フロム・ソフトウェア、PSP「ARMORED CORE SILENT LINE Portable」
全国大会決勝戦を開催。最新作「アーマード・コア5」を発表


1月11日 開催

開場:池袋アムラックスホール


鍋島俊文氏

 株式会社フロム・ソフトウェアは、PSP用戦闘メカアクション「ARMORED CORE SILENT LINE Portable(アーマード・コア サイレントライン ポータブル)」の全国対戦トーナメント大会・決勝戦イベント「アーマード・コア チャンピオンシップトーナメント2009 season2 ファイナルステージ」を、1月11日に池袋アムラックスホールにて開催した。

 本イベントは、昨年12月に東京、大阪、名古屋の3都市で地区予選が開催された「アーマード・コア サイレントライン ポータブル」全国大会の決勝戦。会場には予選を勝ち抜いた8選手のほか、観戦を希望した150名のギャラリーが来場。決勝トーナメントのほか、フロム・ソフトウェアのサウンドチームによるライブ、プロデューサーである鍋島俊文氏のトークショーなどが行なわれ、おおいに盛り上がった。

 トーナメントのルールは、1回戦が5分1本勝負、使用マップは「MILITARY DISTRICT」。準決勝と決勝が制限時間5分の3本勝負(2本先取制)で、使用マップは1試合目が「CREST BASE」、2試合目が「ARENA」、3試合目が「MILITARY DISTRICT」。興味深かったのは、一部をのぞき試合の解説をユーザーが担当していたこと。当然、プロがしゃべるような流暢さはなかったが「ゲームを熟知しているユーザーだからこそ」というポイントを押さえたトークが印象的だった。


入口に展示されていたコトブキヤのプラモデル「アーマード・コア」シリーズ会場となった池袋アムラックスホールには、観戦を希望する150人の観客が詰め掛けた3月4日発売予定の「アーマード・コア ラストレイヴン ポータブル」を初プレイアブル展示


 最強レイヴンを決める大会だけあって、トーナメントは1回戦から熾烈な戦いが展開された。マップの特徴を熟知した立ち回り、オービットキャノンによる堅実なAP削り、熱暴走、エネルギー消費をふまえた駆け引きなど、百戦錬磨のレイヴンらしいギリギリの戦いが続く。技量に大きな差がないぶん、どちらかが一方的に相手を叩きのめすといった大味な試合は皆無。ヘタレレイヴンの筆者などは、マルチミサイルが飛んできただけで逃げ回るのに大騒ぎだが、彼らはデコイの射出や回避運動を行ないつつも、常に一定の攻撃意識を保ち続ける。

 決勝戦に進出したのは、東海地区ブロック1位「リトルベア」さんと、同2位「Seiyou」さん。同地区だけに互いの手の内は知り尽くしているといい、Seiyouさんは「(リトルベアさんは)ライバルというか、格上の人という感じですね。(緊張していますか? の問いに)緊張してます、凄く。決勝まで来れるとは思わなかったんで……」と、やや堅くなっている様子。かたや、リトルベアさんは……というと、Seiyouさん以上に緊張している様子がうかがえる。

  1本目は、その緊張が悪い方向に作用したのか。準決勝まで、鍋島プロデューサーや解説者をことごとく感嘆させる見事な“押し引き”を披露していたリトルベアさんが、まさかのエリアオーバー。先手を取ったのはSeiyouさん。解説者に深呼吸をうながされたリトルベアさん、やや落ち着きを取り戻した様子。2本目は、遮へい物がないマップ。リトルベアさんは実弾武器メインの重装2脚、Seiyouさんは近接戦を意識したと思われる中量2脚をそれぞれ使用。旋回性能はSeiyouさんに利があるが、それ以上の読みを駆使した立ち回りでリトルベアさんが一気に勝利を決める。

 泣いても笑っても勝者が決まる3本目。リトルベアさんは高AP重量2脚、Seiyouさんはやや堅めの中量2脚をそれぞれ使用。オービットキャノンと誘導ミサイルによる遠距離での攻防から、間合いを詰めてライフルとハンドガンによる応酬へと移行。この時点で、両者のAP差は400程度でSeiyouさんがリード。一時は1,200以上の差が開くが、ラスト1分でリトルベアさんがその差を一気に縮める。文字どおり、どちらが勝つかまったくわからないギリギリの状況。残り2分を切った瞬間……瀬戸際のAPで立っていたのは、Seiyouさんの機体。最強レイヴンの座は、Seiyouさんのものとなった。

