ゲームポット、「コンチェルトゲート フォルテ」の新章をプロデューサーに聞く
実装直前、新章「ローゼンベルグ学園と7つの世界」の見どころをチェック!


10月6日 アップデート実施予定


「コンチェルトゲート フォルテ」プロデューサー春田康一氏

 株式会社ゲームポットは、同社がサービスしているWindows用MMORPG「コンチェルトゲート フォルテ」の新章「ローゼンベルク学園と7つの世界」を10月6日に実装する。

 「コンチェルトゲート フォルテ」は今年でサービスから3年目を迎えるタイトル。2D調の可愛らしい世界観と、ほのぼのした雰囲気でライトなゲーマーに人気のあるタイトルだ。

 これまでは株式会社ポンスビックが開発を手掛けてきたが、5月31日から株式会社リズへと開発会社が移管された。今回の新章からは開発体制を新たに、まったく別のゲームに生まれ変わるほどの大きな変更が行なわれている。

 今回はゲームポット本社にお邪魔して、「コンチェルトゲート フォルテ」のプロデューサー春田康一氏に、新章を見せてもらいつつ、いろいろと話を聞くことができた。その中で、新章のメインコンテンツとなる「ローゼンベルグ学園」でできることや、大きく変わったチュートリアルと戦闘、そして内容が一新される職業システムなど新章の見どころを詳しく教わった。

 いよいよ実装を明日に控えた「ローゼンベルク学園と7つの世界」。その中身を一足早く、詳細にお届けする。




■ 学園を舞台とした、ボリュームたっぷりのクエストを用意

新章のロゴ

 これまで剣と魔法のファンタジー世界だった「コンチェルトゲート フォルテ」だが、新章「ローゼンベルグ学園と7つの世界」でその名の通り学園ものに大変身する。

 プレーヤーは勇者候補としてこの世界に召喚されるが、残念ながら王さまのお眼鏡にかなわず元・勇者候補としてこの世界で生きていくことになる。「ローゼンベルグ学園」はそんな元・勇者候補たちが集まる場所だ。

 「これまでのメインストーリーは、過去に大厄災を止めた勇者たちの謎や行動の経緯を追っていくというものでした。新章では、召喚された人がどこから来たのか、なぜ召喚されることになったのかというプレーヤー自身の謎が1つのキーになっています」(春田氏)というのが新章の大まかなストーリーになる。

 ボリューム感もたっぷりで、「ひょっとすると従来のストーリーよりもボリュームがあるくらいかもしれません」(春田氏)というほどだ。メインストーリーは現在16章まで実装されているが、今回、新章のストーリーは、7章分のクエストが実装される。ストーリークエストは2月のアップデートでも追加される予定だ。

 もちろん完結していないメインストーリーも並行して進んでいく。「ただメインクエストを追い抜くというよりは、並行線で進みながら将来的にメインクエストと混じって1本道になっていくと思います。1本道になる時が新章の最終段階だと思います。そこで何かのラスボス的なものと戦って、そこからまたメインストーリーの新章が始まっていくような流れになると思います」(春田氏)。


プロローグで公開された学園のイメージイラスト。バラの名前を冠した学園だけに園内にもバラが植えられている




■ 職業システム一新。3次職までの計23職が新しく登場

プレーヤーは全員「フリーランサー」という職業からスタートすることになる

 新章で追加される新システムの中で、プレーヤーに最も大きな影響を与えるのが職業システムの一新だろう。これまであった15の1次職、10の2次職という枠組みを取り去り、新しく4つの1次職、10の2次職、9つの3次職という枠組みに変わる。これはあくまでも10月6日時点の数で、今後さらに4次職も追加され選べる職業が増えていく。

 この変更の理由を春田氏は「通常は1次職から2次職へ変わると何かメリットがあるものですが、これまではその部分がうまく表現できていませんでした。そこで今後もゲームを楽しんでいただくため、職業のシステム自体を一新することにしました」と説明した。

