの公式ブログを通じて発表されたモバイル版Flash Playerの開発中止

 アドビの開発者向けのサポートサービス「Adobe Developers Connection(ADC)」の活動の一環として2011年から実施されている「ADC MEETUP」だが、今回で早くも4回目の開催となる。これまではAdobe CS5.5 Web Premium、Adobe Dreamweaver CS5.5、Adobe MAX、Adobe Edgeなど、アドビが擁するクリエイター向けソフトウェアにフォーカスが当てられていたが、今回満を持して同社が誇るWeb向けのアプリケーションランタイム「Adobe Flash」にフォーカスを当て、現在世界的なトレンドとなっている「ソーシャルゲーム」をメインテーマに、多くのソーシャルゲームメーカーが参加する形でイベントが開催された。

 セッションに名を連ねたメーカーは、グリー、ディー・エヌ・エーの2大ソーシャルゲームプラットフォーマーを筆頭に、スクウェア・エニックス、バスキュール、そして海外からは「Angry Birds」の開発元として知られるRovio Entertainmentなど。とりわけ、Rovio Entertainmentは、フルFlashベースの「Angry Birds」シリーズ最新作「Angry Birds Facebook」を2月14日にリリースした直後の講演ということで、大きな注目を集めた。

 ただ、Flashそのものは、大きなアゲインストの風を受けている。もともとFlashは1996年の登場以来、PC向けのカジュアルゲームにおいて“Flashゲーム”と呼称されるほどの圧倒的なシェアを誇り、初期のソーシャルゲームにおいても9割近くのシェアを握っていたが、ここ数年は、ゲームプラットフォームの中心がモバイル向けにシフトしていくにあたり、開発環境にも地殻変動が起きつつある。

 ひとつは開発環境の多様化だ。モバイル向けの開発環境は、UnityやHTML5(Java Script)などの有力な競合が存在し、Appleのモバイル向けOS「iOS」がFlash非対応の方針を貫いていることから、iOSとAndroidの両方をカバーしたいゲームメーカーからFlashが敬遠される傾向にある。

 もうひとつはモバイル端末のカバー率の低さだ。もともとFlashに非対応だった「iOS」がiPhoneの大ヒットでシェアが拡大したことに伴い、相対的にFlashのモバイル向けのシェアが低下する中、2011年11月には、GoogleのAndroid OSへの対応を終了すると発表。モバイル向けFlashからの事実上の撤退を表明した。

 もちろん、PC(Windows、Mac)向けのFlashは今後も継続される見込みで、YouTubeや、Google Mapのストリートビュー、そしてGoogleアドセンス(広告)といったGoogleの主要サービスでは依然としてFlashは使われ続けており、ノンゲーム系も含めたトータルで見ればその地位はまだ安泰といえるが、ゲームに限ってはその使い勝手の悪さから徐々にそのシェアを失いつつある。今回のセミナーでは、この状況をアドビはどう切り抜けようとしているのかが大きな注目点だった。





■ 北米ソーシャルゲーム市場を取り巻く「Disruption」と「Discovery」。アドビは「ソーシャル」、「モバイル」、「無料オンラインゲーム」をサポート

アドビシステムズのデベロッパーマーケティングスペシャリストの轟啓介氏
アドビシステムズのソリューションアーキテクトのAndy Hall氏
アメリカ市場のトレンド。「Disruption(混乱)」の中から新しいユニークなコンテンツが生まれているという
日本はソーシャルゲーム先進国。ただ、その方法論が欧米で通用するかについては、まだ成功事例がない

 「ADC MEETUP ROUND4」では、イントロダクトリースピーチとして、アドビシステムズのデベロッパーマーケティングスペシャリストの轟啓介氏と、ソリューションアーキテクトのAndy Hall氏が登壇し、アドビのFlash戦略と、アドビがサポートするソーシャルゲーム市場の有望性について語った。

 まず最初に挨拶した轟氏は、ウェルカムスピーチとして、各種リサーチデータを引き合いに出しながら、ソーシャルゲームの定義やソーシャルゲーム市場の市場規模について紹介。続いて登壇したHall氏は、「Flashクリエイターの皆さんがもしかしたら見逃しているかもしれないアメリカの市場についてご紹介したい」と切り出し、北米でのソーシャルゲームの盛り上がりをデータで示しながら、ソーシャルゲーム市場の有望性について語ってくれた。

