東京ゲームショウ2009レポート

Xbox 360 International Press Party開催、「Halo Legends」を先行上映
荒牧氏のショートアニメ「The Package」を上映、「Project Natal」への期待も


9月24日~27日 開催(24日、25日はビジネスデイ)

会場:幕張メッセ

入場料:1,000円(一般/前売り)、1,200円(一般/当日)、小学生以下は入場無料


 マイクロソフト株式会社は9月24日、ホテルニューオータニ幕張シェルハウスにてXbox 360 International Press Partyを開催した。このイベントはプレス関係者を対象に行なわれ、Xbox 360のタイトルを大画面でプレイできたほか、「Halo Legends」の先行上映会が行なわれた。

 「Halo Legends」は、「Halo」シリーズのエピソードを7本のオリジナルアニメーショートフィルムで提供する新プロジェクト。今回は各話のダイジェストの他、カシオエンターテイメントが制作したショートアニメ「The Package」を1本まるまる上映した。今後、「Halo Legends」の一部のエピソードは、「Xbox LIVE」内に新たに設けられる「Halo Waypoint」から今秋に配信される。また来年頭には全てのエピソードを収録した形で販売される予定だ。

 パーティーではマイクロソフト執行役ホーム&エンターテイメント事業本部長の泉水敬氏と、米Microsoftゲームスタジオコーポレートバイスプレジデントのフィル・スペンサー氏が登壇した。本稿ではパーティーの内容と共に、先行上映された「The Package」を紹介したい。




■ 発売前のタイトルを大画面で先行プレイ! 泉水氏スペンサー氏が「Natal」に寄せる思い

マイクロソフト執行役ホーム&エンターテイメント事業本部長の泉水敬氏
米Microsoftゲームスタジオコーポレートバイスプレジデントのフィル・スペンサー氏

 Xbox 360 International Press Partyが開催された、「シェルハウス」はホテルニューオータニのホテル棟から離れた、ガーデンパーティーを行なう場所である。水をたたえたプールの横にパーティーを行なう広いスペースがあり、大きなモニターが設置されている。パーティーではドリンクとバイキング方式での食べ物が提供され、来場者は飲み物を手に、テーブルで会話を楽しんでいた。

 大きなモニターの前にはテーブルが2つ設置されていて、巨大モニターで対戦を行なうことができた。ここで対戦できたのは、10月29日発売予定の「鉄拳6」や、11月発売予定の「ワールドサッカー ウイニングイレブン 2010」である。また会場の入り口でも「ワールドサッカー ウイニングイレブン 2010」、9月24日発売の「Halo 3:ODST」、そして日本では発売日未定(ワールドワイドでは11月)に発売される「Left 4 Dead 2」をプレイすることができた。

 パーティーと同時に別室で、「Halo Legends」の先行上映会が行なわれた。上映会場は20人くらいを収容できる小さなスペースで、日本語版と英語版がそれぞれ交互に上映された。今回のパーティーはこの上映会以外は発表などは行なわれず、料理とドリンクを味わいながらおしゃべりをし、望んだ人が試遊台の前でゲームを楽しむというゆっくりした雰囲気のイベントだった。

 「Halo 3:ODST」と「Left 4 Dead 2」は協力プレイが体験でき、特に「Left 4 Dead 2」は欧米の人たちが声を上げて楽しそうにプレイしていた。パーティー会場の巨大モニターでのプレイは特に人気で、笑顔でコントローラーを連打しめちゃくちゃに技を繰り出す女性プレーヤーや、何度も対戦を繰り返す人など、パーティー会場での対戦プレイというユニークな環境での戦いを楽しんでいた。

