サイバーコネクトツー、お台場で期間限定

「ソラトロボ博物館 それからお台場へ」開催


4月29日~5月1日 開催(11時~19時)

会場:アクアシティお台場/メディアージュ 3階イベントスペース

入場料:無料



 株式会社サイバーコネクトツーは、ニンテンドーDS用アクションRPG「Solatorobo それからCODAへ」のイベントを東京・お台場にあるアクアシティお台場/メディアージュにおいて5月1日まで開催する。入場料は無料。

 ユーザーからの「完成度の高い世界観をもっと楽しみたい」という声に応えて開催されたもので、「構想10年、制作3年」という長期間にわたって生み出された1,000点以上の世界設定画やラフ画の中から、未公開のものを中心にセレクトされた原画、そして会場限定のオリジナルグッズが多数用意された。

 初日の4月29日、メディアージュの開館前から並んでいたと思われる来場者は、イベントスタート時に250人以上が行列を作った。周囲の店舗への配慮もあり、随時招き入れるという方法でオリジナルグッズの販売が行なわれたが、16時前には当日分のほとんどが売り切れ状態となった。3日間それぞれ販売用のグッズが補填されるので、どうしても手に入れたい人は明日以降にチャレンジしてみよう。なお、エグゼクティブディレクターを務めたサイバーコネクトツー代表の松山洋氏やディレクター・デザイン原案のWAKA氏ら、サイバーコネクトツーの開発スタッフだけでなく、ゲスト陣も腕を振るった「ファンブック RED」に関しては、十分な数が用意されているとのことで、比較的入手しやすいようだ。

 4月29日、30日には、松山氏とWAKA氏によるサイン会も実施され(参加は事前申し込み制で現在は終了)、参加者はパッケージにサインをしてもらうほかに、お2人に話しかけ、お2人もそれに応える形で話し込んだり記念撮影に応じ、熱のこもったサイン会となっていたのは印象深かった。

 さて、イベントスペース内に展示された数多くのイラストは、同作の初回限定版「コレクターズエディション」に同梱されていた設定資料集に掲載されているものだけでなく、さらに初期のボツイラストなどが中心とされていた。WAKA氏による手書きのサインやメッセージなども入っており、温かみを感じる展示となっている。

 このコーナーはこの手のイベントとしては珍しく、基本的に撮影が許されており、熱心に1つ1つを撮影するファンも多く、展示ブース周辺も相当な人だかりになっていた。また、収録台本なども別途展示されている。

 ほかにも、ユーザーからのメッセージを掲示できるメッセージボードも設置。横にはメッセージ記入コーナーが設けられており、熱心にイラストやメッセージを書き込む姿が見られた。掲示されたメッセージには多数のイラストが描かれており、その描きこみぶりには驚かされた。

 ニンテンドー3DSをもちこんですれ違い通信を楽しんでいるユーザーも多く、松山社長も3DSを持ち歩いていた。履歴を見てみると、最後に遊んだソフトに「Solatorobo それからCODAへ」としている人が多かったのはやはりこのイベントならではで、ユーザーの愛を感じる一幕だった。

グッズ販売コーナー兼サイン会会場こちらにはメカ関連の設定画が
裏側にはキャラクター関連の設定画が設定画だけでなく、収録台本などたくさんの展示物が用意されている
オリジナルは1日分がほとんど完売に熱のこもったメッセージが寄せられていた

■ 松山氏とWAKA氏にショートインタビュー(文中敬称略)

サイン会の様子
グッズ販売の行列が外側にずらり
展示物をじっくり眺めたり、撮影する人も多数

―― まずは初日のご感想などをお伺いできますか?

松山 初日の今日はイベントそのものは朝11時からスタートだったんですが、メディアージュは10時から開館していたんですね。我々も物販の準備などいろいろあるので、スタッフ含めて9時過ぎから会場入りしていたんですが、その時点でも人がもう並んでいて、「大丈夫かな?」と思っていて。で、10時になったらうわーっと人が入ってきて、結果11時スタート時に250人以上並んでくれたんですね。隣の店舗の前まで行列が伸びていたので、「これは怒られる」ということで、列を切って一旦外に出ていただいて、順次入れていくという形に入れ替えさせていただきました。ある程度のことは想定していましたけれども、まさかここまでね……たくさんの人に来ていただけると思っていなくて、物販も来場者の方をお待たせする形になって申し訳なかったです。ただ……ほんと、嬉しいです。

―― 遠方からもお客さんがいらっしゃってましたよね?

