「日本ゲーム大賞 2010 フューチャー部門」受賞作決定
「アスラズラース」、「バイナリードメイン」など新規IP続々受賞
昨年に引き続き、今年も司会は有野晋哉さんと前田美咲さん |
社団法人コンピュータエンタテインメント協会(CESA)は、「日本ゲーム大賞 2011 フューチャー部門」の受賞作を発表し、「東京ゲームショウ 2011」の会場で授賞式を開催した。
「フューチャー部門」は、東京ゲームショウの会場に出展・発表された未発売作品の中から、開催期間中の15日から17日までの3日間、会場において来場者による投票を行ない、さらにその中から日本ゲーム大賞選考委員会の審査によって決定される。 出展されたゲーム全タイトルが投票の対象となり、1票でも投票があれば選考委員の選考対象となる。
今回は、来場者投票により206タイトルが来場者から選出され、その中から11タイトルが選考委員により選出された。タイトルを順に挙げるとカプコンの「アスラズ ラース」、日本ファルコムの「英雄伝説 碧の軌跡」、バンダイナムコゲームスの「機動戦士ガンダム EXTREME VS.」、カプコンの「ドラゴンズ ドグマ」、セガの「バイナリー ドメイン」、エレクトロニック・アーツの「バトルフィールド3」、スクウェア・エニックスの「ファイナルファンタジー XIII-2」、同じくスクウェア・エニックスの「ファイナルファンタジー零式」、セガの「PHANTASY STAR ONLINE2」、そしてカプコンの「モンスターハンター3(トライ)G」となっている。
ここまで発表されたタイトル数が10タイトルで、残り1タイトルはKONAMIのソーシャルゲーム「ドラゴンコレクション」が特別賞として受賞した。受賞理由として選考委員の浜村弘一氏は「ソーシャルゲームの特性上、サービスが開始されて初めて遊べるので、未発売のものは選ぶことができない。ユーザーのニーズは変化していき、これだけ出展されているのに選べないのはおかしい」ということで“特別賞”として選出することとなったという。
前述の理由からソーシャルゲームはどれでも選出することはできるが、「1番盛り上がっているもの」を選出することとなったと言い、「ドラゴンコレクション」が選ばれた。選出された感想を求められKONAMIの担当者は「錚々たるタイトルの中で選ばれてうれしい。毎週新しいゲームを作っているつもりでいる。単純に運営しているわけではなく、どう楽しんでもらえるか考えている」とコメント。
ユーザー数はすでに400万人を超えていると言う。ソーシャルゲームの市場では、SNSを作っている新しいゲーム会社などが優位に展開しているが「ゲームを作り続けてきた会社としてプライドがある。KONAMIにはアミューズメントの運営ノウハウ、カードゲームのノウハウ、家庭用ゲーム機用ソフトのクオリティと、それぞれの良さを融合した」と、「ドラゴンコレクション」が好調な理由を述べた。
ここから各タイトルの受賞コメントを簡単にお伝えしていく。「アスラズ ラース」を受賞したカプコン土屋氏は「サイバーコネクトツーさんとお互いに最高のチャレンジを出し切りましょうと話し合い、二人三脚でやってきたのでこういった賞をいただいて誇りに思います。開発は終盤だがこれからまだ開発は残っているが、受賞を聞いてスタッフも力を出してくれると思う」と語った。サイバーコネクトツーの松山氏も「3年~4年前に大阪のおもろい会社と仕事をしようと決めてから、世界中のゲームファンの度肝を抜く作品を作ろうと頑張ってきた。いまも百数十名のスタッフが最後の戦いに挑んで開発を続けている。来年の早い段階で出せるよう頑張っている。サイバーコネクトツーとしてもフューチャー賞をもらうのは10年ぶりで励みになったと思う」と続けた。
「英雄伝説 碧の軌跡」を受賞した日本ファルコムは「『英雄伝説 碧の軌跡』に投票してもらって本当に感謝している。(投票してもらった気持ちに)答えられる作品に仕上がっていると思うので応援のほどよろしくお願いします」とコメント。
「碧の軌跡」では前作の謎がすべて解け、スタッフのやりたいことをすべて盛り込み、「軌跡」シリーズ最大のクライマックスを迎えるという。今作でストーリーは完結するが、「軌跡」シリーズについては「続けていきたい」とコメントした。
バンダイナムコゲームスの「機動戦士ガンダム EXTREME VS.」の受賞について同社の後藤氏は、「機動戦士ガンダム VS.」シリーズでの受賞は「機動戦士ガンダムSEED DESTINY 連合vs.Z.A.F.T.II」以来だと言い、「開発も励みになります。アーケードから遊んでくれているファンの力が大きいと思います。ありがとうございます」と謝辞を述べた。「機動戦士ガンダム VS.」シリーズ10周年の記念作品で、PS3をプラットフォームとしては初めての作品となる。現在、製作は追い込み中で、アーケードの移植だけに留まらず、1人用プレイモードの充実、ネット関係も重要視し通信対戦をきっちりプレイできるようにするという。これまで発表された機体は半分くらいで、追加の機体はまだまだあるとか。「何十時間、何百時間遊んでもらえるモードも用意している。家庭用で練習してまたアーケードに戻ってもらえれば」と語り締めくくった。
