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HyperX、プロゲーマーによる「ストリートファイターV」エキシビションマッチを開催

一般来場者とプロゲーマーの夢のタッグマッチによる激闘で会場もヒートアップ!

9月21日~24日 開催

会場:幕張メッセ

エキシビションマッチの実況を務めたオレモさん。19歳という若さながらも的確な状況説明で場を盛り上げていた
一般参加者の予選は、ジョイスティックがアメリカ方式(ボタンの並びが中、弱、強)、制限時間は60秒という変則マッチで実施
予選を勝ち抜いた3名の方々。左からケイル選手(ユリアン)、シノヤ選手(ガイル)、アユム選手(豪鬼)

 e-Sports向けのゲーミングデバイスを提供しているHyperXは、東京ゲームショウ2017のHyperXブースにおいて、対戦格闘ゲーム「ストリートファイターV」のエキシビションマッチを開催した。本エキシビションマッチは、当日の会場予選を勝ち抜いてきた一般参加者3名と、プロゲーマーのウメハラ選手、ときど選手、チョコブランカ選手の3名がそれぞれタッグを組み、対戦を行なうというもの。

 予選では、一般参加者が勝ち抜き方式で戦っていき、一定数を勝ち抜いたプレーヤーが本戦へ進出するというルール。勝てば憧れのプロゲーマーの1人と組んで出場することができるとあって、皆、表情は真剣そのものだった。

 コントローラーは会場側からジョイスティックが用意されていたが、こちらはアメリカ方式という珍しい設定で運用されていた。これは、日本であればボタンの並びが「弱・中・強」であるところを、アメリカ方式の「中・弱・強」の並びに設定されているというもので、司会の方いわく「思い出づくりの一環としてお楽しみください!」と、そのまま試合は進行。

 むろん、多くの一般参加者はこの慣れない並びにとまどいながら操作を行なっていたようだが、スキル差のある対戦でも思いがけない挙動による逆転劇などが生まれ、かなり盛り上がっていたようだ。

 そんな闘いのなか、一般参加者からはシノヤ氏(ガイル)、ケイル氏(ユリアン)、アユム氏(豪鬼)の3名が決定。くじ引きの結果、シノヤ氏はときど選手と、ケイル氏はウメハラ選手と、アユム氏はチョコブランカ選手とタッグを組むこととなった。これに、HyperXチームの2名が加わり、4チームによるトーナメントが開始された。

 1戦目のときどチーム対チョコブランカチームの戦いでは、初戦、シノヤ氏のガイルがアユム氏の豪鬼から1本を先制するも、アユム氏の豪鬼が残る2本を連取し勝利。つづくときど選手と豪鬼同士の対決となるが、その1本目でときど選手がリードする終盤、アユム氏が投げを決めてからの立ち弱キック重ね→瞬獄殺という連携で見事、逆転勝利。EVO王者に先制するこの展開に会場中が沸いたが、2本目はときど選手が抜群の安定感を発揮し、すぐに取り返す。

 つづく3本目も、ときど選手がアユム氏を圧倒し、残りわずかの体力まで追い詰めたものの、ここからアユム氏が猛反撃を開始。Vトリガー発動からの後方投げで画面端の状況を入れ替え、ときど選手を追い詰めた状態で投げや斬空波動拳からの連携など、ありとあらゆる攻めを駆使した結果、ついにときど選手の豪鬼がスタン。そこを逃さずきっちりと仕留め、チョコブランカチームが勝利した。

立ち弱キックを重ねてからの瞬獄殺。このプレイで会場が一気にヒートアップ!
ラウンド開始20秒の状況であと一撃当てれば、というところまでアユム氏を追い詰めたときど選手。これで負けはないと思われたが……
直後のアユム氏の怒涛の猛追をしのぎきれず、まさかのスタン。これで勝負が決した

 2戦目のHyperXチーム対ウメハラチームの初戦はHyperXチームのリュウ使いの選手と、ウメハラチームのケイル氏による対戦。先鋒同士の闘いは、ケイル氏のユリアンが的確な連携・連続技を使いこなし、危なげなく相手を撃破。つづいてHyperXチーム大将のケンとの試合になったが、こちらも2本目にスーパーアーツを1回食らった程度でそれ以外は問題なく立ち回り、まさかの2タテを達成。ウメハラ選手が出ることもなく、決勝へと進出した。

安定の立ち回りで相手のリュウにほぼ何もさせず2本連取。HyperXオフィシャルチーム相手のこの展開に会場も騒然
「格闘ゲームが大好きなので、皆さんにもその楽しさを知ってもらいたい。楽しい試合を演じられるようがんばります」とプロ顔負けのコメントをするケイル氏
ケイル氏は2戦目のケン戦でも、ほとんど危なげなくストレートで相手を下した。観客の声援にも余裕をもって応えるケイル氏には、すでにプロの風格すら漂っている!?

