Electronic Entertainment Expo 2009現地レポート
Valveブースレポート:突然発表された「Left 4 Dead 2」をプレイ!
新しいゾンビたちの手応えは如何に?スケールアップしたシステム「AI Director 2.0」にも注目
E3 09の開幕前日に行なわれたマイクロソフトのプレスカンファレンスにて、Valveの新作「Left 4 Dead 2」の存在が突如発表された。前作「Left 4 Dead」は、新たな協力プレイゲームの新境地を切り開いたFPSとして好評を博し、Xbox 360版だけでも250万本以上を売り上げているメガヒットタイトルだ(レビュー記事)。続編「Left 4 Dead 2」の発売日は2009年11月17日と発表されており、オリジナルからわずか1年で「2」が発売されるということになる。
そして先日6月2日にE3が開幕し、当のValveは期待通り、プライベートブースでで「Left 4 Dead 2」をプレイアブル出展していた。室内には4台のXbox 360版と、4台のPC版が並べられ、それぞれの環境で「Left 4 Dead 2」の4人協力プレイを楽しむことができた。開発者から聞いた話を含め、早速レポートしよう。
■ 南部アメリカを舞台に死闘を繰り広げる新手の生存者達
武器もゾンビもいろいろ新しくなったゲームの風景
新しい舞台はとっても明るい。でもゾンビまみれなのは同じ |
新・生存者の4人。アメリカ南部という土地柄を反映したキャラクターになっている |
武器のカテゴライズは同じだが、種類は全部新しくなった |
前作のファンなら絶対にチェックしたい「Left 4 Dead 2」は、タイトルの存在が公表された翌日にはもうプレイアブルになっているという、ある意味で非常にValveらしい形で出展されていた。まずはそのゲーム的な特徴からご紹介していこう。
グラフィックスを見てすぐにわかるのは、「2」の雰囲気が前作と全然違うことである。晴れた空、明るいフィールド、ビビッドな色彩の服装を身につけたキャラクターたち。まるでカプコンの「デッドライジング」を思わせるような、とても明るくクッキリとした色彩にあふれた画面だ。ゲームの舞台はアメリカ南部ということで、なるほどな、という景色である。
そのフィールドで生存をかけて戦う4人の生存者は、白スーツを着こなすイタリアンマフィア風の男「Nick」、クールでキュートなヒスパニック系女性「Rochelle」、ブーマーと素で見間違えるほど太った黒人男性「Coach」、そしてアメリカ南部の田舎育ちを思わせるやせ型の白人青年「Ellis」である。旧生存者が見られないのは残念だが(特にZoeyとLouis)、新しい4人の彼らがどのようなキャラクター性を見せてくれるのか楽しみでもある。
さて、本作の基本ゲームルールは前作と全く同じだ。大量のゾンビたちの攻撃を撃退し、かいくぐり、4人で助け合いながらゴールを目指す。だが実際にプレーしてみると、すぐに「Left 4 Dead 2」ならではの要素を沢山見つけることができる。
まずは新武器だ。ハンドガン、ショットガン、マシンガン、アサルトライフル、スナイパーライフルというカテゴライズは基本的に同じだが、「2」ではすべての武器が新しいものに変わり、何か全体的に貧乏くさい装備となった。マシンガンはイングラムMAC-10だと思われるが、プラスチックのヒモでで無理やり固定したフラッシュライトがお手製感を演出しておりほほえましい。
それぞれの武器の特性が「1」と微妙に異なるため、プレイフィールに変化があるのはもちろんだが、本作では新たな要素として特殊弾薬「火炎弾」が用意され、武器の運用にアクセントがついている。火炎弾は時折マップ上に配置されるのだが、これを拾うと現在の弾薬に追加して10発だけ、着弾すると相手が炎上する効果が付与される。撃ち尽くしたり、リロードすると効果はおしまいだ。このため火炎弾を拾うと、使うのがもったいなくてついつい近接攻撃に切り替えてしまうという影の効果がある。
その近接攻撃に新たな方法が付与されている。完全に新カテゴリの装備となる近接武器だ。近接武器には、現在確認されている範囲でチェーンソー、斧、フライパンがある。これらはルート上に落ちていることがあり、拾って装備できる。持っている間は制限なく振り回すことができ、固まったザコゾンビを一撃で倒せるほど強力だが、武器を切り替えると地面に落としてしまうという仕組みだ。
近接戦闘用武器。これまでの「殴り」とは別次元の打撃力 |
今回プレー可能だったマップでは、斧とフライパンが入手できた。その手触りをの感想を一言で言うと、「これは気持ちいい!」である。まず、斧の一撃は強烈だ。一撃で、ゾンビの頭部を撥ね飛ばし、ゾンビラッシュの群れに突っ込んで斧を振り回せば、あっという間に死体の山。もうひとつのフライパンも秀逸。パコーン、パコーンといい音を立ててゾンビを次々に吹っ飛ばすことができる。ついつい癖になって、自らゾンビの群れに突っ込みたくなるほどだ。