WAKA 「広島から深夜バスで来て、2時間しか寝てません」というお客さんもいました。

―― ここまで盛り上がっちゃうと、別の場所とかでも開催を検討したくなりませんか?

松山 それはね……(笑)。まあ、期間限定だからここまでわーっと来ていただけるということもあるでしょうし。

―― 最初行なうはずだった時期からはずれちゃいましたけど、それでも大盛り上がりじゃないですか。

松山 本当言うと、2010年の10月28日にソフトが発売されて以後、たくさんのお客さまからお褒めの言葉というか、この作品世界に惚れ込んでいただいて、愛情を感じる感想やご意見をいただいて、こんなにも愛してくれているんであれば、逆に我々からなにかしらそれに応えることをやらなければいけないな、と思って、スタッフが集まって「イベントをやろう」と。ファンの期待に応えるのであれば、ファンの方々がこの「Solatorobo」という作品のどこを評価しているくれているのか、ということを考えたときに、膨大な設定というか、この作品世界に触れられるイベントにしたほうがいいだろうな、ということで、こういったギャラリーというか、スタイルになったわけなんです。

 それと同時に寄せられた要望というか、その多くが、ゲームソフトを楽しんでもらえたんですが、「グッズがほしい」ということも言われて。できれば身に付けて、というか日常持って歩きたいという声が多かったんですよ。私はよくハンカチとして手ぬぐいを持ち歩くことが多いので、だったら「Solatorobo」の手ぬぐいがあるといいかな、ということで作ってみたり、女性スタッフはハンドタオルがいい、ということで「女子はハンドタオルやな」と作ってみたり。やっぱり設定が多いので本もほしい、ということでファンブックも作らせていただいたんですけれども。ギャラリーも見られて、グッズも購入してもらえるイベントにしたほうがいいだろうな、ということと、通りすがりにでも見てもらえるような場所がいいということで、今回お台場にさせていただきました。

―― 膨大な資料があるということで、今回の展示にあたっての選定基準といったものはどんなものにされたんですか?

松山 今回、意図的になんですけれども、今サイン会を終えて「やっぱりそうだったな」と思いましたが、サイン会でパッケージを持ってこられた方の大半がコレクターズエディションだったんですよ。熱狂的なファンが多かったということもあるんですけれども。展示物を選定するとき、限定版の設定資料集に掲載されているものをどれぐらい取り上げるか、ということを考えたときに、たぶん、イベントにわざわざお越しいただけるようなお客様の大半はコレクターズエディションをお持ちだろうと。だから、そういった方々がまだ見たことのないボツ案とか、その前の設定だとか、構想段階のものをお蔵出しして、初めて見ていただけるものの割合を多くしたほうが、喜んでいただけるだろうと。未公開の割合は意図的に増やしましたね。

―― 皆さんバシャバシャ撮影されてましたね(笑)。

松山 今回、弊社が主催でバンダイナムコゲームスさんに協力という形でお手伝いいただいたんですが、すごく寛大な処置といいますか、イベントそのものの許可と、撮影許可ふくめてすごく寛大な心で許可いただいたんで、ファンの方にもいい形でお見せできているんじゃないかと思います。

―― ボツ案って、変な話ですが、見せたくないものでもありませんか?

松山 そうですね(笑)。けれども、作る時間は十分にありましたから、ボツ案もハンパなくありますからね。何を作るにしてもボツ案は出るんですが、このタイトルの場合、最終的な決定稿にいたるまで、日の目を見ない設定が膨大にありますし、私がファンの立場だったら、「最初はどういう形からスタートしたんだろう」というところを見たいと。そういうものを今回選んで展示させていただきました。ぜひ、明日以降も未公開の設定を見に足を運んでいただきたいですね。

―― そのあたりが展示物の見所、といえそうですね。

松山 そうですね。それと、トピックとしては、今回も無理を言って描かせたんですけれども(とWAKA氏のほうを見ながら)、裏側の廊下面にあるポスターに彼にサインをさせましたが、あれって今回のイベントのために描き起こさせた新しいポスターなんですよ(笑)。当然ですけれども今までどこにも出していませんし、今回のイベント合わせで描いたものなんで、ぜひそれを……サインもイラストも描いてもらったんで、それも見に来てほしいなと思いますね。

