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BBA、延期していた「OGC 2011」を秋葉原で開催

スマートフォンでのソーシャルプラットフォームが焦点に


5月31日 開催

会場:ベルサール秋葉原

参加費:3,000円



 一般社団法人ブロードバンド推進協議会(BBA)は、オンラインゲームやコミュニティサービスをテーマにしたカンファレンス「OGC 2011」を、5月31日にベルサール秋葉原にて開催した。

 「OGC 2011」は当初、3月15日に開催される予定だったが、東日本大震災の発生を受けて延期。今回の開催に当たってBBAは、本カンファレンスを震災復興支援イベントと位置付け、会場や一部セッションを変更するとともに、参加費を3,000円に引き下げた。

 仕切りなおしての開催となった「OGC 2011」は、「オープングローバルコンテンツ(OGC)」という名前で開催され、「アジア オンラインゲーム カンファレンス(AOGC)」として2005年に始まってから、ついに今年は「ゲーム」という言葉が外された。そこで話題の中心となったのは、スマートフォンにおけるソーシャルプラットフォームの展開だ。全体の約半数のセッションがSNSやコミュニティーサービスの担当者によるもので、それぞれに今後の展開を予想しながら、自社の独自色や強みをアピールする内容となった。

 このほか、慶應義塾大学 政策・メディア研究科 特別招聘教授の夏野剛氏による基調講演など、オープンプラットフォームに関するセッションが、計14セッション開かれている。これらのセッションについても、別の記事で紹介する。




■ オープン化しながらもタイトルを厳選。デベロッパーとの親密な関係を望むハンゲーム

槌谷康伸氏

 NHN Japan株式会社 プラットフォームビジネス事業部 事業部長の槌谷康伸氏は、「これからのソーシャルゲームとオンラインゲーム 〜Open Hangame!の可能性〜」と題し、同社のポータルサイト「ハンゲーム」のオープン化と今後の展開について語った。

 「ハンゲーム」は2000年からサービスを開始。槌谷氏は「2000年当時はブロードバンド黎明期。インフラとともに事業が成長してきたと考えている」と述べ、それと同じことが現在はスマートフォンで起こっていると語った。

 2002年からゲーム提携ビジネス(チャネリング)を開始した。槌谷氏はこれを「今で言うオープン化」と表現。そこでの他社とのパートナーシップについて、「デバイス、ゲームジャンルを問わず、自社開発できないものや苦手としているジャンルで、品質のいい楽しいゲームをお届けしたいという信念から、プラットフォームをオープン化した。この実現のためには強いパートナーシップが必須で、提供するタイトルは厳選している。それゆえにサイト内での強い露出や、サイト内イベントなどで強い集客ができている」と説明した。

 タイトルの厳選という点については、約100項目のチェックシートを用意している。「面白いゲームにはどんな機能、要素があるのかを言語化した。お客様が好まれるタッチポイントをコンテンツプロバイダーと共有し、機能の追加提案などを行なう」という。最終的な判断はコンテンツプロバイダーに委ねるが、このやり方でビジネスの確度を上げるのが狙いだ。

 続いては、2010年7月26日のオープンプラットフォーム立ち上げ以降の実績が紹介された。コンテンツ数と利用者数は順調に伸びており、「ソーシャルゲームを望んでいるお客様が多いにも関わらず、これまで提供できていなかったということ」と反省も口にした。この点については、「『ハンゲーム』はもともとバーチャルグラフ(直接の面識がなく、ゲームなどの仮想空間で作られたソーシャルグラフ)向けに作られていた。お客様同士のマッチングや友達募集の強化を狙ったプラットフォームの改修を6月30日に行なう。もっと友達を増やして、多くのソーシャルゲームに触れてもらえるきっかけを届けたい」と語った。

 プラットフォームの展開としては、日本マイクロソフトと提携して「MSN」にゲームを提供しているほか、子会社にしたライブドアも展開先・集客先となる。また韓国NHNが運営する韓国最大の検索ポータルサイト「NAVER」で展開している「NAVER Open Social Platform」にも提供できるとしている。

 「ハンゲーム」としての展開では、PC、フィーチャーフォンに加え、スマートフォン版の展開も始めている。PC版では4,217万IDという規模を誇っているが、スマートフォン版においても既に400万ダウンロードを記録。7月までには誰でも遊べる定番ゲームアプリを約70本投入し、さらなる集客も見込む。「ソーシャルゲームを含め、新たなデバイスでのビジネスをサードパーティー様と早く展開できるよう準備している」という。

 槌谷氏は同社のオープンプラットフォームについて、「1回のビジネスで終わりとは考えていない。次のゲームも一緒にやりたいと相互に思えるような関係を追い求めている。『ハンゲーム』にコンテンツを預けてよかったな、と言っていただけるようにプラットフォームやデバイスの整備を進めたい」と述べた。


