東京ゲームショウ2010レポート
クエリーアイ、iPhone/iPadのマーケティング分析ツールを出展
iTunesランキングとTwitterが連動したデータベース「QuerySeeker」
左が有料サービス、右が無料サービスの基本画面 |
クエリーアイ株式会社は、以前はサン電子株式会社でスマートフォンを担当していた水野政司氏が退職し、新たに立ち上げた会社だ。まだ設立から半年程度の若い会社ながら、早くも東京ゲームショウに出展し、WEBサービス「QuerySeeker」のデモを行なっていた。
「QuerySeeker」は、iTunesのランキングを記録してデータベース化し、それをWEBで検索・閲覧できるようにしたサービス。一般ユーザーでも無料で使える機能としては、過去1週間分の各日のランキングと、急激にランクアップしたアプリ、および価格変動があったアプリの最新情報が見られる。これらの情報はWEBサービスに加えてRSSでも配信されるので、今注目のアプリを知りたい人には便利なサービスと言えるだろう。
ここまではあくまで無料で使える部分を紹介したが、「QuerySeeker」の本領はビジネス向けの有料サービスである。まずランキング情報では、過去にさかのぼっての検索機能を利用できる。データベースは2010年6月から取得を始め、上位300位までのランキング情報を1時間ごとに取得している。それ以後のランキング情報は1時間刻みで検索できる。データは日本のほか、米国、イギリス、フランス、ドイツ、スペイン、イタリアの計7カ国で、各カテゴリごとに300位まで取得している。
そしてそれと並行して、Twitterのストリーミングデータも拾っている。全世界のツイートの中から、iPhoneとiPadのキーワードを含むものを抜き出してデータベース化している。さらにそのツイートの中にURLがあった場合、飛び先のURLにiPhone/iPadのアプリ情報がないかをチェックし、掲載されているアプリを特定して、それもデータベース化する。
これらのデータを使って何ができるのか。例えば、あるアプリのランキング情報を検索すると、指定した期間内のランキング変動と、そのアプリに関するツイートの数が時系列でグラフ化されて表示される。そのグラフの中で急激な変動があったタイミングをピックアップし、その近辺のツイートで多く発言されているURLを見れば、どのサイトのどんな記事が順位に影響したのかを把握できる。
自社アプリの状況を把握・分析できるのはもちろんのこと、他社のアプリの傾向も分析できる。データベースは単純にランキング300位に入ったものを拾い上げているだけなので、あらゆるアプリの情報を取得できる。新たなアプリケーションを提供する際、それに近いジャンルや目的を持つ他社のアプリを参照すれば、そこでどんなプロモーションが行なわれ、結果どうなったのかが一目瞭然にしてわかるのである。特に勝手がわからない海外展開においては、影響力の大きなサイトや人物を発見するのに大いに役立ちそうだ。
このサービスは、水野氏自身がサン電子に在籍中に欲しいと思い、それを自分で作るために会社を興したのだそうだ。現段階ではまだβ版で、今後も機能の追加改良が行なわれる。同社は今のところ「QuerySeeker」の提供開始に注力しているが、得られたデータをどう活かすかといったコンサルティングも、要望があれば検討したいとしている。
サービスの提供は10月末からの予定。有料サービスの利用料金は、1カ国あたり月額155,400円の予定。今回は東京ゲームショウに出展したわけだが、あらゆるカテゴリ情報も取得しているので、ゲーム以外のジャンルで活用できる。また7カ国対応によって海外市場からの反応も期待できるサービスだけに、今後iPhone/iPadでのビジネスにどう影響してくるのかが楽しみだ。
あるアプリを選んで、閲覧する期間を設定すると、その間のランキングとツイートの数がグラフ化され表示される | ツイートに含まれるWEBの情報もデータベース化されており、どのページが順位変動に影響力を持っていたのかがわかる | 急激な順位変動があったアプリも、期間を特定して調べられる。そのアプリの詳細なデータもリンクから辿れる |
(2010年 9月 19日)