東京ゲームショウ2009レポート

キッズコーナー、東京ゲームショウ主催者企画、CoFesta連動企画
子供を対象としたゲーム作りを体験できる「クリエイターさんのお仕事体験」など


9月24日~27日 開催(24日、25日はビジネスデイ)

会場:幕張メッセ

入場料:1,000円(一般/前売り)、1,200円(一般/当日)、小学生以下は入場無料


 「東京ゲームショウ」といえば各社が最新のゲームを競って出品するというイメージが強いが、主催者側も様々な企画で出展している。特に日経BP社と共催という形になってからは、それまで以上にアイディア溢れる企画展示が行なわれている。

 今年は一部昨年出展されていた内容を受け継ぐ形の物も出展されていたが、例えばキッズコーナーに設置されたCoFesta、TGS、日本ゲーム大賞の連動企画となる「クリエイターさんのお仕事体験『君だけのオリジナルゲームをつくろう』」などは面白い試みだ。こういった展示が今後も充実していくことを望みたい。


■ キッズコーナー

キッズコーナーも9時半の開場時には、ゲート前にズラリと行列ができあがっていた
キッズコーナーにもステージが用意されており、様々なメーカーの子供向けのショーが予定されている。写真はバンダイナムコゲームスの「『アンパンマンとタッチでわくわくトレーニング』~一緒に遊ぼうステージ」。人気のアンパンマンも登場

 キッズコーナーは例年通り一般公開日に8ホールに設置されていた。メインステージほどではないがステージも用意されており、1時間おきくらいにステージが開催され、KONAMIの「ファミリーチャレンジWii」やバンダイナムコゲームスの「『アンパンマンとタッチでわくわくトレーニング』~一緒に遊ぼう」、タイトーの「クッキングママ」といったゲームのステージはもちろん、「侍戦隊シンケンジャー」や「つくってあそぼ」といったテレビ番組のショーなども開催され人気を集めていた。1番奥には駄菓子のコーナーがあったり子供が楽しめるよう試行が凝らされていた。

 ゲームの試遊コーナーは比較的ゆったりとしており、親子連れで大勢が行列をつくることも想定した構成になっている、また、スクウェア・エニックスの「ドラゴンクエストVI」やレベルファイブの「イナズマイレブン2」など一部メーカーでは子供達がゆっくりと座ってプレイできる環境を整え、楽しんで貰おうといった姿勢が好印象だった。また、セガの「スーパーモンキーボール アスレチック」やカプコンの「ロックマン エグゼ オペレート シューティングスター」などではプレイするとプレゼントがもらえるなど企画されていた。

 併設されていた企画展示で最も面白そうだったのが、ゲーム作りを体感できる「クリエイターさんのお仕事体験『君だけのオリジナルゲームをつくろう』」だ。1時間おき程度に1日9回実施され、親子で受けることができる。受付で満杯になっており、それだけ注目を集めたと言うことだろう。

 「クリエイターさんのお仕事体験」ではまず最初に簡単な横スクロールアクション「はしれ!トーキョウゲームショウ2009」をプレイし、それを元にゲーム作りを体験。パソコンを使って配布されたワークシートに沿ってゲームを創っていく。グラフィックスやサウンドを作り、動くか確認していく……と、これを体験すればほぼゲーム作りの概略は理解することができるだろう。講義時間は40分程度で1つのテーブルに1家族となっており、そこに1人の講師がつきっきりで教えてくれる。親にとってもゲームがどうやって創られているか知ることで、少しはゲームへの理解が深まるかもしれない。できあがったゲームは講義の終了後50分ほどで受講者に手渡される。自分で創ったゲームを家に帰って楽しめるというわけだ。

 この他にも雑誌「日経キッズプラス」が協力した主催者企画「ゲーム科学博物館」では、グラフィックスの変遷をボードで説明すると共に、「ドット絵」のコンテストを実施した。方眼模様の専用用紙に好きなドット絵を描き、その場に設置されている応募箱に投函すると応募したことになり、「日経キッズプラス」で審査が行なわれ後日掲載されることとなる。