 Hall氏は、昨今の北米のゲーム市場を「Disruption(混乱)」という言葉で表現した。「混乱、不安定という意味。今までのビジネスモデルが通用しなくなり、成長が止まったことで、逆に今までなかった新しいコンテンツが混乱の中で生まれつつある。この3年間で、アメリカのゲーマーは3倍近く増えた。ゲーマーの定義が変わりつつある。アメリカの人口の4割に達する1億3,500万人に達します。これはソーシャルカジュアルゲームのおかげです」と最新事情を報告。

 続けてHall氏は、ぼかしを入れた某携帯電話メーカーの家族団らんの写真を笑顔で見せながら、「それでは質問です。この中で一般的なソーシャルゲーマーは誰でしょう? イヌではありません(笑)」と来場者に質問を投げかけた。答えは「お母さん」。北米ソーシャルゲーム市場は、初期段階で主婦の取り込みに成功したことで、大きな成長を収め得たという。ただ、現在、その成長はピークを迎えており、今後はより広い層をターゲットにしたソーシャルゲームが求められているという。

 次にHall氏は、「PC」、「コンソール」、「オンライン(有料)」、「オンライン(無料)」、「ソーシャル」、「モバイル」とゲームビジネスのカテゴリを6つに分け、その上で「ソーシャル」、「モバイル」を取り巻く“Discovery(アプリの探し方)問題”について解説を行なった。

 日本では、フィーチャーフォン時代からソーシャル性のあるゲームコンテンツがリリースされてきた経緯があるため、携帯電話向けのソーシャルゲーム、俗に“モバイルソーシャル”といわれるゲームはごく普通の事として捉えられている。しかし、アメリカではそうではなく、あくまでこの両者は別カテゴリとして捉えられている。Hall氏によれば、それが“ディスカバリー問題”だという。

 Hall氏は「ユーザーがどうやってゲームをディスカバー(見つける)か。アメリカではソーシャルゲームは完全にFacebookに取り込まれている。それは北米最大手のソーシャルゲームメーカーのZyngaがその収益の9割をFacebookから得ていることからも明らかだという。ソーシャルゲームに関しては、ユーザーはFacebookにログインして、フレンドが遊んでいるゲームを参照するだけでいいが、モバイルゲームに関しては、アプリマーケットに赴いて検索するという形が一般的」と語り、北米進出を目指す場合は、日米のこの差異について注意を払う必要があることを強調した。

 ちなみにアドビはこの6つのビジネスカテゴリの中で、「オンライン(無料)」、「ソーシャル」、「モバイル」の3つを積極的にサポートしていく方針ということだ。理由は、成長性。アドビの予測によれば、この3つのカテゴリは、今後数年間、1割から3割程度の成長を見込んでいる。

 最後にHall氏は、日本市場について語り、「日本は、カジュアル性、モバイル性、課金率など様々な点でソーシャルゲーム先進国なので、欧米からノウハウを学ぶというよりは、今持っているノウハウを活かして闘うことで十分ビジネスチャンスがある」と、欧米進出に発破を掛けた。


【ソーシャルゲームのメインターゲット】
北米ソーシャルゲームのメインユーザーは実は主婦。これはよく知られた話だが、すでに北米ではコア向け、マス向けにターゲットが移りつつある

【アドビのターゲットはモバイル&ソーシャル】
アドビは今後もモバイル、ソーシャル、Free to PlayスタイルのMMORPGなど、比較的ライトなコンテンツに向けてソリューションを提供していく




■ Facebookアプリの95%、mixiアプリの90%がFlashを採用。モバイル向けFlashはAirに統合、Stage3Dのサポートも開始

ソーシャルゲームの分野においては圧倒的なシェアを誇るアドビ
Flash / Airが新たにサポートするStage3D。これによりFlashベースの3Dゲームの制作が可能となる
モバイル向けFlashは今後はAirを通じて行なう
アドビはソーシャルゲームの情報サイトをオープンし、ソーシャルゲームのサポートに力を入れていくことを表明した

 続いて登壇した轟氏は、「FlashとAirの話をしたい」と切り出し、大手ソーシャルゲームプラットフォームであるFacebookとmixiにおいて、アプリランキングの上位20位のFlash利用率を調べたところ、実にFacebookアプリの95%、mixiアプリの90%がFlashを利用していることが判明したという。この結果を受けて轟氏は「やはりソーシャルゲームに対してFlashは色んなアドバンテージがあるということではないか。もちろんFlashはこれで終わりではなく、今後も進化させていく」とPC版Flashについて自信と明るい展望を覗かせるコメントを行なった。