近接武器でパワーアップした生存者に対抗するため、特殊感染者たちにも新たな仲間が加えられた。従来の特殊感染者、ブーマー、ハンター、スモーカー、タンク、ウィッチに加えて登場するのは、片腕だけが異常発達したパワー型ゾンビ「Charger(チャージャー)」である。視界に現われるや、生存者に突っ込み、首根っこ捕まえて、ズドンズドンと地面に叩きつける。その間、ハンターなどと違い、「殴り」で救出することはできず、倒すしか方法がないという代物だ。
そのほかにも、ウィッチがシクシク泣きながらあたりをウロウロしていて危ないことこの上なかったり、ザコゾンビの中には腕をなくしても突っ込んでくる元気な個体がいたりと、前作に比べると細かいところで全く違う状況になっているのだ。おかげで、試遊可能な2ステージを非常に新鮮な気持ちで楽しむことができた。
Valveからはスクリーンショットがまるで公開されていないため、ブース内の直撮り画像で雰囲気をお伝えしたい。新しい生存者、新しい武器、新しい特殊感染者、そして新しいフィールドと、「2」のナンバリングを持つ新作として期待されるものはすべて備えている |
■ 本当の進化は見えないところにあり!新テクノロジー「AI Director 2.0」
ゲーム中の様々な要素がダイナミックに変化する、新しいゲーム世界を実現
ゾンビのグロさの向上ぶりがすさまじい |
本作のポイントを色々と教えてくれた、ValveのマーケティングディレクターDoug Lombardi氏 |
Valveブースを突然ピーターモリニュー氏が訪問。しばし「L4D2」をプレーして去って行った |
グラフィックス的には、全体的に明るいイメージとなった「Left 4 Dead 2」であるが、その実、ゾンビゲームならではのグロテスクな表現には磨きがかかり、より心臓に悪いゲームとなっている。特にインパクトがあるのがザコゾンビの死に様だ。
頭を打てば頭蓋骨がパックリ割れて中身がこぼれ落ち、腹を撃てば物理エンジンで制御された腸が飛び出す。さらに全体的に出血量が増しており、死体も相当数が残るようになり、激闘の後は血痕と死体の山。その上、火炎で燃えたゾンビは真っ黒焦げのケシズミ状態となる。グロ耐性のない方は少々注意が必要なレベルになっているが、ゾンビファンなら大喜びできるかもしれない。
しかしながら、演出をグロくして、武器を入れ替えるだけならば、わざわざ「2」として出すのではなく、オリジナルバージョンに対するパッチやDLCという形でリリースしても良いはずである。Valveのプライベートブース内でそういった質問をぶつけてみたところ、ValveマーケティングディレクターのDoug Lombardi氏が我が意を得たりとばかりに理由を説明してくれた。
まず、なぜ前作のアップデートではなく「2」を作るに至ったかについてLombardi氏は、「エンジンの更新や基礎研究により新たなテクノロジーが利用できるようになったので、前作よりずっと大規模なゲームを提供できるようになりました。そこで前作とは全く異なる舞台を用意し、新作として開発することにしました」という。
「新たなテクノロジー」のキモとなるのは、本作のゲーム展開をつかさどる「AI Director 2.0」だ。Lombardi氏によれば、新しいAI Directorはプレーヤーのプレー効率を観察し、ゲーム中の天候、コース、マップ構造などを変化させる。たとえば、晴天から豪雨に変わり、特定の道が使えなくなるなど、脱出経路が変化するということが起こるらしい。
ゲームの舞台がオープンフィールド主体の明るい場所になったのは、このためだったのだ。前作のように暗い室内が多いマップでは、天候による変化を効果的に見せることが難しい。そこで、舞台を広々としたアメリカ南部に移し、それに合わせて新鮮な気持ちでプレーできるよう、新しい生存者に選手交代したというわけだ。
またLombardi氏は、ゲームモードについて、新しいマルチプレーヤーモードを夏に発表するということを教えてくれた。現時点で詳細は明かせないそうだが、現在の協力モード、対戦モード、サバイバルモードに加えて、全く新しいゲームルールを追加するそうなので、今から非常に楽しみである。
「Left 4 Dead」というゲームは、協力プレーの新境地を切り開いたという点で画期的なゲームだった。その反面、初代作だけではやりたくてもやれなかったフィーチャーが多数あったのだろう。その思いが込められた次回作では、さらに完成形に近づいた遊びを体験できそうだ。「Left 4 Dead 2」は、北米では2009年11月17日に、Xbox 360及びPC(Steam)で発売予定だ。価格は未定となっている。
Microsoftの巨大ブースの一角にも「Left 4 Dead 2」のプレイアブル環境が用意されていた。他の試遊台と比べても、かなりの人気で、常時行列ができているという状態。関心の高さがうかがえる |
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□Electronic Entertainment Expo(英語)のホームページ
http://www.e3expo.com/
(2009年 6月 4日)