USB給電のモバイル液晶モニター「On-Lap 1301」を試す

ノートPCに取り付けてお手軽&快適マルチモニタゲーミング!


12月22日発売

価格:オープンプライス
(店頭予想小売価格16,800円前後)



 PCゲームをプレイするために必要なPCと言えば、一昔前まではデスクトップPCだったが、最近では多少映像品質を落としてでも手軽にPCゲームをプレイしたい人向けに、ビデオカードを内蔵した高性能のノートPC、いわゆるゲーミングノートPCも人気だ。ところがノートPCでゲームをプレイしていて悩ましいのは全画面表示でゲームをしている時に、ブラウザやメールなど他の情報が一切確認できないことだ。

 こうした問題を解決する方法としては、もう1台の液晶モニターを接続し、1台のPCで2台の液晶モニターを利用するいわゆるマルチモニターが有効だ。メインのモニターにゲームを全画面表示し、サブモニターでメールやブラウザなどを開いておくことで、ゲームをしながらでもメールをチェックしたり、ブラウザでゲームの攻略情報などを確認できる。昨今では2画面のみならず、3画面も十分現実的になりつつある。

 ただ、マルチモニター環境は、据え置き型のデスクトップPCであればさほど難しいことではないが、ノートPCの場合、単純に2台目の液晶モニターを導入すると、持ち運べなくなってしまい、ノートPCとしての機動力が台無しになってしまう。小型で低価格のUSB接続のサブモニターを使うという手もあるが、こうした製品は利便性とコストを重視するためにUSB 1本のみで電源供給と映像表示を行なうため、その反動として反応速度が遅かったり、表示解像度が低かったりと液晶モニターとして難があるものも多い。

 そうした弱点を払拭して登場したのが今回紹介するモバイル用液晶モニター「On-Lap 1301」だ。「On-Lap 1301」の最大の特徴は、電源供給のみをUSBで行ない、映像入力には標準のHDMI/DVIやアナログRGBを利用していること。また、モバイル向けを謳うだけあって、本体重量は865gと軽量で、ノートPCの背面部分に取り付けるための吸盤などが付属しており、ノートPCでもマルチモニター環境を手軽に構築できる製品となっている。


 



■ フレームと一体化したコンパクトな本体、専用ケーブル2本と吸盤が同梱

 

外箱はコンパクトで、重さもあまり感じないので、持ち帰るのも楽だ

 まずはハードウェアからチェックしよう。外箱は薄型でコンパクトなため、店頭で購入した場合でも容易に持ち帰ることができる。箱を開けると本体のほかに専用の入力ケーブルが2本(HDMI/VGA)と、ノートPCなどに装着するための吸盤が同梱されている。

 本体にはモニター部を覆うようにフレームが装着されており、モニター左端部を軸にモニターがカパッと開く作りとなっている。フレームの軸は固めで、75度くらいの角度で固定してそのままフレームをスタンドとして立てて利用することもできる。モニターのサイズは13.3インチ、解像度は1,366×768ドットで、最大輝度は200cd/平方m、コントラスト比は500:1、応答速度は16msと、最近の液晶モニターと比べると若干低めのスペックだ。

 フレーム下部はスライド式のふたになっており、この中に専用ケーブルを接続する端子と電源供給用のUSBケーブルが収納されている。このスライド式のふたが少々曲者で、開ける時はあまり気にならないのだが、しまう時にカッチリはまりにくいため、慣れるまでは多少手間取りそうな印象を受けた。

 ノートPCと接続するための吸盤はネジ留めでモニターのフレーム部に取り付ける。また、吸盤が簡単にはがれてしまわないように、「吸盤補助プレート」と呼ぶ吸盤が吸いつきやすいシートも付属しているので、吸盤が突然はがれてモニターが落下するようなことはなさそうだ。

 せっかくのコンパクトなモバイルディスプレイなのに、専用ケーブルが必要なのは残念。汎用端子を備えていれば、ディスプレイ単体で持ち運んで出先で利用できるが、専用ケーブルの場合はケーブルの持ち運びも必要となるため、余計な荷物が増えてしまう。ケーブルを無くした時の代替がないのも厳しい問題だ。また、専用ケーブルは長さが約50cm程度と短いため、デスクトップPCなどで使う場合には、配置に注意が必要だ。