 決勝トーナメントに進出した8人には、参加賞として株式会社コトブキヤのプラモデル「Variable Infinity ミラージュ セレナ」、「ARMORED CORE SILENT LINE Portable」鍋島プロデューサーのサイン入りポスターが、準優勝のリトルベアさんには、コトブキヤ原型師によるワンメイク完成版プラモデルキット「ミラージュ ビクトーリア」と「ARMORED CORE SILENT LINE Portable」デザイナーの手による準優勝者専用エンブレムが、優勝したSeiyouさんにはプロモデラー「松田竜」氏が制作したワンメイクキットプラモデル「フォルカス」と優勝者専用エンブレム、特製クリスタルトロフィーがそれぞれ進呈された。

 鍋島プロデューサーは「今回はテクニカルな勝負が多くて、決勝は本当に僅差の勝負。すごく見ごたえがある、最後まで気の抜けない勝負が多く、非常に楽しかったです。参加してくれた皆さん、本当にありがとうございました。こういうイベントが成功裡に開けたことを、本当に感謝しています」と大会を総評。決勝トーナメントは大盛況のうちに幕を閉じた。


【決勝戦】
よほど緊張したのか、1本目、これまで抜群の立ち回りを見せていたリトルベアさんが、なんとエリアオーバー。会場内に大きなどよめきが響き渡る
気持を切り替えに成功したのか。2本目はリトルベアさんが勝利。3本目は互いの機体が損壊寸前までもつれこむ超接戦。文字どおりの紙一重、瀬戸際の勝負を制したのはSeiyouさんだった。それにしても東海勢、強し!
決勝トーナメント参加者には、それぞれ豪華な賞品が進呈されたSeiyouさん(上画像・左)とリトルベアさん(同・右)

全8選手の予定が、ひとり都合がつかず欠員が発生。リザーバーで登場したのはPSP「3」全国大会でその名を轟かせた(!?)同社スタッフ「アリーヤ川手」。颯爽と登場したはいいが、案の定マスクによる視界不良でアッサリ轟沈。だが、試合後に勝者を讃える姿は、果たしてどちらが本当の勝者なのか区別がつかなくなるほど堂々としていた

【サウンドチーム「フリーケンシー」ライヴ vol.00】
設立から11年、「アーマード・コア」楽曲でのライヴは初になるという。全5曲を披露。vol.00と銘打たれているとおり今後の展開も考慮されているが、直近の予定は未定。「今後もライヴをやって欲しいですよね?」という司会者の問いかけに、観客はもちろん大きな歓声と拍手で応える




■ シリーズ最新作「アーマード・コア5」を発表。プラットフォームは未定

 表彰式終了後、3月1日発売予定のPSP「アーマード・コア ラストレイヴン ポータブル」トレーラー映像が流された。鍋島プロデューサーによれば「ポータブルシリーズ“トリ”のタイトルになります」という。予約特典として、ポータブルシリーズ3タイトルのCG画像などが収録された設定資料集「アーマード・コア クロニクル アートワークス」が用意される。

 このままイベントは終了……と思われた瞬間、鍋島プロデューサーから“緊急告知”が行なわれた。「……で、あの、最後にもう1個だけ見せたいものがあるんで。どうぞ」とフランクに紹介された映像は、なんと「アーマード・コア 5」の映像。最初に“5”という数字が表示された瞬間、すべてを理解したギャラリーから凄まじい拍手と歓声が沸き起こる。野獣を想起させる禍々しい頭部デザインの機体に、「全てを焼き尽くす“暴力”」など刺激的なキャッチコピーが踊る極めて短いトレーラーだったが、期待感を煽るには十分といえた。

 「はい、“5”です! 『アーマード・コア5』を鋭意制作中です。今までのシリーズと全然違った形の新しいメカアクションを、がんばって作っていきたいと思います。よろしくお願いします」という鍋島プロデューサー。前述のPSP「アーマード・コア ラストレイヴン ポータブル」と連動キャンペーンも行なわれ、前述の予約特典・設定資料集に「アーマード・コア5」の映像が収録されるほか、パッケージに「アーマード・コア5」プロダクトコードが封入される。ナンバリングタイトルの情報を少しでも早く入手したい人は、PSP「アーマード・コア ラストレイヴン ポータブル」もチェックする必要がありそうだ。


「アーマード・コア5」をサプライズ発表。発売時期やプラットフォームは明らかにされなかった


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(2010年 1月 12日)

[Reported by 豊臣和孝]