 古いゲームと新しいゲームを隣り通しに出展し楽しんで貰おうという企画「~どっちもやっぱり面白い!~なつかし&最新ゲームにチャレンジ」では、「スーパーマリオブラザーズ」と「スーパーマリオギャラクシー」、「バーチャファイター」と「バーチャファイター5 Live Arena」といった具合に並べて新旧対決が楽しめた。小さな子供達が新作よりむしろ「スーパーマリオブラザーズ」や「バーチャファイター」を熱心に遊んでいたのは面白い光景だった。


CoFesta、TGS、日本ゲーム大賞の連動企画としてキッズコーナーに設置された「クリエイターさんのお仕事体験『君だけのオリジナルゲームをつくろう』」。楽しみながら親子でゲーム作りを学ぶことができる。創ったゲームは数時間後にディスクで貰うことができる障害物を避け、敵を倒し右側に進みゴールを目指すゲーム「はしれ!トーキョウゲームショウ2009」をまずプレイし、そこからゲーム作りに入っていく参加者に配られたテキスト。平仮名で書かれているが、なかなかに本格的。講師の方が1人付きっきりで丁寧に教えてくれるので、ゲームの完成まで進むことができるだろう
同じシリーズのゲームが昔と今でどれほど違うのか、ゲームを並べて展示することで子供でも理解できるようなっている。どのゲームもかなりの人気で、「バーチャファイター」の1作目をプレイし続ける少年など面白いゲームは誰でもいつでも楽しめるのだと再確認させられた。こちらもCoFesta連動の企画展示昨年に引き続きCEROレーティングの啓蒙のためのコーナー。説明の書かれたポスターが掲出されている
雑誌「日経キッズプラス」が協力した主催者企画「ゲーム科学博物館」のうちの1つ。ゲームのグラフィックスについて学ぶ一環として、「ドット絵」のコンテストが行なわれている。方眼用紙になっている専用の用紙に描き込み設置されている応募箱に投函する。日経キッズプラスの誌面において優秀賞が発表される。多くの子供達が熱心に塗りつぶしていたのが印象的
キッズコーナーにしか出展されていないタイトルもある。基本的に子供をターゲットにしたタイトルが多いが、KONAMIの「ファミリーチャレンジWii」といった家族で楽しめるタイトルも出展されている。また、一般のブースト違い、椅子などに座ってもらいじっくりとプレイして貰おうという出展ブースが多い。ちなみに体験した人に粗品を配るセガやカプコンの一部タイトルなどもある


■ ゲームと戦国時代の関係を探る?? 「ゲーム科学博物館」

 歴史が好きな女性のことが「歴女(れきじょ)」と言われるようになり、ブームを巻き起こしているが、それに合わせたかのような主催者企画のブースが用意されている。「ゲーム科学博物館」のひとつ「トレンド分析~戦国武将とゲームの関係」と題されたブースだが、分析が行なわれているかは謎だが、長野県上田市、宮城県白石市ほかの協力を得て人気武将の甲冑がズラリと展示されている。

 そこに出展しているのがコーエーの「戦国無双」シリーズと、カプコンの「戦国BASARA」の2つのシリーズだ。両シリーズの試遊コーナーでは、それぞれシリーズ作品全てが出展されており、シリーズ最初から現在発売されている最新作までプレイすることができる人気シリーズであるだけに試遊台はいつも埋まっているほどの人気。また、歴史好きの人から海外の来場者まで興味津々の目を武将の甲冑に向け、写真を撮る姿が見られた。

 タイトルにあるように分析がされていたかどうかは考えさせられるが、トレンドとして展示され、ゲームとの相性は抜群であることはこのブースの混雑具合が証明していると言える。来年は来年のトレンドを追いかけ、面白い企画展示にして欲しい。


