NHN Japan、「スペシャルフォース」日本代表決定戦を開催
世界戦出場権は前日本代表を中心とする実力派チーム「Racpy」が獲得!

8月22日 開催

会場:NHN Japan本社内イベントルーム


 NHN Japan株式会社は、8月22日、オンラインFPS「スペシャルフォース」の日本代表チームを決定する大会、「第3回スペシャルフォースリーグ 決勝ラウンド」を開催した。会場となったのは東京大崎の同社オフィス内にあるイベントルームで、予選ラウンドを勝ち抜いてきた6チームが、11月に開催される「スペシャルフォース世界大会」への出場権をかけて対戦した。

 「スペシャルフォース」はNHN Japanが2006年よりサービスを展開しているオンラインFPS。NHN Japan公式大会である「スペシャルフォースリーグ」が開催されるのはこれが3回目。今回出場したいくつかのチームの中には、第1回、第2回の大会で好成績を残した選手が複数含まれているなど、国内を代表するFPSリーグとして選手が定着しつつあるようだ。

 彼ら選手の最終目標となるのが11月6日から8日にかけて台湾で開催される「スペシャルフォース世界大会」である。本日の大会で優勝したクランが、日本代表チームとして1チームだけが出場権を獲得できる。会場に集まった選手たちがどのような試合を繰り広げたのか、本稿でレポートする。



■ 世界大会への出場権を掛けて、国内の無数のチームから選抜された6チームが対決

予選ラウンドを勝ち抜いた5チームに加えて前回優勝チームの計6チーム、40名ほどの選手が参戦した
戦いに向けて抱負を述べる各チームのリーダーたち。言葉少なに「がんばります」というのが多かった
選手席の様子
選手席に向かい、自前のマウスやヘッドセットを装着。試合に臨む

 今回開催された「第3回スペシャルフォースリーグ 決勝ラウンド」には、それに先立ち6月29日から7月26日にかけて開催された「予選ラウンド」の上位5チームと、それに前回大会の優勝チームを加えた6チームが参加した。選手層は「スペシャルフォース」のターゲット層を反映して10代~20代前半という若いプレーヤーが中心だったが、上は40代と幅広い年齢層のプレーヤーが参戦していた。

 「予選ラウンド」のルールは、特定の時間帯にチーム戦専用の「クランサーバー」でオートマッチングを行ない、無作為に抽出された相手と対戦し、50試合以上を行なったチームの中から勝率が高い順に5チームが選出されるというもの。他の一般的なトーナメント式の大会と異なり、予選段階では「スペシャルフォース」に存在する全チームが選抜対象となるため、NHN Japanでは本大会の出場チームを「7万クランの中の6クラン」と表現している。

 その6クランの中でも優勝候補と目されるチームが「Unsold Stuff」、「Racpy」、「無敗軍団」の3チームだ。いずれのチームも第1回、第2回の大会で活躍した選手が在籍するほか、日本代表として世界大会で戦ったメンバーや「スペシャルフォース」内のトップレベルのプレーヤーが名を連ねる。

 一方、「Pop Style」、「にゃっぴぃ教」、「Hollow Point」の各チームは、実力のあるメンバーも在籍するものの、その「濃さ」という点では上記3チームから差があるというのが事実であるようだ。とはいえ、いずれも「予選ラウンド」に参戦した無数のチームの中から勝ち抜いてきた存在であるだけに、プレイレベルに劇的な差があるということも考えにくい。結局は試合をしてみなければ何もわからないのである。

 「決勝ラウンド」では、上記6チームがまず3チームづつA、Bグループにわかれ、それぞれのグループで総当たり戦を行なう。これによって各グループの1位、2位、3位を決め、1位の2チームは決勝戦へ、2位の2チームは3位決定戦へ進むというルールだ。

 ゲームルールはいわゆる「爆破ルール」で、攻撃側チームが爆弾を設置し、防衛側チームがそれを阻止するというもの。1チームの出場選手は5人。制限時間3分30秒のラウンドを複数戦い、いずれかのチームが5ラウンド先取した時点で攻守を交代し、前後半2マッチを行なう。前後半の取得ラウンド数が同数になった場合は各チームのKILL数で勝敗を決める。使用マップは「デザートキャンプ」、「バンカーバスター」、「ネオミサイル」、「ネオベイエリア」、「衛星」の中から抽選で決定。

 このような条件で、会場に設置された20台の選手用PCを使い、総当り戦では2試合が同時進行した。会場には試合に参加しないギャラリーも数十名数来場していたが、場所柄から選手の身近な知人・友人に限られており、前回両国国技館で開かれた「第2回スペシャルフォースリーグ決勝ラウンド」に比べ、静かで集中しやすい環境が選手たちに与えられていた。


比較的リラックスした雰囲気でプレイするチーム、あるいは声を掛け合いながら真剣そのものにプレイするチームと、出場チームの中でもゲームへの姿勢に違いが見られた。その中で、前大会優勝メンバーを含む実力派のチームに共通するのは、場所の指示や敵の数、状態といった情報を、的確に伝え合っていたことだ。このあたりに「場慣れ」しているかどうかの違いが見える



