コードマスターズ、PS3/Xbox 360「F1 2011」試遊レポート
さらにリアリティを増し、迫真のF1エンターテイメントを実現


「F1 2011」

10月6日発売予定

価格:7,770円

CEROレーティング:A(全年齢対象)


 コードマスターズ株式会社は9月1日から2日にかけて、10月6日に発売予定の「F1 2011」のメディア向け体験会を実施した。「F1 2011」の発売プラットフォームはプレイステーション 3とXbox 360で、価格は7,770円。

 「F1 2011」はモータースポーツの最高峰であるF1をテーマとしたレースゲーム。2011シーズンのF1シーンを象徴するピレリタイヤ、DRS(Drag Reduction System:ドラッグ抑制システム)、KERS(運動エネルギー回生システム)といったレギュレーションを忠実に再現しているほか、前作「F1 2010」より様々な点で表現力の向上が図られている。今回試遊できたバージョンは既にマスター版とのことで、2011年度版として確実なパワーアップを果たしたゲーム内容を確認することができた。


■ 数々の改良点で2011年のF1シーンを完全再現

アレッサンドロ・ナニーニ・カフェ
本格的な環境でマスター版を試遊
水しぶきで視界が奪われる!

 東京、江東区にあるクルマのテーマパーク「MEGA WEB」内で営業するアレッサンドロ・ナニーニ・カフェにて行なわれた体験会では、ドライビングシートとステアリングコントローラーを使った本格的な環境で、「F1 2011」のゲームプレイを堪能することができた。

 本作はCodemastersによる高性能プラットフォーム向けのF1ゲームとしては前作「F1 2010」に続く2作目ということで、前作の基礎をもとに様々な点で改良が行なわれている。

 まず目に付くのは、グラフィックスの表現力が向上していることだ。本作では「DiRT 3」にも使用されたCodemasters内製のゲームエンジン「EGO」の最新版を使用。パドックからコース上の風景に至るまでフォトリアルな表現となり、前作で見られた印象優先的な絵作りからは一線を画し、実際のTV映像に近い、メリハリのある色彩となっている。またフレームレートも向上しているようだ。

 映像の表現力向上が大きく寄与しているのは、雨天時の表現。車両の背後に巻き上げられる水しぶきの表現がさらに実写に近くなり、先行する車両のすぐ後ろを走れば自分が水しぶきにおおわれて、ほとんど視界を失ってしまうのだ。したがって雨天時のレースでは、通常とはまた違ったコース取りが強く求められるようになっている。

 AIの改善も大きなポイントだ。「F1 2011」に登場するAI制御のライバルカーは、前作に比べてより柔軟なレース戦略を取るようになったという。例えば、オーバーテイクを狙うのが難しい状況であれば背後に陣取って勝機を伺うような挙動も見せる。試遊した範囲では、AIが道幅をより広く使うようになっており、理想ラインをブロックして邪魔するような単純な作戦は難しくなったように感じられた。

 レース中の表現としては、本作でついにセーフティーカーが導入された。走行不能になるほどのダメージを負った車両が路上に取り残されるような限定的なシチュエーションでのみセーフティーカーは発動するため、滅多に見ることはないものの、いったんセーフティーカーが出動すればしばらくの間、全車両がセーフティーカーを先頭に連なって行進する格好となる。そして、SCサインが解除された瞬間に再びバトルが始まり、うまく加速できた車両が他を出し抜くという駆け引きにもつながっている。

 レースゲームとして肝心要のドライビングモデルは、よりリアルな印象を感じさせる方向に進化している。また、2011シーズンのレギュレーションで導入されたDRSとKERSも再現。この点については次節で詳しくご紹介しよう。もちろん、前作と同じく、多種多様なアシスト機能を有効にすることで、簡単操作でドライビングを楽しむことも可能だ。