「東京ゲームショウ2009」においてかなり異質な雰囲気の「ゲーム科学博物館」。数多くの武将の甲冑が置かれており、来場者の注目を集めていた「戦国BASARA」のコーナー。シリーズ初代から全てのタイトルが並び、自由に私有することができる「戦国BASARA」のブース内のちょうど逆側にあるのがコーエーの「戦国無双」コーナー。こちらもシリーズ作品が前作揃っている。なかなか壮観だ
織田信長、直江兼嗣、上杉謙信、徳川家康、真田幸村ら総勢9名の鎧が飾られている。一部鎧以外の出展物もあった


■ CoFestaメインブースでは3D映像や最新技術を学ぶことができる

 「JAPAN 国際コンテンツフェスティバル 2009(愛称:CoFesta)」との東京ゲームショウ、日本ゲーム大賞の連動企画として出展されていたのが「CoFesta メインブース」。3D映像をはじめ、普段あまり接することの無いような最新技術が出展されており、興味を持ち並んでいた人であふれかえった。

 ゲームがただエンターテインメントとして遊ばれているだけでなく、リハビリなど様々な分野で役に立っていることなどがパネル展示されているほか、今後ゲームに応用できそうな技術も紹介されている。

 たとえば、頓智・株式会社の「セカイカメラ」。GPSやジャイロセンサーといった技術を応用し、現在自分がどこにいるかを検知。その上でそこから見える風景(映像)にタグを埋め込むことができる。例えばある場所でiPhoneなどカメラがついている機器をかざし周りの風景を見てみると、そこにある建物などに対して各種情報を吹き出しのように表示することができる。この技術を応用すれば、例えば東京タワーのような場所でタワーにカメラを向けると東京タワーの情報やアドベンチャーゲームのヒントや犯人の情報などが表示されるといったアイディアが考えられる。

 このほかにも3D映像に長い行列ができるなど、来場者の興味を引いていたようだ。


ゲームを面白くする技術として東芝の「インタラクティブ3Dディスプレイ (写真中央)」、頓智の「セカイカメラ(写真左)」などが出展されており、詳しい説明を聞くことができる。例えば「セカイカメラ」はGPSやジャイロ機能から位置情報を割り出しそこの映像にリアルタイムにタグを埋め込むソフトウェア。例えばiPhoneのカメラで周りを見てみると、それぞれのものにタグ(情報)が埋め込まれているものに関しては吹き出しのような形でリアルタイムに画面上に表示される。これをゲームに活用する方法としては、探偵アドベンチャーゲームなどで、実際の場所に行き、この技術を利用してヒントやゲームの選択肢を表示させるなどのアイディアがある。こういったあまり知られていないかもしれないが、スゴイ技術が出展されている
日本ビクターの「3Dディスプレイ」。メガネをかけて見るのだが、なかなか迫力ある映像が楽しめた。2台の内1台にはXbox 360がセットされており、立体視に対応したゲームをプレイできる。奥行きのある映像が楽しめるずっと前からあらゆるセンサーを使い様々なインターフェイスを開発してきた新世代株式会社。エポック社からリリースされていたバットのコントローラーとその受信機をテレビに繋げたゲーム機があったが、これもXaviXだった様々なシチュエーションで、どのようなゲームが楽しまれているのかを展示


【ゲーム科学博物館】
昨年もあった「ゲーム科学博物館」。今年もコンシューマーゲーム機を分解したものが展示されていた。昨年と同じものかと思ったが、PSP-3000や、歴代PS3を並べて分解していたりと、なかなか勉強になるコーナーとなっている。この他にもデュアルショックがどのように位置情報を検出しているかをリアルタイムにグラフで示す出典物などが置かれていた



【「日本ゲーム大賞フィーチャー」の投票所】
「日本ゲーム大賞フィーチャー」の投票所は人気を集めていた。会場でプレイし、面白いと思ったタイトルに投票するシステムで、来場者にとってはすっかり定着したイベントだ。投票した人の中から200名に新作ソフトがプレゼントされる

(2009年 9月 27日)

[Reported by 船津稔]