E3 2011レポート
遂にこれで完結?! 壮大なスケールで描かれる「Gears of War 3」プレビュー
ドラマティックなキャンペーンモードをCliff Bが紹介。大幅パワーアップのマルチプレイ「Horde 2.0」にも注目!
E3 2011にて多くの新作ゲームが披露されるなか、ファン待望のタイトルとして発売が9月22日に迫っているXbox 360「Gears of War 3」。Xbox 360を代表するキラータイトルとしてMicrosoftが力を入れてプッシュする本作は、発売が間近であることもあって詳細な情報に触れることができた。
「Gears of War」3部作の完結編となる本作では、前作よりもさらにボリュームたっぷりのキャンペーンモードおよび、大幅強化されたマルチプレイモードが搭載される。このうちシングルプレイモードの内容については、本作の開発を指揮するEpic GamesのCliff Bleszinski氏自らのデモンストレーションを受けることができた。またマルチプレイモードの目玉となる「Horde 2.0」モードは実際にプレイすることもできたのでその模様をお届けしよう。
■ 「Gears of War」シリーズ完結編にふさわしい内容とボリュームを持つ作品に
Epic Gamesで「GoW」シリーズの開発指揮をとるCliff B氏 |
解説を交えつつキャンペーンモードの山場をプレイ |
巨大ボスとの戦闘。マーカスたちは新兵器のパワードスーツを装着する |
Microsoftブースにて取材陣を歓迎してくれたのは、「Gears of War」シリーズの生みの親であり本作の開発を指揮するEpic GamesのCliff Bleszinski氏(Cliff B氏)そのひと。この日も多くのデモンストレーションを行っていたようだが一片の疲れも見せるこはなく、デモプレイを通じて本作の魅力を紹介してくれた。
3部作の完結編としてCliff B氏が「最後の『GoW』になる」という本作では、前作「Gears of War 2」に比べおよそ1.5倍のボリュームを持つキャンペーンモードを搭載するという。それも単に引き伸ばしたものではなく、さらに密度を上げ、プレーヤーに新鮮で驚くべき体験を与えるべく、様々なチャレンジが行われているようだ。
そこでCliff B氏が見せてくれたのは、主人公マーカス・フェニックスとCoGメンバーが「巨大な海獣」と対峙する一連のシーケンス。始め工場施設内のような環境であったフィールドなのだが、突然建物全体が2つに裂け、海獣が姿を表す。マーカス達は屋上へ。そこで登場するのがパワードスーツライクな“Mech”だ。これは装着する戦車とでもいうもので、両腕に大型マシンガン、ロケットランチャーを装備し、動きは遅くなるが防御力も絶大だ。
マーカスとドムはこれを装着して海獣の弱点である目を破壊。たまらず海獣は水面上に落ちていくのだが、ここでシーンが切り変わり、別行動中のベアードとコール達の視点に。ベアード一行は近くの橋の上でローカストとの戦闘を繰り広げており、新武器のバルカン砲もここで登場。バルカン砲は2人で協力して扱う武器で、ひとりが射撃、ひとりが給弾装置を回転させるといった形で分業するのだという。また、どんな敵も一撃で粉砕し、盾をも貫くレイルガン風のスナイパー武器も登場した。
こうしてベアードたちは周囲のローカストを殲滅し、橋の下でうごめく海獣を確認。爆発する小型クリーチャー“Ticker”が満載されたコンテナを海獣の頭目がけて押し倒し、大ダメージを与える。こうして海獣は断末魔の悲鳴を上げて、しかし暴れまわったために橋が崩落、ベアードのチームは数珠つなぎで“クリフ・ハンガー”状態に……。ここでデモは終わる。
「こうなると誰が生き残るのかわからないのがいいよね」とCliff B氏。本作ではこのように、全体のシナリオがマーカスとベアードの2つの視点で描かれるようになっており、複雑化するローカストとの戦いが鮮明に描かれるようだ。また本作はライティングやダイナミックなマップの変化といった部分に技術的な労力を割いて制作されており、映像上の説得力も大きく増している。
3部作の締めくくりとして最後のシリーズ作となる本作だが、「本当にこれで最後か?」と問うとCliff B氏はニヤリ。「それはこの作品の商業的な成功にかかっているね。事と次第によっては『Halo』シリーズのようになるかも。ハリウッドの映画ビジネスでもそうでしょう?」と、あくまで正直に“大人の事情次第”と言ってのけるあたりがCliff B流といったところだろうか。
ちょっと気が早い話をしてしまったが、まずは空前のスケールで届けられる「Gears of War 3」をプレイして、マーカスやドム、カーマイン達の運命を見届けてみたい。ちなみにCliff B氏、カーマインの運命について「彼は死ぬことによってその運命を全うする」と言っていたが、果たして実際のゲームではどうなるのか? 本作は9月22日に発売予定だ。
キャンペーンモードは、マーカスとベアードのそれぞれの視点で描かれる。前作の2倍とはいかないまでも、1.5倍くらいのボリュームになったとのこと。しかし重要なのはボリュームの多さではなくその密度と質であるとCliff B氏は強調していた |
【「Gears of War 3」War Pigs トレイラームービー】 |
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■ パワーアップしたマルチプレイモード「Horde 2.0」を体験! 新システムの“お金”をどう使う?