 続いて轟氏は、現行のFlash Player 11よりサポートを開始したFlash上で3D表現が可能となる「Stage3D」について言及し、「これによりコンテンツに広がりが生まれる。もちろん3Dだけではなく、2Dのレンダリング能力も向上するため、様々な使い方が可能となる」とコメントし、スペシャルゲストとして「Angry birds」の開発者を招いていることを報告した。

 そして轟氏は、一呼吸置いておもむろに「じゃあパソコンは良いよ、モバイルはどうなの?」と、来場者の想いを代弁し、昨年11月にモバイル向けのFlash Playerの開発を終了することを発表したことを改めて報告。そして「じゃあモバイルではFlashがまったく使えなくなるのかというと、『Flash on Mobile』は今後も“YES”です」と言い切った。

 その方法論については「Air(Adobe Air)を介してということになります。AirはFlashを内包しているので、Flashの機能すべてと、Airの機能を使って、様々なアプリケーションを開発していくことが可能になります」とコメント。

 気になるAirのアドバンテージやポテンシャルについては、「ネイティブコードで開発しなくても、様々なOSやデバイス向けに提供できることが大きなオススメポイント」とし、「現時点で、Airを使ってどんなアプリでも作れるとは言い切れないが、ネイティブの拡張ができるため、Objective-CやJavaなどのネイティブコードで機能にアクセスしてAirから使う。もちろんそのままでは使えないのでAirのANE(Air Native Extension)に仲立ちをさせることで、OS依存、デバイス依存の機能を使ったアプリケーションの開発が可能となります」と補足し、Airのスケーラビリティの高さをアピールした。さらに「より深く知りたい方は、ADCの記事を読んで下さい。短縮URLも作りました」とADCへの誘導も忘れなかった。

 続いて轟氏は、Flash Player/Airの最新バージョンである「Flash Player 11.2 / Air 3.2」に話を移し、「まもなく正式版のリリースが予定されていて、モバイル環境でもStage3Dが使用できるようになります。つまり、モバイル端末上で3Dがグリグリ動きます」と報告し、実際にiPad2でStage3Dを使ったシューティングゲームのデモを行なった。デモでは、3Dエフェクトを多用した縦スクロールシューティングゲームが実に滑らかに動作していた。

 Stage3Dが実現するパフォーマンスについては、独自開発したパフォーマンス計測ツール「バニーマーク」を走らせて、その快適さをアピール。下に重力が働く空間で、あまり可愛くないバニーがぴょんぴょん飛び跳ねるというベンチマーク。タップする度にバニーが100匹ずつ追加されていき、画面が何千匹ものバニーに埋め尽くされるような状況になっても、60FPSから落ちなかった。

 ちなみに60FPSを維持できるバニー数の上限は、FlashベースのStage3Dで4,250体なのに対し、C++ベースのNMEは2,500体に留まる。これはスペックが限られるモバイル端末では大きなアドバンテージとなりそうだ。

 最後に轟氏は、Airを含めたFlashのアップデートロードマップを示した。まず、2012年中に、「Flash Player 11.2 / Air 3.2」のアップデートに続いて、コードネーム「Cyril」と「Dolores」という2つのアップデートを予定。2013年にはコードネーム“Next”のアップデートを予定。

 気になるアップデート内容については多くを語らなかったが、今後実装されるツールとしてFlash Playerの内部の動作を詳細に把握できる「Monocle」や既存のC/C++ライブラリをそのまま活用できる「Alchemy2」、ActionScriptを複数スレッドで同時に実行できる「Worker」といった新しいツールがスライドで紹介された。

 轟氏は締めくくりとして「ランタイムだけでなく、ツールやまだ言えないものも含めて、開発中のものがいろいろあります。今後も引き続きウォッチングしていたければなと思います」と挨拶し、アドビのソーシャルゲームの専門サイトが立ち上がったことを報告してセッションを終えた。Flashクリエイターもしくは、Flashベースのブラウザゲームやソーシャルゲームで遊んでいるゲームファンは覗いてみてはいかがだろうか。

【Adobe Air】

【Flashのロードマップと開発中のツール群】

【Stage3Dで開発したシューティングゲーム】

【「バニーマーク」のベンチマーク】

Copyright (C) 2012 Adobe Systems Incorporated. All rights reserved.

(2012年 2月 28日)

[Reported by 中村聖司]