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富士ソフト、本格的な小型ヒューマノイドロボット「PALRO(パルロ)」を発表

教育機関向けに298,000円から


3月15日発売予定

価格:29万8,000円


 富士ソフト株式会社は小型ヒューマノイドロボット「PALRO(パルロ)」を発表した。「パーソナルホームコンシュルジュ」というコンセプトのロボットで、高さ39.8cm、重さは1.6kg(バッテリ搭載時)。自由度は20(頭部2、腕部3×2、脚部6×2)。頭部・胸部にLEDがあり、音声認識マイク、胴体部に方向認識用マイク×4、モノラルスピーカー×1のほか、圧力センサー(足裏に4×2)、頭部に測距センサー×1、30万画素CMOSカメラ、胴体にジャイロセンサー×2、3軸加速度センサー×1、腕に家電制御用リモコンLEDなどを備える。バッテリはリチウムイオン7.4V 2,800mAh。

 無線LAN(IEE 802.11 b/g/n)とUSBコネクタ(miniB)を1つ搭載し、CPUはIntelのATOM 1.66GHz。メモリは1GBで、プログラムは4GBのオンボードフラッシュメモリから供給される。OSはLinux(UBUNTU)。同社が独自に開発した専用プラットフォームミドルウェアを用いており、プログラミング言語はC++、コンパイラーはgcc。専用のライブラリ、オープンソースとして提供される予定のサンプルアプリケーションのほか、モーション作成ツール「モーションレコーダー」が提供される。現時点では教育機関向けには、4種類の生活支援アプリケーションを搭載している。

 サーボモーターは3種類使われている。脚部はトルク7.1kg・cm、スピード0.11sec/60°、通信方式はRS-485半二重通信。腰部はトルク10.2kg・cm、スピード0.17sec/60°、通信方式は同上。腕部はトルク5kg・cm、スピード0.16sec/60°、通信方式はTTL半二重通信。会見当日は明らかにされなかったが、双葉電子製と思われる。

 3月15日から教育機関・研究機関向けに先行販売される。価格はアカデミックプライスで298,000円。一般用にも4月以降、2010年度中に発売される。価格やオプションは未定。出荷予定台数は初年度1,000体。販売方法は直販。「PALRO」という名称は「PAL=友達」、「RO=ロボット」に由来する。

オレンジ色のボディのPALROも登場 頭部にLEDを搭載
背面
クリアパーツ外装を使ったカットモデル
コンシューマーモデル向けに開発中の自動充電用ドックに収まった状態 ドックへの合体はビデオでしか公開されなかった つま先部分のサーボ
ボディに搭載されたボード類
【動画】PALROの挨拶 【動画】前に歩くだけの領域がない場合は、歩けと言われても踏み出さない
富士ソフト株式会社代表取締役社長 白石晴久氏

 記者会見では富士ソフト株式会社代表取締役社長の白石晴久氏が「PALRO」を「視覚と聴覚を備えた本格的なヒューマノイドでありながら、汎用部品を豊富に使い、これまで培った組み込み系ソフトウェア技術を活用することで、高機能・低価格を実現した」と紹介。そして「なぜソフトウェア会社がロボット開発なのか」について解説した。

 富士ソフト株式会社は組込みソフトウェア開発技術の会社であり、「ロボット相撲」大会の開催などを通してさまざまな研究機関とも関係がある。今回、知能化ロボット開発事業を進めるにあたって、これまでの組み込みソフトウェアの技術と知能化技術の蓄積のほか、富士ソフトの今後の戦略の1つに「プロダクト化」があったことを挙げ、ロボットというプロダクトを戦略手段として開発したと述べた。「ロボットの研究開発を通じてRT(ロボットテクノロジー)」を活用したいという。白石社長は「既に大手メーカーから引き合いもあり、手ごたえを感じている」と語った。

 用途に関しては開発当初はロボットのマニアや、シニアや子供の相手、またBtoBを主に考えていたが、本格的にマーケティングを開始して、ロボット制御の研究や、ロボットの社会用途の研究にいますぐ欲しいという声があったため、アカデミックや教育機関にまずは絞って先行販売することにしたと述べた。

 最後に白石氏は「RT」を中心とした新機軸についてふれ、「経営資源としてのRTを活用していく」と述べた。「PALRO」1つとっても、20以上のエンジンを搭載しており、その技術を他のプロダクトへの適用可能性を探ることで、新たなビジネスモデルの展望を展開していきたいと述べた。白石氏は「ロボットテクノロジーを必ずしもロボットに組み込む必要はない。デジタルサイネージやオフィス機器などへの可能性も探り、システムインテグレーションを全体にやっていく」と強調した。

