アプリヤと4001field、イベント「I Love iPhone×Apps」を開催

テクモなどゲーム会社4社も新作アプリを公開


2月11日 開催

会場:アップルストア銀座



 アプリヤ株式会社と、iPhone情報サイト「4001field」は2月11日、アップルストア銀座でイベント「I Love iPhone×Apps」を開催した。会場ではiPhoneアプリを手がけるゲーム会社からテクモ株式会社、株式会社コナミデジタルエンタテインメント、株式会社スクウェア・エニックス、ゲームロフト株式会社の4社と、電子出版系4社が登壇し、新作紹介や最新情報を披露した。

 初めにアプリヤの新城健一氏が2009年2月と2010年2月での、App Storeの違いを紹介した。それによると、登録アプリ数が1万5千本から16万本と10倍以上になり、ジャンル別ではゲームが23%で1位だったものが、電子書籍が18%でゲームが17%と、電子書籍が大きな伸びを見せたという。これを踏まえて、App Storeでエンターテイメントの幅が広がり、本格的にコンテンツの時代に移ろうとしていると分析した。


イベントの司会を務めたアプリヤ執行統括責任者、新城健一氏2009年2月の状況で、ゲームが頭1つ抜けて第1位だ2010年2月の状況では、電子書籍が僅差で1位となった

 電子書籍アプリ以外にも、iPhoneアプリは総じてタッチ操作を用いた、直感的で触って楽しいユーザー・インターフェイス(UI)が特徴で、ゲームのエンターテイメント性と通じる部分がある。いわば、すべてのアプリが「ゲームっぽく」なってきたわけだ。こうした状況をまず整理した上で、本稿ではゲームユーザー向けに、4社の新作情報について紹介したい。




■ ゾンビをリサイクルして一攫千金!? ~テクモ~

モバイル開発部部長の天野幸芳氏はテクモのiPhoneアプリ概要を紹介
本作の概要を紹介するマルコン事業推進部の水上冴理氏

 テクモは完全オリジナルの新作アプリ「Zombie Recycling Inc: Moldy Green」(2月15日配信予定、230円)を紹介した。本作は「ゲームや映画などでゾンビ需要が急増した結果、世界は深刻なゾンビ不足に陥った。そこで壊れたゾンビをリサイクルする実験がスタートした」という設定のアクションゲームだ。

 ゲームを始めるとステージ上をゾンビの頭部が跳ねながら落ちてくるので、うまく回転させてゾンビの体にくっつけることが目的となる。iPhoneを傾けると頭部が左右に移動し、画面をタップすると頭部が回転する。ステージ上には爆弾やチェーンソーなどが配置されているので、うまく避けながら頭部を誘導する必要がある。

 またステージによっては、壁にフックして引っかけた頭部をゆらして放り投げ、うまく誘導して体と合体させる、などのシチュエーションもある。ただしゾンビは種類があり、異なる体につけてもリサイクルできないのがミソだ。リサイクルの舞台は工場やサーカスなど4つの世界で、各12ステージが楽しめる。ステージの合間はマンガ仕立ての演出が入り、ストーリー要素もある。

 モバイル開発部プロデューサーの天野幸芳氏は、「新しい遊びをシンプルに、しかもお求めやすい価格で提供したい」とコメント。マルコン事業推進部の水上冴理氏は、「iPhoneのUIを生かした操作で、片手で遊べるものにした」と解説した。また天野氏は「ゲームをクリアすると副題の『Moldy Green』の意味がわかるので、ぜひ遊んでみてほしい」とアピールしていた。


【Zombie Recycling Inc: Moldy Green】
本体を左右に傾けて頭部をバウンドさせていき、ゾンビの体と合体させる。ステージの途中には色々なトラップがあり、ゾンビの頭部がバットで殴られて飛んでいくというようなユニークなものも。天野氏曰く「人が遊んでいる姿を見ると、ギャラリーも遊びたくなるゲーム」だそうで、口コミ効果が期待される



■ バンクーバーの興奮をiPhoneで! ~KONAMI~

KDE-Jセールス&マーケティング本部のディレクター、五島章氏

 いよいよ開幕するバンクーバー冬季五輪。KONAMIもまた「この冬、新記録は指先から生まれる」というコピーと共に、新作アプリ「HYPER SPORTS WINTER」(配信中、230円)を披露した。収録競技は「ハーフパイプ」、「ボブスレー」、「スピードスケート」、「フィギュアスケート」、「スキージャンプ」の5種類となる。

