グリー、米OpenFeintの完全子会社化に関する記者発表会を開催
“8億人”のユーザーに向けた国際展開戦略の一環


4月22日

会場:グランドハイアット東京



 グリー株式会社は、4月22日に子会社のGREE Internationalを通じて、米国サンフランシスコに本社を持つOpenFeintの株式を100%取得し、子会社化する契約を締結したことを発表した。買収金額は10,400万ドル(約85.7億円)。資金はすべて手元資金で賄っている。

グリー代表取締役社長の田中良和氏
取締役執行役員CFO 国際事業部本部長で、GREE InternationalのCEOでもある青柳直樹氏

 六本木のホテルで行なわれた緊急記者発表会には、代表取締役社長の田中良和氏と取締役執行役員CFO 国際事業部本部長兼GREE International CEOの青柳直樹氏が出席して、今回の買収に関する発表とグリーの国際展開について説明を行なった。

 OpenFeintは2008年8月に設立された比較的新しいゲーム会社で、全米で7,500万ユーザーが利用するスマートフォン向けソーシャルゲームプラットフォーム「OpenFeint」を運営し、App Storeでランキング1位を記録した「Tiny Wings」など約5,000のスマートフォン向けゲームを提供している。7,500万人と言うユーザー数と、北米の大手通信キャリアAT&T、T-Mobile、Verizon Wirelessなどとのアライアンスを結んでいることが魅力だったという。

 買収のストラクチャーは、グリーからGREE Internationalに増資を行ない、それを資金にGREE Internationalが買収用の子会社を設立、この子会社とOpenFeintを合併するという形で行なわれた。OpenFeint CEOのJason Citron氏は買収後も引き続きCEOを続投し、新たに田中氏、青柳氏が取締役として加わり、同社の経営に参加することになる。

 「非常にエポックメイキングな出来事だと思っている」と田中氏は今回の買収についての印象を語った。田中氏はOpenFeintについて「いま海外の非常に多くのユーザーに支持されいてる。提供されているゲームに比べユーザー数が多く、結果を出している会社。この会社と我々が日本で進めていることをうまく統合していくことで世界最大のプラットフォームが作れるのではないか」という期待のもと、今回の買収に至ったと語った。質疑応答ではOpenFeintの株主の中に株式会社ディー・エヌ・エーが名前を連ねていることについての質問も出たが、「個別の株主についてはコメントできない」と言うことだった。

 グリーは積極的に国際展開を進め、中国に6.5億人のユーザーを持つ大手インターネットサービスTencentや、東南アジアの新興国に約4,700万のユーザーを持つモバイル向けSNS「mig33(ミグ サーティースリー)」を運営するProject Gothなど、次々に世界中のメーカーとの提携を発表してきた。また2011年1月には、北米市場への足がかりとなるサンフランシスコに子会社のGREE Internationalを設立したほか、北京、シンガポール、ロンドンにも駐在所の開設準備を進めている。今回の買収によりグリーは日米で1億人のユーザーを擁することになる。アライアンスも含めると、サービスを提供するユーザーの総数は8億人と、PC市場で大きな位置を占めるFacebookやZyngaを超える規模となる。

 欧米向けの国際展開では、日本でモバイル向けに特化してきたという強みを生かし、躍進著しいスマートフォンのプラットフォームに注力する。スマートフォン向けのプラットフォーム事業と、インハウスのソーシャルゲーム事業を2本柱に、日本で成功したSNSとプラットフォーム、ファーストパーティーを組み合わせたモバイル向けの事業を海外でも再現すべく事業を展開していく。

 買収後は、グリーとOpenFeintの企画の共通化を進めていくとともに、日本でサービスしているゲームをOpenFeintにも提供していく。さらに海外でもゲーム開発チームを立ち上げ、国内外へ提供するソーシャルゲームの開発を進めていく。「グリーとOpenFeintのサービスにはどちらも個性があるので、それぞれの成功モデルを導入することでシナジーを出していきたい」という。時期は未定だが、APIの共通化も順次進め最終的にはサービスの統合を視野に入れている。「プラットフォーム事業だけではなく、ソーシャルゲーム事業でも高い伸びを示していきたい」という田中氏は、モバイルで世界のトッププレーヤーを目指す。

 日本のフィーチャーフォン市場を主戦場に急成長してきたモバイル向けのソーシャルゲームとプラットフォーム事業の戦いは、戦場を世界のスマートフォン市場に移してますます激戦の様相を呈している。フィーチャーフォンでは難しかった日本式サービスの海外展開が、スマートフォンがもたらしたOSの均一化によって可能になりつつある。Facebookのようにインフラと認識されるほどのネットコミュニティが日本の会社から生まれるのか、今後の動きに注目したい。


【グリーの国際展開戦略のスライド】
OpenFeintだけでなく、中国Tencent、東南アジアが拠点の「mig33」などアライアンスを含めた世界8億人のユーザーに向けてサービスを提供していく

(2011年 4月 22日)

[Reported by 石井聡]