 新システムでは、新しくゲームを始めたプレーヤーは「フリーランサー」という職業で、そこから「戦闘科」、「魔法科」、「生産科」の3系統へ転職することになる。またその3つとは別に「特別科」というジャンルがあり、こちらは「やりこみ要素として用意している」という。この系統に分類されている「ヴァガボンド」、「ルーンナイト」、「シーフ」などの職業に就くには、特殊や条件やクエストをクリアする必要がある。

 キャラクターの成長は、これまでのエリア別経験値から、職業ごとに経験値を貯める形に変わる。例えば「ソルジャー」をレベル15まで上げてから、2次職の「ウォーリア」に転職した場合「ウォーリア」はレベル1からになる。2次職は1次職よりもレベルアップに必要な経験値は多いが、レベルアップ時のボーナスポイントやパラメーター補正値が高く、同じレベルでもより高い能力を持つことになる。また経験値は職業ごとに記憶されるので、例えば「ウォーリア」がレベル3の時に「戦闘科」から「魔法科」の職業に転職し、また「ウォーリア」に戻した時には、レベル3から始まる。

 この変更にあわせて、それまで使っていたスキルは使えなくなり、代わりに新しく約300のスキルが実装される。スキルはこれまで職業ごとにセットできる数が決まっていたが、新章では各スキルごとに「スキルコスト」という数値が決まっており、キャラクターが持つ上限の値まで好きなスキルをセットするという方式に変わる。

 なお、既存のプレーヤーがこれまでに獲得してきた経験値は、1度ストックされたうえで新しい職業に再配分できる。


【10月6日に実装される新職業】
一新された職業システムの一覧。今後さらに多くの職業が登場する予定だ
上位の職業や特別科のクラスに転職するには、そのための条件を満たさなくてはならない




■ 「ノックバック」など戦略性を増す各種の新システムを追加

戦闘時のマスが7×3の21マスに拡大される
範囲攻撃ができる「斧」、「槍」、「ブーメラン」が登場

 「コンチェルトゲート フォルテ」はエンカウント方式の戦闘システムを採用しているが、この戦闘の中身にも大きな変更が加えられている。最大の違いは、これまで10マスしかなかったマスが、7つ×3列の21マスに拡張されることだ。「これまでは、5人でパーティーを組んでそれぞれペットを出すと、全部のマスが埋まってしまっていたのです」(春田氏)という状態だったが、マスが21と倍以上に増えることで位置取りの概念が重要になる。

 新システム「ノックバック」は、攻撃されたキャラクターが1マスずれてしまうというものだ。「通常の戦闘ではそれほど重要ではないかもしれませんが、ボス戦や対人戦で戦術の幅が広がります」(春田氏)。

 マスが増えたことによって、奥にいる敵が見えにくくなるため、新たに2つの視点が導入される。1つは真上から全体を見渡せる視点で、もう1つは敵側からの視点だ。真上視点とデフォルトの視点は「Tab」キーで切り替え可能。また「Ctrl」+「1」、「2」、「3」のキーでそれぞれの視点を切り替えられる。

 一部の武器の攻撃範囲も変更される。「斧」、「槍」、「ブーメラン」という3つの武器は、1回の攻撃で「斧」が対象とその左右の敵、「槍」が対象と奥にいる敵、「ブーメラン」が横一列の敵にヒットするようになる。また「剣は通常は1体にしか攻撃できませんが、横や後ろにも攻撃できる強い剣を作ることもできるようになりました」(春田氏)と、武器によっても戦術の幅が広がることになる。


従来と同じプレーヤーの背後からの視点真上からの視点。敵味方の配置がよく見える敵側からの視点。特に敵の配置を見たいときに役立つ




■ よりわかりやすく、内容の濃いチュートリアルへ

プレーヤーは異世界から勇者候補としてこの世界へ召喚される

 新章ではゲームをスタートしてすぐに始まるチュートリアルも大きく変更されている。チュートリアルにはこれまでにも何度か細かいチューニングが行なわれてきたが、今回はほぼ作り直しに近いほどの大幅な改変が行なわれている。