 パーティー中盤にマイクロソフト執行役ホーム&エンターテイメント事業本部長の泉水敬氏が登壇した。泉水氏は、「今回、『Project Natal』を参考出展させていただいていますが、日本のメーカーさんを中心に、世界中のパブリッシャーの皆さんにご支援をいただいていることを発表させていただきました。日本でも『Natal』が徐々に盛り上がっていくかなと思っています。一方、ブースでは年末に向けて非常にいいラインナップを紹介させていただいています。昨年よりジャンルの幅が広く、ユーザーの皆さん全員が楽しんでいただけるラインナップになったのではないかと自負しています。是非、ブースに足を運んでいただければと思っています」と、語った。

 続いて登壇したのは、米Microsoftゲームスタジオコーポレートバイスプレジデントのフィル・スペンサー氏。スペンサー氏は「私達は自分たちのアピールができる機会を待ち望んでいました。今日、私達はディスカッションを開催し、『Natal』を紹介しましたが、本当に作られるのかと私たちの能力に疑問を抱いていたのでしょう。しかし、『Natal』は私達の未来の姿だと、今回証明できたと思います。だからこそできるだけ早く完成させ、お客さんから信頼を得た上で、開発者達がその期待を超えるようなゲーム開発に挑戦できる環境を、より一層強めたいと思います」と語った。

 「Project Natal」はE3で発表され、今回のニュースでも紹介しているXbox 360向けの、コントローラを使わず体全体でゲームをプレイできる新システムだ。東京ゲームショウでは参考出展として限られた関係者にしか公開していないため、ユーザーの前にまだはっきりと姿を現していない。今回、日本と米国のマイクロソフトの代表者がそろって「Project Natal」に関して言及しているところに、力の入れようが感じられる。このシステムがどういった形で今後情報公開され、どんなコンテンツが生まれてくるか注目したい。


大きなプールのある開放感のあるパーティー会場。大画面でゲームがプレイできるのは、ゲームファンにはたまらない。会場入口の試遊台もにぎやかだった



■ ゲームファン、メカマニアをうならせる密度の濃いアクションが連続するショートアニメ「The Package」

米Microsoft「Halo」のフランチャイズチームマーケティングディレクターのケビン グレース氏
荒牧伸志氏が担当したショートアニメ「The Package」。ミサイルを満載した小型戦闘機で巨大戦艦につっこんでいく。「板野サーカス」を踏襲するメカファン感涙の宇宙戦闘だ
ゲームの感触を思い起こさせる演出が連続する艦内戦。クライマックスはエナジーソードを手にしての一騎打ちだ

 「Halo Legends」の先行上映会では、米Microsoft「Halo」のフランチャイズチームマーケティングディレクターのケビン グレース氏が説明を行なった。グレース氏は「『Halo Legends』は1年半ほどの期間で、日本のアニメスタジオと協力しながら、7つのオムニバス作品を作りあげてきました。それぞれ異なる手法でストーリーを語っています。それぞれのスタジオの個性が出せる方向を目指しました」と語った。

 「Halo Legends」はボンズ、カシオエンターテイメント、Production I.G、STUDIO4℃、東映アニメーションの各社が「Halo」の様々な時代や種族を題材に7本のアニメーションを作成するというプロジェクトだ。「中にはこれまでの『Halo』とは作風の異なったものもあります。それは見ただけですぐわかってくれると思います。各作品のプロモーションを見てください」。グレース氏はこう語り映像をスタートさせた。流されたデモは先日行なったインタビューの際のデモ映像と同じものだった。

 若い兵士が猿型宇宙人に追われる「The Babysitter」。ロボットのような重武装のパワードスーツが登場する「Prototype」。和紙を貼り付けたような淡い色合いがユニークな「The Duel」などなど個性的な作品の1シーンが次々と映し出される。どれもが「全部の話を見たい」と思わせる魅力的なプロモーション映像だ。