―― WAKAさんは、松山さんに急に頼まれたんですか? イベント用にということで。

WAKA そうですね。大体いつもそんな感じです(松山氏爆笑)。「あ、わかりましたー。締めはいつですかー?」って。

松山 大体いつもそうだよね。いつもの日常だよね(笑)。当然何か頼むときは「いつまで?」って聞いてくるので「なるはやで」、「なるはやってどれぐらいですか?」、「なるべく早くだから、できれば今日……」、「今日!? ……わかりました。がんばります」って言うんで「あ、がんばればできるんだったらやって」って言うんですよ。

―― (笑)。松山さんも“さぐりさぐり”頼むんですね(笑)。

松山 彼はディレクターもやりながらキャラクターデザインもしつつ、ゲームデザイン部門のマネージャーも兼ねていて、ある意味管理者でもあるんですね。全プロジェクトの管理もしているんですよ。そのかたわらで絵も描いているんですよ。ですから、いろいろ優先しなければならないお仕事もあるものの、「席に座るときには必ずペンを持って座れ」と(WAKA氏(笑))。目の前には必ず白い紙を置けと。とにかく絵描きは手を動かしてなんぼだって昔から言ってるからね。

WAKA そうですね。

松山 描かないと下手になっちゃうからね。

―― でも無茶振りだったりするわけですね(一同笑)。

松山 彼はすごく筆が早いんですよ。このイベントのグッズの中のマグカップとか、ハンドタオルのイラストは全部描き起こしなんですよ。実際、そういうものから完売していっているんで「描いた甲斐があったよね」という話を先ほどもしていて。そのデザインがどういったプロセスでできていったのかをファンブックの巻末ページに「この本ができるまで」というコーナーで掲載させていただいていますので、ああでもないこうでもない、というやりとりをファンブックを見てもらえればわかるようになっていますので、是非お手にとっていただいて、彼の筆の早さを感じ取っていただければ(笑)。

―― 筆の早さというか、限られた時間で形作るためにはコツのようなものはありますか?

WAKA そうですねー。日ごろから「こういうものが描きたいな」というのを想像しておいて、頭の中で構図をある程度ストックしておくというのが大事ですね。それで、「こういうものが欲しいな」と言われたときに、「こういうようにしようか」と描き出すというか。1番大事なのは、発注時の描く方向性が決まっていればすごく早いんですよね。そこで悩まないように打ち合わせするということも大事ですね。

―― 頭の中でストックしておくというのは、忘れちゃったりしませんか?

WAKA いつももやっと「こういう絵がいいな、こういう構成をしたら面白いな」というものを想像しておく、というのが重要ですね。

―― 3つの仕事を兼ねつつ、さらに絵も描くというのは……大変ですね。

WAKA 逆に気分転換になる、という側面もあって。まったく別の仕事なんで、すごく大事ですね。

松山 それはすごく大事だよね。ずっと同じことをやっていると、やっぱり根をつめるところがあるので、たまにね……やっぱり、絵の仕事があったほうがいいよね?(とWAKA氏に話を振る)

WAKA まったくその通りですね(笑)。

松山 マネージャーで管理者なので、私は彼を結構呼び出して、「あれはああやろう!」って言うことが多いんですけれども、そのときは「磯部!(WAKA氏)」って呼び出すんですけれども、絵の仕事のときは「WAKAちょっとおいで」ってペンネームで呼ぶんですよ。そうすると彼も「ああ、絵か」と(笑)。

―― 使い分けが重要ということですね。それも本人にとってはいい気分転換になっていると。

WAKA ありがたいことです。

―― 文句を言った後は、気分転換に絵の仕事を振ったり……(笑)。

松山 そこはパッキリと使い分けてます。はい(笑)。好きでやっている仕事なんでね。

―― 話は変わりますが、メッセージボードにも数多く「続編を!」という声が書かれていましたが?

松山WAKA ありがたいことです。

松山 みんなめっちゃ絵がうまいですよね。プロ顔負けの人もいますね。

WAKA 気合入りまくりですよね。

―― ずっとあのコーナーで絵を描いている方もいらっしゃいましたね。

松山 「Solatorobo」のお客さんって、参加したがるんですよ。応援してくれるお客さんもたくさんいらっしゃるんですが、「Solatorobo」のお客さんって文字だけでなくて、自分で絵も描かれるというか、参加型というか、自分も楽しみたいという方が多いですね。我々もそれを見て与えられることが多くてすごく嬉しいですね。

WAKA 本当にすごく嬉しいことです。

松山 「.hack」ともお客さんの性質が違うというか。

―― 手作り感というか温かみもありますし、あの世界を自分の中で消化して、その上で楽しんでいるというところが感じられますね。

松山 いろんな妄想をしていただけるだけの設定がありますしね。「なるほど、こういう現象が起きるのか、これだけ妄想できるのか」と今回勉強になりました。「.hack」みたいにミステリアスな部分がある場合は、こうナイフとフォークを持って「次まだー?」っていう意味での妄想が出てきたりしますが、「Solatorobo」の場合は、「こうやって参加してくれるんだ」っていう新しい発見がありました。

―― WAKAさんはこういったお客さんの姿を見るという機会はあるんですか?

