東京ゲームショウ2010レポート

モバイルゲーム出展ブースレポート

DS版の外伝となるiモード「二ノ国」がプレイアブルで登場


9月16日~9月19日 開催(16日、17日はビジネスデイ)

会場:幕張メッセ

入場料:1,000円(一般/前売り)、1,200円(一般/当日)、小学生以下は入場無料



モバイルコーナーはスマートフォンに染まった。昨年とはまるで異なる風景だ

 「東京ゲームショウ2010」において、昨年から最も大きく状況が変化したのは、おそらく携帯電話向けタイトルだろう。最近はスマートフォンとの切り分けで「フィーチャーフォン」と呼ばれたり、ともすれば「ガラケー(ガラパゴスケータイ)」と揶揄されることもあるが、これらのタイトルが今年は極端に減っている。

 理由は2点ある。1点目はキャリアの出展がなくなったこと。これまで「東京ゲームショウ」では、NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクモバイルがそれぞれ独自に広いブースを展開していたが、2007年を最後にソフトバンクが出展しなくなり、KDDIも昨年から出展を見送った。そして今年はNTTドコモも出展しておらず、3年で全キャリアのブースが消えてしまった。

 例年、「東京ゲームショウ」が開催されるタイミングは、キャリア各社が冬モデルの新端末を発表する少し前に当たる。プラットフォームのバージョンアップによる新機能で優位性をアピールする狙いもあってか、ブースには発売前の試作機が置かれ、配信前のゲームをプレイできるのが通例だった。しかし最近は、プラットフォームのバージョンアップ自体が鈍化しており、新たな話題を提供しにくい状況にある。

 2点目はスマートフォンの台頭だ。iPhoneやAndroidといったスマートフォンプラットフォームは、端末の性能もさることながら、日本だけでなく世界に向けて提供できるという配信プラットフォームで、ゲーム業界の注目を集めている。今後も世界的にシェアを伸ばすと見られており、その将来性に期待が集まるのは必然だ。結果、今回のモバイルコーナーは、iPhoneとAndroidが大きなスペースを取っており、それ以外の端末の姿はほとんど見られない。

 とはいえ、日本の携帯電話の9割以上は現在もフィーチャーフォンである。確かに出展社は減ってしまったが、多数のプレーヤーがおり、魅力的な新作アプリは今も開発されている。本稿では、そういったフィーチャーフォン向けアプリの新作を出展していたブースを紹介する。




■ レベルファイブ、DS「二ノ国」の外伝をiモードで展開

試遊機にはヘッドフォンも完備

 株式会社レベルファイブのブースでは、アニメーションをスタジオジブリ、音楽を久石譲氏が手がけるニンテンドーDS用RPG「二ノ国 漆黒の魔導士」が注目されている。これに合わせて、その外伝的位置づけのiモード用RPG「二ノ国 ホットロイトストーリーズ」も出展されている。

 「二ノ国 ホットロイトストーリーズ」は、DS版と同じ世界観ながら、本編では語られないバックストーリーが描かれる作品。車産業の町ホットロイトに住むオリバーとマークが、自作カスタムカーを作ろうと、部品を求めて町外れの廃工場へと向かうところから物語が始まる。

 ゲームはベーシックなスタイルのRPGで、2Dグラフィックスのキャラクターをテンキーで移動させ、コマンド操作でバトルする。システムはシンプルだが、グラフィックス周りは丁寧に作られている。特に戦闘シーンでは、オリバーとマーク、猫のフランクが画面下部に描かれており、攻撃時にはきちんとアクションを見せる。モバイルながら妥協のない、コンシューマー感覚で十分遊べるゲームに仕上がっている。

 DS版の外伝というとオマケのようにも聞こえるかもしれないが、単体で遊んでも問題ない。特に序盤のチュートリアルが丁寧で、どこかに案内しようとするかのように先を行くネズミを追いかけると、正しい進路に誘導されるようになっている。また時折、猫のフランクがネズミに飛び掛り、それをマークが叱ってといった、キャラクター同士のやりとりも頻繁に挿入され、楽しみながらゲームを学び、ストーリーや世界観も把握できるというデザインはよく考えられている。