HDMI/VGA接続の入力ケーブルが付属。専用ケーブルなので、持ち運ぶ際は常時携帯する必要があるモニター側の端子部。付属ケーブルを接続して利用する。ケーブルはフレームの隙間から外に出せる

フレーム下部をスライドさせるとふたが開き、そこに入力端子や電源用のUSBケーブルが収納されている。このふたを締めるのにはちょっと慣れが必要

モニター背面。フレーム部の4すみのネジ穴に吸盤を装着する。左側の縦に並ぶ4つのボタンはモニター用の設定ボタンその他の付属品。モニター背面に装着する吸盤と、ノートPC側に貼り付ける吸盤補助プレートも2台分(8枚)付属する。細かい部品はケーブルをまとめて固定するケーブルタイ

 



■ 吸盤で装着する「デュアルモニタモード」とフレームをスタンドとして使う「縦式モード」

 

ノートPCの天面に吸盤でモニターを装着して利用する「デュアルモニタモード」。写真では11.6インチモニターを搭載したノートPC「ALIENWARE M11x」に装着してみたが、かなりギリギリだ
こちらの写真では15インチモニターを搭載したノートPCに装着してみた

 次はさっそくPCに接続してみよう。 今回はゲーミングノートPCの「ALIENWARE M11x」に装着してみた。ただ、このノートPCは11.6インチと小さめの液晶モニターを備えるため、「On-Lap 1301」がはみ出てしまうため、吸盤を利用した「デュアルモニタモード」では、本来装着できない。「On-Lap 1301」の吸盤の位置がフレームの内側にあったため、どうにか装着できたが、実際には13インチ以上のモニターを搭載したノートPCでの利用が望ましい。

 吸盤というと、水場で使う吸盤グッズのように力を入れるとすぐにはがれてしまうイメージがあったが、実際に装着してみるとしっかり固定されており、不安定さはまったく感じなかった。また、フレームをノートPCの背面に固定するため、バランスが悪くなるのでは?とも思ったが、本体が900g弱と軽量なため、ふらつくことなく利用できた。ただ、ウルトラブックやMac Book Airといった薄型軽量のノートでの使用はちょっと厳しそうな印象を受けた。それらのノートでは後述するフレームをスタンド代わりにする「縦式モード」で利用するのがいいだろう。

 吸盤で装着する時に注意すべき点としては、「On-Lap 1301」をノートPC背面の中央ではなく、開く側の方向に寄せて配置することだ。あまり中央に配置してしまうと、モニターを開く時にノートPCの天面部に引っかかってしまい、うまく開かなくなってしまう。あらかじめ開いた状態でシミュレーションしてから装着したい。もう1つ、ノートPCの背面がフラットな製品であれば問題ないが、背面の形状が特殊な場合、吸盤がうまくつかない場合があるので、この点については購入前に確認しておく必要がある。これはデスクトップPCで使う場合も同様で、背面にうまく装着できない場合は「縦式モード」の方がいいだろう。


吸盤装着の悪い例(左)と良い例(右)。左の状態だと回転時にモニターが干渉してしまうため、普通に開けない

 吸盤での装着がうまくいかない場合でも、「On-Lap 1301」にはもう1つの使い方がある。フレームをスタンドとして縦型のサブモニターとして使う「縦式モード」だ。縦長のモニターは、ブラウザやメールなど、縦に情報が表示される類のアプリを使う場合には、情報量が多くなるため、通常の横長のモニター表示よりも格段に使いやすくなる。

 ただし、このモードでも注意する点がある。ケーブルの長さが50cmしかないため、PC側のディスプレイ出力端子やUSB端子の位置によっては、ケーブルの長さが足らない可能性があることだ。これについても事前に利用する予定のノートPCの端子の位置などを確認しておいたほうがよさそうだ。

