バンダイナムコ、「アルトネリコ ファン感謝祭~PHASE2~」を開催
「アルトネリコ3」の開発秘話やキャストトークを披露
DLCに関する情報も公開


3月21日開催

会場:東京・ベルサール秋葉原B1ホール


 株式会社バンダイナムコゲームスは、東京・ベルサール秋葉原において、「アルトネリコ ファン感謝祭~PHASE2~」を開催した。本イベントは1月28日に最新作「アルトネリコ3 世界終焉の引鉄は少女の詩が弾く」(以下、「アルトネリコ3」)が発売された、「アルトネリコ」シリーズに関するイベントで、事前の募集に応募して当選した150人ほどのラッキーな人のみが参加できる限定イベント。開発関係者による裏話や、主要キャストをゲストに招いて、シリーズ作品に関する思い出話を楽しめる内容となっていた。

 今回は発売から2カ月弱が経過していることもあり、昨年10月に開催された「アルトネリコ ファン感謝祭」とは違い、今回はゲーム内容やシナリオに関するネタバレなど、より深い内容となっていた。本稿では、メインとなる関係者やキャスト陣とのトークを中心に、本イベントの内容についてお届けしていこう。



■ 第1部は「アルトネリコ3」の開発秘話がメイン
  DLCの内容についても少しだけ公開

株式会社バンダイナムコゲームスのプロデューサー河内厚典氏(写真中央右)と株式会社ガストのディレクター土屋 暁氏(写真中央左)が、すべてのステージのトークをリードしていた

 本イベントは、開発関係者をゲストに招いて開発秘話を明かす第1部と、シリーズ3作品に出演した声優を招いてシリーズに関する思い出を語る第2部に分かれており、株式会社バンダイナムコゲームスの開発プロデューサー河内厚典氏と、株式会社ガストの開発ディレクター土屋 暁氏がゲストを迎え、事前に来場者から集めた質問に答える形で、テーマに沿ったトークを展開していった。

 第1部はしかたあきこ(トーク内容がギリギリのため、平仮名で表記しているとのこと)さんをゲストに迎えて、ヒュムノスに関するトークからスタート。しかたさんは「アルトネリコ3」のヒュムノスは電波がキーワードになっており、「やるからにはとことん行き着くところまでやってやろうと思って一生分のにゃもを言ってしまいました。でも真夜中に1人で収録しているときもあったので、ふと我に返ったときには部屋の隅でのの字を書きたくなります(笑)」と収録時の裏話を語っていた。

 続いて、株式会社CRIミドルウェアの押見正雄氏を迎え、「アルトネリコ3」の特徴の1つである、バトルの内容によってBGMがリアルタイムに変化するR.A.H.システムについて、開発環境を使用したデモと解説が行なわれた。ゲーム中のバトルと同様に、コーラスやボーカルパートの追加や転調、テンポの変化といったデモを行なうとともに、自然に聞こえるための工夫として、転調時にボーカルの声が変化しないように、フォルマント(音や声が個別に持っている共振周波数)を保持している、という特徴についても紹介。

 3つ目は、シナリオ作成した原田早也氏と、トークマター・バイナリ野などを担当した富松元気氏を迎えて、シナリオ作成時のコンセプトなどについてが語られた。シナリオについて原田氏は「メインヒロイン2人とアオトのストーリーは夢物語のようなものがいいのではないかと思っていて、大げさだったりしている。でも、リッカリョーシャと光五条の物語では、『アルトネリコ』の中で許される範囲内で、生々しいリアルな恋愛話にするように心がけた」と、毛色の違う話も入るように心がけたとコメント。


R.A.H.システムの心臓部である新技術「アダプティブ・ミュージック (ADAMS)」について、押見氏(写真中央)が実際に操作しながら解説していたシナリオに関するステージでゲストとして登場した原田氏(写真中央左)と富松氏(写真中央右)。原田氏はサキ、富松氏はアカネがお気に入りとのこと

 4つ目のステージに登場したのは、フリップスフィアやオープニングムービーを担当した、株式会社ポイント・ピクチャーズの高津幸央氏。このステージではサキのフリップスフィアムービーが実物の馬の人形をコマ撮りしていることや、ムービー作成用の仮歌が「アルトネリコ2」までは土屋氏の声だったが、「アルトネリコ3」では初音ミクを使用したことなどが明かされた。

 最後の3Dモデルに関するステージでは、株式会社フライトユニットのntny氏が登場。趣味で作成したという特製ムービーを披露したほか、モデリングに関して胸のサイズによってボーンの数を変えているといった、キャラクターの胸に関するこだわりトークを展開し、会場を爆笑の渦に包んでいた。

