Electronic Entertainment Expo 2010現地レポート
セガ、初のKinect対応タイトル「Sonic Free Riders」レポート
森本兼次郎氏「常識を覆すゲームスタイルをソニックを使って体験していただきたい」
森本兼次郎氏「常識を覆すゲームスタイルをソニックを使って体験していただきたい」
セガブースで圧倒的な存在感だったソニック |
セガブースでひときわ異彩を放っていたタイトルが「Sonic Free Riders」だ。本作は、今回のE3で正式名称が発表されたばかりのKinect for Xbox 360向けに開発されているソニックシリーズの最新作で、2006年に発売された「ソニックライダーズ」の系譜を受け継ぐ作品となっている。
Kinect対応作品ということで、セガブース内には専用のデモルームが設置されていた。デモプレーヤーが本作をプレイする様子をガラス越しに見ることができるという格好だ。スピード感溢れるアクションが特徴の「ソニック」シリーズ作品だけあって、そのプレイ風景も非常にパワフル。多くの来場者が足を止めてプレイの様子を観察していた。
弊誌では本作「Sonic Free Riders」のリードプランナーを務めるセガ森本兼次郎氏にインタビューを行なったので、その内容も含めて本作のファーストインプレッションをお伝えしたい。
■ 飛ぶ!蹴る!掻く! 全身を使って遊べる新「ソニック」
「Sonic Free Riders」のデモブース内。スタッフがプレイを繰り返していた |
全身を使ってプレイ。数ゲームプレイすればかなりのカロリーを消費しそうだ |
「Sonic Free Riders」は、ソニックをはじめとするヒーローたちが「エクストリームギア」と呼ばれるフローティングボードに乗ってレースを繰り広げるゲームだ。発売は2010年の第4四半期を予定している。
今回は実際にプレイしてみることはできなかったが、スタッフによるデモプレイを詳しく見ることができた。まず、ソニックシリーズの系譜を受け継ぐ作品の中でも特にレースバトルに特化した作品であるだけに、画面から伝わってくるスピード感は抜群。加速装置、障害物、ジャンプ台、果ては空中や水中と、山あり谷ありのコースを超スピードで駆け巡りつつ、華麗なトリックを決めていく。
本作はKinect用タイトルとして開発されているため、モーションデバイスならではの、これまでにないアクションが満載だ。まず、地を蹴る動きでボードを加速する。ジャンプ台ではプレーヤー自身がジャンプして、空中でひねりを加えるなどしてエアトリックを発動する。水中に突っ込んだら手を掻いて前進だ。
対戦型のレースゲームとして各種の罠も用意されている。デモプレイで見ることができたのは、墨のような液体を相手にぶちまけて視界を奪ってしまうトラップ。これを食らってしまうと前が見えなくなるので、急いで手を上げて目の前を「拭く」動きをし、視界をクリアにする必要があるのだ。
デモプレイを披露したのが専門のスタッフということもありそうだが、本作をプレイするプレーヤーの動きは本当にダイナミックだ。2、3レースもすれば息が上がってしばらく休憩が必要になりそう、というほど全身を使うゲームなのである。また本作では2人同時プレイも可能なので、家族や友人と対戦すれば相当に盛り上がりそうだ。
会場でデモされていたものはまだ開発中のバージョンということだったが、Kinectのポテンシャルをふんだんに引き出すタイトルになっていることが確信できる内容だった。この年末注目を浴びる作品になることは間違いないだろう。
【Sonic Free Riders】 | ||
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ゲーム画面。基本的なルールは初代「ソニックライダーズ」のものを踏襲している | ||
足だけでなく手を使うシーンも多い。まさに全身を使ってプレイするゲームに仕上がっている |
■ 「Sonic Free Riders」リードプランナー 森本兼次郎氏インタビュー
──── いちはやくKinect対応のタイトルを出されるということで、まず開発の経緯について教えてください。昨年のE3 2009で「Project NATAL」としてこのデバイスが発表された際、すでに開発はスタートされていたんでしょうか?