■ 圧倒的な強さを示した「Racpy」

たくさんのプレーヤーに見守られつつ、決勝戦が進行する
試合に集中する「Racpy」のメンバーたち
「Unsold Stuff」を相手に、圧倒的なスコア差で勝利

 2グループにわかれて行なわれた総当り戦では、「Unsold Stuff」、「無敗軍団」、「にゃっぴぃ教」のAグループ、「Pop Style」、「Hollow Point」、「Racpy」のBグループで試合が進行した。その中で圧倒的な強さを見せたのは、やはり「Unsold Stuff」と「Racpy」の2チームだ。

 特にBグループの「Racpy」は、「Hollow Point」に対してラウンド取得数10-0で圧勝するなど、圧倒的な強さを見せつけていた。「Pop Style」との対戦でも、落としたラウンドは3つのみ。そのプレイを実際に見てみると、精確で素早い照準・射撃、息の合った移動と連携が行なわれており、他のチームに散見された「オンラインでの遊びの延長」といったゆるい雰囲気はほとんど見られなかった。試合中の声掛けなども的確で、場慣れした雰囲気があったのが印象的だ。

 一方、Aグループを戦った「Unsold Stuff」も、ストレート勝ちとまではいかないが、順当にグループ1位を獲得。「にゃっぴぃ教」、「無敗軍団」とかなりの接戦を演じたため場内が白熱した空気に包まれたが、結果的には実力的通り、勝つべきチームがきちんと勝利したという印象だ。「無敗軍団」も実力者揃いであったが、ここは「にゃっぴぃ教」の奮闘には及ばなかった。

 3位決定戦では、それぞれのグループで2位となった「にゃっぴぃ教」と「Pop Style」が対決。これはほぼ互角の対決となった。前半戦では「Pop Style」がリードし、後半戦では「にゃっぴぃ教」がリードする。結果としては総取得ラウンド数により「Pop Style」が勝利したものの、スコア差は10-6と、なかなかの接戦。これにより「Pop Style」の3位が決定した。

 そして決勝戦。「Racpy」と「Unsold Stuff」の実力派2チームが対決した。前半戦は「Racpy」が圧倒的なペースで勝利ラウンドを積み重ね、スコア5-0で後半戦に折り返した。はやくも後のない「Unsold Stuff」。両チームともにプレイの真剣さが増し、彼らを取り囲むギャラリーも言葉を発することなく試合を見守る。底力を見せた「Unsold Stuff」はここで2ラウンドを取り返す。しかし、それに対して「Racpy」はすぐに調子を上げ、5ラウンドを取得し、勝利を確定させた。

 そして試合終了。最終スコア10-2と、結果としては「Racpy」の圧勝に終わったものの、ラウンド中の展開に圧倒的な差は見られず、「Unsold Stuff」も要所要所で見事なプレイを見せていた。筆者は「スペシャルフォース」の経験はそれほど深くないが、それでも、両チームが見せたプレイレベルの高さはひとめでわかるほどだった。見事優勝を果たした「Racpy」の実力はまさに折り紙つき、と言っていいだろう。

 優勝を飾ったチーム「Racpy」には優勝賞金および、11月に台湾で開催される「スペシャルフォース世界大会」への出場権、それに伴う渡航費等のサポートがNHN Japanより贈られた。「Racpy」は日本代表として、韓国、中国、台湾、ベトナム、アメリカといった各国の代表チームと世界一の座をかけて争うことになる。


優勝「Racpy」2位「Unsold Stuff」3位「Pop Style」


■ 世界レベルで感じた「経験の差」。それを埋めるための練習を誓うYuti選手

チーム「Racpy」とのグループインタビューの様子

 試合後、チーム「Racpy」とのグループインタビューの場が設けられ、チームリーダーであるYuti選手に話を聞くことができた。

 まず、「世界大会に向け、どのような練習をしていくか?」という質問にYuti選手はこう答えている。「世界大会で使われるマップで、対戦の数をこなしていこうかなと思います。やはり経験というのが大事なので。前回、世界大会に出場したときは、撃ち合いでは互角だったんですけど、経験の差で負けてしまいましたから」。

 「経験の差とは何だろうか?」。これについてYuti選手は「マップを知り尽くしているかどうか、グレネードの使い方、それから有利なポジションを使う立ち回りの部分です。そこをチームメンバーと話し合いながら、改良していきたいと思います」と話してくれた。

 すでにYuti選手が世界大会の経験者であるため、チーム「Racpy」のメンバーは韓国、中国、台湾、アメリカといった大会参加各国チームの強さ、壁の高さを知っている。それだけに、今回行なわれた日本代表決定戦での圧勝に奢ることなく、しっかり練習を重ねることが結果を出すために大切だ、と彼らは認識しているようだ。

 いまだ、FPS系ゲームの世界大会で、日本からの出場チームが優勝タイトルを手にしたことはない。日本の無数のチームの中から圧倒的な強さで代表となったチーム「Racpy」が、この先例を打ち破ることができるかどうか、日々「スペシャルフォース」を楽しむ数万のプレーヤーの注目がいやがおうにも集まることだろう。


参加者すべてが勝者と敗者にわかれるのは勝負ごとの定め。熱戦を経て日本代表の立場を獲得したチーム「Racpy」は、果たして世界大会でも勝者の側に立つことができるだろうか。それには各国の強豪チームを打ち破らなければならず、困難なミッションとなるだろう。「スペシャルフォース」のファンの皆さんは、ぜひ彼らを応援してほしい



(2009年 8月 26日)

[Reported by 佐藤カフジ]