「Horde 2.0」体験パーティの会場は、作中に登場しそうなオブジェがいっぱいのクラブ |
薄暗い会場内の各箇所に5台ずつ試遊台が設置され、自由に遊ぶことができた |
設置物を配置可能な場所がシルエットで示され、十分な資金があれば近づいてボタンを押すことで設置・アップグレードができる |
「Gears of War 3」のもうひとつの見所となるのがマルチプレイ要素。本作ではキャンペーンモードの4人同時協力プレイをサポートするほか、各種の対戦モードを搭載。その中でも、前作で人気のモードだった「Horde」モードをさらに強化した「Horde 2.0」は、このジャンルに新風を吹き込むチャレンジングな内容だ。
Microsoftがロサンゼルス市内のクラブで開催したナイトパーティにて、実際にこの「Horde 2.0」をプレイすることができた。このモードでは、前作の「Horde」モードと同じく、大量に湧いて出るローカストを向こうに回して戦い、一定数を撃破することで「Wave」をクリア、複数のWaveを乗り越えてどこまで生き残れるかを試す内容が基本になっている。
「2.0」で大幅に変わったのが戦略性の部分だ。敵を倒すことによってスコアポイントのほかに「キャッシュ(お金)」を得ることができ、Waveの間に挟まれる準備時間にマップ中の各箇所に様々な設置物を配置して、一帯を要塞化できるのだ。
設置可能なオブジェクトは、敵の移動を阻むバリケードから、自動的に敵を攻撃するセントリーガン、プレーヤーが乗り込んで操作するタレット、敵の関心を惹きつけるダミーなど幾多の種類がある。それぞれ設置のための基本コストがあり、限られた資金の中で最適にオブジェクトを配置しなければならない。ちょっと「タワーディフェンス」系のゲームに近い雰囲気もある。
ポイントとなるのは、20Wave毎に「ブルマック」のような巨大クリーチャーが登場することだ。巨大クリーチャーとは設置物なしに戦うことは難しいため、あらかじめ巨大クリーチャーとの交戦に備えた要塞化を施す必要がある。各設置オブジェクトはアップグレードも可能。例えば原始的な有刺鉄線をアップグレードしていくと、強力なレーザーワイヤーになるといった塩梅だ。もちろんそれにはたくさんの「キャッシュ」が必要になるし、Waveの間に破壊されてしまったら最初からやり直し。複数Waveをまたいで戦略を組み立てる必要がある。
ナイトパーティでの試遊では時間も短く、会場に集まった参加者はまだ不慣れで「とりあえずタレットを作りまくってみる」といった単純な方法でプレイしていた。これで20Waveを生き残るのは稀で、たまに「ブルマック」に遭遇したグループがあったかと思うと、あっという間に全滅するといった状態だ。ゲームとしての難易度はかなり手応えのあるものになっているので、これは発売後じっくり遊んでみるしかあるまい。
シングルプレーヤー、マルチプレーヤーの各モードともにしっかりと作りこまれている「Gears of War 3」。シリーズを通してプレイしてきている筆者自身、3部作を締めくくるに相応しい作品になっていると感じたので、ファンの皆さんも是非発売を心待ちにしていてほしい。期待に答える楽しみを与えてくれるはずだ。
【「Gears of War 3」 Hordeムービー】 |
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「Horde 2.0」モードでは、設置物を使っていかに効率よく敵を撃退するかが長く生き残るためのポイントになりそうだ。20Wave毎に襲い来る巨大クリーチャーに対処するため、複数Waveを跨いで準備をすすめる周到さも必要になってくるだろう |
□Electronic Entertainment Expo(E3)のホームページ(英語)
http://www.e3expo.com/
(2011年 6月 9日)