 かくして決勝戦はウメハラチーム対チョコブランカチームの対決に。ここではお互いのチームのプロゲーマーが先鋒で登場する運びとなり、まずはウメハラ選手のガイルとチョコブランカ選手のベガの試合が行なわれた。序盤、チョコブランカ選手が攻勢に出て相手の体力を半分ほど奪うが、ここからウメハラ選手が反撃。2戦目では、ウメハラ選手はコンボミスこそあったが流れを失うことなくラウンドを取り、チョコブランカ選手を下した。

 2戦目は、先の戦いでときど選手の豪鬼を破ったアユム氏の豪鬼との対戦。アユム氏はうまく先制を仕掛けたあと、要所をしのぎながらウメハラ選手を追い込み、あと一撃、という状況を作り出す。しかし、そこでアユム氏の一瞬のスキを突いてウメハラ選手が反撃。Vトリガー発動からクリティカルアーツへとコンボをつなぎ、そのままアユム氏の豪鬼をKOした。

 ウメハラチームの優勝にリーチがかかった2本目では、お互いが少しずつ地道にダメージを与え合う展開となったが、終盤のワンチャンスをウメハラ選手が逃さず、ここでもVトリガー発動からのクリティカルアーツでフィニッシュ。ストレートに勝利を収め、エキシビションマッチの優勝を果たした。

序盤、大きくリードをしたチョコブランカ選手だったが、後半のウメハラ選手の追い込みをしのぎきることはできなかった
ウメハラ選手はたとえ追い込まれていても、Vトリガーからのコンボで相手の体力をきっちりとゼロにすることで、確実に勝利を重ねていく立ち回りが印象的だった
優勝後のコメントでは、「2人とも活躍できていいチームだったんじゃないかなと思います」とウメハラ選手。対してケイル氏は「感動で泣きそうです」と嬉しさを隠せない様子
エキシビションマッチ終了後も、大会で実現しなかったウメハラ選手対ときど選手、ときど選手対チョコブランカ選手の対戦が行なわれ、会場をさらに盛り上げていた
イベントの最後にはプレゼントがもらえるジャンケン大会や、プロ選手らによるサイン会などが実施された

プロゲーマー3人へのミニインタビューも実施! 色々と気になる部分を聞いてみた

「DRAGON BALL FighterZ」に注目しているというウメハラ選手
「コミュニティとの信頼関係がプロゲーマーの強さにつながる」と語るときど選手
チョコブランカ選手は「女性でも楽しめるライトな感覚のe-Sportsタイトルが出るとうれしい」とコメント

 同日、幕張メッセ内会議室において、ウメハラ選手、ときど選手、チョコブランカ選手3名に対するメディア合同インタビューも行なわれた。短い時間ではあったが、次期注目タイトルやプロゲーマーになるための心得など、濃い目の話が聞けたのでぜひご覧いただきたい。なお、時系列的にはエキシビションマッチの直前のインタビューだったので質問内容が先の記事と前後しているものもあるが、その点についてはご了承のほどを。

――かつてのアーケードシーンではヘッドセットがなく、ゲームの音が聞こえづらかったこともあるかと思います。そんなプロゲーマーの皆さんが、今はヘッドセットを使って普通にゲーム音を聞けているかと思うのですが、その重要性とはどの程度のものなのでしょうか?

ときど選手:僕は音で判断するということを結構やっていて、相手に技がヒットしたのか、ガードされたのかという確認行為は目だけでなく、音に頼ることも多いです。たまにヘッドセットの置いていない会場で周囲の騒音によって音が聞こえない状況では、その成功率が著しく下がります。そういう意味で、音というのはすごく大切なんだと感じています。今では、練習とかに出るときでも、自分のヘッドセットを持っていくようになりました。

ウメハラ選手:状況確認が難しくなるというのはときど選手と同じなんですが、雑音や騒音が聞こえなくなり、集中しやすくなるというのは最近、すごく感じます。無ければ無いなりに環境に適応してプレイすることもできはしますが、本来はそういうことを気にせずプレイできたほうがいいと思います。いい時代になったなと思いますね。

チョコブランカ選手:海外大会では音が聞こえない場合が結構あってやりづらいので、毎回ヘッドセットは持っていくようにしていますし、ももちの方も大会で聞こえないときにヒット確認が全然できなくて「これは絶対に持っていかなくてはだめだろう」という認識です。

――皆さんがゲーミングデバイスに求めている、こだわりのポイントを教えてください。また、HyperXさんのデバイス類はそういう思いに対してどのような答えを出してくれているのでしょうか?

チョコブランカ選手:私の場合はデザインなどを気にするので、スタイリッシュでカッコよく使えて、かつ、音質も良くて、かつ、買いやすい価格帯というバランスが重要かなと思っています。HyperXさんのモデルは、そういう点でちょうどいいなと感じています。

ウメハラ選手:自分は長時間プレイするので、疲れないことが1番になります。もちろん使いやすいということも大事なんですけど、まずは疲れないこと。HyperXさんのモデルはその点において問題なく使えています。

ときど選手:自分も同じような感じになってしまいますが、キツくても疲れるし、柔らかくても集中できないので、ちゃんとフィットしてくれる感じが長時間集中できることにつながります。そういう点で、HyperXさんにはとてもいいデバイスを提供していただいているな、というのはあります。

――本日のイベントは「ストリートファイターV」であり、皆さんは長くこのタイトルをけん引しておられますが、現在、それ以外で気になっているタイトルなどはありますか?

