サイバーフロント/アートディンク、「A列車で行こう9」記者発表会を開催
美麗グラフィックスで生まれ変わった「A列車」
高い表現力で日本ならではの“鉄道のある街”を再現


12月10日開催

会場:ユナイテッドシネマ豊洲



 株式会社サイバーフロントは12月10日、ユナイテッドシネマ豊州でWindows向け鉄道会社経営シミュレーションゲーム「A列車で行こう9」の記者発表会を開催した。「A列車で行こう9」はアートディンクが開発するシミュレーションゲームシリーズの最新作。発売日は2010年1月29日を予定し、対応OSはWindows XP/Vista/7。価格は12,390円となっている。

 発表会の行なわれたユナイテッドシネマ豊州スクリーンNo.10は、日本最大といわれるスクリーンがある。「A列車で行こう9」の画面が映し出され、細かい街並みや鉄道が引かれていく様子などを確認することができた。ゲームの説明はアートディンク代表取締役社長永浜達郎氏が登壇し、細かい部分まで開発のこだわりを語った。

【「A列車で行こう9」オープニングムービーその1】
時間と共に変わっていく街、鉄道や鉄橋の上を進む列車など見所たくさんのムービーだ

【「A列車で行こう9」オープニングムービーその2】
こちらはフライトモードが中心。空から街を眺める


■ 20年以上の歴史を持つ都市育成鉄道シミュレーション、PCでしか実現できない美しい街作り

サイバーフロント代表取締役社長藤原三二氏
アートディンク代表取締役社長永浜達郎氏

 「A列車で行こう」シリーズはアートディンクの鉄道会社経営シミュレーションゲームだ。最初の作品は1986年発売という、20年以上の歴史を持つシリーズである。プレーヤーは鉄道会社の社長となり、多角的な鉄道経営を行なって資金を集め、街を大きく発展させていく。

 今作は全てを3Dグラフィックスで表現、山や川、海を持つ地形に縦横無尽に線路を走らせ、様々な建築物を配置していく。列車は線路の上を行き交い、道路でもバスや車が走っている。世界は時間の経過と共に朝、昼、夜と変化し、夜にはビルや家は明かりを灯し昼とは全く違う表情を見せてくれる。

 鉄道を経営し、鉄道によって生まれる経済によって街を発展させていく。さらに本作はより「鉄道」にこだわるプレーヤーに応える要素が充実している。現在日本で走っている車両の多くをカバーし、新幹線はもちろんSL車両まで用意されている。鉄道のダイヤも細かく設定可能で、鉄道ファンは理想のダイヤ運行を求めてのやり込みプレイも楽しめるのだ。

 「A列車で行こう9」は特に鉄道ファンにとって待ち望んだシリーズ最新作といえるだろう。今回の発表会ではメディア関係者の他、ゲームブログの管理者などシリーズのファンも招待されていた。遠方からこの発表会に来たユーザーもいるという。発表会の最初には本作のオープニングデモが流された。大画面に写る細かく美しい街並みに、会場から小さく歓声が上がった。会場からはユーザーの今作にかける期待も伝わってきた。

 最初に挨拶を行なったのはサイバーフロント代表取締役社長藤原三二氏。藤原氏は「今後私達がこの作品を販売するに際し、会場の皆さんにご助力いただけるようにお願いいたします」と語った。続いて登壇したアートディンク代表取締役社長永浜達郎氏は「今作のプラットフォームですが、メモリの容量やアクセス速度、ストレージのやりとりなどを比べればPCが優れている。“PCでもっと遊ぼうじゃないか”ということを重要視しながら開発しました」と語った。

 「A列車で行こう9」の予定スペックはCore2 Duo以上、メモリはWindows XPの場合1GB、Windows Vista/7の場合は2GB以上、HDD容量は1.2GB以上、グラフィックスはGeforce6シリーズ/RADEON X1000シリーズ、VRAM512MB以上、といったスペックだ。今後変更される予定もあるが、現行の国内外の3Dゲームを楽しめるPCならば充分プレイ可能なスペックである。スペックがきついと感じるユーザーにはオプションメニューで影を無くしたり、視界を狭めることである程度フォローできるという。


【デモムービー1】
高速で動いていく街の“息吹”がたのしい

「A列車で行こう9」のスクリーンショット。非常に細かいところまで街が作り込まれているのがわかる
地形に合わせて発展していく街。自動生成されるマップは2つとして同じ物ができないという
東京タワー、SLと日本ならではの風景が作れる。国産シミュレーションだからこその要素だ