 配信日はDS版の発売日と同じ12月9日の予定で、同社が提供するモバイルゲームポータルサイト「ROID」で配信される。価格は未定。対応機種は、FOMA 905i/705iシリーズ以降。


【スクリーンショット】
ジブリのアニメーションの雰囲気を、モバイルでも丁寧に再現したグラフィックスが秀逸。ちなみに猫のフランクは、戦闘にオートコマンドで参加する。頼りになる仲間だ



■ ファミコン風「飛び出すゲーム」を携帯電話で再現したワンナップゲームズ

 ワンナップゲームズ株式会社は、モバイルゲームを手がけている企業。ただし、作っているゲームがちょっと変わっている。同社が「チョイスゴコンピュータ」というブランドで展開しているシリーズは、あえて少ない色数で、電子音によるチープなBGMを使い、レトロ感漂うゲームを配信している。早い話が、「ファミコンっぽいゲーム」である。

 ゲーム自体は携帯電話での操作に対応するため、方向キーとセンターキー程度で成立するシンプルな内容だ(ファミコンも十字ボタンとA、Bボタンで概ね成立していたが)。縦スクロールシューティングや2DアクションRPG、パズルゲームなど、色々なジャンルのゲームを展開している。中には未認可ソフトをイメージしたお色気ブラックジャックまである。

 しかし「チョイスゴコンピュータ」は、単なるファミコンっぽいゲームでは終わらない。まずゲームをスタートする際、ファミコンっぽいカートリッジを選び、本体に挿入して電源を入れるところから始まる。すると時々、画面が崩れたように表示されゲームが始まらないことがある。こんな時は1度ゲームを止めてカートリッジを抜き、フッと息を吹きかけて(そういうメニューが存在する)やると、ゲームが正しく動くようになる。ゲームを遊びたいだけなら、はっきり言って邪魔な要素だが、ファミコン世代の方には懐かしさとともにご理解いただけるだろう。

 さらにもう1つ。今秋配信予定の新作「トンデモ西ブー記2 パリ・ブタール ラリー」は、擬似3Dのレースゲーム。「擬似3D」という言葉から既に懐かしいが、本作は3D眼鏡に対応している。といっても、最新の3Dテレビのような眼鏡ではなく、赤と青のセロファンが張られた眼鏡である。実際に眼鏡をかけて3Dモードでプレイ(眼鏡を使わないノーマルモードと切り替え可能)すると、なるほど立体に見えるような気はする。ただし画面が赤と青に明滅するので、少し遊んだだけでやたらと目が疲れる。

 こういうジョーク的な要素を詰め込んでいるのが、同社のゲームの面白いところだ。今回はこのほかにも、「チョイスゴコンピュータ」のiPhone移植版も出展されている。内容は画面上にバーチャルコントローラーを配置している以外はモバイル版とほぼ同じだが、独自要素として端末を大きく振ると、画面が崩れてゲームが止まる。ただ遊びたいだけなら……とは前述のとおりだが、何が起こってそうなるのかイメージできる方は、1度プレイしてみることをオススメする。


まずはカートリッジを挿入する動作がおかしければ息を吹きかけてホコリを飛ばす
新作の「トンデモ西ブー記2 パリ・ブタール ラリー」。擬似3Dのレースゲームだ3Dモードにすると画面が赤と青で表示される。今これを見られることが貴重かもしれない
こちらはiPhone版。やはり最初にカートリッジを挿す画面が乱れていたら息を吹きかけるのも同じ
バーチャルコントローラーで操作。連射モードも搭載端末を振ると画面が崩れてゲームが止まる
ブースには、わざわざ古めかしく作ったCMや、やたら難しい8bitゲームの新作も置かれている。出展にかける意気込みがすごい



【スクウェア・エニックスブース】
先日配信を開始した「ファイナルファンタジー レジェンズ 光と闇の戦士」を出展している。携帯電話をタッチすると、水田直志氏が作曲したオープニング曲の着うたを無料でダウンロードできるサービスも実施

(C)LEVEL-5 Inc.

(2010年 9月 17日)

[Reported by 石田賀津男]