 異世界から召喚された勇者候補というスタート地点は変わらない。以前は始まるなり突然NPCに襲われ、まずは戦闘のチュートリアルが行なわれ、その後、長い階段を通って王様の元へ行くという流れだった。新チュートリアルではこの最初の戦闘がすべてカットとなり、いきなり王様の元へワープする。

 「運営を始めたばかりのころに、GMコマンドで透明になって、お客様がどこでどのくらい時間を使うかをストップウォッチで測ってみたのです。するとまったく初めての方ではチュートリアルで約40分ほどという、非常に長い時間がかかっていました」(春田氏)。初期ゾーンはインスタンスなので、ほかのプレーヤーと会うことがないため、不安に感じるという声がユーザー座談会でも上がった。そのためこの部分が見直された。

 「以前のチュートリアルでは、まず移動、そして戦闘、世界観の順番だったのですが、戦闘よりも先に世界観を学んでもらおうと順番を入れ替えました」と春田氏。新チュートリアルでは、王様と話をした後で森を抜けて「ローゼンベルグ学園」へ向かう。この森の中で何度か敵と遭遇して、1対1、1対2、2対3と段階を踏んで戦闘を体験していくことになる。

 学園に到着するとインスタンスゾーンを抜けて、大勢のプレーヤーと出会える。学園の受付に行けばチュートリアルは終了するが、もし広い学園内で迷ってしまっても、チュートリアルの間はNPCに話しかければゴールへワープさせてくれるので安心だ。


以前は会うまでが大変だった王様に、すぐに会えるようになったNPC「アーメイ」との戦闘は、王様との会見後に移動した戦闘のチュートリアルは3段階に分かれて、少しずつ複雑になっていく
「ローゼンベルグ学園」に到着するとインスタンスゾーンから抜ける学園内で迷子になってしまった場合、チュートリアルの間はNPCが道案内してくれる受付で話をするとチュートリアルは終了。「クラスルーム」へ移動することになる




■ プレーヤーの新しい拠点「ローゼンベルグ学園」

広い学園内には、あちこちにワープ移動できる装置が設置されている

 上記のようなシステムの変更を踏まえたうえで、新しいプレーヤーの集合場所となるのが「ローゼンベルグ学園」だ。学園内は大きく、クエスト関連が集まった「本館」、クラスがある「講義棟」、図書館や研究室がある「研究棟」、戦闘やペット関連の要素が揃う「練兵棟」の4つに分かれている。学園内にはこれまで街にあった機能がすべて集まっていて、プレーヤーの新たな生活の場所として作られている。

 今回から開発機材も強化し、より細かいグラフィックス描画が可能になった。学園内にある噴水から延びるホースの描写など、「グラフィックスに興味がある人は細かい部分にも注目してみてください」(春田氏)ということだ。

 敷地の広さは今までの街や村の中では最大規模を誇る。この広さは「プレーヤーさんが主宰するイベントで、できるだけ自由に空間を使ってもらおうと広いマップを用意しました」(春田氏)という配慮が裏にある。だが広くなるとそれだけ移動に時間がかかるため、学園にはあちこちに、ワープをするための転送装置が設置されている。また、画面下部に配置されたボタンをクリックするだけで、いつでも所属しているクラスに帰還できる。


学園の外観。2D調の3Dというテイストは変わらないが、描き込みはかなり細かくなっている
「図書室」「第一研究室」「保健室」


「初心者クラス」では初心者用のチュートリアルクエストを受けられる

 「初心者用クラス」は、新章で導入される「クラス分けシステム」の目玉コンテンツだ。チュートリアルを終えたゲーム初心者は、入ってきた時期や人数、多少のランダム要素に応じて「初心者クラス」に自動的に配属される。春田氏によれば200人ほどが同じクラスに配属されるということだ。