■ 鉄道、線路、建物、随所に込められたこだわり。「自分のPCが誇らしくなるゲームを!」

日本最大のスクリーンでゲームの説明を行なう永浜氏

 発表会では永浜氏によりゲームの特徴が語られた。今作のマップは現実のスケールで10km四方の範囲をカバーする。これはおおよそ山手線がすっぽり入るくらいの大きさだ。スペックの高いPCを使えば5kmの範囲を見渡せるという。

 「A列車で行こう9」の線路は、始点を設定し、次に終点を設定するだけでスムースに引くことができる。線路のカーブも現実に即して考察されており、自然なラインが引けるようになっている。このカーブの自然さは特に「複線」において発揮される。最初の線路にきちんと沿うように引くことができる。いくつもの列車が行き交う大きな駅を作ったときにこの自然なラインの美しさが発揮されるのだ。

 建物も実に多彩なものが用意されている。建物は線路に対して向きを合わせることもでき、線路を中心とした町作りとしての面が強調されている。建物は、宿泊施設やデパート、港など様々な種類がある。ジェットコースターや観覧車、風力発電の風車など動くオブジェクトも用意されている。

 今作から電力の概念が用意されていて、発電所が街の電気の大半をまかなっている。もし発電所を撤去してしまうと街は停電となり、非常用電源で必要最低限の運用がなされることになる。停電すると建物の経済活動が止まってしまうので注意が必要だ。発電所は特に場所を慎重に決めたい。原子力発電所の場合は設置より撤去に資金がかかるのだ。なお、ゲームの柱となる鉄道に関しては、電力がなくても稼働し続けるようになっている。その理由については、「電車が止まるとダイヤが乱れてゲームにならなくなるため」(永浜氏)ということだ。

 列車は224車種が収録されている。見なれた車両から地方の車両、高速鉄道、地下鉄、さらに蒸気機関車まで収録されている。このほかにもバスなど道路を走る車両も用意されている。鉄道、地下鉄、バスといった様々な交通機関がひっきりなしに動く「生きている街」を作り上げることができる。通常の鉄道は10両まで、新幹線は16両まで連結が可能で、大人数の移動をカバーできる。ただし10両の電車が止まるには大きな駅が必要で、運用は注意したいところだ。

 今作の新要素として「鉄道博物館」がある。プレーヤーが使用した車両が展示される建物で、全ての車両を並べることができる。コレクター魂を刺激するギミックだ。「A列車で行こう9」ではただ自由に街を作るだけでなく、マップにより様々な条件が提示されこれをクリアするためにプレイすることもできる。鉄道博物館に全ての車両を揃えるというのはかなり難しい条件だという。

 この他にもマップの数カ所を「ビューポイント」として設定し街を眺めたり、「フライトモード」でフライトシミュレーターのように空中散歩することが可能だ。街の描写には「イラストタッチ」という項目があり、これを使うと輪郭線がはっきりした、イラストタッチの雰囲気に建物が描画されるなど、色々なアプローチで街を眺めることが可能だ。この他にもマップの自動生成と山や湖、切り立った峡谷なども作れるマップエディター、道路の信号機の設定、複葉機や気球などのオブジェクトなど多彩な要素が用意されている。

 最後に永浜氏は「自分のPCが“誇らしく”感じるようなソフトを作りたいと思っています。是非ともこのゲームを遊んでもらって、自分のPCはこんなに凄いんだ、ということを感じてもらいたいと思います」と語った。

 今回の「A列車で行こう9」は永浜氏が長年シリーズを通じてアプローチしてきた「生きている街づくり」をかなりのレベルで実現できたゲームではないかと感じた。画面に映る街からは細かさ、1分、1分が重要な日本の鉄道が生む溢れんばかりのエネルギーと忙しさを感じた。自分の手で、自分の鉄道で街を作り上げてみたいと思った作品だ。


【デモムービー2】
一転して雪景色。建物も雪をかぶっている

線路は直感的に手軽に引ける。複線も美しく引けるのは鉄道ファンにはうれしいところだろう
多彩な建物。夜にはライトアップされて美しい夜景を見せてくれる
200以上の車両を収録。並べて鑑賞することも可能
強いこだわりを感じさせる開発資料。シリーズの蓄積が活かされている

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(2009年 12月 10日)

[Reported by 勝田哲也]