試遊会場となったアレッサンドロ・ナニーニ・カフェ。歴史的車両を集めた「History Garage」の一角にあり、F1関連のディスプレイも数多い
ドライ、ウェット、様々なシチュエーションで試走。前作とは車両挙動に別物レベルの違いを感じた


■ ハードコアなファンも納得? ドライビングモデルの更なる緻密化

滑り易くなったことで、こういう高速コーナーの処理が意外と難しい
コーナからの立ち上がり、DRSやKERSをどう使うかがポイント
ウェットコンディションではDRSの使用は制限される

 「F1 2011」のドライビングモデルは、前作に比べてさらに習得が難しいものになっている。その要因は、レギュレーション面で言えばピレリタイヤの採用、DRS(Drag Reduction System:ドラッグ抑制システム)、KERS(運動エネルギー回生システム)の3点。それに加えて、ゲーム側でのタイヤ、サスペンションモデルのさらなる緻密化が挙げられる。

 まずタイヤについて。実際にプレイしてみると、前作「F1 2010」に比べてずっと、トラクションの持ちが「浅く」感じられる。その影響が特に感じられるのが高速コーナーと、低速コーナーの立ち上がりの加速区間。「粘りがない」というべきか、前作よりもずっと簡単にテイルスライドを引き起こしてしまうのだ。

 また足回りのシミュレーションモデルもさらに細かくなったようで、スライドを起こしてしまうにしても、前作のように、ちょっとでも滑ったら大スピン決定、といった極端な挙動ではなくなっている。トラクションを失いかけてある程度テイルが滑り始めても、反応可能な範囲でスロットルを抑え、カウンターステアを当てれば回復できることも多い。今作でのハイレベルなレースでは、このような制御のうまさが鍵を握ることになりそうだ。

 もうひとつの鍵を握るのが、DRSとKERSという、車両の加速とスピードを向上させる装置だ。実際のレース同様、その使用には一定の制限が加えられているが、適切に使用すれば大幅にタイムを向上させることができるものだ。

 DRSはリアウィングを動作させてダウンフォースを軽減する仕組みだ。ボタンを押せば発動し、もう一度ボタンを押すかブレーキングを行なうかすると解除される。トップスピードがさらに向上するため長い直線では必ず使うようにしたいところだが、そのまま高速コーナーに入ると曲がりきれずに大事故というリスクも負う。確実なON/OFFができるようになるためには、かなりの練習とコース研究が必要だろう。

 KERSは、コースを一周する度にフルチャージされる仕様となっている。こちらもボタンひとつで発動する仕組みで、使用中は加速力が劇的に向上する。大雑把な体感で、ギア2~5あたりの切り替えタイミングが1.5倍速程度になる感じだ。適切なタイミングで使用できれば、こちらもタイム短縮やオーバーテイクに大きな効果がある。

 KERSの操作上の問題は「ボタンを押している間発動する」ということ。つまり、コーナーを脱出した後の立ち上がりから、KERSボタンを押しっぱなしにしながらギアチェンジ操作も行ない、さらに状況によってはDRSボタンも同時に操作するという複雑なテクニックが必要とされるのだ。また、DRS+KERSを同時使用している間に、他車を避けるなどで大きなステアリング操作を行なうのは非常にリスクが高い。難しくも面白い判断が常に求められるレースとなるだろう。

 このように、前作に比べてグッと難しいものになっている本作のドライビングモデル。最も高い難易度でSPAを1時間ほど試走したところでは、前作で出せたタイムの5秒後れのタイムしか出すことができなかった。AI車両は現実のF1レーサー並の良いタイムをバンバン出してくるので、予選でポールポジションを狙うのは(たとえレッドブルでも)、何倍も難しくなっている。

 前作よりもぐっと手応えを増したF1ゲームとなった「F1 2011」。DRSやKERSを使った駆け引きを含め、F1レースならではの難しさと格闘する日が待ち遠しい。ファンの皆さんも10月6日の発売日をお楽しみに。


【スクリーンショット】



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(2011年 9月 5日)

[Reported by 佐藤カフジ]