 そのなかでも会場の人たちが笑い声を上げたのが東映アニメーション制作の「OddOneOut」である。「ドラゴンボール」のアニメーションを手掛けた西尾大介氏による作品で、デモ映像の尺は短いが、かっこよくポーズを決め、ノリノリで自分を紹介する主人公に対して、原始人のように肩から毛皮を下げただけの原住民の子供達はさめた表情。あげくに主人公は、彼らのペットの恐竜に加えられて足をばたばたさせたり、踏まれて足跡と共に地面にめり込んだりする。「もっとも違う作品がどれか、というのは皆さんの反応からも明らかですね」とグレース氏は笑みを浮かべて語った。

 続いて上映されたのが、クリエイティブディレクターを務める荒牧伸志氏が担当した「The Package」だ。社内をのぞいて、多くの人に完全な形で公開するのは今回が初めてだという。先日のインタビューでは「Halo」シリーズのコアプレーヤーである荒牧氏が「ファンムービーとして作った」というたの制作者と比べても強い思い入れを込めた作品だ。また7本の中でフルCGを使った作品としても注目の一本である。

 ムービーは隊員達を前に話をする司令官の姿から始まる。人類に敵対するコヴナントの軍隊が“あるもの”を盗み出した。それはコヴナントと人類の戦いにおいて重要な意味を持つものだが、コヴナントはその重要性に気づいていないらしい。奪還するチャンスはただ1度。コヴナントの艦隊が磁気嵐でジャンプできない10分の間に、たった5人の特殊戦闘チームが小型戦闘機で飛び込み、艦隊のいずれかにある“あるもの”の位置を確かめ回収するのだ。タイムリミットがすぎた場合は、人類側の艦隊で攻撃、向かった5人もろとも、艦隊ごと“あるもの”を消滅させる。

 この決死の作戦に任命されたのがマスターチーフを含む5人の戦士である。船のシールドを解いた一瞬に船から発進、5人はコヴナントの艦隊へ向かう。接近を感知した巨大艦隊達は雨のようにビームを照射、さらに船のあちこちからミサイルを発射し、5人を狙う。攻撃をかわしながら進む5機の戦闘機。その戦いの描写は「超時空要塞マクロス」でアニメーターの板野一郎氏が見せたという「板野サーカス」と呼ばれる、煙の尾を引くミサイルや高速で飛ぶ飛行物体が複雑に絡み合うという演出を踏襲していて、迫力と美しさがある。

 強力なエネルギー砲のチャージ描写、敵艦から発射される攻撃や、発射されたコンテナから小さなミサイルが飛び出すシーン、近づいてくるミサイルをフレア(熱源体)をばらまき、そちらに誘導させミサイルから逃げるシーン、さらにセンサーを艦に取り付け内部をサーチするシーンなど、メカファンならば思わず引き込まれる凝った演出が連続する。

 さらに戦いは船内に。大勢のコヴナント兵が待ち受ける通路を銃を乱射しながら走るマスターチーフと仲間達。ゲーム画面を思わせるバイザー越しの一人称視点や、武器の持ち替え、敵の武器を奪うシーンや武器によって異なる敵のやられ方など、マスターチーフ達の艦隊内の戦い方は、プレーヤーならば思わずゲームのシーンが浮かんでしまうサービスたっぷりのシーンとなっている。

 悪役そのものの敵の司令官、次々と倒れていく仲間……最後の関門として待ちかまえるエリート兵はマスターチーフにエナジーソードを投げる。受け取ったマスターチーフはエネルギーの刃を輝かせ敵と対峙する。迫るタイムリミット。戦いの行方は、“あるもの”の正体とは? 作品は15分前後だが、見所たっぷりの迫力ある映像に仕上がっている。非常に魅力ある作品だ。

 「Halo Legends」の一部のエピソードは、「Xbox LIVE」内に新たに設けられる「Halo Waypoint」というサイトで発信される。初プレビューは、今秋より展開予定となっている。また全てのエピソードをまとめたメディアも来年の頭には発売予定とのことだ。配信を楽しみにしたい。

(2009年 9月 24日)

[Reported by 勝田哲也]