ウメハラ選手:「DRAGON BALL FighterZ」ですね。とくにプロゲーマーは、プレイしている人口が多いゲームをやりたいと思っていると思います。今は「ストリートファイターV」が格闘ゲームでは人口の多いタイトルですが、ほかのe-Sportsタイトルに比べるとやはり少ない。もしかしたら、この「DRAGON BALL FighterZ」が、他の人気e-Sportsタイトルのレベルまで引き上げてくれるかもしれないな、という期待があります。

 実際にプレイしてみたところでは、あまりプレイしてこなかったタイプのゲームだなと感じました。自分自身の勝ち負けという点で言えば、最初は苦労するのかなと思っています。でも、盛り上がっているゲームであれば、長い目で見て自分にとっていいことだなと思います。

ときど選手:特別なタイトルというのはとくに思い浮かばないです。最近、対戦という部分がすごく注目を浴びるようになっていますが、今までのゲームはもっと1人用が遊べるものもありましたよね。僕がすごくいいなと思ったのが、「ソウルキャリバーV」というゲームが、自分の使うキャラクターを、とんでもなくカスタマイズできて、「ストリートファイター」シリーズのリュウみたいなものを作れたり、「MARVEL VS. CAPCOM」のマグニートーみたいなキャラクターを作れたりとかするんですよね。

 もちろん、対戦格闘ゲームの醍醐味は対戦だと思うんですけど、そういった楽しみ方もできると、もっと多くの人を惹きつけることができて、それが結果的に対戦に興味を持ってもらえるきっかけになるのかなと思っています。対戦以外の楽しみ方もできるゲームがあるといいのかなと。

チョコブランカ選手:私の場合は「ストリートファイターIV」からゲームを始めて、あとは「ストリートファイターV」しかやっていないので、色々触ってみたりするんですが、どのゲームにもなかなか入りづらいというのがあります。多少遊んだりはしますが、ハマったりはしていません。私のようなライトな女性プレーヤーももっと増えてほしいと思っているので、女性も楽しめて、かつ、e-Sportsタイトルになるようなゲームが出てきてくれればなあ、と思っています。

――皆さんを追いかけている若手の対戦格闘ゲーマーがプロになるために必要な要素とは何でしょうか? また、皆さんは何があったからプロになれたと思いますか?

ウメハラ選手:プロになるだけであれば話題性とか、実績とか、もちろん強さとか、外から見える部分が必要かなと思います。「僕はやる気があります」と言っても、周りが認めていなければそれまでなので。プロになるだけであれば、そこは重要かなと思います。また、プロになって終わりではないので、継続して対戦格闘ゲームに対する思いを持ちつづけられない人は、プロになってもあまりいいことはないだろうなと思います。

ときど選手:まず、長くやっていく、ということを考えなければいけないですね。僕らは1年、2年で終われるぐらいに稼ぎがあるかと言われるとそうではないし、自分自身もそうですが、長い間やりたいと思ってこの世界に入ってくるものだと考えています。

 それと、この話を若手に言ってもピンときてくれないんですけど、信頼だと思うんですよ。コミュニティからちゃんと信頼されるということが、対戦格闘ゲームの強さそのものではないかと。もちろんライトな層からの支持も必要ですが、コミュニティの中心にいる人たちからの信頼というのは長くつづけるのであれば絶対必要だと、日頃から言っているつもりなんですけど……やっぱり言葉だと伝わりにくい部分ですね。

チョコブランカ選手:日本のプロゲーマーを1番ややこしくしているのが私だと思うので、なんと言えばいいのか難しいのですが……(笑)。2011年からプロをやらせていただいて、必要としてもらえる、というところで、とにかく自分は対戦格闘ゲームが好きで、対戦格闘ゲームのコミュニティが好きなので、自分の時間をたくさん使ってでも、とにかくコミュニティを広げるために活動しています。対戦格闘ゲームに対する愛だと思うんですよね。

 プロになろうと思ってやっていなかったですし、好きでやっていたというところからプロになったので、稼ぐためとか、プロになるためにゲームをやる、というのではなくて、とことんゲームを愛していけばいいのかなと。

――本日、一般参加者の方とタッグを組んでプレイされるということですが、意気込みをお聞かせください。

ときど選手:もちろんいざ戦いとなれば僕はガチでやらせてもらうと思うんですけど、せっかくのファンとのタッグを組んでのプレイということで普段あまりない企画ですので、そこでコミュニケーションをうまく取っていければなと思っています。

ウメハラ選手:こういう企画のときに、何か特別なことをしたこともなければ、しようと思ったこともないので、いつも通りやります。

チョコブランカ選手:私はいつもいろんなプレーヤーさんと交流しながら対戦するのが好きなので、今日も楽しみながらプレイできればと思います。

――どうもありがとうございました。