 それぞれ1つか2つの操作で遊べ、誰でも直感的に理解できる点が特徴だ。「ハーフパイプ」ではボーダーがパイプから離れるタイミングに合わせて指を離し、円を描くようにスクラッチすると空中でトリックが決められる。「ボブスレー」ではフリックで助走して初速を稼ぎ、左右の壁にぶつからないように本体を傾けて進んでいく。「スピードスケート」では画面の左右をフリックして加速し、コーナーではアウト側のみフリックしてカーブだ。

 「フィギュアスケート」では本体を上下左右に傾けて、画面上の青と赤の矢印を重ね合わせて、ジャンプゾーンではタイミングよくタップしてジャンプを決める。「スキージャンプ」ではタップでスタートし、そのままホールドして滑走、タイミングよくリリースしてジャンプする。その後本体を傾けてバランスを調整し、飛距離を稼ぐ仕組みだ。

 現在はハイスコアが端末に記録されるだけだが、ディレクターの五島章氏は「要望があれば」としつつも、オンラインによるスコアランキングも視野に入れたいと、アップデートに意欲を見せていた。


【HYPER SPORTS WINTER】
「ハーフパイプ」、「ボブスレー」、「スピードスケート」、「フィギュアスケート」、「スキージャンプ」の5種目が収録されており、すべて1つか2つの操作で簡単に遊べる。ただし好成績を収めるには、それなりのテクニックが必要で、「間口が広く、奥が深い」内容のようだ



■ iPhoneに適したRPGの操作とは? ~スクウェア・エニックス~

モバイル事業部プロデューサーの松井良麿氏

 スクウェア・エニックスからは開発中の「ファイナルファンタジー」、「ファイナルファンタジーII」の最新情報が披露された。モバイル事業部プロデューサーの松井良麿氏は、「RPGの代名詞ともいえる『FF』シリーズだが、コンシューマー版が販売されていない地域ではリリースできなかった」とコメント。世界70カ国以上で同時リリースできるApp Storeのメリットを生かして、ワールドワイドのユーザーにFFシリーズの原点を楽しんでもらいたいと意気込みを語った。

 松井氏が強調したのは、「iPhone独自のUIを取り入れつつも、遊びやすさを第1に考えた操作設計」だ。たとえば戦闘シーンではコマンドや攻撃対象をタップで選択でき、直感的に遊べる。ただしゲーム終盤になると、強力な魔法を選ぶのに何階層もタップする必要があり、そのままでは面倒だ。そこで、よく使う魔法が自動的に表に表示されるなどの配慮がなされた。

 一方でフィールド画面ではバーチャルパッドでパーティを移動させるが、このときもあえて指を押した箇所にボタンが表示されるフローティングパッドではなく、画面左下に固定式のパッドを配置したという。裏路地や橋などの細かい部分を移動する際は、固定式パッドの方が格段に操作しやすいのだそうだ。さらにダッシュボタンも用意して移動時のストレスを軽減させている。

 このほか過去のリメイク作で盛り込まれた追加ダンジョン類も、iPhone版ですべて盛り込まれる。松井氏は平均クリア時間が各25~30時間で、クリア後も長く遊び込めるとボリューム感をアピールしていた。なお価格や配信時期は未定だが「春になる前にはお届けできるのでは?」ということだ。


【ファイナルファンタジー/ファイナルファンタジーII】
iPhone/iPod touchの性能をフルに活かして、高精細なグラフィックスが実現されている。もっとも、それ以上に松井氏が強調したのが遊びやすさの点。何十時間も遊ばせるゲームだけに、通常のiPhoneアプリ以上にさまざまな工夫がなされたようだ



■リーディングカンパニーの貫禄 ~ゲームロフト~

PRマネージャーの萬力智子氏

 世界60カ国以上にモバイルゲームを展開し、今や名実共にモバイル分野でのリーディングカンパニーとなったゲームロフト。PRマネージャーの萬力智子氏は配信中のリアル系レーシング「GTレーシング: モーターアカデミー」(配信中、800円)に加えて、新作の「BRIDGE ODYSSEY」、「ブラザーインアームズ2: Global Front」を紹介した。