「ドラゴンズ ドグマ」についてカプコンは「完全な新規タイトルで受賞できてうれしい。中学の頃から思い描いていた夢のゲーム」とディレクターの伊津野英昭氏。小林氏も「アクション要素の強いゲームだがRPG要素満載で、そういった情報も明らかにしていく。現在200人のスタッフで過去最大の規模でゲームを作っている。日本初のオープンワールドのハイファンタジー作品は他にはないので、楽しみにして欲しい」とアピールした。
「バイナリードメイン」を受賞したセガの名越氏は「めちゃくちゃうれしい」とうれしそうに切り出した。「龍が如く」で受賞したときとは違い、格別のうれしさがあるという。「シリーズ名がつかない作品に期待を込めて後押しいただいていることは励みになる」と語った。
「チームアクション」を目指したと言い、「信頼度を意識しながら、仲間を助け、助けられながらのゲーム。ありそうでなかった作品」とアピール。「製作を諦めずに、日本のゲームの丁寧な良さを伝えていきたい」とクリエイターにコールを送るコメントを残した。全くの新規IPが受賞したことについて「ユーザーが楽しさに対して飢えている気持ちの現われ。完成度あげていかなければ」と気を引き締めて完成を目指すとしている。
EAの「バトルフィールド3」では「受賞できて大変光栄です。EAで1番誇りに思っている作品。今回は楽しんでもらえるようプレーヤーのために吹き替えを入れました。100以上の武器、戦車はもちろん今回はジェット機も出てくる。新しいエンジンの『フロストバイト2』を導入したことで、戦場にいるかのような……映画見ているかのようなグラフィックスになっている」と自信たっぷりにアピール。
「FPSで1番楽しんでもらえるタイトルになっていると思う。今回は出展されていないが『競合タイトル』と、このFPSのジャンルを盛り上げていこうと思っている。日本のユーザーにもなじみが深くなれば、FPSの市場は大きくなっていくと思う。現在は、技術力は海外の方が上回っている。日本のプレーヤーにも洋ゲーの良さ気づいてもらえるのは時間の問題だと思う」と受賞のコメントを残した。
スクウェア・エニックスの「ファイナルファンタジーXIII-2」は、「受賞ありがとうございます。1月に発表して短期間でお届けできることは幸せです。今作では、140種類以上モンスターを仲間にできたり、新しい要素を多数入れている。世界中からいろんな反響があって、それらを受け止めながら、もっと楽しんでもらえるよう製作している」と語った。
そして2作連続で登場となったスクウェア・エニックス。2作目は「ファイナルファンタジー零式」。製作を始めた理由について橋本氏は「携帯ゲーム機で『ファイナルファンタジー』の世界観を届けられるか試行錯誤して、やっと形になった。携帯ゲーム機用タイトルのこれまでの常識を超えた圧倒的スケール感を実現し、UMD2枚組と言うことで、プレイ時間もかなりある」とプレイしがいのあるボリューム感を強調。
終始、製作に時間がかかったことを謝りながらも、「携帯ゲーム機で遊ぶ『ファイナルファンタジー』のあり方について悩んだ末」だとし、コメントからは、その分とことん楽しめる作品になった自信を感じた。
セガの「PHANTASY STAR ONLINE2」について酒井氏は「日本ゲーム大賞は10年ぶり。新しい形の『PHANTASY STAR ONLINE』が受け入れられた事で受賞できたと思うと、うれしく思う。『PHANTASY STAR』の新作の製作というプレッシャーの中で開発してくれたスタッフに感謝している」とコメント。
ベータテストの結果について「アクション要素は評価を受けたが、インターフェイスは使いづらいということで、しっかり直してサービスにつなげたい」と今後の展望を述べた。まだMagなど発表していない仕様も多数あると言うことで、今後の展開も楽しみなところ。
最後に発表されたのがカプコンの「モンスターハンター3(トライ)G」。ユーザーからの圧倒的な得票数があったという。「短い期間で作り始めた。“G”を冠につけても恥じないものつくろうと頑張ってつくっている。今回は片鱗を紹介できたとおもう。触った人に評価いただいた結果の受賞だと思う。現在ラストスパートを迎えている。クオリティあげていく」とユーザーの期待に応えていきたいとコメントし締めくくった。
(2011年 9月 18日)