財団法人 科学技術融合振興財団、「FOST賞」授賞式を開催

襟川陽一氏「ゲームの中から社会貢献のあったタイトルを表彰したい」


3月10日 発表



挨拶で「FOST 社会貢献賞」の設立を発表した襟川陽一理事長

 財団法人 科学技術融合振興財団(FOST)は3月10日に、「第4回 FOST賞」の授賞式を開催した。

 FOSTは、シミュレーション&ゲーミングの研究など社会や文化のなかで科学技術の融合を促進させる研究課題に対して研究助成と補助金の交付を行なう事業と、その成果を広く還元する普及啓発事業を行なっている財団。「FOST賞」は、シミュレーション&ゲーミングの研究に関する成果報告者の中から、最も優れた研究者に対して「FOST賞」を贈ると共に、若手の研究者に向けて贈られる「FOST熊田賞」が平成20年に設立されている。

 今回の授賞式の冒頭に挨拶を行なった株式会社コーエーテクモゲームスの代表取締役社長を務める襟川陽一理事長は、「来年度には『FOST 社会貢献賞』を設立することが決定しました」と発表した。「FOST 社会貢献賞」は、コンシューマーゲームや、現在サービスが行なわれているオンラインゲーム、ソーシャルゲームなどのエンターテイメントゲームを対象に、社会的な貢献があったゲームを表彰する制度となる。

 襟川氏は同賞の設立について「“面白いこと”を表彰する賞はたくさんありますし、ベストテンなども存在します。ですが、“ためになること”に着目して表彰する制度は初めてだと思います。一般の方にもゲームの持つ社会的な有用性を知ってもらいたい」と説明。襟川氏によれば、例えば「脳トレ」系のゲームのように、楽しいだけでなくためになるゲーム、逆に教育だけでなくきちんと楽しめるゲームであることも考慮して受賞作を選定し、多くの人にゲームが持つ社会貢献度を知ってもらいたいという意向があるようだ。

 タイトルの選考にあたっては、FOSTの外部の識者の意見も取り入れながら決定したいとしている。襟川氏は「この賞の設立により、FOSTの新しい社会的役割も増し、ますます活動が活発化していくと思います。また、エンターテイメントゲームソフトの業界の方々にも積極的にFOSTの活動に参加してもらうよう、説得を続けていきたい」と挨拶した。

 今回は設立の発表ということで、実際の受賞作の選定、発表、授与などは2012年3月に開催予定の「第5回 FOST賞」からとなる。

 今回発表された「第4回FOST賞」では、科学技術コミュニケーションの可能性を広げるサイエンスカフェと参加型ゲーミングシミュレーションの融合の研究が評価された、早稲田大学理工学術院 准教授 菱山玲子氏にFOST賞が贈られた。またFOST熊田賞には、体感型ゲームの臨場感向上のための言語/非言語インターフェイスとゲーム登場人物の実在的代替としての小型モバイルロボットの開発が認められた電気通信大学 特別助教 松本光春氏と、ホスト社会の成員感情に着目した移民問題シミュレーションの開発を行なった関西学院大学 研究員 前村奈央佳氏に、それぞれFOST熊田賞が贈られた。


【第4回 FOST賞 受賞者】
FOST賞を受賞した早稲田大学理工学術院 准教授 菱山玲子氏FOST熊田賞を授賞した電気通信大学 特別助教 松本光春氏FOST熊田賞を授賞した関西学院大学 研究員 前村奈央佳氏

(2011年 3月 10日)

[Reported by 船津稔]