 PC起動後は、特にドライバーのインストールなどは不要で、ノートPCとOn-Lap 1301の両方の画面に映像が表示される。あとはOSのモニター設定の「画面の解像度」を開き、設置位置や好みに応じてサブモニターに表示させる項目や位置などの設定を行なうといいだろう。また、モニター本体右側の裏面には電源ボタンやメニューボタンがあり、手動で電源をオン/オフしたり、明るさなどの手動調整が行なえる。


吸盤で装着する場合、少し軸の部分がはみ出すくらいの位置がちょうどいいと感じた小型のノートPCなどで使う場合、フレームをスタンド代わりに独立して設置する「縦式モード」がオススメ。なお、ALIENWARE M11xの場合、HDMI出力端子が左側面にあったため、On-Lap 1301も左側に設置している。右側に設置しようとすると、ケーブルの長さが足らなかった
デュアルモニタモードで使う場合には、このような設定がいいだろう。その他にも「複数のモニター」の設定ではノートPCの画面と同じ物を表示するミラーリングも利用できる縦式モードでは、このように設定する。On-Lap 1301(2)の位置をノートPCのモニター(1)の左側に配置し、「向き」を「縦(回転)」とする

 



■ 実際にゲームを体験。PCゲームとブラウザゲームの同時プレイが快適!

 

ブラウザ2枚を開いて、1つはゲーム、1つはWebブラウジングということも簡単に行なえる

 まずは「デュアルモニタ」モードの動作を見てみる。まずはノートPCのモニターに「The Elder Scrolls V: Skyrim」を全画面表示で起動し、サブの「On-Lap 1301」上でWebブラウザを開いてみた。ゲームの挙動やパフォーマンスなどには特に影響なく、ブラウザの表示とゲームプレイが両立できた。

 なお、マルチモニター環境で全画面表示を使ってゲームをする場合、マウスカーソルはゲームを表示するモニター内しか動けないようになっているため、マウスカーソルをブラウザ側に移動させることはできない。しかし、ゲームを一時停止し、Alt + Tabなどでアクティブなウィンドウを切り替えることで簡単に別のモニター側にマウスカーソルが移動できるようになる。

 今回のように隣のモニター上でブラウザが開いている場合、単体のモニターで使っている時よりもスムーズにウィンドウの切替が行なえるし、Webの情報を参照しながらゲームを遊びたいという際に非常に便利だ。


「The Elder Scrolls V: Skyrim」を起動。横ではブラウザを開いてレビュー記事をチェックAlt + Tabなどでウィンドウを切り替えると、ゲーム側は自動で一時停止状態になる。ゲーム側のウィンドウを開けばゲームが再開できる

 続いては、ブラウザゲームを起動した場合の挙動を見てみた。ノートPCのモニターには「Skyrim」を起動して全画面表示、「On-Lap 1301」上のブラウザでFacebook内のブラウザゲーム「CityVille」を起動してみた。

 「CityVille」も多くのブラウザゲームと同じように、行動するのにEnergyが必要で、このEnergyは時間で回復するようになっている。このため、Energyの回復を待ちながら、メインモニターでPCゲームを楽しむというのは実は都合がいいのだ。

 片側で負荷の高いPCゲームを起動しているため、正しく時間の経過が描画されるかの心配もあったが、実際にためしてみると、タイムカウントだけでなくアクセサリーの細かいアニメーションまで、その動作の全てが単体で動作させている時と変わらなかった。もちろん、Skyrimの方にもブラウザゲームの影響は特になく、どちらも快適に楽しめた。

「CityVille」の状況を確認しながら「Skyrim」を堪能。無駄な時間を如何に省いて効率的に手を入れるかがブラウザゲームを無料で楽しむポイントだ2画面に「CityVille」を表示。ここまで広いと思う存分、街いじりを楽しめる

