Taipei Game Show 2011レポート

台湾発のPS3用音楽&ダンスゲーム「Music+(仮)」レポート
PS Move対応が新しい欧米指向の音楽+ダンスゲーム


2月18日~22日開催

会場:台北世界貿易中心

入場料:150台湾ドル


 PS3用アクションゲーム「Invincible Knight(仮)」に続いての台湾産タイトルは、新進気鋭のデベロッパーFUNFIAが手がけている音楽ゲーム「Music+(ミュージックプラス)」。

 開発を手がけるFUNFIAは、Agun & Milk、YECK Entertainmentといった台湾の独立系デベロッパーのCEOを務めた蔡光程氏が2009年7月に新たに創業した新会社。Agun & MilkとYECK Entertainmentでのコンシューマーゲーム開発のノウハウを活かし、現在20名ほどの人材を抱えSCE Asiaと共同でPS3向けのタイトル開発を進めている。同社によれば、スタッフはいずれも8年から10年程度のコンシューマーゲームの開発経験を備えており、即戦力の人材ばかりだという。

 そのFUNFIA第1弾タイトルが「Music+(仮)」ということになるが、1カ月ほど前に開発の方向性が大幅に変わったということで、実機によるデモは残念ながら見ることができなかったが、基本コンセプトは確認できたのでご紹介しておきたい。

【FUNFIA】
社内の風景。20人ほどが入れるこぢんまりとしたオフィスだったが、



■ PS Moveに対応した音楽ゲーム+ダンスゲーム「Music+(仮)」

FUNFIA CEOを務めた蔡光程氏。取材当日は急病と言うことで電話での対応となった
取材に直接対応して頂いたマーケティング部マネージャーの謝思潔氏
こちらが開発中のステージのイメージ。ゲームには5つ程度のステージを実装する予定だという

 「Music+(仮)」は、モダンな都市を舞台に、キャラクターが音楽に合わせてダンスを踊るという音楽ゲーム。タイトルの意味は、音楽にプラスの楽しさを提供したいという想いから付けたということで、ゲームとしてのインタラクティブ性や、オンラインランキング機能を通じたソーシャル性など、様々な想いを含めたという。

 基本的なゲーム内容は、台湾の繁華街である西門町を模したような街で、オシャレな女性キャラクターが歌に合わせて踊るというもの。画面の手前から奥に音符のようなものが流れ、曲に合わせてタイミング良くボタンを押すことで女性キャラクターが滑らかなダンスを踊っていく。タイミングを外せばダンスは乱れ、スコアも伸びない。ここまでは日本でも一般的な音楽ゲームである。

 「Music+(仮)」が新しいのはPlayStation Moveに対応しているところだ。この点が先述した「1カ月前に開発の方向性が大幅に変わった部分」である。上記のような単純な音楽ゲームでは、ゲーム性の部分でも、収録曲の部分でも日本や欧米の音楽ゲームに勝てないため、差別化要素としてPS Moveへの対応を決めたという。

 こうしたことからPS Moveでのゲーム性についてはまだ構想レベルに留まるのだが、音楽のタイミングを取る音符に加えて、ダンス矢印のようなものも表示され、音楽とダンスを両方同時に楽しめるようなゲームデザインを検討しているという。コントローラーだけ、PS Moveだけでも遊べるという。

 これに似たゲームデザインを採用したゲームとしてSCEAの「SingStar Dance」があるが、実際にかなり意識しているようで、収録曲も台湾や日本などアジアの楽曲ではなく、スウェーデンやアメリカなどの欧米の楽曲を収録するという。この背景には権利関係の問題や、コスト的な制限もあるようだが、アジアに留まることなくグローバルで勝負したいという願いが強いようだ。

 なにぶんゲーム画面がまだ存在しないので、具体的なゲームシーンが掴みにくいが、蔡氏によればPS Moveに対応することで、これまで音楽ゲームを敬遠してきたゲームファンや、逆に単なる音楽ゲームでは物足りないハードコアゲーマーに対して、リズムを聴いてアクションを行なうという新たな楽しさを提供できるという。ちなみにダンスを踊る女性キャラクターについてはアバター要素は用意しないという。理由はシンプルなゲームにしたいためということで、文字通りかなりストイックな音楽ゲームとなるようだ。

 リリース時期については、SCE Asiaと調整の上、決めていくということで目標は2011年中を挙げてくれた。販売地域はまずアジア地域での発売を目指しており、将来的には日本や欧米での展開も視野に入れているという。対応言語もアジアのユーザー向けに中国語/英語版での対応を予定している。販売価格はアジアのユーザにも満足して遊んでもらえる価格で発売できるよう調整中ということで、発売後はダウンロードコンテンツによって楽曲やステージを増やしていく計画を立てているという。

 蔡氏は「今後、台湾らしいシーンや機能も実装し、台湾でもこういったゲームを考えている人がいるということを世界に知らせたい」と抱負を述べてくれた。音楽ゲームは権利関係が入り交じって、特定のメーカーによる寡占状態が続いているが、台湾発の音楽ゲームによってそうした現状に風穴を開けられるかどうかに注目したい。


【ダンス】
プロトタイプを少しだけ見せて貰った。西門町をモチーフにした街で、女性キャラクターがダンスを踊っているシーン。ゲーム要素はまだない

【トレーラー】
SCETブースで流されていた短いトレーラー。モーションキャプチャーを採用していることと、PS Moveに対応していることはわかるが、具体的なゲーム内容はまだわからない

(2011年 2月 22日)

[Reported by 中村聖司]