タイトルを厳選し、コンテンツプロバイダーを家族のように厚く扱うのがハンゲーム流。オープンプラットフォームと言いながらも、他社とはかなり異なるアプローチで挑む



■ ARPUより課金率の向上を目指すmixi。ソーシャルアプリ開発のポイントも語る

安部聡氏

 株式会社ミクシィ アライアンス推進部 ビジネスディベロップメントグループ マネージャーの安部聡氏は、「次のステージに向かうmixiアプリ」と題して講演。同社が運営するSNS「mixi」における「mixiアプリ」プラットフォームについての今後の展開について語った。

 まず安部氏は「mixi」の概況を説明。月間ログインユーザー数が1,537万人という数字に続いて、スマートフォン版となる「mixi Touch」のユーザーが急激に増え、3月時点で月間ログインユーザーが約250万人になったことを明かした。

 mixiアプリについては、2010年第4四半期で売り上げが8億円超になったことを紹介。この数字について安部氏は、「mobageやGREEに比べると少ない数字だが、ARPUは少なくてもいいので課金率を上げたい」と、他社とは違う広く浅くという形のビジネスを目指していることを述べた。

 スマートフォン向けの展開としては、iOSやAndroidのネイティブアプリでmixiアプリを提供可能にするという。「シングルサインインで、アプリごとのIDやパスワードを入れる必要なくすぐ楽しめるものができる」としている。SDKはAndroid向けは提供済み、iOSは7月上旬より提供予定としている。このほか課金システム「mixiポイント」をAndroid向けに提供中で、アドプログラムも6月下旬より提供予定。iOS向けにはいずれも7月上旬より提供予定としている。

 次に開発者からよく寄せられるという、「mixiのソーシャルグラフを活用したアプリを開発するのに、mixi Graph APIを使うか、mixiアプリとして利用すべきか」という質問に答えた。mixiアプリについては「コミュニケーションが軸になっているかを考えて欲しい。例えば『美人時計』は時間を知りたくて見るのではなく、コミュニケーションを発生させるアプリといえる。バイラル(口コミ)が起きる設計になっているかどうか」とポイントを説明。またプラットフォームに送られるフィードについては、「そこに響くものが出せるかどうかを考える。レベルが上がったとか、ハイスコアを出したというだけでは無視されやすい。ちょっとした違いだが大事なチューニング」という。

 mixi Graph APIを使うmixi connectアプリについては、「『サンシャイン牧場』がやりたくてmixiに来る人はなかなかいない。ゲーム性が極めて高いアプリや、目的がしっかり分かれているものをconnectアプリで繋ぐのがいい方法ではないか」という。mixiアプリとの差別化という点では、「どうコミュニケーションさせるかというのがmixiアプリ。mixi connectアプリはさまざまな体験ができて、ソーシャルグラフがひもづいている。主従が逆になったものと考えていい」と説明した。


スマートフォンのネイティブアプリではシングルサインインに対応し、利便性を向上。ソーシャルアプリ開発におけるポイントについても語られた



■ 8億人のボリュームと、最速のスマートフォン対応を売りにするGREE

小竹讃久氏

 グリー株式会社 執行役員 マーケティング事業本部長の小竹讃久氏は、「GREE Platform for Smartphone 戦略と海外展開」と題し、同社のSNS「GREE」におけるスマートフォンの今後の戦略と、グローバル展開について語った。

 同社が展開しているオープンプラットフォーム「GREE Platform」には、現在までに約400社が参入し、約900タイトルのアプリが投入されている。小竹氏はこれらの中で成功しているゲームは共通して、バイラルを活用しているという。重要なのは友達と遊ぶ楽しさと、友達と遊ぶメリットの2点で、「アプリ自体が集客する機能を持っているかが、利用者数や売り上げにも大きな影響を与える」と語った。実際にヒットアプリ、MAUが高いアプリは招待率が高い。実際に売り上げ上位のアプリのうち、2/3はユーザー登録における招待率が30%以上に達しているという。

 スマートフォン市場については、北米では2012年にPCやフィーチャーフォンの出荷台数をスマートフォンが抜くといった予想データを示しつつ、国内でも2011年度の携帯電話出荷台数において46.8%がスマートフォンになっているといった数字も見せた。またOSもAndroidが急進しており、「不安定な環境にいる」と小竹氏は言う。その中で同社は、WEB、iOS、Androidの各スマートフォン向けアプリを2月末までに全て公開した。「それぞれ一長一短あり、今後どれが来るかはわからない」としながらも、他のオープンプラットフォームに先駆けていち早く展開したという実績を強調した。

 「FREE Platform for Smartphone」への参画予定パートナーについては、「フィーチャーフォンではゲームデベロッパーが多かったが、スマートフォンではゲーム以外の企業が多い」という。フィーチャーフォンではキャリアが統制していたが、スマートフォンでは自由競争になり、1つのアプリで人を集めるのが難しくなる。そのため、アプリからアプリにユーザーが流れる導線を、各アプリが持たねばならない。小竹氏は「そういうものを我々が提供しなければならない」と語った。