 それでは2画面に2つのWebブラウザを開いてみたらどうか。ノートPCのモニター上のブラウザで「CityVille」を起動、「On-Lap 1301」上のブラウザで攻略サイトを開いてみた。すると、「CityVille」の時間待ちをしながら、Webブラウジングができて、これが予想以上に快適。通常タブブラウザでこうしたブラウザゲームをしていると、時間待ちの間にタブを切り替えてしまうため、他のニュースサイトなどに没頭してしまうと、ついついゲームを開いているタブに戻すのを忘れてしまい、見落としがちになるが、隣の画面で「CityVille」の街が表示されていればこうしたミスもなくなる。

 次に2画面の広大な空間を利用して、ブラウザゲームをより効率的にプレイできる方法も考えてみた。通常ブラウザを最大化すると、1画面内に最大化されてしまうため、マルチモニターの恩恵に預かれない。そこで、一度ブラウザを起動したあと、2台のモニターをまたぐように手動でブラウザのサイズを画面の端から端まで引き伸ばしてから「CityVille」を起動してみた。すると単体で利用する時以上に街の広い範囲が一望できるようになって、かなり利便性が向上した。

 さらにマルチモニターの広大な画面でPCゲームがプレイ出来ればと思ったが、マルチモニターをフルに利用してPCゲームをプレイするためには、ソフト側の対応が必要となる。今回は残念ながら手持ちのソフトがいずれもマルチモニターに対応しておらず試すことはできなかったが、機会があれば試してみたい。

 モニターの表示性能については、応答速度16msと、ゲーム用としてはメインを張れるほどのスペックではないが、特に遅延なども感じられずかなり快適に遊べた。なお、モニター表面に施されている光沢処理については、鮮やかな映像を見る場合には特に問題はなかったが、暗めの映像を表示する際に映りこみが気になった。黒基調の映像を見る場合にはモニターの角度にも気をつけた方がいいだろう。

モニター右側には手動で輝度や入力切替が行なえるボタンを備える

Xbox 360と接続してみた。画面サイズは小さいが、映像品質は高いので、これでゲームも十分楽しめる。ちなみにアナログVGAケーブルがフレーム下部から出ており、テーブルにそのまま置けないため、設置する時は何か台になるような物を置くといいだろう

 最後に少し変わった使い方としては、PCと繋ぐのではなく、ゲーム機も接続してみた。といっても、現行モデルで接続可能なのはXbox 360だけで、プレイステーション 3は、モニター側がHDCPに対応していないため映像を出力できず、Wiiは双方のハードが共に専用ケーブルを使うため基本的に接続できない。

 そこで今回はXbox 360に繋いで試してみた。Xbox 360にアナログVGAケーブルとUSBケーブルを接続して起動してみたところ、正常に表示させることができた。画面サイズが13インチと小さいため、さすがにゲーム用のメインモニターとしては弱い印象だが、パーティー用に持ち運んだり、隣のテレビで地デジを見ながら、「On-Lap 1301」でゲームも遊ぶという欲張りな使い方もできるだろう。

 なお、念のためHDMIケーブルでPS3にも接続を試みたが、こちらはうまく表示できなかった。プレイステーション 3と繋ぐ場合、液晶ディスプレイ側がHDCPに対応している必要があるが、「On-Lap 1301」はHDCPに対応していないのが原因で、この点は仕方のないところだろう。


 



■ モバイルでマルチモニター環境を構築したいにオススメ

 

 マルチモニター環境は、すでにデスクトップ環境で実現している人はご存じの通り、1度味わうと戻れなくなるくらい使い勝手が向上する。単に高解像度のモニターを利用する場合とは違い、画面が複数になることで、ウィンドウサイズの調整などの必要もなく、複数のウィンドウを同時に表示できるようになるからだ。それがノートPC環境でもこれだけ手軽に構築できるのは非常に魅力的だ。

 本稿では「On-Lap 1301」の様々な活用法を紹介してきたが、なんと言ってもどこでも手軽に持ち運んで利用できるのが最大の魅力だと思う。価格は実売16,800円前後と、モバイル用のサブディスプレイとしては絶妙な価格設定となっている。ノートPCでマルチディスプレイ環境を楽しみたいなら魅力的なチョイスと言えるだろう。

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(2011年 12月 29日)

[Reported by 池紀彦]