松山 彼(WAKA氏)は、ずっと福岡にいるんですよね。基本福岡本社にいて、ずっとゲームを作っていますんで、あまりお客さんと話をすることもなければ、お客さんの姿を見ることもないので……バンダイナムコゲームスさんから定期的に送っていただくアンケートでのデータは見ますが、データしか載っていないから、今回のイベントでお客さんの姿を生で見るのは初めてなんですよ。

WAKA 初めてですね。実際に皆さんと面と向かって感想を聞いたりお話をさせていただくと、ストレートに作品に対しての愛を感じられてすごく感動しました。この感動を福岡のスタッフ、チームに伝えたいですね。

―― お話されていて、印象に残ったことはありましたか?

WAKA やっぱり「続編を!」という声が(笑)。「皆さんの応援次第です。がんばります」とお答えしました。それだけ皆さんがこのタイトルを愛してくださっているということが直接感じられました。

―― 発売日前にインタビューさせていただいたときも思ったんですが、このタイトルは、ファンの方々に愛されるようになる、という展開をスタッフのみなさんは想像されていたんじゃないか、と思うんですがいかがですか?

松山 普段からそれは心がけてはいますけれども、このイベントは発売後に立ち上がった企画ですからね。我々の想像を超えてファンの方々の声が私たちを動かして、結果的にファンブック7冊って我々の首を絞めていますけれども(笑)、それをさせたのは、発売後お客様のご意見なんですよ。あまりにも情熱的な応援をしていただけるお客様の声があって、こんなにもこの世界のことを好きでいてくださるのであれば、我々もそれに応えたい、という気持ちにさせていただいたのは間違いなくお客様の声なので。これから先もお客様の応援次第では、いろんなことができるようになっていくと思いますので。

―― 今後はゲームだけでなく、いろんなメディアへの展開なども考えてらっしゃいますか?

松山 考えてますよ。今回のイベントもそうですが、今、熱狂的に支えていただいているファンの方々、そしてこれから入ってくれる人にも向けて……昨今のゲームは、発売日がピークで、そこから先はプレイしてクリアすると、その作品世界が閉じてしまう、というイメージがあると思うんですけれども、その後も、長い時間をかけてこの作品世界をお客さんと一緒に応援していただいて、楽しんでいただけるような隙間というか、機会をなるべく作っていきたい。我々も一緒に楽しんでいきたい、と我々も思っています。連続刊行していくファンブックもそうですし、それ以外の展開も計画を立てて実行していきたいと思っていますので、応援をよろしくお願いいたします。

―― 最後に、明日以降もいらっしゃるファンの方々にメッセージをお願いします

WAKA 今回、松山ともども、ユーザーのみなさんに直接お会いできるというなかなかない機会で、明日以降も楽しみにしているんですけれども、気軽に声をかけていただけたらなと思います。展示している設定画なども、先ほどもありましたように、お蔵出しのものをはじめ、「構想10年」の間の出来事を物語っているものがたくさんありますので、「ああ、こんな風にこのゲームはできていったんだな」ということを感じ取っていただければな、と思います。

松山 今日1日でも感じましたけれども、残り2日間ありますので、たくさんの方々にお越しいただけるんだろうなと思っています。私もWAKAも終日おりますので、会場で見かけたらお気軽にお声をおかけいただきたいなと思いますし、我々もいらっしゃっていただける皆さんのお顔を見るために来ていますので、ぜひお台場でお会いできたらな、と思います。今日1日で、いろいろ傾向も見えてきましたので、明日は明日で、また新しいことをやってみようかな、と思っています。明日以降いらっしゃる方はお楽しみに! 後ほど相談(とWAKA氏を見ながら)!

WAKA (笑) 何をするんですか! 何か起きそうですね。何でしょう?

松山 何かお楽しみをやろうと思いますので。

―― 明日以降も油断できないということですね(笑)。ありがとうございました。


(C)2010 NBGI

(2011年 4月 29日)

[Reported by 佐伯憲司]