 スマートフォン向けアプリの展開においては、フィーチャーフォンでサービスしている企業には、「ユーザーをそのまま繋ぎこめるので、まずは同じものをスマートフォンでも提供するのがいいのでは。どこでも同じ条件で遊べる環境を用意するのが大事」と述べた。またスマートフォンへの展開のメリットとして、集客の優位性を挙げた。「アプリにたどり着く方法がランキング以外にいくつかある。KDDIとの提携による端末へのプリインストールや、GREE自体からのアプリ投入とアプリを紹介するアプリも用意する。またテレビプロモーションでは、スマートフォンの移行を前面に押し出すため、フィーチャーフォンとスマートフォンでCMは半々くらいにする」としている。

 海外展開については、「黙っていると海外のアプリが日本に来てどんどん売られる。逆に日本のアプリが世界に出るチャンスも生まれる。我々にも世界レベルの戦いが来ていると思っている」と述べた上で、先日発表されたOpenFeintの買収を挙げて、GREEと合わせて1億人のユーザーを保有する会社であることをアピール。また中国Tencentなどとの提携も合わせて、「8億人に提供できる環境ができていると思っている。今までは閉じた環境なので敵も来なかったが、今後は外に出て行くことも簡単になる。ピンチでもあってチャンスでもある」と語った。

 また海外の現状について、「米国や中国で話を聞くと、iOSとAndroidはどちらが勝つのか、またどうビジネスを作ればいいのか、フィーチャーフォンといつ置き換わるのかなど、日本と同じ悩みを抱えている」と紹介。その上で、「スマートフォンは間違いなく、今後大きく業界を席巻すると思っている。どうせやるなら早めに勝負して言ったほうがいいのでは」とスマートフォンへの積極的な挑戦を促した。


スマートフォン対応をどこよりも早く進める。国内でもCMを早くからスマートフォンにスイッチするほか、8億人というボリュームで世界市場に打って出る準備を着々と進めている



■ グローバルナンバーワンを目指しつつ、コアゲーマー領域も狙うMobage

太田垣慶氏

 株式会社ディー・エヌ・エー ソーシャルメディア事業本部 ソーシャルゲーム統括部 スマートフォンSG部 企画グループ グループリーダーの太田垣慶氏は、「『Mobage』のSmartphoneプラットフォーム展開について」という講題で、国内外におけるスマートフォン戦略について語った。

 同社は2014年を1つの区切りの年としたビジョンを立てている。「グローバルナンバーワンのソーシャルゲームプラットフォームとしてのポジション確立すること」を目標に、ソーシャルゲームプラットフォームの提供と、良質な内製ソーシャルゲームの提供の2本柱で進めているという。具体的な展開としては、スマートフォンでは日本と中国にそれぞれ独立したプラットフォームを展開。欧米には「Mobage Global」として、6月下旬より日中以外の地域に展開する。

 次に太田氏は、国内スマートフォンの可能性について述べた。現在のモバイルソーシャルゲーム市場は1,500億円、コンシューマーゲーム市場は3,000億円と言われている。ここにスマートフォンが普及すると、「モバイルソーシャルゲームはもちろん、コンシューマーゲームやPCゲームなど、よりコアゲーマー寄りな領域も侵食できる」と太田氏は考えている。さらに続けて「スマートフォンの普及は我々の事業領域の拡大に繋がると考えている。売り上げ倍増は十分に可能」と強気に語る。

 グローバルでのスマートフォン戦略については、米国子会社のngmocoによるスマートフォン向けゲームエンジン「ngCore」をメインに、ゲーム開発を推進する。今のところはiOSとAndroidにしか対応していないが、「Windows PhoneやHTML5も状況を見ながら最適なタイミングで投入したい」としている。

 「ngCore」については、「クロスプラットフォーム部分は提供できているが、それ以外はまだ不十分」という。フレームワークやライブラリ、開発ツールの提供やサーバーサイドのサポートを今後充実させたいという。「ngCore」のメインターゲットは、「コアゲーマーではないマスユーザーに刺さるゲーム開発」としながら、「UnityやUnrealといったゲームエンジンにも対応できる懐の深いものにしたい」とも述べられた。

 またスマートフォンでのアプリ展開において、mobageをベースにすることのメリットもアピール。「ゲーム単体でずっと遊んでもらうのは難しいが、プラットフォームがあることで、『怪盗ロワイヤル』のような古いタイトルでも、イベント告知などでまた遊んでもらえる。また複数のゲームタイトルを出す際も、既存のゲームから新しいゲームにユーザーを流せるようになる。各種告知の場を用意できるのが強み」と説明した。


「ngCore」によるグローバル展開を推進しつつも、国内ではスマートフォンの普及に乗って、既存のゲーム領域まで事業範囲を広げていくという長期戦略を示した

(2011年 5月 31日)

[Reported by 石田賀津男]