セガ 第二CS研究開発部 企画セクション リードプランナー 森本 兼次郎氏:我々もこういったデバイスが出るということは、昨年のE3の発表で初めて知ったんですよ。そこでやはり、我々としては「新しいことへの挑戦」をひとつのテーマとしていますので何かやるべきだろうと考えました。そこで、直感的に体全体を使って操作できるということを考えると、「ソニックライダーズ」が最適だろうと。
Kinect用タイトルとして出すにあたっては、これまでにないレベルで自由に動ける、というゲームの特徴が出てきます。そこでタイトル名に「フリー」をつけて、今回の「Sonic Free Riders」という名前になりました。
──── Kinectのようなデバイスを対象にゲームを開発するというのはこれまでにないことだと思いますが、開発の中で特に記憶に残っていることはありますか?
森本氏:最初はもう、とにかく衝撃的だったんですよ。カメラから入ってきた情報が入力になるということ自体がですね。そこではじめは、とにかく動きをソニックに当てはめてみるということをやってみたんです。私が手足を動かすと、ソニックもそのまま動くという。これはもう驚きの連続で、忘れられない記憶になりましたね。
──── まずは実験から入ったと。その後の開発はどのように勧められたのでしょうか?
森本氏:ゲームを動かすためのエンジンはすでにありましたので、それをもとにゲームの内容を作りこんでいくことと、それに並行してKinectの研究を進めるという形でした。
──── ここまで出来上がったゲームを見る限り、プレーヤーの動いたままを反映するというものではないようですね。
森本氏:もちろんです。人の動きというのは個人差がありますので、どういうものが出てくるかわからない。そこで実際に動いてみたパターンにゲーム内の動作を割り当ててみるというようなことを繰り返しやりました。そうすると平均的なものが割り出せてきます。どう動きを解釈したらオールマイティに伝わるのかという部分ですね。
また本作の開発でキーワードとして考えていたのは「直感的であること」と「体験的であること」です。どう動けば適切に操作できるのかが直感的に理解できて、繰り返し体験していくことでどんどん上手くなっていく。これはもちろんシングルプレイのモードでも大事なのですが、対戦プレイではリアルコミュニケーションを含めた体験が大事になりますので、「本当に競争している感じがする」という部分を追求しています。
──── なるほど。直感的であることを考えるなら、Kinectでセンシングされる動きをゲームでどのように解釈するかという部分はキモになってきそうですね。
森本氏:その点については常識を捨てて取り組みました。やはりゲームはある種のロジックに則って作られる部分というのは確実にあるんですけれども、全く新しいデバイスですしそこは相当チャレンジしましたね。
──── デモプレイを見てますと、「Sonic Free Riders」ならではのアクションがかなり見られますね。
森本氏:ええ、基本のゲームルール自体は初代作と同じ形にはしているんですが、Kinect向けに考えたときに足だけを使うのでは面白くないなと。そこで、手を使って物を投げるであるとか、水中を泳ぐようなアクションで全身を使うようにデザインしました。
──── 墨のようなものが画面にかかって前が見えなくなる、それを手を激しく振って拭き取るというアクションもありましたね。
2人同時対戦の様子。互いに邪魔をしつつもバトルを楽しむ |
森本氏:それはアイテムのひとつで、先行するプレーヤーが仕掛けるトラップ的なものになっています。それに引っかかったプレーヤーは前が見えなくなってしまうわけですね。そういった状況、状況で、ユーザーがいったい何をしたがるか、ということを考えた上でアクションを取り入れました。一般的である、誰にでもわかるものである、ということが基準になっています。
──── 本作を世界のユーザーにプレイしてもらうにあたって、いちばん注目して欲しいところはどこでしょうか?
森本氏:そうですね、やはりひとつめは「体全体で遊べる、新しいゲームスタイル」であることです。私はこれを本当に革命的だと思っています。今までの常識を覆すゲームスタイルを、まずはソニックを使って体験していただきたいなと。
またKinectは、家族や友人と一緒に遊ぶことを想定してデザインされたデバイスだと思いますので、マルチプレイが面白くなるようにと注力して作ってきました。ですのでぜひご家族やお友達と、みんなで一緒にプレイしてもらえたらと思います。まだ詳しくはお伝えできないのですが、同時2人対戦以外にも、形を変えてより大勢で遊べるようなKinectならではのモードも用意しています。
──── それは楽しみですね。インタビューにお答えいただきありがとうございました。
森本氏:ありがとうございました。
http://www.e3expo.com/
(2010年 6月 18日)