 「GTレーシング:モーターアカデミー」は自動車メーカー24社、全108車種、15サーキットが登場し、Wi-Fi、Bluetooth、インターネットで最大6人まで対戦可能だ。タッチ以外に加速度センサーによる操作が選べ、ドライバー視点、リアビュー視点などカメラビューも選べる。賞金を稼いでランクアップしていく「キャリアモード」では、リプレイをYouTubeにアップする機能もある。

 「BRIDGE ODYSSEY」は枝を組み合わせて谷間に橋を造り、動物たちを渡していくカジュアルテイストのアクションパズルだ。物理エンジンが用いられており、象などの大型動物を渡すためには、より丈夫な橋を造る必要がある。一方で1ステージで使える枝の数には限りがあり、頭を使うのがミソだ。近日配信予定だが、体験版が先行配信されている。

 「ブラザーインアームズ2: Global Front」は、「ブラザーインアームズ: アワーオブヒーローズ」の続編で、前作は3人称シューティング(TPS)だったが、1人称シューティング(FPS)になった。世界観は前作と同じ第2次世界大戦だが、舞台がドイツ、フランス、アフリカ、シチリア、そして日本も加わり、ボリュームも倍増しているという。このほかビークルでは飛行機が追加され、武器では火炎放射器などが加わった。マルチプレイもWi-Fi、Bluetooth、インターネットで最大6人まで対応する。今月末には配信予定だ。

 萬力氏は「昨年度は50タイトル配信して、今年度も同規模の投入を予定しており、人気タイトルの続編も企画中。カジュアルからハードコアまで全方位でタイトルを投入し、あらゆるユーザーに訴求したい」とアピールしていた。


【GTレーシング: モーターアカデミー】
リアルテイストのレーシングアプリ。ライセンス車種数やパーツカスタマイズ要素など、iPhoneアプリでも最大級で、据え置き型に迫るボリューム感だ

【BRIDGE ODYSSEY】
物理エンジン下の2D空間でパーツを組み合わせて橋を造る「渡しゲー」だ。ステージ上の卵をとるとボーナスが入る。カジュアルながら骨太なゲーム内容のようだ

【ブラザーインアームズ2: Global Front】
大好評を博した前作の続編で、ゲームシステムがTPSからFPSに刷新され、日本を舞台にしたステージも追加された。Wi-Fi、Bluetooth、インターネット対戦もできる



■ 電子出版系アプリ


産経新聞【iPhone版】(ヤッパ)
ビューワと共に、動画を用いた次世代広告の実験を紹介。全面広告と枠内広告があり、動画で広告が入る。購入サイトに飛んだり、販売店情報をGoogle Mapで表示するなどの機能もある(無料・配信中)
iButterfly(電通)
従来のクーポンにAR(拡張現実)や位置情報ゲームなどのエンタテインメント性を加えたアプリ。アプリを起動してクーポンの「ちょうちょ」を探し、コレクションしたり、友達と交換したり、店舗で使ったりできる。3月末までの期間限定サービス(無料・配信中)
Phone Book(電通)
実際の絵本にiPhoneをはめ込み、絵本と画面のコンテンツを連動させるアプリ。YouTubeなどでコンセプトムービーが公開され、累計60万回以上の再生を記録した。公開後は20カ国以上から問い合わせがあったという。5月頃、講談社から日米で絵本が出版予定
バウリンガル(インデックス・ホールディングス)
タカラ(現タカラトミー)から2002年に発売された玩具「バウリンガル」のiPhone版。鳴き声から犬の気持ちがわかるだけでなく、愛犬の写真を撮って加工したり、Twitterで飼い主のコメントと共にツイート(つぶやき)する機能もある。初夏ごろ配信予定(予価600円)
iPhone Camera People(monogram)
iPhoneで撮影した写真100点を掲載した写真集アプリ。掲載される写真は同社が運営するCamera People SNSで募集される。3月配信予定(無料)。アプリ配信にはアプリヤが協力しており、同社はプログラムスキルが不要でアプリが作れるウェブサービス「APPLIYA STUDIO」も運営中

(2010年 2月 12日)

[Reported by 小野憲史]