「アルトネリコ3」のアニメーション監督である高津氏(写真中央)が登場したステージでは、テーブル上にサキのフリップスフィアムービーで登場する馬の人形の実物も紹介ntny氏(写真中央)は、本イベントのために趣味で作成したという、キャラクターの頭部をにゃもにすり換えたイベントムービーなどを多数用意。第1部の中でもっとも盛り上がっていた

 また、イベントの合間には、「アルトネリコ3」のDLCに関する情報もわずかながら公開されている。気になるDLCの内容については、キャラクターとしてはアルルにスポットをあてたバイナリ野の物語となっており、多重人格のヒロインたちが絡むとともに、ゲーム本編では登場しない舞台ということで、新しいヒューマも手に入る。配信予定日や価格はまだ発表できないものの、鋭意開発中とのことなので今後の続報に期待しよう。



■ 第2部はキャストをゲストに迎えてのシリーズトーク
  自分の演じたキャラクターへの思い入れや収録時の思い出が語られた

大谷さん(写真中央)は、ミュートの特徴的な声色とともに登場し、会場の観客の心を瞬時につかんでいた

 5分間の休憩を挟んで行なわれた第2部では、「アルトネリコ」シリーズのキャストが登場してシリーズ3作に関してトークが展開された。

 まずは「アルトネリコ3」から、ミュート役の大谷育江さんが登場。大谷さんは「最初にお話をいただいたときは衝撃的なキャラクターだったのでビックリしました。でも、新境地を開拓できたと思っています」とミュートを演じた感想を語っていた。

 続いてステージに現われたのは、「アルトネリコ2」と「アルトネリコ3」でココナを演じた志村由美さん。志村さんは「アルトネリコ3」でココナを演じる際のこだわりについて、「多少時期が経って経験値が増すとともに、見た目も少し大人になっているので、少し大人になるように演じようかと思ったのですが、見た目は少女なので、どこまで大人にするかを考えながら『アルトネリコ3』では演じました」と語っていた。

 最後にシリーズの原点である「アルトネリコ」からはライナー役の布施雅英さんとシュレリア役の酒井香奈子さんが登場。酒井さんは「声優として初めて声をあてたキャラクターがシュレリア様で、セリフを読む最初から作品に関わるのは初めてだったので楽しかったです」と収録時の思い出を語り、布施さんは「僕にとってのデビュー作で最初にいただいた役。3,500ワードくらいと言われてもどれくらいかわからない頃で、思い入れのある作品が、こんなにたくさんの人に愛していだだけて嬉しいです」と、感慨深げにコメントしていた。


ココナ役の志村さん(写真中央)は、「アオトは女たらしのイメージなんですよね。いい人ではあるんですけど……個人的な印象では、ココナはクロが好きだと思います」と2人の主人公について語っていたライナー役の布施さん(写真中央左)とシュレリア役の酒井さん(写真中央右)が登場した「アルトネリコ」のステージでは、シリーズ初となるトークマターのアフレコ実演も行なわれた

 声優陣とのトークのあとは、「アルトネリコ」に関係するグッズが当たるレアグッズ抽選会も開催。シリーズ作品の主要キャストを網羅したサイン帳や、ガストのオンラインショップではもう手に入らない関連グッズが、抽選で当選した来場者にプレゼントされていた。

 イベントの最後、土屋氏は「今回もまた暴走全開でやらせていいただきました。業界の内側の話とかを『やっちゃえ、やっちゃえ!』と言ったのが私で、すごく濃い話になっちゃいましたけれども、普段インタビューとかでは聞けない話をぜひ、この機会に出したいなと思っていたので、お楽しみいただけたなら嬉しいと思います」と挨拶。河内氏は「『アルトネリコ』シリーズがこれからどういう形になっていくかはっきりと言えるわけではないですが、がんばっていこうかな、と思える気力になりました。ありがとうございました」と、ファンへの感謝を述べるとともに、「アルトネリコ」シリーズの今後に対するエネルギーを受け取っていたようだった。

抽選会ではラッキーな来場者に、サイン帳や関連グッズ、当日出演した声優陣のサイン入りポスターなどがプレゼントされたステージ付近の観客席は、床に直接座る形式となっていた。写真は、来場者全員にプレゼントされていた特製座布団のイラスト

 なお、本イベントの模様は、ニコニコ動画において後日アーカイブ放送される予定だ。抽選からもれてくやしい思いをしたファンは、配信される日を楽しみに待っていてほしい。



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(2010年 3月 23日)

[Reported by 菅原哲二]