富士ソフトのこれまでの技術の蓄積 PALROのターゲット。まずはアカデミック/研究機関を用途にする ロボットの知能化技術を他の技術にも適用していく
富士ソフト株式会社事業開発部ロボット事業推進室室長 渋谷正樹氏

 富士ソフト株式会社事業開発部ロボット事業推進室室長の渋谷正樹氏は「PALRO」を実際に使いながら技術関連について紹介した。PALROはたとえば人の顔の方を見て話をするなど、マンマシーンインターフェイスとしても気を使っているという。また、たとえばリビングなどでPALROに呼びかけた場合、遠すぎたときはPALROのほうから近づいてきてから応えるなど、PALROには音場環境を最適化した上で、人の顔の方向を目と目を見て話をする機能があると述べた。

 また、移動知能も紹介し、「PALRO」は自分で環境マップを作り、経路を探索し、目的の座標に移動できると紹介した。この機能を使うことで、外出先から携帯電話などを使って遠隔操作することも、アプリケーションを開発すれば可能になるという。

 なお前方への障害物検知や落下防止などの判断機能は最初から入っており、アプリケーション開発者はそれらを自由に利用することができる。そのほか、カメラや録画再生アプリケーションなども標準搭載されており、RTミドルウェアの仕様に準拠してコンポーネント化された知能化エンジンを、同じく提供されるライブラリを利用することで簡単にアプリケーション開発ができると述べた。

 また開発したRTコンポーネントは同社が提供するプラットフォーム上で、ユーザー間で共有することができるようにするという。将来的には有償配布も可能にするようだが、当面はフリーソフトウェアとして流通させる。今後、同社でもマーケットニーズを調べながらアプリケーション開発などを行なっていくという。APIセットも公開予定。

 「PALRO」のキャッチフレーズは「talk with tomorrow」。渋谷氏は、「歩くことも聞くことも見ることも知ることもシンプルにまとめているロボット」だと「PALRO」について語り、「ぜひ多くの人にPALROに触れてもらいたい」と述べた。

倒立振子ベースの歩行を行なう。位置認識と組み合わせて場所別に違う補正パラメータを使用できるという オドメトリで地図を作成、周囲を画像で撮影し、地図と照合して自己位置を推定する 顔認識、個人認識が可能
ソフトウェアの概要 ユーザーコミュニティでの共有を図る 開発環境
PALROのコンセプト 個別の顔認識なども可能

 このあと実機を使ったデモが行なわれ、音声認識・音声合成を使ったやりとり、簡単な歩行モーションや画像撮影+メール送付、ネットに接続してニュースの読み上げ、そしてダンスアプリケーションをサイトからダウンロードして踊る様子などが紹介された。また複数台のPALROでのやりとりもできるとして、Peer to Peerで接続し、互いにしりとりをするというデモを行なった。

【動画】呼びかけられて歩行し、写真を撮影し、メールで送付 【動画】ネットに接続し、ニュースの見出しを読み上げる 【動画】専用コミュニティサイトからダンスアプリをダウンロードし、踊る
【動画】オレンジ色のPALROも起動して2体で通信してしりとり 【動画】「第21回全日本ロボット相撲全国大会」で披露した四股動作 【動画】最後の挨拶
PALROの設計はすべて自社で行なったという。成型品の一部は中国で生産している。

 歩行モーションについては、足裏四隅に張られた圧力センサーを使ってZMPを出して歩行するほか、当日デモは行なわれなかったが、床の表面の違いを検知してリアルタイムにフィードバックすることで安定して歩行することも可能だという。デモビデオによれば、学習によって歩行モーションを収束化していくことも可能なようだ。各種エンジンなどについての詳細は、会見では明らかにされなかった。

 「PALRO」の音声認識機能は、首部分のLEDが点滅しているときに話しかければ良いとわかるようになっている。ボディを持ち上げると、力の強い脚のサーボを自動で脱力するほか、外装も、電源オフのときや待機状態で座らせたときは太もも部分とふくらはぎ部分がぴったり合ってボディを支えるようになっている。また関節部分は指はさみなどが起きないようにきれいに処理されているなど、家庭にいれるということについては見た目以上にかなり練られているような印象を受けた。開発期間は明らかにされなかったが、スタッフは70名に及ぶという。

 今後、富士ソフトでは、組込み系に強いソフトウェア会社として、他社にないRTソリューションベンダーを目指すという。

脱力状態。ふともも部裏とふくらはぎとがぴったり合う 首裏部分に電源スイッチ。関節部分は指のはさみこみが起きないように工夫されている 足裏の圧力センサー

(2010年 2月 1日)

[Reported by 森山和道]



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