 教室の中にはチュートリアル的なクエストをくれるNPCがずらりと並んでいる。戦闘のやり方や、ペットのもらい方、生産のやり方など、ここにあるクエストをこなしていけば、ゲーム内の要素が一通り身に付くというわけだ。また、同じ時期に始めた人が側にいることによって生まれるコミュニケーションを活用して欲しいという意図が込められている。

 既存のプレーヤー用には別にクラスが用意されていて、初心者はいつでも「初心者クラス」を卒業して既存プレーヤーのクラスに入り直せる。「初心者クラス」は最長90日間で自動的に解散になる。将来的にはクラス別対抗戦や、クラスクエストといった構想もあるそうだ。


教室の中にはクエストをくれるNPCが並んでいる話しかけると、クエストポイントまでワープしてくれる以前は説明がなかったゲーム内の要素をクエストとして学べるようになった


エントランスにはクエストを持つNPCが集まっている

 学園の本館にはデイリーなお使いクエストをくれる「依頼紹介人」や、既存のメインストーリーを受ける場所までワープしてくれる「冒険サポーター」などクエスト関連のNPCが集まっている。学園独自のストーリークエストは「ウワサ好き次女リンカ」というNPCから受けられる。しかしクエストの難易度はそれなりに高いので「初心者の方は、初心者クラスのクエストや依頼紹介人のクエストをある程度こなしてから、受けることをオススメします」(春田氏)ということだ。

 ストーリークエストには、すでに発表されている「セネット」や「ブライアン」といったNPCたちが絡んでくる。クエストは1つがかなり長く、簡単なお使いクエストから手ごわい戦闘まで中身のバリエーションも豊富だ。

 今後予定されている新システムに「講義システム」がある。これは「いわゆる時間割です。特定の周期に応じて学校全体に『間もなくどこそこで講義が始まります』というアナウンスが流れます。そこでクエストを受けてクリアするとポイントが稼げて、それをクラス単位でためていきます」(春田氏)といういかにも学校らしいシステムだ。他にも生産や採取のアイテムを学園に納入することでポイントを稼ぎ、クラスの施設を豪華にしていくといった要素も検討されているようだ。


【学園のストーリーに登場するNPC】
「セネット」
新章のメインストーリーに関わりを持つ重要なキャラクターだ。性格はきつめ
「ブライアン」
学園で講師をしている。学園にやってくるより以前の記憶がないらしい
「ティオーネ」
この学園の学園長。プレーヤーの1番人気キャラクターなのだそうだ
謎の男
今後、ストーリーに関わってくるであろう正体不明の男
謎のロボット
巨大な鎧に身を包んだ正体不明の者。よく見ると謎の男と似た文様をまとってい るように見える




■ 今後は2カ月に1回のアップデートを予定

将来的には生産職が学園内で材料を採集できるような施設も追加される予定だ

 今後、「コンチェルトゲート フォルテ」は2カ月に1度のアップデートを予定している。12月にはクエストの追加、新職業の追加、新スキルの追加などを予定し、次の2011年2月には「陣形システム」、「ひらめきシステム」、「伝承」というスキルの引き継ぎシステムなどが導入される予定だ。さらにその後のアップデートでは、学園内に畑や採掘ができる場所を用意して生産職が遊びやすくするといった配慮も考えられている。

 「これまで3年運営してきて、大人気かというとまだまだですがおかげさまで定着してくださっている方も増えています。今回の新章で規模感ややりたい事はどんどん増えていますし、リズさんと数カ月一緒にやらせてもらって、それに対応できる開発会社さんだと感じています。今回もこれだけのボリュームが追加できましたし、今後もプレーヤーの皆さんには期待していただいていいのではないかと思います」と春田氏。新要素が目白押しで、今後が楽しみな「コンチェルトゲート フォルテ」。国産のライトなゲームをお探しなら、この機会に触ってみてはどうだろう。


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(2010年 10月 5日)

[Reported by 石井聡]